北海道の交通関係


北海道の交通関係サイト終了のお知らせ

当サイトは終了することといたしました。本件に関しましては以下をご確認ください。
当サイトは2023年12月末で閉鎖することといたしました


北海道庁の鉄道維持PRと交通政策総合指針重点戦略

2023/11/29

JR北海道が「当社単独では維持することが困難な線区について」を発表したのは2016年11月になります。それから早くも7年が経過しました。

富士通でAI開発に従事し「脳とことばの研究」をされた黒川伊保子氏が2018年に出された本に「ヒトは7年で脱皮する 近未来を予測する脳科学」というのがあって、プライベートや仕事、社会も7年ごとに変化していくと説きます。あくまで私個人は7年周期説の根拠は乏しいとは思っていますが、7年という月日は充分に何かが変化することができるだけの期間であるとはいえると思います。7年という歳月は、生まれた子が小学生になる。中学校卒業から社会人になる大学卒業までの期間です。22歳で就職したとして29歳、生産年齢人口比からいえば30前は充分に「働き盛り」です。

北海道は2018年12月に「北海道鉄道活性化協議会」を設立。このときに行ったのが「公共交通の利用促進に向けた道民キックオフフォーラム」で、当サイトでは酷評しています。

North-tt 2018/12/24あまりにも道民をバカにした「公共交通の利用促進に向けた道民キックオフフォーラム」
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=460


とはいえ、北海道は2017年の「道民みんなで創る!公共交通ネットワークフォーラム」でその方向性を検討し、当時のJR北海道社長島田氏は「自助努力と言われているが車両投資は1両3億かかる。安全コストもかかる。持続可能な交通網にするには利用促進が必要。」そして正直に「力を貸して欲しい」と訴えたわけです。そして北海道観光振興機構会長の堰八氏は「JR北海道は瀕死の重傷で、綺麗ごとを言っている余裕はない。死にそうなのに夢物語を語っていてはダメ。」とこの時点でも観光列車観光列車と言い続けている当時の高橋知事、市長会会長の伊達市長菊谷氏を牽制したといえましょう。
2018年の「キックオフフォーラム」では同様に観光列車を語る時間が多かったものの、パネルディスカッションでは「道民自らが乗る」という項目が用意され、高橋知事は道庁全体のノーカーデーは「朝ニュースチェックができるなどの好意的な意見」があるとしています。

このあと、少なくとも北海道主催の公共交通的フォーラムは先日行われた「北海道鉄道活性化フォーラム~みんなで乗れば、未来が変わる」まで開催されなかったと思われます。

それでは、この2回のイベントだけで決定したわけではないとは言え、北海道が鉄道路線維持を訴え、情報発信や公共交通利用拡大などを目的に設立したであろう「北海道鉄道活性化協議会」がどの程度機能したか?協議会設立から5年の成果を見ていきたいと思います。

北海道鉄道活性化協議会の5年

北海道鉄道活性化協議会は北海道知事が会長、北海道庁の総合政策部交通政策局が関与する団体ですので、道庁サイトに収支報告や総会等の内容が公開されます。

北海道 交通政策局が関与する団体について
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/kanyodantai.html

 北海道鉄道活性化協議会 資料
北海道鉄道活性化協議会 資料


余談ですが、当サイトは以前はサイトリンクだけで中身を記載しないことがほとんどなのですが、特に北海道庁のサイトはリニューアルなどで元の資料を追えず、また、消去されていることも多いため、資料の一部は当サイト内にも保存します。

資料の中にこれまでの事業と令和5年度(今年度)の対応についての表があります。

北海道鉄道活性化協議会 これまでの事業成果を踏まえた令和5年度事業の考え方について
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/8/4/7/0/4/0/2/_/%E8%B3%87%E6%96%99%E5%8F%82%E8%80%837_%E3%81%93%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E6%88%90%E6%9E%9C%E3%82%92%E8%B8%8F%E3%81%BE%E3%81%88%E3%81%9F%E4%BB%A4%E5%92%8C4%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E3%81%AE%E8%80%83%E3%81%88%E6%96%B9%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6.pdf
(見ることができない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20231129_01.pdf



