北海道の交通関係

留萌線通学バスと深川駅の朝時間帯の利用を見てきました

2021/04/22

当サイトでは留萌線の通学バスについて何度か記事にしております。当サイト管理者が何故このバスに興味があるのかといいますと、全国的に見ても珍しい、鉄道会社が自社路線に並行する区間で、自社の定期券で乗車可能な「代替バス」を運行している。ということで、しかもこの状態が既に丸3年近く継続して運行されているということです。これはかなり異例なことであり、また、今回さらに帰宅用の便が「増発」されることも不思議というか、かなり異例なことと考えられます。

過去の記事については以下リンクをご確認ください。

North-tt 2018/06/20
留萌線「函館線接続バス」を見てきました
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=298


North-tt 2020/09/08
留萌線通学バス確認と現役区間全踏切を訪問してきた
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=984




JRが運行する留萌線「函館線接続バス」のおさらい

石狩沼田から深川への朝の便は、「函館線接続バス」と銘打っています。JR北海道は2018年3月改正から江部乙始発だった滝川方面への通学列車を深川始発に変更し、深川から滝川市内への通学の利便を図りました。留萌線沿線の沼田・秩父別両町はこの列車に接続する留萌線列車の運行をJRに要請します。しかし、留萌線の運行設備的に列車の増発は難しいこともあり、JRは接続バスとして運行することでこれを実現したことになります。両町は「通学の足の改善を評価する声の一方で、バス転換の契機になることへの警戒感」とこれを批判しました。

とはいえ、「函館線接続バス」は運行開始されます。当時の運行期間は2018年6月18日から2018年12月25日まで土日と学校休校期間を除く毎日となります。
留萌線通学バスと深川駅の朝時間帯の利用を見てきました
冬休みの終了した2019年1月15日からは「当面の間」とし、運行時刻を10分前倒して存続します。これは、時刻的にも旭川方面への普通列車への接続を意識したものと思われます。
留萌線通学バスと深川駅の朝時間帯の利用を見てきました
その後もバスの運行は続けられ、3年が経過する今年度もバスは走り続けていることになります。


新たに運行される「下校バス」

JR北海道は車両の老朽化と効率運行化を名目に留萌線の減便を地元に伝えました。地元はこれに反発し、JRは減便時間帯に「通学バス」を出すことで事態を沈静化させようとしたように思います。
この減便対応「下校バス」に関しては以前記事を書いています。市民団体と称する労働組合が札幌で署名活動を行う等、実際の利用客そっちのけで物事が決定していくのは、正直よくわかりません。

North-tt 2021/02/08
バス運行について開示されない日高線と、通学バスを運行する留萌線と、いまだ赤字を被り続ける深名線
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1024



なお、留萌線の過去のダイヤを見るとこの19時台の列車が新設されたのは1999年改正からとなります。

(1990年ダイヤ)
(1999年ダイヤ)
その後2000年から強馬力形の車両であるキハ54を投入してスピードアップを行い、16時台、18時台、19時台そして20時台という帰宅4列車を運行する形となりました。

今改正では、1運用分の車両を捻出するため19時台の列車の運行(減便前ダイヤで19:22深川発)を廃止し、これをバスで代替することになります。今まで利便を享受していたわけですから、それをどうこう言うつもりはありませんが、留萌線は利用客数に対して帰宅時間4本とは本数的に恵まれた通学環境であったとも言えると思われます。

今回の「下校バス」の運行に関しては深川駅に掲示されています。

下校専用ということもあり、深川西高校、深川東高校の深川市内2高校を経由し深川駅でも乗車を取り扱い、秩父別、石狩沼田、真布、恵比島まで運行されることになります。深川市内の高校には留萌管内からの通学はないので、沼田町内である恵比島が終着となります。


朝通学時間帯の留萌線列車と通学バスを見てきました

帰宅バスの運行開始から1ヶ月を経過した4月21日に当サイト管理者は留萌線通学バスと、朝通学時間帯2列車の状況を確認してまいりました。

●留萌05:49-石狩沼田06:27-深川06:44着4920D

早朝の石狩沼田駅にお邪魔して、駅から少し離れたところから見ていますと、続々と親の車で送られて高校生が駅にやって来ます。徒歩で来る子は数えるほどで、自転車も5人程度。多くが親の車で来るのは、駅自体が通学に利便の高いところではないとも言えます。沼田町の市街地は東西に長いこともあり、市街地でも駅から遠い地区に住む人は少なくありません。(空知中央バスの路線バスは多少循環する形で駅前に発着する)
石狩沼田到着時点では1名の乗車。石狩沼田では高校生34人が乗車しました。かなり早い時間帯ではありますが、学校行事関係や部活などから考えるとこの時間の列車を使う需要があることがわかります。
普段日中の列車しか乗りませんので、閑散とした留萌線の印象しかありませんが、石狩沼田で列を作って乗る高校生の数に正直驚きました。なお、この列車は秩父別駅の乗車数を確認していませんが、この感じですと少なくとも50人程度はこの列車で通学していると考えても良さそうです。

●石狩沼田06:50-深川07:25着「函館線接続バス」
6時30分過ぎに1台のバスが駅前に入ってきました。沼田町内に本社がある明日萌観光バスの車両で、沼田町内では乗合タクシーも運行する会社になります。

この朝の便は過去2回調査しておりますが、今回石狩沼田駅で乗車したのは高校生1名だけ、前回2020年9月は6名、2018年6月は7名が乗りましたので、減ったというか、ちょっと列車との時間が20分ほど後と近すぎるのもあるのかもしれません。

