北海道の交通関係

さようなら日高線(鵡川-様似)その2(代替バス乗車)

2021/04/05

4月1日は新年度の開始日でありました。この日から大幅に変わる日高管内のバスに乗ってみます。なお、この項目では「代行バス」は3月31日まで運行していたJR北海道日高線の鉄道代行バスを指します、「代替バス」は4月1日から走り出した日高線代替の路線バスを指します。

前回の記事
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1033

日高線代替バスの前に、現地までの手段がコロナ渦で少ない

●札幌駅バスターミナル
前日に確認しておりましたが、一応念のために札幌駅バスターミナル(エスタ1階)の道南バス案内所に行ってみます。札幌から日高管内へ公共交通で向かうなら高速ペガサス号を使うのが基本と言えましょう。コロナ渦でペガサス号は札幌発の初便である8:10発のほか2往復が運休しており、現在6往復中3往復のみが運行されています。札幌発は10:20発が初便となり、浦河まで行くと14時頃となってしまい、日帰りには慌ただしくなってしまいます。

この高速ペガサス号は1984年7月に運行を開始、札幌-浦河を3時間30分、2,300円で結びました。当時ですら国鉄運賃は札幌-浦河3,000円、さらに急行料金は1,200円で当時の国鉄急行列車より安価で快適なエアコン、リクライニングシート車両では、もはや太刀打ちなど無理でありました。国鉄末期に急行は廃止、JR化後は普通列車のスピードアップは行われたものの、最大7.5往復まで拡大したペガサス号にJRは都市間連絡輸送として全く歯が立たない状態となります。

しかし、このペガサス号にも弱点があります。現在のペガサス号は高速道路が延伸した現在でも札幌-浦河は3時間45分。これは、鵡川ICを経由し、日高管内区間を一般道を走ること、また、当時に比較すれば「無理」な運行を行わないということもあります。現在日高自動車道は日高厚賀まで開通しており、これを目一杯使えば札幌市内-浦河は自家用車なら3時間とかからないでしょう。浦河だけでなく沿線の各町からの需要も取り込まなければならない(浦河や静内だけでは乗客数を集められない)ペガサス号は、高速道路の延伸が進めば進むだけ自家用車との比較で「選択されない」事態になります。

朝のペガサス号が運休であることを確認しましたら、道南バスの係員さんは苫小牧からの路線バスを提案してくれます。苫小牧駅発の静内行きは9:05発が始発で6往復が運行されています。次の便は10:50発ですから、静内着は次のペガサス号より遅くなります。何が何でもあと1時間ちょっとあとの「苫小牧発9時05分発の便」に乗らなければなりません。


●高速とまこまい号と沼ノ端駅
実は、これは事前にシミュレートしていまして、実際にできるかを試してみようと思いました。札幌駅バスターミナル8:00発の苫小牧駅行き中央バス高速とまこまい号は、苫小牧東インターチェンジから苫小牧駅までの間、沼ノ端駅の近く明野南通沿いの「ダイナックス沼ノ端アイスアリーナ」を経由します。到着は9:11の予定、ここで下車すると、静内行きのバスは9:28にこのバス停を通りますので、乗り継ぐことが可能と踏んだのです。

中央バスの高速とまこまい号・道南バスの高速ハスカップ号は1985年から運行開始、1997年までは各社別々の運行を行っていましたが、乗車券を共通化して現在に至ります。両社で約30分おきに運行を行っていましたが、コロナ渦もあり、現在は道南バス便が大幅に減便する形で日中1時間おきの運行になっています。

札幌駅ターミナル8時発のとまこまい号は5人ほどのお客を乗せて出発、札幌市内の渋滞があり大谷地駅は約5分遅れ。もともと札幌駅から大谷地駅まで30分以上一般道を走ります。その大谷地で5人ほど乗り、10名ちょっとのお客様数。札幌南インターチェンジで高速に上がり、追い越し車線を駆使しそれなりに速いペースで走って行きます。

比較的新しい車両に当たったようで、車内には各座席にコンセントがついており、Wi-Fiも使用できます。トイレがあるので、本来は長距離便用の車両なのかもしれませんが、今やこのくらいの仕様が「あたりまえ」とも言えます。市内を走っているときは、停車発車で揺られて画面を見続けると酔いそうなのですが、高速道路では快適に「お仕事」ができます。高速道路を走ってる時間もわずか30分ほど。苫小牧東インターチェンジは9:08頃に出まして、やはり5分程度は遅れている模様です。

