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北海道の交通関係
北海道の交通関係サイト終了のお知らせ
当サイトは終了することといたしました。本件に関しましては以下をご確認ください。
当サイトは2023年12月末で閉鎖することといたしました
誰でもが移動できる社会にしたい。それが一日も早くなるには?
2021/05/10
若かりし頃は何も考えず、いつでも走れて、いつでも段差を超えられた私も、今のところ困らない程度ではあっても、腰は痛いし肩は痛いしって調子の悪さくらいは感じる昨今であります。
また、私の家族には杖をつき、長時間歩くのが大変な者もいますので、家族で移動するときの移動経路、できるだけ段差を必要としない方法を考えるのも一つです。
友人には車いすを利用する人がいますので、その移動をお手伝いすることもあります。結果、札幌市内の各駅や主な施設の通路、歩道から建物にどのように入るかなど、ふとチェックしてしまうことはありますね。
そのなかで、やっぱりハードルが高いのが鉄道やバスなどの公共交通機関を利用するときです。当然に「乗る」のときに、その乗車場所までの経路の確認が必要です。そして最後、乗り物に自分一人だけで乗れるかどうか?を確認する必要がありましょう。
そして、さらに「降りる」ときにも同じだけの確認事項が必要です。都市部で生活していれば、多くの駅やターミナルはだいたいそのような移動制約者に対する対策が行われていることが多いでしょう。
しかし、地方部ではなかなかそれが進んでいないのがあります。
当サイトでは以前からこの移動制約者に対する北海道内の交通機関のバリアフリーについて記載しました。
North-tt
交通バリアフリー法とH100形
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=927
North-tt
JR北海道各駅バリアフリー化の現状
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=931
ちょっと時間もたっていましたので、改めて取り上げますが、その前に、ここ最近、ネット上を少し騒がせた事柄がありました。
コラムニスト伊是名夏子
JRで車いすは乗車拒否されました
http://blog.livedoor.jp/natirou/archives/52316146.html
この件に関しては、様々な意見があることはわかりますが、結果的に「乗車拒否」はされていないことだけはブログの中身で理解できます。なお、本件をもって事業者が悪いとか、このコラムニスト氏が悪いとかいう気はここではありません。
ただ、いずれの立場であっても、少しでもお互いを思いやる気持ちと、今日やれ今やれ100%対応でなければダメだという形にはしてはいけないというのはあろうかと思います。
大事なのは、今日、今、交通機関を使いたいに対応できるようになるのが理想だけれど、それを阻害している要因が多々あって、法律的にもそれを少しでも改善しようと社会は「動き続けている」ということです。国鉄からJRになった30年ちょっと前、多分在来線を車いすで移動して乗車するのは大きな困難がありました。それが一部の駅に関しては長く続いているということです。
国際障害者年からのバリアフリー対策
ちょっと交通機関とは離れますが、私個人が「バリアフリー」を意識したのは1981年、「国際障害者年」のキャンペーンです。これは国際連合が制定したもので、日本でのテーマソングはトランザムの「地球の仲間」でNHKでよく放送されたのを覚えています。このような告知を行えるのが公共放送たるNHKの意味でもあるし、その当時子供であった私としても鮮烈に印象に残っている部分です。しかし、この曲はベストテンにランキングされるようなヒットはしませんでした。「国際障害者年」自体も世間に認知されていたのか?というとなかなか厳しいものがあったように思います。
さて、国際障害者年以降、国連において、1983年から1992年を「国連障害者の十年」と定め、「障害者に関する世界行動計画」が策定されて、日本国内でも1983年に「公共交通ターミナルにおける身体障害者用施設整備ガイドライン」が発行されることになります。このガイドラインの発行においては、障害内容別に細分化されていた障害者団体が連携して、当時の運輸省がまとめるという形があり、これが「第一歩」だったということになります。
