北海道の交通関係


北海道の交通関係サイト終了のお知らせ

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余市駅の朝時間帯の利用を見てきました。そして函館線余市-小樽の未来

2021/05/25

先日、当サイトではこのような記事を公開し、函館本線の函館-小樽間が北海道新幹線延伸開業とともにJR北海道の経営から分離され、自治体による管理、または廃止になる可能性と、その経緯について記載しています。

North-tt
北海道新幹線延伸区間の並行在来線問題経緯を改めて振り返ってみる
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1043



そのなかで、札幌に比較的近くJR利用が比較的多い余市町は当初経営分離に反対し、北海道新幹線の建設認可ぎりぎりまで攻防が行われたという場所です。

今回の記事ではその余市(仁木)-小樽に関してに絞って、沿線事情と、余市駅と余市駅前にあるバス停「余市駅前十字街」の鉄道とバス利用を朝ラッシュ時だけですが確認してまいりました。



函館線「山線」の輸送改善

その前に、函館線の長万部-倶知安-小樽の列車本数を過去と比較してみましょう。
国鉄がJRになる直前、1986年国鉄最後のダイヤ改正では、非効率であるとして荷物輸送と郵便列車輸送を廃止することになります。このため荷物車や郵便車を連結するために残っていた機関車牽引による客車列車を大幅に廃止することにします。これにより荷物輸送の夜行列車に客車を繋ぐことで運行していた夜行普通列車も廃止。
そして、札幌-函館間の特急・急行列車による輸送に関しても、室蘭線・千歳線周りに対して距離は短いものの急勾配、急曲線で時間がかかる倶知安周りの特急・急行列車を廃止します。

この前1985年(昭和60年)の改正時刻表と現在の時刻表を比較で見てみましょう。



JR北海道になって減便された不便になったという話はよく聞きますが、余市からの下り列車という意味で見ますと、列車本数17本は同じ、特急と急行が無くなった分、ある一定の間隔で普通列車を運行しているとも言えましょう。

JR北海道へ引き継がれた当初は特急列車代替の快速列車の新設なども行われましたが、それはあまり長続きしませんでした。しかし、小樽-札幌間は駅新設や増発が行われ、利便性が上がり、こんどは札幌圏に倶知安・余市方面から直通となる編成の短い、性能の低い車両への不満が大きくなります。電車列車が3両から6両で入る区間に、加速が遅いことで快速として運行される2両編成の冷房もない気動車に多くの客が集中し、不満が出ていたのですね。

そこに1997年大きな改善として導入されたのがキハ201系気動車となります。この車両はディーゼルカーではありますが、外見は札幌圏で新造されていた731系電車と全く同じで、冷房も搭載。そしてなによりこの両車は併結することができ、朝ラッシュ時は併結したまま札幌まで乗り入れることが可能という、過去に類を見ない画期的な車両でした。
(多分利用者はそのあたりを意識すること無く使用していると思いますし、逆に一般の利用者に意識させずに「札幌と同じ車両」が余市や倶知安で走っている、それが大事なことなのです)
これにより、朝晩は倶知安・余市からの札幌直通の列車を維持したまま、札幌圏のラッシュ輸送に必要な輸送力も確保されます。

(札幌駅で切り離されるキハ201系気動車(奥)と731系電車(手前))

所要時間を見ますと、キハ201使用の普通列車は往年の特急並みの所要時間で走っていることもわかります。余市から小樽までは各駅に停車してもわずか20分です。
惜しむべきは小樽の停車時間でスポイルされている面で、折角の直通列車も小樽で乗り換えると早く着くなんてことまで起きるのは、運用面で仕方が無いとは言え残念な部分です。

このJRの輸送改善には余市町が抱える問題を解決する意図もあったものと思われます。

1996/01/20 北海道新聞
札樽圏のベッドタウンに 余市JC まちづくりで提言書 進む高齢化に危機感 「JRの利便向上が不可欠」
>札幌圏のベッドタウンとして住民の流入を促し、人口増に結び付けることが必要と強調。方策として、新住民の受け皿となる住宅地を整備することや、現在、朝夕三本ある余市-札幌間の直通通勤列車の本数を増やすようJR北海道に働きかけることを提案している。



また、この1996年頃は余市町にとってニュースが多い時期でした。余市駅裏の農地を600戸の宅地造成する計画も持ち上がり、駅も新築されます。しかし、ニッカウヰスキー余市工場は大規模な生産縮小を行うなど、1980年代に持ち直した人口が減少に転じ、それが進みはじめた時期でもあります。

