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北海道の交通関係
JR北海道の「話せる精算機」導入とQRコード精算システムを見る+運行案内モニター表示新設
2021/01/25
通勤で札幌駅を使っていると、見慣れない精算機があることに気が付いたのは昨年の12月12日かと思います。そでまで存在した精算機が「話せる券売機」と同様なオレンジ色のものに交換されていました。
「話せる精算機」とは案内していなかったものの、改札内で「えきねっと」で予約した指定席券などを受け取ることもできますし、快速エアポートの指定席を購入することも可能になりました。もちろん精算機としての機能も備えており、「話せる」タイプとなったのはワンマン区間からの整理券や車掌から購入した切符の精算にも対応させる意味があったものと思われます。
この精算機は新千歳空港と南千歳にも同じ時期に導入されたことを確認しており、特に新千歳空港の以前の精算機はICカードの使用ができないタイプだったこともあり、改札内で指定席購入ができることも含めて朗報でありました。
・札幌駅に導入された指定席券売機
・精算券は青地のもの
・精算機画面の右側に空白があるのが気になる(ここに後に触れるQRコード精算のメニューが入る)
このような非対人の機器が導入される背景には、JR北海道が置かれた厳しい環境と、将来的な鉄道現業職員の減少は避けられない(これは国鉄採用抑制の影響で定年退職の職員が大量に出て、従事できる職員が大幅に減ってしまうという問題もある)こともあって、非常に危機感がある表れとも思われます。また、昨年末に国土交通省が打ち出したJR北海道への支援メニューには省力化、省人化のメニューが用意されたこともこれを後押ししているものと思われます。
JR北海道の島田社長も日本経済新聞の1月5日付インタビュー記事で「チケットレスや次世代移動サービス『MaaS(マース)』実現に向けてスピードアップし、非対人・非接触の環境を整える。(オペレーターと話しながら切符を買える『話せる券売機』など)非対人ツールは使い勝手をよくしたい。」と語っており、新たな発券、精算のシステムに踏み込むことが期待されました。
日本経済新聞 2021年01月05日
通信インフラやMaaSは投資再開、攻めに転じるJR北海道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFC011I10R00C21A1000000
無人駅での乗車証明書発行システムの運用開始
JR北海道 2021.01.20
トマム駅で取得する「QRコード乗車駅証明書」による自動精算のサービスを札幌駅、新千歳空港駅、南千歳駅で開始します
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20210120_KO_tomamuQR%20.pdf
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1月20日のJR北海道社長会見にて発表されたのが、トマム駅にて利用客自身がスマートフォンによる乗車証明書の発行と精算機でのQRコード読み取りによる自動精算サービス開始というもの。
北海道新聞 2021年01月21日
トマム駅でQR取得、下車駅でかざして精算 JR初、21日から運用
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/503043
>利用客はトマム駅の待合室に掲示したQRコードからスマートフォンで多言語対応の専用サイトにアクセスし、「QRコード乗車駅証明書」を取得。札幌、新千歳空港、南千歳駅のいずれかで降りた際に、取得したQRコードを自動精算機にかざせば、トマムから降車駅までの切符を購入できる。全国のJRで初めてのシステムという。
報道というのは「初」に弱い部分があります。今回のシステムは確かに「初」のシステムではありますが、今まで乗車券の購入も行えず、乗車証明書の「発行」を行っていなかったトマム駅からの客に対して車掌や着駅の係員が苦慮していたことは事実かと思われます。特に冬季の外国人利用客が多い春節時期はトマム駅に臨時の発券場所を用意した切符販売も行われてました。しかし、臨時販売所も車内でもクレジットカードが使えない、外国人対応も難しいという面もあったのかと思われます。
いまや外国人観光客がスマートフォンを持っていないことはほぼなく、彼らの言語で表示されるスマートフォンの画面内で案内を行い、なおかつ自動精算機も多言語対応を行っている。これによりスムーズな精算対応ができると踏んでいると思われます。
また、今回のサービスは、記事には触れられていない大きな特徴がありました。「駅」のホームページを表示し、駅に掲示してあるモニター同様な運行案内、乗車位置案内をスマートフォンで確認できるというものです。
この開始から4日目になります1月24日、トマム駅からこの乗車証明書、QRコード精算システムを使用して列車に乗ってみました。
トマム駅の「駅窓口」の歴史
トマム駅は駅が開業した1981年当時は石勝高原駅と称しており1987年の民営化直前にトマム駅に変更されました、その頃は札幌方に構内踏切があり、列車利用者は踏切を通り利用していた時期があります。その後当時のアルファリゾートが敷地内に繋がる跨線橋を整備し、駅と直結したトマムインフォメーションセンターを開設。このインフォメーションセンターにJR北海道は「トマムトラベルセンター」を開設し、指定席券等を発券できる設備を常設し乗車券類を発券していました。このトマムトラベルセンター(実質的にトマム駅の窓口として機能、実際入場券も発行されていた)がJR北海道の各種問題を受けて2015年に閉鎖されることになります。これはトマムインフォメーションセンター自体を閉鎖し、リゾート利用客をそのまま駅からバス送迎にしたことも関係しています。それ以前はトマムインフォメーションセンターから敷地内ということを活かした幅広の無ナンバーのバスにて送迎を行っていました。
現在、跨線橋のインフォメーションセンター側は現在は立入禁止となっていますが、通路の壁には北海道弁を紹介する掲示が残っています。