このガイドラインは、まずターミナル駅、新幹線駅など旅客施設が対象になっており、まだ車両面などには波及していません。それでも、やっと、ここから公共交通設備のバリアフリーがスタートしたといえましょう。また、この年から10年を長期計画として今後設計されるターミナル駅に反映されていきます。
なお、新幹線は開業時から一部車両には洋式便所、幅広ドア、多目的室などが設置されていたわけで、新幹線が他の路線との乗り入れが無く、幅広の専用車両、専用設備で運行できることが、これを可能にしていたことは理解が必要でしょう。

(新函館北斗駅に停車するE5系電車。規格化されている新幹線は段差が少ない)

(E5系・H5系新幹線電車の5号車は幅広になっているドアと車いす対応のトイレが設置されている)
1990年には「心身障害者・高齢者のための公共交通機関の車両構造に関するモデルデザイン」が策定。車両面のバリアフリー化を中心に心身障害者や高齢者にとって利用しやすい乗降口、車内設備・案内装置などが公開されます。首都圏の電車車内に次駅案内がついた最初が1984年から運行を開始した営団地下鉄(現東京メトロ)の銀座線01系新型車両からと思います(その車両も既に全車引退しているとのことで時の流れは速いものです)。その後も首都圏の車両を中心に車内案内装置が設置され、これは不慣れな健常者だけでなく、視覚的に列車の走行位置が理解できるようになります。
1993年、それまでの長期計画に変わり、新長期計画を策定します。「国連障害者の十年」終了後の新たな「国内行動計画」として策定され、また、国連も「アジア太平洋障害者の十年」が日本も提案国として33か国で採択されています。この1993年は「障害者基本法」の制定など、障害者に関する国の政策も、保護から『「完全参加と平等」を目指す』と変わっていったことを理解しなければなりません。
障害者の自立政策は、体のいい切り捨てと批判した人は少なくありませんが、法の理念としては、障害者が社会にいるのが「あたりまえ」であって、各自が自分で生活ができるようにしようというものです。その中で当然公共交通機関を自由に利用できることも必要であるとなるのですね。
1994年に「公共交通ターミナルにおける高齢者・障害者等のための施設整備ガイドライン」が策定、この年には「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(ハートビル法)も制定されましたので、とかく国が補助も行い、「不特定多数の集まる建物はバリアフリーにする」ことを求めたことになります。
1990年代の北海道の交通機関のバリアフリー対応は、札幌駅・新千歳空港駅などの新築駅にはエレベータが設置されていますが、必ず駅員の操作が必要な改札外に設置されたこともあって、残念ですが簡単に利用できないような状態もありました。

(札幌駅の業務用エレベータ。1988年の高架駅開業時はホームに上がるためには改札外に繋がるこのエレベータを使用していた)

(その後札幌駅は2011年には改札内にもエレベータが設置された)
新造された特急車両には車内移動車いすや多目的室の設置、車内情報装置(インフォメーションボードと称す)の設置が行われていますが、まだ、数は少ない状況です。地方の普通列車に関してはお寒い限りです。
札幌市営地下鉄に関しても、1990年代はまださっぽろ駅のような利用の多い駅でバリアフリー対応が進んでいない状況です。列車車内に関しては、車いすスペースや車内案内装置が設置され始めます。

(スーパー北斗として登場したキハ281系車両のインフォメーションボード。次の停車駅や車内案内などを表示する)

(札幌市営地下鉄南北線は5000形導入時に路線図型・スクロール型の車内案内装置を設置。最近フルカラータイプにリニューアルした車両)
しかし、北海道が先進的だった面もあります。1997年には旭川電気軌道が民間のバス会社としては日本で初めてノンステップバスを導入します。このバスには運行開始当初私もさっそく乗車に行きましたが、車内で立っていますと歩道面とほぼ同じ高さから街を走っている感じが新鮮でありました。札幌市営バスも翌年に試験導入しています。

(旭川駅前で待つ旭川電気軌道のノンステップバス。斬新なカラーリングも含めて当時は先進的な取り組みだった。その後も代替わりし継続してノンステップ車が導入されている)
1998/01/21 北海道新聞