苫小牧市内のウトナイ団地は近隣の工場などへの従業員が職住一体で生活できる環境を目指して分譲され、高速道路インターチェンジも近く、JR沼ノ端駅も使用できることから、苫小牧市では人口の増加傾向にあるところ。団地内に札幌に直通するバスが入り、苫小牧駅方面への利用も可能なため、帰宅時間などに乗るとかなり乗降が見られます。このバスにも苫小牧方面へ向かう方が乗ってきました。この団地を経由することもあって高速バスは札幌駅-苫小牧駅を約1時間40分程度で結ぶことになります。

JR利用ですと普通運賃で利用できる列車でも北広島などで快速と乗り継いで札幌-苫小牧を約1時間程度で走るのに比較すれば高速バスは鈍足ですが、運賃は鉄道1,680円に対しバス1,450円と差があります。JRは普通列車で往復割引できるきっぷに追加して特急すずらん号に340円足すことで特急に乗れる(所要時間50分ほど)オプションを出し、高速性で対抗しようとしていますし、沼ノ端駅に停車する列車は1時間に1本以上は確保しています。この区間は使い分けられているように見えますが、距離的に一般道経由でも自家用車で1時間40分程度ですし、工場などは最初から自家用車通勤が前提の場所もあり「公共交通機関に乗らなければ困る」人は相対的に少ないことも伺える地域でもあります。

「ダイナックス沼ノ端アイスアリーナ」バス停には7分遅れの9時18分に到着しました。少し余裕がありますので沼ノ端駅まで歩いてみましょう。



日高線代替バスに乗ってみる(沼ノ端-静内)

苫小牧から静内までの路線バスは以前から道南バスが運行していました。改正前は苫小牧駅前を9:03に発車し、沼ノ端駅を経由せずに駅南側にある「沼ノ端西」バス停を経由して運行していました。今回改正では沼ノ端付近で経路を変更し、沼ノ端駅北口を経由して運行されることになります。これは、JR乗り継ぎだけでなく、苫小牧駅-新千歳空港の路線バスへの乗り継ぎも考慮されたものと思われます。

沼ノ端駅自体は無人駅ですが、トイレなどの設備もありますので、とりあえずバスを待つには困りません。ただ、付近に商店などは少なく、ダイナックス沼ノ端アイスアリーナ近くの食品スーパーフードDあたりまで行かなければ食料の入手は難しいところです。この時間ですのでスーパーはまだ開いていません。

さて、沼ノ端駅北口が9:31なのですが、定刻になってもバスは来ません。道南バスには今のところバスロケがなく、また、今日から経路が変わって運行の初便でありますので、少し心配していました。他に乗る人もいなさそうです。
結局9分遅れでバスが見えまして、ホッとひと安心です。車両は高速ペガサス号に使用される車両と同等と思われるドア1枚の車両。車内は5名ほどが乗っています。ここまで苫小牧市中心部を運行してきたのでしょうが、ドア1枚、しかもステップが高い高速バス車両は乗降がどうしても遅くなってしまい、遅延するのはある程度仕方ないところでしょう。

バスは沼ノ端跨線橋で線路を渡り、インターチェンジのような弧を描く形で国道235号線に入ります。この道路が浦河へ続く国道となって、基本的にこの道路をバスは走っていきます。苫東工業団地のこのあたりは民家が少なく、バスは厚真町の上厚真地区を経由するものの乗降無し、浜厚真付近で日高線と併走しますが、このあたりも民家はほとんど無い地域です。

鵡川駅前にはやはり10分程度遅れて到着。列車からの接続もありませんので1人乗せて発車です。鵡川から静内方面の代替バス初便になるのですがマスコミもいませんし、マニアっぽい姿の人も見えません。

JRの鉄道代行バスと比較すると、市街地での複数のバス停留所(これは今までの道南バス停留所と基本同じ)に停車し、汐見、富川など駅に入らず国道を直行(一部の帰宅便は富川高校を経由し、そのため旧駅前を経由する)、門別、厚賀、新冠などは市街地を経由します。JR代行バスが一部を除き駅、駅近隣のJR代行バス停以外停車できなかったのに比較し、以前からの路線バス時代から停車していた門別国保病院(門別病院前)、勤医協厚賀診療所(厚賀第一)、新冠国保診療所(新冠診療所前)に停車することで通院事情も解決しようという試みもあります。バスは所々で日高線の踏切を渡ります。そしてこのあたりの線路被害が酷いのは何度見ても胸が痛みます。