WEBサイトとアクションプラン

「利用促進」としての道民運動としてのWEBサイトの閲覧数5年間で「6万件」はさすがに悲しい。(ページビュー数なのかセッション数なのかなどはわからない)北海道鉄道活性化協議会のWEBサイトは北海道内で公共交通を趣味にしている人でも定期的に訪問する人は少ないでしょう。そして訪問する人が少ない理由ははっきりしています。何の情報も得られないからです。
 各地域の取組内容
各地域の取組内容
一般的な趣味者が「北海道の各自治体が公共交通維持にどんな取り組みをしているか?」を調べたらこんな内容が表示されるサイトを二度と訪問することはないでしょう。
本当に今各沿線自治体で何の取り組みも行っていないのか?といえば例えば石北線の北見市鉄道活性化協議会ではクリスマスイベントをやりますし、11月は毎週特急列車内の車内販売を行っています。それが直接的に北海道鉄道活性化協議会と関わるものではないから書かないのか、それならば「各地域の取組内容」という項目は不適切ですよね。

JR石北本線応援団
https://sekihoku-honsen.jp

 JR石北本線応援団からのお知らせ
JR石北本線応援団からのお知らせ


石北線は「路線単独」としてWEBサイトがあるのでこれがわかるわけですが、そうではない路線がほとんどです。各路線でどのような取り組みをしているのかを北海道に住んでいる私でも全ての掌握は難しい。結果「何もしていないじゃん」という評価になってしまうという面があります。

なぜ「各地域の取組内容」が重要なのか?といいますと、2018年に出した国土交通省からJR北海道に出された「監督命令」その響きからJR北海道が国から怒られたみたいに捉える方もおられるかもしれませんが、実際は「地域の関係者との十分な協議を前提に、事業範囲の見直しや業務運営の一層の効率化」が入っている。つまりは沿線自治体と協力した上で事業計画を立てるよう命令しているわけです。それの一部が「アクションプラン」になります。

North-tt 2018/07/30 JR北海道への400億円の支援が意味する「JR北海道への監督命令」
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=341


North-tt 2023/02/09 北海道の鉄道沿線はどう路線維持をPRするのか
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1239


アクションプランの中身は四半期毎に国土交通省に報告される。そしてここに示された「第2期集中改革期間」が2023年度で終わってしまうわけです。

North-tt 2019/04/10 JR北海道の「長期経営ビジョン」と「アクションプラン」
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=535
>維持困難路線各路線の「地域の皆様が利用促進や経費節減に⼀体となって取り組む気運を醸成」を目的に策定されたアクションプランも監督命令によるものです。策定は8路線・区間で
・利用促進や経費節減の取組が反映される「線区別収支」を基本指標とします。
・計画終了後の2020年度において計画開始前の2017年度と同水準を目指します。
・増収要素、減収要素を分解して把握し、「輸送密度」や関連指標とあわせて次の取組を検討する材料とします。
という基本指標としています。つまり、これが沿線に突きつけられた必達目標ということになります。


コロナ渦もありますので「計画開始前の2017年度と同水準を目指し」が未達で終わるのは当たり前だという言い方もできましょうが、正直言えばコロナ関係なくアクションプランで成果らしい成果を上げた路線はなく、それが四半期毎にフォトコンテスト、花壇の整備、観光列車を着ぐるみで出迎えました~と報告されていくわけです。沿線自治体が(酷く達成できない目標とは思えない)2017年レベルに戻すということさえ認識せず「この程度やっておけば良いのだ」と考えましたというのが国交省に報告し続けられているというところです。

JR北海道 アクションプランの取組状況
https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/region/pdf/8senku/20230920_KO_ActPlan.pdf

 アクションプランの取組状況
アクションプランの取組状況


あくまで私個人の想像ですが、北海道鉄道活性化協議会はこの「監督命令」に対する意味合いとして路線維持やアクションプラン内容などを広く広報しPRする目的で作られたのだと認識していました。しかし、どうもWEB掲載内容を見る限りはそうではないようです。