初の冬迎えた旭川の超低床ノンステップバス 乗降妨げる氷雪の壁 停留所の間近に行けず 車いすでは困難
>大雪でバス停留所周辺には圧雪と氷が厚い層状になっており、バスが停留所の間近に停車することができない状態が続いており、車いすによる乗降はかなり難しくなっている。
新聞は事業者だけではなかなか解決しない問題を批判する論調を展開することになります。当時はスロープを車体下に内蔵するタイプが基本で、それがつけられない寒冷地のステップについて、それでも車いすを介助者が持ち上げなければならない段差としては非常に低くなったことを喜ぶべきで、完璧でないことを批判しても、それ以外のバスは2段のステップで幅も無く、とても車いすを乗せられるような構造ではなかったということに留意する必要があるように思います。
2001年には「公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン」「公共交通機関の車両に関するガイドライン」が策定、現在新しく建設、新造する駅や車両はこのガイドラインに沿ってつくられることになります。そして、「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(交通バリアフリー法)の制定です。この法律がとかく大きかったと思っていいと思います、1990年代と2000年代は技術的な進化があって、建物にも、車両にも大きな変化があったと思うのですよね。
交通バリアフリー法は第一条で「高齢者、身体障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性が増大していることにかんがみ」となっています。先ほどの障害者基本法にも含まれますが「障害者の自立した日常生活及び社会生活」というのは、当然に障害者自身が自発的に移動することができるのが当然な世の中にしていこうという形に社会全体を変えていくのだという国の強い意志があることを忘れてはならないのです。
(キハ150の車いすスペース。JR北海道が地方路線普通列車で使用する車両で最初に車いすスペースを設置した。今後の標準型車両になることを期待されたが27両の製造に留まった)
2003年は、「アジア太平洋障害者の十年」が10年延長されることが決定、国も「障害者基本計画」を10年計画で策定します。
ここでは横断的視点として
・社会のバリアフリー化の推進
・利用者本位の支援
・障害の特性を踏まえた施策の展開
・総合的かつ効果的な施策の推進
重点的に取り組むべき課題として
・活動し参加する力の向上
・活動し参加する基盤の整備
・精神障害者施策の総合的な取組
・アジア太平洋地域における域内協力の強化
となります。「活動し参加する基盤の整備」としての「社会のバリアフリー化の推進」そして、障害者自身が望まない支援ではなく、障害者本位である支援を求めているわけですね。
2006年に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー法)が施行されます。そして2007年には
「公共交通機関の旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン」「公共交通機関の車両等の移動円滑化整備ガイドライン」を策定、また、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」でも定義されます。この年日本の高齢化率は20%を超えており、高齢者への公共交通機関の利用に関する設備も同時に求められるという意味にもなります。
2014年に日本は「障害者の権利に関する条約」に批准します。
外務省
障害者の権利に関する条約
>第二十条 個人の移動を容易にすること
締約国は、障害者自身ができる限り自立して移動することを容易にすることを確保するための効果的な措置をとる。この措置には、次のことによるものを含む。
(a) 障害者自身が、自ら選択する方法で、自ら選択する時に、かつ、負担しやすい費用で移動することを容易にすること。
(b) 障害者が質の高い移動補助具、補装具、支援機器、人又は動物による支援及び仲介する者を利用する機会を得やすくすること(これらを負担しやすい費用で利用可能なものとすることを含む。)。
(c) 障害者及び障害者と共に行動する専門職員に対し、移動のための技能に関する研修を提供すること。