この時間帯は改正前とほぼ同じ時間で走っているわけで、途中停留湯所からは1人、2人と乗ってきます。年齢層は意外にも幅広く、春休み中のなか高校に行く生徒、通院ふうの老夫婦、買い物に行く感じの奥様と思しき方が、乗っています。この客層は過去のJR代行バスではほぼ見かけませんでしたので、それまでも道南バスの路線バスを使用していたと思われます。ただ、バス車両が路線車ではないので、整理券の出所がわからないとか、降車時に段差をしきりに気にする方とか、車両に乗り慣れていない感があります。ペガサス号に関する案内こそ貼ってありますが、軽く20年程度前の車両と思われ、今回代替バスに新車が間に合わなかったための苦肉の策での配車ではないかとも思われます。

新冠までに車内は15人以上になっており、地方バス路線にしてはかなり盛況です。新冠駅跡に乗り入れる新冠農協前ではちょうど苫小牧行きのバスと同時発車になります。相手方も高速バスの車両のようです。
静内の市街地に入りますと、イオン静内店の近くである末広町で10人近く下車、しまむらなど郊外型店舗が近い高校通では高校生も含めて下車、御幸通、静内本町でも下車が続き、旧静内駅の静内バス停まで乗り通したのは私も含めて3名となりました。

なお、静内は代替バス沿線に病院がなく、新ひだか町立静内病院、日高徳洲会病院も町内循環バスに乗り継ぐ必要があります。


旧静内駅

駅自体は自治体の保有するものですので今も解放されています。JR窓口は閉ざされ、券売機にはカバーが掛けられ、飲料の自動販売機の一部も停止しています。観光案内所兼売店と、駅蕎麦である西谷辨当店さんは今まで通り営業しているようです。

バスターミナルとしても今まで通り使用可能ですが、道南バスの時刻表が掲示されているスペースには配布時刻表はなく、この時間までに無くなってしまったのかもしれませんが、3月30日訪問時にもありませんでしたので、配布していないのではないかという疑念があります。

この静内のバスターミナル窓口は2013年に終了していて、その後全く関係の無いJR窓口でペガサス号の問合せをする客が頻発、バス券売機の故障も多く、JRの券売機で乗車券を買おうとするなどJR職員さんはかなり苦労をされていたと聞きます。
今後その問合せが蕎麦店や観光案内窓口に変わるわけですが、彼らとてバスのことはわからないのですね。また、道南バスの券売機も撤去されましたので、車内で支払うしかありませんが、当然車内では高額紙幣は使用できません。

今回、道南バスが静内に何らかの案内窓口を出すかとは思いましたが、残念ながらそれはかなわず、定期券の発売窓口は、2013年の窓口終了当時は観光案内所で行っていましたが、いまでもそうなのでしょうか?道南バスの定期券発売窓口に静内の観光案内所は掲載されていませんので、公式的には静内の駅からはかなり離れた住宅地にある道南バス静内営業所に行くように読めますが。

2021年6月17日追記
道南バスのバス定期・バスカードは観光案内所で発売するとのことです。




日高線代替バスに乗ってみる(静内-浦河)

さて、乗り換えるのは浦河老人ホーム行きの道南バスになります。しかし、さきほどから駅前のバス停で「バスが来ない!」とお話の奥様が。見てみますと駅前には昨日まで使用していた「静内駅前」と書かれた停留所ポールが鎮座、真新しい今日からのバスポールはその後ろなので目立たず、バスの時刻は昨日まで11:48だったのが、11:55に変わっています。なので、バスが来ない!なんですね。

この時間帯、昨日までは道南バスの12分後にJR代行バスが出る設定で、代行バス側も鵡川方面からの接続が無いためほとんど乗車が無くほぼ無人のまま浦河まで走った便に乗ったことがあります。このときも平日で、道南バス側には10人程度の乗車がありましたので、より利便の高いバスに置き換わったと言えるでしょう。

とはいえ、定刻になってもバスは来ません。始発停留所ですから、せめて定時で出てほしいのですし、今日は風が強く、外で待つのは少し寒い。結局4分ほど遅れてバスが現れました。中型の路線車で、外板はかなりボロボロです。登録番号ほどには新しくなさそうで、こちらも軽く20年くらいは走っていそう。