ノーカーデー

参加団体として企業や団体が263ある北海道鉄道活性化協議会でノーカーデーを大規模に行うと、公共交通にとっては大きな効果があるのではないかと推測はできます。今年も北海道はノーカーデー推進強化期間として9月20日から10月31日を設定しています。

北海道 令和5年度ノーカーデー の取組について
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/165780.html

 ノーカーデー推進強化
ノーカーデー推進強化


この参加団体ですが、名簿が掲載されています。 道庁、市町村以外に企業・団体263ありますが、JR北海道グループ各社、各商工会議所、観光協会、バス・タクシー会社が多くを占めていることもわかります。非公表団体もありますが、一般企業は多くない印象を持ちます。

北海道鉄道活性化協議会 参加団体名簿
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/8/4/7/0/4/0/3/_/%E8%B3%87%E6%96%99%E5%8F%82%E8%80%838_%E5%8F%82%E5%8A%A0%E5%9B%A3%E4%BD%93%E5%90%8D%E7%B0%BF.pdf
(見ることができない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20231129_02.pdf


そのなかで、実質的にノーカーデーを行うことが可能である人、その中でどの程度ノーカーデーを実践しているのか?というと数字が全くないわけで、平日はバス地下鉄を利用する私としてもこの期間利用が目に見えて増えたなということはなく、むしろ雪が降った今週は大幅に利用が増えたことが見えたりもします。もちろん私の周りの狭い範囲の話なので、実際は大きな効果があるのかもしれない。
ただ、例えば北海道新聞はここ2年「ノーカーデー」で検索しても1本の記事も出てこない。例えば職場でノーカーデーを強制されて不便になったみたいな記事が出てきてもおかしくないとは思うのですが、残念ながら全くという程それは行われていないのではないか?という印象を与えます。

道民向けPR

2019年に1回だけ発行された「道新プラス2019年夏号別冊 北海道 鉄道旅おうえんブック 2019夏/秋」はJR北海道の鉄道利用割引券300円分が付属した500円の冊子でしたが、8千部発行で3500部売上と大惨敗。それがあってか以後一切発行されることはありませんでした。

North-tt 2019/10/17 北海道(鉄道活性化協議会)が行っている「利用促進策」と北海道民の意識
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=911


イオン6店舗で行われた2020年度の展示イベントについては6300人来場、当サイト管理者はいくつか訪問してきましたが、これもコロナ渦を理由にその後同様のイベントは自粛しています。

 2021年1月のイオンモール札幌発寒でのイベント
2021年1月のイオンモール札幌発寒でのイベント
 2021年1月のイオンモール札幌発寒でのイベント
2021年1月のイオンモール札幌発寒でのイベント
2022年度からは地下歩行空間などの展示イベントを再開しています。

道内とその他国内向けとして2022年8月に行われたビンゴスタンプラリーは、個人的に全く食指が動きませんでしたが、参加者数の記載がなかったところを見ると、書けるような数ですらなかったともいえそうです。

PKBソリューション 公共交通でぐるっと!LOVELOVE北海道ビンゴスタンプラリー
https://www.pkbsolution.co.jp/news/10101.html

 LOVELOVE北海道ビンゴスタンプラリー
LOVELOVE北海道ビンゴスタンプラリー



国内へのPR

2020年度の「フレ!フレ!鉄道 北海道鉄道応援ページ」も3.8万回のアクセスで終了。

PRTIMES 株式会社ノヴェロ 北海道鉄道応援スペシャルサイト『フレ!フレ!鉄道!北海道』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000072732.html

 フレ!フレ!鉄道!北海道
フレ!フレ!鉄道!北海道


一部は場所を変えて今でも閲覧可能ですが、新しいドメインを作っていますので、これが現在は表示していないで良いんですが、今後は別のサイトなどに誘導される可能性がありますので終了コンテンツのリンクは表示しません。

フリーペーパーは2019年度だけ、動画配信は以前も記載しましたがYoutubeのアカウントが2つに分かれており一覧性がなく、継続してあたらしいものを上げられない以上閲覧数はともかく、登録数が上がらない。