(d) 移動補助具、補装具及び支援機器を生産する事業体に対し、障害者の移動のあらゆる側面を考慮するよう奨励すること。
この条約が求める「できるかぎり」という文言がどう捉えられるかはともかく、障害者自身が自ら選択する方法で移動できる世の中にするのだというのは、日本国としてもそういう世の中にするべく動いていることを世界に示したということになりましょう。
これ以降も国は様々な法律、さまざまなガイドラインを出し、事業者もできる限りそれに応えていっているというのが現実としてあります。しかし、設備として難しかったり、人員的に難しかったりしている現実があるという面があります。現在は残念ながらすべての要望に応えられない状態になっています。誰もがどんな状態であっても移動できることが100%完全なのが理想ですが、1カ所でもそれが実現しなければ、利用したい人にとっては「0」無いのと同じになってしまうという面があります。
(苗穂駅は建設費や運営費の問題もありエレベータは設置されたがエスカレータの設置は見送られた)
現実はお寒い限りである
これは、当然に設備面はすぐに変えられないという面があります。特に鉄道の施設は100年以上前に建造され、駅も改良されてきたとはいえ、多くは利用が大幅に増えた1960年代のもの。その設備は当然のように移動制約者に寄り添ってはいません。しかし、先の1981年、「国際障害者年」からあとに作られた施設はできる限りそれを意識してほしかったな。そうは思います。しかし、その負担の問題、技術的な問題もあり、実際にそれが行われるようになったのは10年以上経過した1990年代に入ってからです。
国内のノンステップバス普及は先行する首都圏などの公営事業者を中心に2000年近くなってから一気に進み、東京や神奈川ではほぼ100%がノンステップ車となっています。
国土交通省
ノンステップバス等の車両数の推移
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001319278.pdf
乗り合いバスには都市間バスなども含まれますが、現在全国6万台のバスの約半分に満たない数がノンステップ車。北海道は積雪面などで率は低いものの、やっと設備が整われてきているといっていいでしょう。バスはどんなに使われても20年でしょうから、本来で言えばノンステップ車しかなくなっても不思議ではないはずですが、まだまだ普及が難しい状態になっているという問題がありましょう。
(根室交通のノンステップ車。地方都市の路線バスでも最近はノンステップ車に代替が進む)
(札沼線転換バスのノンステップ車。利用が少ない閑散地区の鉄道代替バスも小型のノンステップ車が導入されている)
乗り合いバスは、ターミナル以外は道路上で下車となりますが、その環境も北海道では歩道が整備されていない道路も少なくなく、バスを降りた移動制約者が安全に歩ける状況かどうか?というのも問題が出そうでもあります。
航空と新幹線は、その対象の設備の数がものすごく少ないという意味があります。なので、比較的設備が整っている状況になります。多くの市町村も、自分の町の玄関口である空港・新幹線駅は外部からの到着客が誰もが使える設備にしようとするのは当然です。そして、地方に関しては多くの空港、新幹線駅はターミナルから車が便利ですから、タクシー、レンタカーなど、そこから移動するに関してもあまり問題は大きくないと思われます。
(木古内駅のホームへのエレベータ。木古内駅は新幹線駅舎から道の駅までの自由通路にもエレベータが設置されているが、在来線の道南いさりび鉄道の駅は階段のみとなっている)
ただし、九州や西日本の一部の地方新幹線駅でホームや窓口の無人化が行われてきているのは、事前連絡がない限り移動制約者が使えないという形をとっているわけですから、正直難しい面があるように思います。(事前に連絡すれば対応できますっていうのは、必ずしもいいことではないと思っています)
(桑園駅はエレベータが設置されている)
(しかし、札幌市立病院やイオン桑園店側の改札口は時限無人であって、利用時にかならずしも即時に対応は難しい。ただし反対側の改札は有人である)
都市部を運行する地下鉄に関しては、札幌に関しては現在も全駅が有人駅でありますし、基本的に全駅、全ホームにエレベータ設備がありますので、最小限の人数でも対応が可能であること、また、乗客に添乗しても基本的に市内のみの対応になるという意味では、対応のやりやすい面があります。