さみぃさみぃとバスに乗り込んだのは比較的高齢の方10名ほど、静内本町でも乗車があり、ほぼ座席は埋まりました。午前の病院等を終えて帰るには都合の良い便なのかもしれません。静内温泉でも乗降は無く、東静内市街あたりからぽつぽつと降りていきます。道南バスカードの利用も見られるので、この区間ジェイ・アール北海道バスでは使用できませんから、せっかく本数が確保されていても使いにくく感じるかもしれません。ただ、今までのJR代行バスなら家から遠く離れた駅での取り扱いですから、当然そこさえ我慢できれば使用できる本数は増えたとも言えます。

それが顕著なのが旧三石町の市街地で、港町、築港、第三、三石総合町民センターと下車がありますが、旧駅の日高三石停留所は乗降無しで、一旦停車して発車します。日高三石駅は市街地から離れていたんですね。ただ、日高東別を経由するバスは削減されることになります。日高東別から日高三石へはダートの細道しか無くバスが通れない上に、さきほど下車客のあった港町地区を経由できませんので、このあたりの路線の設定は難しさがあります。

同様に蓬栄、本桐地区も経由しません。ここもケリ舞(鳧舞)バス停での下車があり、JR代行バスでは利用できなかったわけです。浦河町に入った荻伏も駅から離れた「荻伏市街」に停車します。ここからは既存のジェイ・アール北海道バスの路線も並行しますので、バス停のポールの仕様が変わるようです。道南バスのポールは撤去されておらず、旧時刻表を表示したままなのはちょっといただけません。

さて、車内はいつの間にか3人だけ、私の後ろにはどうやらマニア氏が乗っているようで、ずっと独り言で旧駅名や「JR北海道死ね!」などとブツブツ言っています。もちろん、どんな考えの人がいても良いですし、世の中様々な障害を抱える方もおられますので、このような方と一緒になる機会は少なくはありません。なお、別件ではありますが、身体および発達障害者(療育手帳)保持者は、本人または本人と介助者の運賃が近距離でも半額になります。これはJR鉄道線時代よりも利点にはなりましょう。なお、道南バスもジェイ・アール北海道バスも福祉割引のルールは共通と思われます。(JRの場合第1種で本人と介助者ありの場合近距離でも50%、第2種の場合本人単独で100km以上利用の場合50%など割引の制約がある、また、札幌市内だとじょうてつバスと中央バス・ジェイ・アール北海道バスで割引が異なるので注意されたい)


旧浦河駅

浦河町役場で降りますと、彼も降りられるようですので、多分彼が行かないであろう役場側にお邪魔。役場の垂れ幕も「ありがとう日高線」に変わっています。

役場内に掲示のバス時刻表は新しいものになっているようです。こういうところが大事ですね。そうそう、結局静内からのバスは8分ほど遅れて着きましたので、あまり時間が取れません。

駅は今も入れますが、これは写真の展示が行われている関係のようで、既に鍵がかけられるようになっています。窓口も案内などが外されています。廃止を実感しますね。


日高線代替バスに乗ってみる(浦河-様似)

ここからは様似行きのバスに乗り換えます。ジェイ・アール北海道バスは以前からこの区間を運行していましたが、同様にJR代行バスと路線バスを統合した形での運行となります。ジェイ・アール北海道バスが静内に乗り入れたのは国鉄時代の1984年以来ですから、実に37年ぶりとなります。今回は時間的にジェイ・アール北海道バスの静内便には乗っていませんが、旧静内駅前で休むバスを見ています。

さて、相変わらず風は強い中ですが、バスは2分ほどの遅れで到着しました。このバスは向別から来る便になります。向別は日高線の駅が無い地域で、途中に生協などの大型スーパーがある一角を通ることもあって比較的バス利用の多いところですね。車内には買い物籠を下げた方や、旅行客ふうの方もおられます。浦河町内の利用もそれなりにあるのがわかります。

この車両ですが、中扉にICカードリーダーを装備した札幌圏で使用していた車両ですね。ナンバーを見てみますと過去にJR代行バスで乗ったことがある車両で、2005年頃の登録車と思われます。凄く新しい車両ではありませんが、整備は良いようで外板の痛みなども見られません。JR代行バス末期に貼り付けられたステッカーが貼られています。