とはいえ、この新型車両の導入で、札幌への通勤も大幅な時間短縮となりました。諸手を上げていいこととしないあたりは道新らしい記事ですが、まぁ、事実でもありますので。

1997/03/26 北海道新聞
JR新ダイヤ スピードアップで利用者たちに好評 倶知安-札幌 新型車両で30分短縮 ドアからすぐ客室 「寒い」不満の声も
> 二十二日から改正されたJR北海道の新ダイヤで小樽後志方面は、電車並みの性能を持つ新型車両が導入され、倶知安-札幌間で最大三十分の時間短縮が図られるなど利用者におおむね好評だ。ところが、この新車両はデッキ部分がなく外部ドアからすぐ客室となるため「冬は寒い」という不満も出ている。



さて、その後も余市町では動きが続きます。

2000/06/16 北海道新聞
JR函館線小樽-仁木間 電化求め街頭署名 余市JC
 【余市】余市青年会議所(庄厳龍理事長)は、JR函館線小樽-仁木間の電化実現を求めて街頭署名活動を始めた。今月下旬には仁木町と小樽市内の一部町内会などを通じて住民に協力を呼び掛ける。
 同会議所が打ち出している札幌圏のベッドタウン化構想の一環。余市を含む小樽-仁木間の電化実現によって通勤圏としての利便性を確保し、定住人口の増加を図ることなどが狙い。



これは実現していないというか、実際にこれを行うのは既存のトンネル改修などに大きな困難があること、さらには、費用負担の問題もあることでしょう。それ以前に、札幌への通勤者が決して増えてはいないというのもありましょう。

また、鉄道輸送量は以下の資料が参考になります。

北海道
函館線(函館・小樽間)旅客流動調査・将来需要予測・収支予測調査結果概要について【後志ブロック】
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/skt/heizai/block8/3_shiribeshi.pdf
駅別乗車人員(2018年度)
余市:643
 通勤定期:95
 通学定期:210
 定期外 :338
輸送密度(2018年度)
 長万部-小樽:623
 長万部-倶知安:182
 倶知安-余市:761
 余市-小樽:2,144



(見えない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20210525_03.pdf



乗車人員ですので余市の利用客は単純に倍にして一日1,286人となります。蘭島、塩谷の乗車人員は79、69で、これを合わせて、仮に余市-小樽だけを残したとしても、倶知安方の利用を見込めないなら大きく輸送密度は落ちることになってしまいます。

つまり、比較的人口の多い余市町から小樽・札幌への「通勤」需要も大きく取り込まなければ鉄道のこれ以上の輸送改善とそもそもの「維持」は難しいという考え方ができるように思われます。



沿線路線バスと道路事情

余市町から小樽、札幌方面への路線バスは、小樽市に本社を構える北海道最大手のバス会社である北海道中央バスが運行しています。北海道中央バスは戦前に乱立していたバス事業者を北海道と当時の鉄道省がまとめる形で昭和19年(1944年)に誕生しています。
余市-小樽間のバス路線開設は昭和6年の小樽市街自動車とされますが、諸説があるようですし、ここでは触れません。

先の鉄道同様1985年のバス時刻表を見てみましょう。余市町内の西側にある富沢町から余市市街地、余市駅前を通り、国道5号線を経由して蘭島、塩谷を経由して小樽駅前までの路線はその当時日中でも20分間隔、朝は10分間隔と頻発しています。
また、積丹町美国・余別や岩内、寿都、ニセコからの便を全て合わせますと105本、日中はほぼ10分と待たずにバスが来るという頻発運行を行います。
運賃も鉄道と同等としており、また、岩内線廃止に前後して札樽自動車道を経由する高速いわない号が登場するのもこの時期です。ちなみに翌年には札幌と倶知安を余市経由で結ぶ高速くっちゃん号(現ニセコ号)も開設されます。高速便、特急便のすべてが小樽駅前を経由します。


(主に午前中の便の比較)

さて、そのバスが経由する国道5号線ですが、小樽市内の長橋地区の市街地を抜けるのに多くの時間がかかり、特に朝は渋滞の名所とまで言われる事態になっていました。余市駅から小樽駅までの所要時間は通常40分ほどですが、冬期に至っては2時間近くかかる便まであったといいますから尋常ではありません。
この改善のために1989年に稲北-長橋間をバイパス化、1994年にさらにオタモイまでの全長4.4kmの長橋バイパスが全通。路線バスは現在も住宅街である旧ルートを通るものの、高速便などはこのバイパスを通ることになります。これにより、現在余市駅前十字街-小樽駅前の最速は30分です。