(地下鉄麻生駅のコンコース。地上へとホームへのエレベータが設置されている)
北海道の公共交通機関で、どうしてもバリアフリー問題が大きくなるのが郊外、地方への移動に対応が必要となってしまうJR北海道の問題で、特急停車駅ですら無人駅があり、車掌も基本一人常務。これでは基本的な乗降対応ができないといっても過言ではありません。
その中でも、私が車いすの友人と富良野、美瑛を訪問したときには、事前に連絡はしていたとはいえ、駅員氏が親身に対応いただき、各駅に余裕は持たせてはいましたが、楽しく旅を楽しませていただいています。しかし、富良野も美瑛も駅にエレベータはありませんので、何人もの駅員氏が車いすを抱えての対応となり、申し訳なさも感じる次第です。
(現在も列車に乗るためには必ず階段を使わなければならない富良野駅)
国土交通省は改正バリアフリー法で「1日平均の利用客が2000人以上3000人未満の施設」について、新たに自治体と協議したうえでエレベーター等の整備を進めることになります。もちろん、利用客数は大事なことです。JR北海道でも一部の新築予定駅などを除き概ね3000人以上の利用のある駅に関してはエレベータの設置が完了しておりますが、人数での対応に関しては、それがどれだけ対応できたとしても、1日100人といった駅や、ほぼ利用のない駅には対応できないわけですね。
(JR北海道の駅では比較的利用の多い上野幌駅は現在のところエレベータ設置の話はないようだ。市境で札幌市だけでの設置に拒否感があるのはわかるが、それは利用者に関係のある話ではない。)
さらに、JR北海道の各駅のホーム高さは低く、現在一定のバリアフリー基準になっているH100形気動車もホームから「よっこいしょ」と乗るような状況やホームの舗装が行われていない砂利という状況を少しでも回避してほしいと思うところです。
(JR北海道の地方用新鋭車両H100型、駅としてのバリアフリーはある程度達成されている旭川駅でもこのくらいの乗降口段差がある)
(剣淵駅でのH100型、ホームが雪に覆われ、ホーム自体も砂利敷きで、なおかつ段差がある。駅前からホームまで段差はないのだが、こういうところの解消も必要)
(小樽駅に停車中の735系電車。ホームの高さが低いものの、札幌圏の新しい車両は床を下げて車体側のステップを廃止している。若干のホームとの段差が発生する)
(キハ283系など振り子気動車は低床で設計されており、同様に車体側にステップが無いが、特に地方の駅ではホームとの段差が大きい)
北海道というある程度広い範囲を維持する路線なのだったら、100㎞に1か所、50㎞に1か所という形で、バリアフリー設備を補助する形を是非取ってほしいと私は思っています。極端を言えば特急停車駅は必ず対応するという方法を検討してほしいなと思うところです。
無人地帯を除いて50㎞に1か所程度の駅施設、車両バリアフリーが実現すれば、その駅から目的駅まではタクシーなどの代行(これはあくまでもJRが本来その駅まで利用できない分を代行できるという観点)を行うなどの対応も可能になりましょう。
(ただし、今や地方ではタクシーすら維持できない状況になっていることもあり、もはや公共交通が必要なのかどうか?という面はバリアフリーと別に必要になりましょう)
(役場職員が切符の販売は行うがJRの職員がいない占冠駅。特急停車駅でも無人駅は北海道では珍しくない。利用が少なく、階段しかアクセスできない駅でどう移動制約者の利用に対処するのかは課題)
現実はお寒いと書きましたが、法律面でも、事業者も本気になっているからこそ、今までここまで改善されてきています。しかし、ハード面だけでなく、ソフト面、人員面での対応も必要になります。無人駅がなぜ無人駅なのか?という点も考えても、運輸事業者が簡単に人を置けばいいということは言えません。しかし、「多数派」である健常者と言われる手助けなく利用できる人に社会を合わせることは良くない。しかし、この30年で社会は変わり、整備が進み、移動制約者の一定の利用については解決が見えるような状態にまでは近づいてきています。
それを、もっと加速させるにはどうすればいいか?社会的に、自分たちが負担してでもそれを進めるべきだと考える人が多いなら、当然、早く解決していくはずです。
テレビ朝日 2021/04/21
鉄道バリアフリー化費用 都市部の運賃に上乗せ検討