定刻に発車したバスは秩父別で7名を乗せて計8名で乗車は確定です。こちらも前回は5名、前々回は4名でしたので、親が車で送る際に列車より速度が遅いバスの場合秩父別に送る方が良い場合もあるのかもしれません。とはいえ、利用人数が減っているのは気になるところです(この日にイベントなどがあって使わなかった可能性はあるでしょうが)

深川にバスが到着したのは定刻より早い7時17分。充分各路線の列車に間に合うようになっています。

●留萌06:47-石狩沼田07:29-深川07:49着4922D
こちらは深川着のみを調査。26名が下車しています。前回2020年9月は61名、2018年6月は35名でしたので、随分減っている感があります。ただし、季節も違いますし、何らかの学校行事で利用者は大きく変わりますので参考までにです。



深川駅の朝通勤・通学時間帯を見てきました

深川駅の朝通勤、通学時間帯の各列車の乗降客数を見てまいりました。

07:30 旭川行き 2321M 乗37 降9
(旭川行き2321Mを待つ列)
07:37 札幌行き 特急カムイ8号 乗10 降6
07:41 岩見沢行き 2320M 乗43(始発)
(岩見沢行き2320Mは滝川から回送で到着)
07:41 旭川行き 特急ライラック1号 乗6 降13
(旭川行き特急ライラック1号と岩見沢行きが同時発車)
07:49 留萌発 4922D 降26
07:51 幌加内発 深名線バス 降12
07:59 留萌行き 4923D 乗1
(留萌行きは車内に人影が1名)
08:05 幌加内行き 深名線バス 乗2
(幌加内行きは2名を乗せて発車)

旭川行き、岩見沢行きに乗る人は学生ばかりでなく、通勤と思われる方も見かけますし、また、特急を使う学生を見るのは、特急定期券かよえーるを使用していれば本数が多く普通列車を待たなくても良いという面、特に帰り暗い中で帰宅することを心配すると私が親でも特急を使うことを勧めると思います。


深川発「下校バス」の様子を見てみました

さて、今回のメインイベントは「下校バス」です。労働組合まで動員した上で札幌で署名活動を行ったくらいですし、さぞ通学生には利用されているのでは?とも思ったんですね。

JR北海道が根室線で行っている災害代行バスは、基本的に駅以外での乗車、下車はできません。しかし、根室線では南富良野高校、旧日高線代行バスでも各高校での取り扱いを一部の便で行っていました。これらは外部には非公示になっており、乗車して初めて「停まる」事がわかるものでした。(もちろん地元高校などには通知されていると思われる)

しかし、今回は、上記の駅掲示ポスターの通り、深川市内2校を経由することが公開されています。このあたりが代行バスではない、本式的に運行するという意味とも捉えられましょう。本当にこの形が利便が良いならば通学生は駅まで歩く必要がありません。2校とも駅からは少々距離があり、自転車の使えない冬期は特に大変であろうと思います。

ちなみにジェイ・アール北海道バスは深名線の車両を使い、冬期間深川駅-深川東高校-深川西高校-深川営業所という通学便を1乗車100円で運行しています。なお、夏季は運行していないのは需要の問題なのでしょう。


さて、18:40ころ深川西高校前に明日萌観光バスが到着しました。学校前の道道は4車線で交通量が多く、1車線を潰す形でバスが停車するのは冬期は厳しい感じもいたします。なお、バス発車位置に空知中央バスのポールがあり深川市循環線のみが発着しますが、15時台で運行は終了しています。

19時前ですので、下校の高校生は次々自転車や徒歩などで通過していきますが、バスに乗ろうとする生徒はおらず、こちらも学校前ということで迂闊な行動もできませんので、離れた場所から「張り込み」です。パンと牛乳が欲しくなりました(昔の刑事ドラマのシチュエーションですね)結局バスには1名の生徒が乗っただけで19時ちょうどにバスは出発します。

ゆっくり走り5分ほどで深川東高校の前にバスは止まりました。深川東高校では、あまり生徒を見かけませんが、行事が特別あったようにも見えず(翌日から1年の宿泊研修があった模様)結局乗車は0でした。19:10に発車です。


さらに深川駅に来ました。ジェイ・アール北海道バス深名線のバス停に停車します。出発は19時半ですので、運転手さんが外でタバコを吹かします。一応運転手氏の休憩時間ということなのでしょう。

留萌からの普通列車が到着しましたが、特段誰も降りてくる様子も無く、旭川からの特急列車も到着。旭川方面から乗り継ぎがある可能性はあるかな?とも思ったのですが、みなバスは無視していきます。
出発時刻間際に2名の学生が乗車。結局3名で乗車は終了です。定刻に出発。

秩父別では1名、そして、石狩沼田駅では2名が下車。これで車内はもう人影はありませんから、バスは照明を消して走り去っていきました。

結局利用は3名、もちろん、16:08、18:09、20:13という3本の列車を使う方も多いかと思いますが、どうしても、この通学バスを使わなければならないのか?という話にもなるのかもしれません。バスだから利用が無いのか、学校前から出ていても停車時間が長く遅いため敬遠するのか、いろんな理由が考えられますが、あまり便利という意識を持って貰っていないようにも見えないでもありません。


以前も書きましたが、深川-秩父別-沼田の空知中央バスの路線バスはコロナ渦もあり減便しており、現在17時台を最終としています。朝も通学できないダイヤになっています。結果的に留萌線の重要度が高まっていますが、本当にこの形が最も利便が良いのか?そのあたりは、もう少し周りの大人が考えなければならない面にも見えます。並行バスも、鉄道も共通で乗れないために、折角の本数を享受できない上、学校から駅までは距離がある、自宅から駅までは親の送り迎えが必要ですというのも、それができない親であれば、徒歩で暗い中歩くしか無いわけです。

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