旧トマムインフォメーションセンターへつながる通路
トマム駅には帯広、釧路方面への2番ホーム札幌側に駅本屋があります。こちらにも窓口のような跡がありますが、ここでの窓口販売は私の知る限り一度も行われたことはないものと思われます。

トマム駅駅舎

札幌方待合室内
あらためて「QRコード乗車駅証明書」の説明と案内看板
今回導入された「QRコード乗車駅証明書」はトマム駅で利用者自身がスマートフォンで専用サイトにアクセスし、下車駅、人数を選択、QRコードを発行し、列車に乗車。列車内での車掌の車内改札ではQRコードを提示することで車内での乗車券類発券を省略、到着駅の精算機にQRコードをかざし現金、クレジットカードで精算を行うというものになります。この「QRコード乗車駅証明書」についての案内は駅本屋側の待合室では行われていませんでした。最初にその案内を表示したのは跨線橋内の案内看板です。

ホームから見た跨線橋。右側は1番ホーム側で2018年に設置された待合室も見える。左側は旧トマムインフォメーションセンターへつながるが立入禁止。

跨線橋内に設置されている「QRコード乗車駅証明書」の案内。ここのQRコードは駅案内のページに飛ぶだけですのでTwitterでは隠しておりましたが問題ないと判断しそのまま掲載します。乗車方法の説明に関してはこれが最もわかりやすいでしょうか。なお、札幌・南千歳・新千歳空港以外に行く場合は着駅または車内で精算という今までの方式を踏襲することになります。


1番ホームの待合室。ちなみにドア2か所のうち1か所はコロナ対策のためか開放されており、暖房もないので外気温と同じかそれ以下に感じます。なお、昨年はこの時期臨時券売所が設置されていましたが、今年は行わないように思われます。中国系の観光客も見かけませんし、そのためのQRコードによる決済システムともいえますので。
この待合室には列車運行状況の画面が設置されています。表示は札幌方面のみになります。画面にQRコードが掲載されており、説明はモニタ下に貼られています。
「QRコード乗車駅証明書」発行画面
実際のスマートフォン上の画面です。まずQRコードを読み取って表示される画面です。ちなみにアドレスはhttps://noriba.jrhokkaido.co.jp/tomamu
となります。


私のスマホは位置情報アクセスを確認する画面が表示されます。セキュリティ的に位置情報のアクセスをWEBブラウザに許可していない場合はこの先の表示は行えないものと思われます。

トマム駅のトップページになります。3つのメニューが表示されます。
・QRコード乗車駅証明書
・特急列車乗車位置の確認
・運行状況
「運行状況」を見てみましょう

方面選択が出てきて、「南千歳(新千歳空港)、札幌方面」を選択すると出てくるのがこの画面です。待合室の運行情報モニターの画面とほぼ同じものが表示されることがわかります。同様に「帯広、釧路方面」を選択するとトマム駅には存在しない帯広方面の運行情報画面が表示されます。なお、この画面は位置情報がトマム駅でなくても表示することが可能です。
「特急列車乗車位置の確認」を見てみましょう