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000213723.html
鉄道の運賃に上乗せする仕組みの導入が検討されています。
鉄道各社は駅にバリアフリー対策としてエレベーターなどの設置を進めています。
その整備費用について、国土交通省が都市部の運賃に上乗せする仕組みの導入を検討していることが関係者への取材で分かりました。
具体的な額などは今後、議論される見通しです。
交通政策の方向性を示す基本計画の素案でも「利用者の薄く広い負担でバリアフリー化を進める枠組みを構築する」とされていて、来月にも基本計画の閣議決定を目指しています。
この記事はその後の後追い記事も無く、はっきりこの方向で進んでいるかはわかりませんが、電話のユニバーサルサービス料のような感じでの利用者負担でのハードウエア整備は全く考えられないことでもありません。
また、国交省は、2021年夏に、駅の無人化に関わるバリアフリー、移動制約者対応に関するガイドラインをまとめる方針です。この内容によって、もう一段、移動制約者の公共交通利用が便利になることを期待します。
弁護士ドットコム 2021年05月07日 10時12分
「バリアフリー化は優先順位がある」、公共交通の現場から考える「乗車拒否問題」
https://www.bengo4.com/c_18/n_13024/
>各地で公共交通の課題解決に取り組む加藤博和・名古屋大学大学院教授(公共交通政策)は「コストをかける優先順位」をどこに見出すかが重要だと説く。現実を見据えて、ひとつひとつ、優先順位を考えてほしいと呼びかけた。
この記事についてはネット上で批判も多く見えましたが、すごく単純に、どのように優先順位を上げて物事を解決するかという面の話であって、AをやるからBはいらないという話ではない。そして私も上記で書いてきているのだけど、エレベータができただけでは結局移動制約者が一人で移動できる状況にはまだ難しいので「ソフトのバリアフリー化」も必要。その人員面に今後スポットが当たることはとても喜ばしいと思います。そして、少ない介助者でも介助ができるからこそのハードウエアの整備でなければなりません。
今回の伊是名氏の行動そのものは、たとえそれがJR東日本に問題があると世に訴えかけるためのパフォーマンス(と感じるに十分な内容ではある)としてであっても、そこで職員が一定の対応ができたというのはこれまでJR東日本が行ってきた対応の歴史と意味を感じるし、また、現状を世の中に理解させることに関しての意味はあったと思う。なぜなら、多くの人は、車いすで出かけることも無いし、途中の導線がどうなってるか気にすることも、その駅で降りられない可能性について考えることも無いから。そのような問題が発生していることを世に出すことは必要なことであります。
そして、JR東日本は、駅によって対応が違うとは批判されつつも、観光地最寄り駅である熱海駅長をはじめ職員が「必要性」を十分に理解し、正しく「乗車拒否」することなく伊是名氏の要求通り列車に乗車させることに成功している。これは彼女が言う「乗車拒否」ではない。ならば、今回の対応のよかった点と悪かった点を挙げて、次回にはもっと素晴らしい利用が可能なような「社会」にするべく発信してほしいと思うし、ネット上でそれを誰がよいとか悪いとかという形で批判することは、結果的にそういう世の中になることを排除してしまう結果になりかねない怖さがあります。
世の中にはいろんな人がいて、サービス業をやっていればその方々を100%満足させることは難しいです。しかし、「移動」に関しては、その地に行けなければ0点にしかなりません。(あくまでも今回の話であれば本人がそれを拒否したとは聞きますが、熱海駅下車でタクシーなど他の方法は充分に考えられることではあります。そのような「代行」の仕掛けも事業者は考え、利用者も受け入れる余地があるのではないか?とは思わないでもありません。当該駅は将来的にはエレベータ設置などは行われる予定になっていましたので、そこまでの「つなぎ」という観点は必要と思います。)
輸送機関が、すべての人に、移動できるようにする。それはきっといつかできるようになる。私はそれを信じています。だから交通事業者や、いまそのような法律的な、ガイドラインにかかわる人を応援しているのです。明日は難しいことも、技術の革新もありますので、数年内にできることが増えている。そんな未来にしていくべく関わる方を応援してほしいな。私はそう思います。