さらに「北後志東部広域農道」(フルーツ街道)が1993年に全面開通しますが、こちらは接続先が小樽環状線であり、小樽市内の住宅地である最上町や入舟町など住宅街を経由しなければならず、急カーブが多いこともあり路線バスは走行していません。しかし、信号が少なく比較的流れがよいことから通勤路としての需要は高く、また1994年、2007と長期間通行止めになった国道5号線忍路付近の土砂崩れではこの道路に路線バスを迂回させることが行われています。

国道5号線もフルーツ街道も重要なルートではありますが災害の比較的多い地区を走行しており、それが大きく改善されたのは2018年に開通した後志自動車道で小樽市内を完全にパスして札樽自動車道に接続するルートとなります。ただ、小樽市内のインターチェンジは塩谷に設置されたのみで、小樽市街地への高速道路利用は利便が高くない面があります。高速バスも含めて現在のところ後志道を経由する路線バスは運行されていません。

(北海道新幹線新小樽(仮称)駅現地付近を通る後志道。非常に高い位置を経由するためIC設置は難しいと思われる)

余市-小樽の現在のバスの本数ですが、大幅に減ったとはいえ平日61本が確保されています。休日は大幅に減るのは通勤、通学以外の一般的な利用者の減少を受けてのものでもあります。日中の運転間隔は40分以上となる時間帯もありますが、概ね20分程度の間隔では走るので現状でも鉄道よりは利便が高いとされます。

国道5号線はその後も新忍路トンネルが2018年、新塩谷トンネルが2021年3月に開通して、ほぼ通年問題なく3道路ルートが利用でき、一般的には車での利用が便利であり、なおかつ小樽も札幌も距離が比較的短いこともあって公共交通利用も減っているのは否めません。

ただ、道央圏の他の地域より公共交通利用がマシなのは小樽市内は坂が多く、高速道路以外は必ず混雑する小樽市市街地を経由すること、また、高速道路も規格の低い札樽道はカーブが多く、特に冬期は災害や事故での通行止めも少なくないという面があります。ですので、鉄道は時刻的な確実性を、路線バスも運転に不安な層も含めて比較的利用されていると感じるところです。

余市町
余市町地域公共交通網形成計画
http://www.town.yoichi.hokkaido.jp/chousei/files/moukeikaku-honpen.pdf



(見えない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20210525_01.pdf



余市町が2020年にまとめた地域公共交通網形成計画では余市から小樽への就業者が813人、対札幌でも161人と少なくないことがわかります。また通学では対小樽が290人、対札幌が102人とこちらも無視できない数です。

2017年の余市-小樽の余市線バスの利用者は年間46万2千人、1日あたりで言えば1,266人となります。この数字は小樽市内区間の利用も含まれていると思われますので、余市町内需要だけのものではありませんが、概ねこのような傾向と思われます。また、他の路線も利用でき、その利用数も各地域のものが含まれますので、ここでは考慮しないことにします。また、塩谷-小樽は市内線もありますので、これもここでは考慮しません。なお、利用は減っていることも伺えます。

バスの利用については、余市町内の西側梅川町にある中央バス余市営業所を始発とし、余市駅付近、そして大川十字街など国道沿いの利用も集めます。しかし、線路を挟んだ黒川町や大川町など線路の南側地域では鉄道も、バスも利用が難しいのも現状です。

中央バス
余市路線図
https://www.chuo-bus.co.jp/city_route/bus_route/pdf/yoichi_rosen.pdf




余市町は2002年に美園、山田地区と余市協会病院を中央バスに委託して運行しましたが利用低迷で試験のみで終了、町内線としては余市梅川車庫と余市協会病院を結ぶ1路線のみとなっています。また、仁木町は銀山-仁木市街地-余市駅-余市協会病院を結ぶ「ニキバス」を運行していますが、これは余市町民は基本的に利用できないバスになります。

1985年と2021年との比較では、本数は約4割の減少ですが、長距離便で近郊便を代替する意味もあるように見えます。朝ラッシュ時の本数は確保されていますが、比較的利用の少ない日中の間隔を開けています。

