北海道の交通関係

JR北海道2019年度第二四半期収支状況

2019/12/09
JR北海道は国にからの「監督命令」に基づいて国土交通大臣に提出せよというのが命じられています。四半期毎に決算内容だけでなく、取り組み内容、また、それに対して各自治体との話し合い内容等も当然に提出しているものと思われるわけです。

そのなかで、今回

 

JR北海道
2019年度第2四半期
線区別の収支とご利用状況について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20191204_KO_senkubetu.pdf

このような資料を発表することになります。四半期での収支状況を発表したということですね。

報道ではこのような記事が配信されました。

 

日本経済新聞 2019年12月04日
JR北海道の収支にサプライズ、「札幌圏」が黒字転換
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52958200U9A201C1L41000/
札幌市と新千歳空港(千歳市)をつなぐ「快速エアポート」が好調で「札幌圏」が営業黒字に転換するなど、薄日も差し込んできた。
売上高にあたる営業収益は20区間で伸びた。18年9月の北海道胆振東部地震直後の運休などによる落ち込みの反動増もあり、23区間合計の営業収益は前年同期比5%増の404億円だった。

 

朝日新聞 2019年12月05日
岐路の鉄路)JR北、損益8億円改善
https://www.asahi.com/articles/CMTW1912050100005.html
札幌圏4路線は、快速エアポートなど札幌市と新千歳空港を結ぶ千歳線などで海外観光客ら利用者が増えたことで、営業収益が前年同期から12億円増え、4億円の黒字を達成した。

 

北海道新聞 2019年12月05日
JR北海道、札幌圏除き赤字 4~9月期 増収も修繕費膨らむ
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/371508
一方、JRが国や自治体の支援を前提に存続を目指し「単独では維持困難」とする9線区は4月から利用促進策を進めた結果、営業収益が前年同期より6500万円増加。臨時観光列車「くしろ湿原ノロッコ号」の利用が増えた釧網線東釧路―網走や、高校の通学手段をバスから鉄道に切り替えた日高線苫小牧―鵡川などは増収となった。
 綿貫泰之常務は会見で、「維持困難路線の地元と進めている取り組みの効果が表れている」と述べたが、全体の通期見通しについては「下半期に冬季経費がかかるので年度を通さないと判断できない」と話した。


今までこの「半年」での個別路線での収支を発表したことはありませんでしたし、前年度と比較できる資料こそ用意したものの、それ以前との比較はできません。
そんななか、札幌圏に関しては黒字を出すことができたというのは素直に喜ばしいことではあります。逆の言い方をすると、JR北海道で非常に大きいのは除雪費用など冬期の特殊事情における負担が大きいという意味でもあります。

もっといいますと、夏季ですら収支が大幅に悪い路線というのは、もう何をどうやっても黒字になんかならない路線です。

 

NHK 2019年12月07日
JR 収支改善の道筋依然見えず
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20191207/7000016008.html


NHKのこの記事にあるような「収支改善の道筋」というのがどの程度か?というとNHK記者が思う内容は多分「黒字化」なんでしょうが、では国鉄時代も含めて北海道内の各路線が一度か「黒字化」したことなどあったのか?といいますと、当時の資料をかなり引っかき回して、輸送密度や営業係数を出したところで、黒字だったことなどただ一度たりとも無いのです。

毎度書きますが、JR北海道は分割民営化時に経営安定基金を交付され、その運用益を赤字解消の原資としています。その金額が低金利で目減りした結果鉄道の赤字を基金運用益で補填できなくなったことが「赤字」の要因です。
それならば、他に何を赤字補填の材料にするのか?という面に目を向けなければならないわけです。

 

JR北海道
会社案内パンフレット
JR北海道発足後30年の経過について/土木構造物・車両の経年劣化および老朽化 【PDF/1.55MB】
https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/company/pdf/brochure2019_11_14.pdf
JR北海道2019年度第二四半期収支状況

JR北海道の過去の決算を見れば一目瞭然であるのですが、鉄道運輸収入が最高だったのが1996年の約800億円。この当時の人件費が813億円。この当時、人件費だけで収支が赤字だったわけですよ。鉄道は「人」がいなければ動かすことができないわけです。駅や列車内で直接的な客に関わる人だけでなく、後方で線路保守や信号保守、また、運行の安全を司る多数の要員が必要なわけです。
一部は外注し、駅無人化、信号などの自動化を進めた結果、人件費が縮小の一途を辿っていることもわかります。

そして、修繕費や設備投資を行えば減価償却費として負担が増える要因になります。北海道新幹線の赤字の大きい部分がこれです。そのあたりを勘案せずに北海道新幹線は赤字であると報道したところで意味の無いことでもあります。むしろ多くの投資を行っていない地方路線の赤字額が大きい。つまり、実際の運行経費をどれだけ抑えても運賃収入では直接的な運行経費すら出ないことを問題視しなければならないわけです。

なので、人件費はまだ下げられるなどと言い続ける「識者」と言われる方が一体どのような数字を見てそれを言われているのか、正直私にはわからないところです。つまりは「パフォーマンスとしてやれ」という意味ですね。今さらこう何度も数字を出されているのにパフォーマンスが必要というのは多くのマスコミ媒体がそれを伝えていないということになるわけです。JR北海道の広報体質は決して良いとは言えませんが、こうして数字を公開できているわけですから「見る気のない人」には伝わりませんし、マニアですら断片的な赤黒しか見ていないわけですから伝わるわけが無いのです。


さて、鉄道運輸収入が上がっている状況というのは喜ばしいことです。今回の第二四半期でも地方路線でも増える要素がいくつかあったこと。そして本当に観光列車等での伸びがあった路線は良かったなとも思うわけです。しかし、それらの列車を運行するためには新たな経費がかかるわけですね。本州の一部で行われている観光列車の運行経費の補助等があるわけではありませんから、それらは全てJR側の持ち出し。「増えました」だけでは手放しで喜んではならないわけです。少なくとも収支が全面的には改善していないわけですから。

そして、修繕費の増大は待ったなしで、石北線や宗谷線など長大で、特急運行区間などは本気で線路路線自体を作り替えるくらいの改革が無ければ運行を継続できなくなると予想します。そのときに誰が負担するのか?

国が北海道新幹線、札幌圏輸送(特に空港輸送)に設備投資資金を出すのは「本州から見て利便を上げる」意味についてはちゃんと理解しているからですよね。しかし、北海道内の輸送だけの区間についてはあまり興味が無いのを隠しもしないわけです。

今回の四半期決算を国交省の人はどのように見るのか?おお、北海道の地方もやってるなぁ、じゃぁ国も考えた方が良いなと思ってくれるのか?それとも、これっぽっち?全然輸送増えてないし、このレベルじゃねぇと思ってるのか?

そして、これらの改善はJR北海道だけが努力して改善すべきものなのか?これについても考える時期に来てるような気がします。一つ言えるのは、今回の実績、JR北海道の「通信簿」ではないってことです。アクションプランなどで北海道の自治体の「通信簿」でもあるということです。

「北海道新幹線なんて赤字だから要らない」レベルで言ってると「1」つけられますよ。
(その評価する人が素晴らしいとは言いませんよ。その意識を変えさせるのも地域の態度と意見なんじゃないですか?)

カテゴリ: 北海道の交通関係 JR北海道

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