ご予約の座席情報という画面が出ます。何かの画面を流用してるのかもしれませんが、実際ここでは予約などは行わないのでもう少し違った表現でもいい気がします。すでに切符を持つ人がそれを入力すれば乗車位置情報が表示されるというものですね。
方面、乗車日、列車、席種別(号車)を入力することで当該の車両と乗車位置を表示します。この画面も待合室の運行情報モニターの画面で列車到着前に表示されるものとほぼ同じものですね。
QRコード乗車駅証明書メニューを見てみましょう

開くと、日付、行先、人数の入力表示が出ます。また、メールアドレスを入力することで、メールを送信することができます。
QRコード表示をクリックすると確認画面が出ます。

確認をタップでQRコード乗車証明書が表示されます。

この画面をスクリーンショットを取得しておくことをお勧めしておきます。gmailには届きませんでした。なお、再度自分のPCメールに送信した内容が

となります。
精算機での「QRコード精算券」発行画面

南千歳駅の改札前にあります精算機です。札幌駅のものと同様の「話せる精算機」スタイルです。

初期画面の「トマム駅専用精算 QRコード」をタッチします。

QRコード読み取り部が赤く光っていますので、スマホからQRコードをかざします。

トマム駅から南千歳駅までの経路が表示されます。経路の変更や下車駅の変更、特急券を不要とするなどの対応はできないようです。
現金またはクレジットカードの対応となります。発券されたのはトマム->南千歳の「乗車券」「自由席特急券」そのものです。

今回の試みですが、つまりは乗車証明書発行で「着駅にて乗車券、特急券を購入する」というスタイルになります。あくまで精算の形を行っていますが、着駅の精算機を「着駅までのトマム駅の券売機」として使用するための仕掛けともいえそうです。ですので、この券をもってさらに継続して列車に乗り着駅で精算するという使い方も一応は可能である(着駅ではそういう発券であることはわからない)ともいえましょうか。
不正「QRコード乗車駅証明書」発券は可能?
今回のQRコード乗車駅証明書はスマートフォンの位置情報を取得しています。駅から数キロ離れた場所で再度取得を試みますと

このように表示され発行できません。
運行情報表示なども含めて、非常によくできており、将来的にはトマム以外の地域も対象になるであろうことは推測できます。その場合に考えられるのが不正な位置情報での「QRコード乗車駅証明書」発券です。
スマートフォンの設定によっては、位置情報を偽装して「QRコード乗車駅証明書」を出すことは可能ではあります。また、駅ごとのQRコード(駅ページ)が分かればその駅を通過時にQRコードを取得して乗車駅を偽装するという単純な方法でも行うことが可能かもしれません。また、今でも直線距離で2㎞近く離れているリゾナーレトマムでも「QRコード乗車駅証明書」を発行できます。
しかし、当然対象駅が拡大すればそのような問題を一定クリアした状態で行えるだろうとは予測するところです。まずはトマム駅を対象として使い勝手などを確認し、改善していくことが必要であろうと思います。始めたものをただ批判しても、乗車券類を購入できず、クレジットカードでの車内精算ができない現状よりはよっぽど素晴らしい方法と思われます。それ以前に現在でも乗客の性善説で各種の制度を行っているところがありますので、JR北海道にとっても、少しでも使いやすくしたいという気概は持っておられると思います。
太平駅・百合が原公園駅の運行情報モニター設置
最後に、札幌圏の無人駅である太平駅、百合が原駅に運行情報のモニターが設置されました。これも昨年12月中旬に設置されたもので、新年1月18日ころから稼働を開始したようです。上記のトマム駅など特急停車駅に設置されたものと基本的には同じもので、運行情報、列車位置などを表示しています。これも設置駅が拡大されるのか気になるところです。(トマムの例を見ると将来的に各駅のホームページのようなものが作られ、運行情報表示をスマートフォン上で見られる仕掛けを検討しているように思われます)
改札横の狭いスペースに設置された太平駅のモニター。札幌方面と石狩当別方面各1枚設置されている。

運行に遅れがある場合に3分以上1分単位での遅れを表示する。また、列車の位置情報も確認できる。

全道的な多路線の遅れ、運休がある場合の表示も切り替えて行う。
いずれにしてもJR北海道が国などの支援を受けて、このような対策を行っていくのは今後も進んでいくのではないでしょうか。