なお、余市-小樽の便は小樽市内も各停留所に停車、美国方面-小樽の便は余市駅前を経由し、塩谷までは全停留所に停車しますが、そのあとは長橋バイパスを経由し長橋5丁目のみ停車。ニセコバス普通便も長橋5丁目に停車、高速便も長橋バイパスを経由しますが蘭島から無停車とそれぞれ停車場所は異なります。小樽まで降りなければどの便でも構わないのですが、慣れないとわかりにくい面はあります。


(中央バス:余市管内停車停留所一覧)




余市町など函館線長万部-小樽沿線の人口

余市町は令和元年国勢調査で人口が18,645名、人口のピークは昭和35年(1960年)頃で2万8千人ほどがおり、2010年頃までは2万人台を維持していました。しかし、どこも高齢化の進みは同じで、高齢化比率は四割近く、町は「2040年で約15,000人程度、2015年と比較して75%程度の人口規模を維持」を目標としています。

北海道
函館線(函館・小樽間)のあり方の検討について【長万部・小樽間(後志ブロック)】
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/skt/heizai/block8/sanko_shiribeshi.pdf
(見えない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20210525_02.pdf



基本的な情報が網羅されており、沿線人口だけでなく、高校・病院の設置状況、収支、輸送密度の推移を記載しています。

人口減少の進み方は恐ろしく急なのは、現在の高齢化比率が高いことでもよくわかります。ここ10年のレベルで2割減、2050年に5割減の予想ですが、ここで勘違いしてはならないのは、どれだけ減っても通勤・通学する人も、通院する人も、観光客もいなくならないということです。

人口が減るのだから要らないという考えでインフラを考えてはならないということがあります。




沿線の高校と病院

主に公共交通を利用するであろう、高校と病院がどのあたりにあるかを記載します。

●高校
・積丹町・古平町・余市町
古平町にあった古平高校は2012年に閉校し、仁木商業高校とともに当時の余市高校に併合されることになります。余市高校はこのとき余市紅志高校と名称が変わります。

余市紅志高校の令和2年度の生徒数は1学年定員80、6クラス119人が在籍しています。総合学科となり、2年次から文理・ビジネス・福祉/生活・農業と4分野にわかれているとのことです。
最寄りは美国方面・余市梅川車庫から小樽行が経由する水産試験場前でバス停から1㎞ほどとなります。
余市紅志高校の余市町内からの通学は、朝は余市町内の東大浜中からの登校バス、帰りは余市駅行の下校バスがスクール便として設定されています。

また、余市町内には私立の北星学園余市高校があり、1学年定員140に対し217名が在籍しています。

なお、積丹町は役場の最寄りである美国地区以外からはどこの高校にも公共交通機関では通学できません。

・仁木町
仁木商業高校が2012年に閉校、跡地には2015年に私立の北海道芸術高校が新設されています。通信制ですので基本的には一定期間のスクーリング以外の登校は無いと思われます。

・小樽市
小樽潮陵高校
南小樽駅から1.2㎞、約20分程度の距離にある学校になります。
道内3番目に設立の旧制中学が前身です。1972年から制服を廃止していますので、通学利用者としてぱっと見高校生とわからない面があることに留意が必要になります。
1学年定員は240名で普通科738名が在籍しています。

小樽桜陽高校
余市方面からですと長橋十字街バス停から800mほど、徒歩15分の距離にある学校です。市内線バスの場合桜陽高校下バス停が最寄りとなります。
旧小樽高等女学校として開設され、現在は共学校です。JR駅からは2.5㎞ほどありますので、バス通学がメインと思われます。
昨年から1クラス減少し、1学年定員は120、普通科659名が在籍しています。

小樽未来創造高校
小樽商業高校と小樽工業高校が合併して2018年開校。道内初の単位制高校です。小樽駅から2.5㎞程度、小樽駅前からバスで通学の生徒が多いと思われます。機械電気システム科・建設システム科・流通マネジメント科・情報会計マネジメント科があります。1学年定員は120、447名が在籍しています。

小樽水産高校
ここも歴史ある高校で、北海道では水産系の高校は函館と厚岸のみで、本校は寮もあるため遠隔地からの入学も少なくありません。小樽築港駅から400mほどと徒歩圏内です。
1学年定員は160、水産科494名が在籍しています。

北照高校(私立)
男子校のイメージのある北照高校も今は共学です。小樽駅から3.5kmあり、路線バス利用がメインですが、始業が9時25分と遅いため相当遠方からも通学可能であることをアピールしています。
1学年定員は120、普通科235名が在籍しています。