観光列車等

2018年度
 ・インバウンド向けモニターツアー実施(富良野線/宗谷線135名、釧網線107名参加)
2019年度
 ・沿線自治体を中心にしたワークショップを計5回
 ・モニターツアーを実施(室蘭線36名参加)
2020年度~
 ・観光列車へのおもてなし
2021年度
 ・宗谷線における予約制駅弁販売実証実験
 ・ラベンダー編成運行記念出発式・モニターツアー
2022年度
 ・貸し切り車両臨時列車によるモニターツアー
 ・SL冬の湿原号の乗客へノベルティグッズ等を配付
 ・ラベンダー編成等による周遊ツアー「ひとめぐり号」の販売促進PRや、車内イベント企画を実施
 ・H100形ラッピングトレイン出発式・サイクルトレインモニターツアー

表を年度毎に直すと、結果的に観光列車観光列車と騒ぐなか、参加者数が明記できるもの以外は結果的にJRのものに乗っかって「おもてなし」しましたということになりましょう。

子ども向け鉄道旅体験会

個人的にはこれは将来的な利用者の獲得のために絶対に必要で、回数、頻度、そして私の街でもやって欲しいという声を得るためにも報道が大事だと思っておりました。
実際には4路線で計6回、139人だけに留まっています。小学生に限っても2022年北海道には227,372名いるわけです。もちろん、学校行事としての協力を得るなどの必要もあり大変なことではありますが、切符を買って公共交通を使うという社会勉強は今や半強制的に行わなければ親に連れられて乗ることはほとんどないわけですね。


発足からコロナ渦のなかでの活動を余儀なくされたなかで、何かイベントをやろうとしても批判も多かったであろうとも思うのですが、それであればWEBでの活動が(それもちゃんと事業者を入札させてらしいものを作ったのにもかかわらず)もうすこしマシになっていなければならなかったのではないか?そうも思うのです。

毎度「みんなで乗れば」なのですから、サイト閲覧数6万件って、及第点もあげられない落第以下、金の無駄と関わった方が糾弾されてもおかしくない醜態を晒していることに気がつかなければなりません。それを関わった人がどの程度意識しているのか、それが見えません。

令和4年度「鉄道利用促進の取組」

それでは、絵としてまとまった令和4年度の「全道的な鉄道利用促進の取組について」を見てみましょう

令和4年度(2022年度)における全道的な鉄道利用促進の取組について
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/8/4/7/0/3/9/6/_/%E8%B3%87%E6%96%99%E5%8F%82%E8%80%831_R4%E5%85%A8%E9%81%93%E7%9A%84%E3%81%AA%E9%89%84%E9%81%93%E5%88%A9%E7%94%A8%E4%BF%83%E9%80%B2%E3%81%AE%E5%8F%96%E7%B5%84%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6.pdf
(見ることができない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20231129_03.pdf


以前も書いた取り組み例がWAONでバスに乗れる、手ぬぐい作ったという、過去のものしか書けない悲しさ、そして各参加者数の少なさ、やっている感はとても豪勢に書いていますが、内容がとかくしょぼいなぁという印象を持ちます。

これが各地域になりますと、そりゃ全道より大きなものはないのですね。とはいえ、地域による差、そしてその地域が書くか書かないかというものもありそうなので、必ずしもこれだけでもないのですが、面白い取り組みがいくつか見えたりします。

令和4年度鉄道利用促進に係る地域の取組状況
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/8/4/7/0/3/9/8/_/%E8%B3%87%E6%96%99%E5%8F%82%E8%80%833_%E4%BB%A4%E5%92%8C4%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E9%89%84%E9%81%93%E5%88%A9%E7%94%A8%E4%BF%83%E9%80%B2%E3%81%AB%E4%BF%82%E3%82%8B%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E3%81%AE%E5%8F%96%E7%B5%84%E7%8A%B6%E6%B3%81%20(2).pdf
(見ることができない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20231129_04.pdf