浦河の街の中を抜けると常盤通を通り浦河小学校の脇を通り日高線の架道橋を潜ります。このあたりの架道橋は比較的新しめで、1980年代に架け替えられたものと思われます。
さらに行きますと、浦河老人ホーム、先の道南バスが折返し待機しています。このあたりはバス停のポールが行き先に分かれているわけではありませんので、ちょっと気を使いますし、乗ろうとして「様似行き?」と聞いてくる方もおられます。

車窓に親子岩やエンルム岬が見えてきましたら様似の街の中、浦河の市街地を出ますとお客は増えず、この区間の利用自体はあまり多くは無いようです。ちょっと時間帯が中途半端ななのかもしれません。

さて、ジェイ・アール北海道バスの日高管内では磁気カードによる乗車カードが使用されていました。しかし、札幌圏ではSAPICA導入により2015年に使用を廃止しており、今年3月末をもってに日高地区での使用も終了となりました。現在回数券による対応となっており、先祖返りした形になります。


旧様似駅

様似駅は窓口をジェイ・アール北海道バスに委託していました。4月以降もこの窓口は存置されていますので、バス乗車券、定期券等の購入が可能です。バスの乗車券も買えるために、訪問時は鉄道駅と同じ名前のバス券を大量に購入するマニア氏がおられました。

観光案内所もそのまま存置しており、日高線グッズを扱っています。ホームの立入も4月1日現在では制限されておらず、駅名標こそ外されていますが、今にも列車が来そうな雰囲気を存分に感じることができます。

駅前の民宿はJR代行バスに従事する札幌などから派遣されたジェイ・アール北海道バスの運転手さんの宿として6年間休まず対応されていたとのことで、NHKなどの報道でも取り上げられています。壁に掲げられた垂れ幕を見ると、この代行輸送がどれだけの関係者が関わり休まず運行されたかを思うと思わず目頭が熱くなります。私も年を取ったなぁ。


まだ始まったばかりだけど・・・

さて、札幌を出て約6時間で様似までやってきました。バスに乗り続けましたが、車窓の変化も楽しめます。しかし、所々で見るのは、案内の不親切さと、バスの遅延に対する情報提供がないことによる不便さです。

●旧停留所のバス停が残る
初日ですから仕方が無いとは言えるかもしれませんが、せめて、旧バス停にはもう少しわかりやすく3月31日までなどと書くことが必要でしょう(札幌圏でも3月いっぱいと4月からの時刻表が併設されることがありますが、大きく「3/31マデ!」などと書いてあるものです)

●停留所名変更の名称が変わっていない
道南バスはいくつか変わっている停留所名が旧停留所のままのポールを見かけています。これはとても良くないです。

●ターミナル停留所の時刻表が書き換わっていない
様似の窓口脇の時刻表、まさかの書き換わっていない。これは驚きました。ジェイ・アール北海道バスはポールの撤去や時刻表の表示はしっかりしているものと思いましたが、お膝元がこれでは先が思いやられます。

●配布時刻表を見かけない
ジェイ・アール北海道バス車内ではみかけたものの、他で時刻表配布を見かけませんでした。これはどういうことなんでしょう?住民には総合時刻表を配布したので、他には必要ないと言うことなのかもしれませんが、来訪者こそ必要な情報です。

●「駅」に案内を
静内でもバスに関して案内できる場所が無いというのは、鉄道時代よりも相当劣ります。さらに浦河に関してはバスについて集合している場所が無い以上、旅人が頼ることができる場所もありません。
もちろん、地方がバス会社が人員を出せる時代ではないのはわかります。しかし、乗車券も買えず、運賃もわからず、時刻表すら配布しない状況では、まったく外部からの人は使えないことになります。

●バスロケ、共通券、フリー券
鉄道転換に合わせて、様々な施策が入ることがありますが、日高線に関しては残念ながら既存のバスがほぼそのままとなりました、長距離で、しかも始発停留所から遅れる状況を見せられるに付け、せめて、バスロケ的なものを導入できないかとは思うところです。
そして、ジェイ・アール北海道バスはバスカード廃止で回数券化、道南バスはバスカードを使用しており、共通で乗ることができません。特に2社が完全に競合する静内-浦河も含め、苫小牧-広尾で2社で使用できる共通回数券なども検討してほしいと思います。
そして、あくまで個人的に欲しいところではあるのですが、苫小牧-日高管内を使用できるフリー券を3,000円~4,000円程度で出してほしいなとは思うところです。