小樽双葉高校(私立)
こちらも女子高のイメージですが今は共学です。南小樽駅から徒歩2分程度、高速バスも経由する住吉神社前バス停から3分です。過去にはスクールバスがあったようですが、現在は鉄道・路線バス通学となっているようです。
1学年定員は175、普通科308名が在籍しています。

小樽明峰高校(私立)
小樽駅から2.5㎞ほどと路線バス利用がメインになります。始業が9時と遅いのも通学利便の問題からと思われます。
1学年定員は140、普通科232名が在籍しています。

・倶知安町
倶知安高校
倶知安駅から徒歩15分程度。
1学年定員は160、普通科395名が在籍しています。

倶知安農業高校
倶知安駅から徒歩15分程度。
1学年定員は40、農業科70名が在籍しています。

・蘭越町
蘭越高校
蘭越駅から徒歩10分程度。
1学年定員は40、普通科29名が在籍しています。全校で29名です。

(黒松内・ニセコ・共和には高校はない)

●総合病院
・余市町
余市協会病院
余市駅から車で10分程度の黒川町にあります。バスは本数が少なく、カバーしている地域も少ないのが現状です。
内科・小児科・外科・整形外科・泌尿器科・婦人科・眼科がありますが、内科・小児科・外科・整形外科以外は出張医または予約診療のみとなります。病床数60。

・小樽市
小樽市立病院
紆余曲折ありましたが、市立小樽病院と、脳・循環器・こころの医療センターを統合し、南小樽駅近くに開設されました。災害拠点病院に指定されています。病床数388。

小樽協会病院
こちらも南小樽駅に近い総合病院。南小樽駅のエレベータ設置などが進むのは病院が近いこともありましょう。病床数240。

済生会小樽病院
小樽築港駅から10分程度。ウイングベイ小樽に近い。病床数378。

三ツ山病院
小樽駅から10分程度。病床数223。

野口病院
小樽駅すぐ。病床数128。

・倶知安町
倶知安厚生病院
倶知安駅徒歩15分程度。災害拠点病院に指定されています。病床数234。

・蘭越町
昆布温泉病院
昆布駅から15分程度。病床数120。

(病床数の多い病院を列挙したが、診療科目は考慮していないことに注意)


余市から小樽・札幌方面への朝時間帯利用

この基本的なところを把握してから特に利用が多く、余市町が思う鉄道の必要性などを訴える余市駅・余市駅前十字街の、各列車、路線バス便の利用を調査してみました。

なお、調査日は5月の平日、掲示の時刻は定時の場合。また、利用者数は確実にカウントできるわけではありませんから数字にはずれがある可能性があります。そして、路線バスは余市町内に数多くの停留所がありますから駅前の乗車で判断できないという面があります。これを個人で調査するのは、まず無理ですので、加味したうえで見ていただきたいと思います。

ですので「鉄道は乗ってるけどバスは乗っていない!」という単純な数字にしてはなりません。バスは「駅」と関係なく利用が可能であることが最大の利点と言えます。

数字的な結果を表にしています。


では、個別に見てみましょう。

●6:10発小樽行JR
小樽・札幌方面への始発列車です。バスも含めて最速で小樽方面に行くことができます。H100形1両でしたが乗車は21名。高校生も多いですが一般客と思われる方も5名ほどいます。
過去に夜行列車があった時代は、札幌着が6時台でしたが、その必要性は今はないのでしょうか?比較的朝が遅い印象はあります。


●6:19発小樽行バス
バスの始発便になります。余市梅川車庫は余市町の西側にありますので、ここまでに3名の乗客を集めています。余市駅前十字街は2名の一般客を乗せましたが、ここを出た後も大川地区などで利用を拾えるのがバスの利点です。
この便は高速バスの車両を運用していますが、ステップが高くドアが1枚の高速車の一般路線の運用は、ラッシュ時ですと混雑が激しく、使いにくい面があります。


●6:34発小樽行バス
この便は一般路線車になります。同様に余市梅川車庫始発で3名が乗車しており、余市駅前十字街は2名の高校生を乗せました。


●6:44発小樽行バス
この便は美国からの始発便です。積丹町美国から古平を経由し、余市梅川車庫からここまでは余市線とほぼ同じ経路を通ってきます。美国方面からの高校生はこの便を使うものと思われます。
駅前まで17名が乗っており、余市駅で高校生3名が下車しました。この下車客はJRに乗り継いだと思われ、定期券の問題なのか、それとも通学する学校の位置の問題なのかもしれません。