 ・二次交通としてのバス時刻をJR接続に改めた例(乗合タクシー等も含む)  音威子府・上川・砂川・美幌・根室・厚岸・浜中・安平・(日高線沿線)・蘭越・ニセコ
 ・JR接続の観光地などへのアクセスバスの運行を行った例 比布・愛別・上富良野
このような事例がアクションプランとして出されているかどうかはわかりませんが、まず公共交通で移動ができる状況を作らないことには鉄道がバスがという以前の問題でもあります。


北海道交通政策総合指針重点戦略

さて、利用促進とは少し離れますが、2018年、北海道は2030年北海道新幹線札幌開業に向けた「北海道交通政策総合指針」を策定しています。推進期間は2018年度から2020年度までの3年間と2021年度からの5年間に分けられていて、今年は第二期の2年目を経過したことになります。
その2018年度計画版を先に見てみましょう。

北海道「北海道交通政策総合指針」の策定について
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/H29_shishinsakutei.html
概要版
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/5/2/1/2/0/5/8/_/H29shishingaiyou.pdf
(見ることができない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/H29shishingaiyou.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/koutuuseisakusisin_2018.pdf

 北海道交通政策総合指針 概要版(2018)
北海道交通政策総合指針 概要版(2018)


まず、人口減少、労働力不足というのは当然に認識されていることでもあります。それを克服した上で2030年には「世界をひきつけ、地域の未来を創る交通ネットワークの実現」という高い目標を立てているというものです。
・インバウンド加速
・国際物流拡大
・シームレス交通
・安定的かつ持続的な輸送戦略
・災害に強い交通
という大きく5つの集中的な施策を行うとしています。本編は分割されていたので、こちらで統合した上でバックアップします。138ページもある内容の濃い(はず)のものです。

そのうち「シームレス交通戦略」(16ページ)を見てみますと「地域の公共交通の存亡危機」から「利便性向上」と「利用促進」「連携の促進・強化」を行うとしています。
具体的には
・乗り継ぎダイヤの調整
・わかりやすい運賃
これにより利便性向上で利用者の増加、意識改革で利用者の増加という絵が描かれています。

 シームレス交通戦略
シームレス交通戦略
2018年度~2020年度までの具体的な取り組みも記載しています(82・83ページ)
 シームレス交通戦略
シームレス交通戦略
 シームレス交通戦略
シームレス交通戦略
モデル地域を中心にした検討会議、交通モード間の連携、社会実験の実施、公共交通の利用促進という、いまいち具体的なのかどうかがよくわからない内容が並んでいます。
ちなみに133ページには運転手不足に関する人材の確保・育成の欄がありますが、労働環境の改善などの問題点は2018年時点で意識されていながら、若年層、女性と具体例を出して人材を育成するという記載内容に対して何を行ってきたのか?というのはコロナ渦であったことを差し引いても、結局具体的な行動には移さなかった移せなかったといえましょう。あくまで採用するのは各社で公的にできることは「バス運転手体験イベント」くらいしかないといわれればそうなのかもしれません。

では、2021年の内容を見てみましょう

北海道 北海道交通政策総合指針重点戦略【2021-2025】の策定について
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/2021_2025.html
・概要版1
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/5/1/1/6/7/8/7/_/1.pdf
(見ることができない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/shishingaiyou_2021.pdf
・本 編
No.1(表紙~P.8)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/5/1/1/6/7/8/8/_/2.pdf
No.2(P.9~P.18)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/5/1/1/6/7/9/1/_/3.pdf
No.3(P.19~P.28)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/8/0/3/4/5/9/7/_/19-28.pdf
No.4(P.29~P.38)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/8/0/3/4/4/3/0/_/29-38.pdf
No.5(P.39~P.48)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/8/0/3/4/5/6/3/_/39-48.pdf
No.6(P.49~裏表紙)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/8/0/3/4/5/6/4/_/49.pdf
(見ることができない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/koutuuseisakusisin_2021.pdf


2021年の指針の中では人口減少と人材不足という環境変化も加味されながら、重点戦略として以下の6項目を掲げています。順番が入れ替わったのは「重点」の軸足が少し変わったといえましょう。