2021年7月に道南バスではバスロケーションシステムが導入された
https://db.buskita.com/



高速ペガサス号

様似駅から様似本町付近まで歩いてみました。前回訪問できなった中村おやき店さんにお邪魔。温かいお土産を購入です。
少し時間がありましたので住吉神社にもお礼参り、さらにバス停に上屋がない停留所ですので、郵便局で少し時間を過ごさせて頂きました。


乗った向別行きは今度はバスカードリーダーが付いたままで、運賃箱もかなり古そうな車両。それでも車両自体は多分2015年くらいの車両と思われます。これまで1台も「新車」は見ておらず、ジェイ・アール北海道バスでもワンステップ車ということで、道南バスの高速バス車両よりは数段ましですが、なかなか移動制約者に寄り添えていない現実に悲しくなります。9台の新車が今後投入される予定ですが、それが実現するにはまだしばらくかかりそうです。

浦河高校前で下車いたしましたら、ここがジェイ・アール北海道バスの「浦河ターミナル」であります。「優駿」の文字に修正のシールが貼ってあり、そのような誤植があったんでしょうね。この浦河ターミナルに関しては、個人的にもあまりにも直前の発表で杜撰であるように思います。しかも屋根も無いところで待つことを考えると、いったいこんな対応をなぜ疑問に感じないのかも、悲しくなるところです。

悲しくなってばかりでもしょうが無いので、生協の店舗に隣接する「浦河ターミナル」です。本来発券窓口もあったはずですが、窓口は閉鎖されて久しい状態です。
事前に道南バス静内営業所に電話をしましてペガサス号の予約をしておりました。一人乗務の運転手さんが予約を確認します。

この浦河ターミナルは利用者用の駐車場も確保されていて、パークアンドライド的な利用も可能になっています。札幌までの運転が不安であっても、日高管内の移動ならなんとかなりますという方なら、充分に役に立つターミナルになっています。
だからこそ、日高各所からのバス便からの乗り継ぎも検討してもらえると(様似・えりも方面は他社とはいえ)とも思います。

定刻の16:35に発車したペガサス号は浦河町内の各停留所で2人、3人と乗車し浦河だけで15人を数えます。サラリーマンふうの方も少なくなく、ペガサス号が出張に使われていることも表しています。

途中での乗車は少なく静内に、ここでは2名のみの乗車。夕日に向かって走って行くペガサス号はきっと写真なら日高線以上に絵になる風景かもしれません。しかし、夕日のなか走ることは運転手さんにとっては非常に大変なことは事実でありましょう。鵡川四季の館で1人乗せてほぼ2席に1人ずつ座るくらいですから約20人ほど乗車しています。

ペガサス号の車内は一般的な短距離高速便標準の44人仕様に見えますが、最後尾にトイレがあり、最前部はコロナ渦で使用禁止のため40人程度、約半分の20人の利用は立派です。車両は札幌ナンバーで登録は新しそうですが、多分車体は2004年頃の車両と思われます。Wi-Fiなどの設備も無く、充電用のコンセントもありません。運転手さんは浦河から札幌まで通し乗務のように見えます。浦河-札幌は定時刻で3時間45分ですから、休憩は取らなくて良いというのがルールでしょうが、遅延時はどこかで休憩を取られるのでしょうか。

新しい車止めが見えている鵡川大踏切を越えて鵡川インターチェンジから日高道に入ります。ここから高速道路を走行するのは約45分程度、札幌南インターチェンジを降りればすぐに大谷地駅バスターミナルです。遅れはほとんど無く5人が下車、札幌都心部の時計台前でも下車があり、終点の札幌駅前ターミナルにはほぼ定刻で到着しました。

ペガサス号自体は非常に快適なのですが、やはり運転手さんは過酷な運用だなとも思いますし、途中停留所が多いこともあって大変そうです。また、時間がかかりすぎる感もあって、将来的に新冠まで日高道が延伸した際は、鵡川以南で一般道経由便と2系統での運行も検討できるのでは?と思わないでもありません。


さて、この回は代替バスについて記載しました。次回は日高線廃止に関しての報道と実際に自分の車で日高を訪問して感じたことを紹介していきたいと思います。
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1035

北海道の交通関係 JR北海道 日高線 路線バス 高速バス

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