●6:49発札幌行高速よいち号
余市駅前十字街バス停は乗り場がわかれており、高速便の乗り場は国道側になります。余市梅川車庫始発となるこの便は高校生も含めた5人が乗車。リクライニングシートで快適通学は少しうらやましいですね。


●6:54発小樽行バス
この時間も通勤客と思われる方も乗車。北海道の地方圏で「通勤」に公共交通を使用する人を見かけるのは本当に少ないので、余市でこれだけ見られるのは素晴らしいです。ここまで非常にバスが頻発しているので、小樽までの利用など、どの便に乗ってもいいという方には利便が高いのでしょう。


●7:01発札幌行JR
JR北海道が高性能気動車キハ201系で運用する列車になります。小樽駅で電車と連結して札幌まで運行、電車側は苫小牧まで運行するという長距離便です。
余市駅のホームには長蛇の列、さらに待合室にも人が多い状態です。それでも、列車を待つ人は80人までおらず、約70人と推定します。
余市駅はこの改正で駅員配置は8時まで行われなくなりましたので、無改札でホームに入ることになります。
到着した列車は確認が難しいのですが15人程度の乗車しか確認できませんで、ホームの待ち人数と合わせても2両目以降は空席もある状態で出発していきましたので余市発車時点では100人までは乗っていなかったのではないかと思われます。

なお、この列車の確認もあり6:59の高速よいち号は乗降を確認していません。

●7:09発小樽行バス
美国からの便ですので、余市駅にも入ります。20人近く乗っていますが、余市での下車は1名、また、停留所で待っている人もこのバスには乗りません。つまり、この便が経由しない長橋地区の利用の方が考えられますし、混雑する便で座れないという面もありましょう。


●7:14発札幌行高速いわない号(増便)
余市駅近くに回送でやってきていた高速車が7:10ころバス停に付けられましたが、乗ってくる人は多くありません。通勤客と思しき方ばかり4名で発車していきました。途中での乗車があるとは思われます。高速便は長橋バイパス経由ですので、長橋十字街などで降りる場合はこのバスを使わないことになります。


●7:14発小樽行バス
この便は乗ってきた方も多く、乗車も10名と長橋地区への通学便として使いやすい便なのでしょう。


●7:15発札幌行高速いわない号
少し遅れて下車も乗車客もなく通過していきました。カーテンがひかれている席も多かったのですが、約半分くらいの乗客がいたように思われます。この便への余市町内からの乗車を避けたいという意味でも増便しているように思われます。


●7:29発小樽行バス
この時間になると通学便としては遅く、通勤客が乗っているように見えます。
(JR駅ホームから確認のため詳細確認できず)

●7:34発小樽行バス
駅ホームからしか見えませんでしたが、1名が乗車していきました。主に余市紅志高校通学便と思われますので、余市以降は通勤利用がメインと思われます。
(JR駅ホームから確認のため詳細確認できず)


●7:40発札幌行JR
キハ201系で運行される2本目。小樽からは快速列車となって札幌まで運行されます。小樽着が8時過ぎですから高校生利便も高いようで、ホームには50人程度が待っています。通勤客風の方も見えるのがいいですね。
余市での下車も8人ほどおり、仁木方面からの余市紅志高校への通学生と思われます。


●7:49発小樽行バス
さすがにこの時間はもう利用は少なく、通院の高齢者が乗っているように見えます。逆に通勤・通学客とかち合わないのはいい面です。
(JR駅ホームから確認のため詳細確認できず)

●7:55発札幌行高速いわない号
車内に15人ほど乗っているのが見え、1人下車、3人乗車。こちらも通勤客に見えます。小樽9時始業なら充分間に合う便ですね。




小樽方面から余市への朝時間帯利用

逆方向になる小樽方面からの便も見てみます。

●6:39着小樽発JR
早朝の列車ですが、8人ほど乗車しており3人が下車。そして5人が乗車しました。高校生は見かけず通勤客ではないかと思いますが、朝時間帯は仁木方面へのバスが無いので、このような利用があるのは鉄道ならではかもしれません。