>(1) シームレス交通戦略
 交通モード間の強固な連携による利便性が高くストレスのない公共交通の実現
(2) 地域を支える人・モノ輸送戦略
 「人」「モノ」「サービス」の一体的・効率的な仕組みの構築
(3) インバウンド加速化戦略(段階的・多角的な誘客戦略)
 リスク分散と新たな需要の獲得、サービス転換による持続性の確保
(4) 国際物流拡大戦略
 貨物の集積と航空路・航路の充実による国際物流拠点の形成
(5) 災害に強い交通戦略
 災害時等にも安心できる信頼性の高い交通の実現
(6) ウィズコロナ戦略【新規】


このシームレス交通ではMaaSということばが出てきました。国土交通省が提唱した日本型MaaSでは

日本版MaaSの推進
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/japanmaas/promotion/
>複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスであり、観光や医療等の目的地における交通以外のサービス等との連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する重要な手段となるものです。


と定義しています。総合指針では「交通モード間の強固な連携による利便性が高くストレスのない公共交通の実現」としています。交通拠点整備を駅・バスターミナル・道の駅・コンビニ・役場・病院等とし、事業者間連携ではコストシェア・レベニューシェアにも触れていますので共同運行や運賃統合などにも触れないわけにはいかないでしょう。

 シームレス交通戦略
シームレス交通戦略
本編では4-9ページで記載されており「運輸連合」を検討するとしています。そして、その前段では2025年までの地域公共交通計画の100%達成、運転免許自主返納者への協力事業者を200事業者以上に増やすことを指標としています。
 北海道型運輸連合
北海道型運輸連合
この運輸連合、「北海道型」と銘打って「緩やかな連携」を模索しています。4段階を考えているようで、まずは課題の整理共有、2段階目でダイヤや乗り場、目的地、すでにここでMaaSを持ち出していますから、共通切符、少なくとも予約、検索、決済はできなければなりません。これは十勝で行われたJR・十勝バス・拓殖バス共同利用パス「十勝ホリデーパス」などの実験もこれによるものなのでしょうか。

北海道 令和2年度北海道十勝MaaS実証実験
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/hokkaido-tokachi-maas.html


3段階目では相互利用エリア拡大、車両整備や営業所共同化、車両統一共同調達、運行管理者兼任など
4段階目で重複路線統合、幹線支線の役割分担(いわば乗り継ぎ化)ダイヤ調整、共通運賃やプール制

としています。当然バス会社間の様々な問題がありましょうが、今後どう考えてもA社B社は仲悪くて同じ路線並行して走ってチケットも共通じゃないなんて状況でいられるか?というのがありますが、では誰がそれを首に鈴をつけに行くのか?という問題でもあろうかと思います。緩やかな連携が「緩すぎていつまでも今まで通り」ではどうしようもありません。

この北海道交通政策総合指針は北海道内の各メディア報道でも2021年版は一切されておらず、これが公開されたことを知る人はかなり少ないのではないでしょうか?2018年版についても路線廃止に絡めた記事でいくつか見かけただけです。その内容が北海道民に伝える必要すら無かったのか。「識者」が勝手に考えて発表してる内容ではないのですから、北海道内のこの先の公共交通を考えるときに、読んでおかなければならなかったのではないかとも思うのです。

さて、ここまで見ていて、MaaSにしても、相互利用的な話にもチケット面以外では特段JRが現れてきません。もちろん支援という形も記載はなく、JRは勝手に走って、地域はバスやタクシー、デマンド交通で連携していくみたいな感じに見えないでもありません。専用の線路敷き、専用の鉄道工場などバスとは設備を共用できないのはわかりますが、ではバスのコストで鉄道を運営できるかと言えばそれはできない。

とても悪い言い方ですが、コスト平均化でき、共同化しやすい自動車交通に全面的にシフトするような計画ではないか?ともいえなくもありません。今までの北海道庁の発言の傾向などを見ても、今回の「戦略」を見ても、鉄道や高規格道路は自分たちとは余り関係ないと距離を置いたような、少し歯に何か挟まってるような、なにか「いずい」感じがするのです。

それが「利用促進」にも出ているのかもしれません。

北海道の交通関係 JR北海道 乗車促進運動 北海道鉄道活性化協議会 路線維持問題

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