●7:07着小樽発バス
10人ほどが乗った状態で到着し2名が下車しました。小樽側から余市紅志高校通学も見えますね。

●7:29着札幌発JR
札幌駅始発となる便です。札幌から朝出て最速で余市に到着できる便になります。18人乗車していましたが、余市で15人下車しました。高校生風の方もいましたので小樽方面から余市紅志高校または北星余市高校への通学もあるのでしょう。乗車は3名で3名とも通勤客風です。この列車は余市で10分ほど停車します。

(ホーム向かい側の列車。H100形2両編成)

●7:51着小樽発バス
18人ほどが乗った状態で到着し7名が下車しました。また、余市梅川車庫行ですが通勤客風の方が6名乗車しました。余市町内の利用もあることがうかがえます。




余市-小樽を鉄道で残せるか

余市町長は北海道新幹線建設のためには在来線の切り離しには同意していますが、今も「JRとの対話」を求めるとしているほか、BRTにも興味を示しています。
鉄道が最速20分で走破する余市-小樽はバスが最速30分で結びます。もちろん到着時刻が早いに越したことはありませんし、小樽市内の冬季の渋滞や夏の海水浴シーズンの渋滞も少なくはありません。

しかし、明治時代に開通したこの路線を未来に残すためには、どこかの段階では大規模な改修が必要です。そして、今はこれだけの利用がある沿線バスも、便数はピーク時の半分です。今はまだ「不便」までは感じないかもしれませんが、もう半分になれば30分から1時間おきという便数になります。駅以外の各所から乗ることができる。それがバスの最大の利点です。


(山正踏切から見る桃内トンネル。余市-小樽だけで7箇所の「明治生まれ」トンネルがある)

毎度書いていますが、本当に利便が高いから鉄道を使っているのか?です。通学定期運賃が安いからという消極的な理由で鉄道が使われているのではないか?という疑念があります。誰もが簡単に駅までアクセスできるわけではないのです。

それが、本来必要な場所に必要な交通機関として地域が検討して、要望できているのか?という話でもあります。余市駅は折角駅裏にも市街地が広がっていますが、粗末な人道跨線橋だけで、踏切を使うには大回りする必要があり、しかもその踏切は冬季閉鎖という状態です。こんな状態で歩くことができる通学生以外の利用を考えているとは正直思えません。

(余市駅近くの跨線橋)

(冬期通行止めとなる登川踏切。しかも踏切幅は狭く、踏切内でのすれ違いは行えない)

余市町内は大川交差点で国道5号線が大きく折れ曲がることから、渋滞のポイントがあるのと、旧余市ターミナルがこの付近にあり、バスだけで混雑するような状況もありました。協会病院などを経由する「バイパス」案も出ましたが、結局地域商店街などの反対もあり、小樽方面から国道229号線美国方面への接続路は整備されましたが、仁木方面へは今まで通り市街地を経由するしかありません。この状況でバスによる輸送がよいのか、また、踏切などが残るJR線路敷地を使ったBRTが本当に地域利便が高くなるのかも考えなければならないでしょう。

そして、これは日高線バス路線でも書いたことですが、高速バスが延々「下道」を走ることで、乗用車を使用した場合と高速バスを利用した所要時間が大きく変わることになれば、高速バス自体の利用客も減ること。また、余市市街地等を経由しないことの検討もバス会社としては避けられないものと思われます。
後志道は数年内に共和町国富(小沢駅手前)までの開通が、北海道新幹線延伸開業前には倶知安までの延伸が予定されています。狭く通行に不安のある稲穂峠をバイパスできることから、高速バスの載せ替えは充分に考えられる中、余市から小樽へのバスが今まで通り確保できるのか?は考えなければならないところです。

朝ラッシュ時、3両編成を必要とする鉄道は北海道では多くはありません。その利用が多い区間だからこそ緻密に検討しなければ、今までのような「不便な鉄道」に比較的安価だから仕方なく乗っている層が、バス並みの定期運賃になった時に本当に鉄道をチョイスするのか。また、その時点でバスがどのような運行形態になっているのか。「鉄道を残す」という観点だけでなく、本当に住民が利便が高い公共交通にするにはどうすれば良いのか、自動車に比較して「選択される」公共交通になる方法を考えなければならないと思うのです。とても難しい選択だと思います。

資料

時刻データ、利用データのExcelファイルを用意しました。参考までにご活用ください。
https://traffic.north-tt.com/txt/20210525_04.xlsx

北海道の交通関係 JR北海道 北海道新幹線 並行在来線問題

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