北海道の交通関係

JR北海道の2020年度収支発表と新たな取り組み

2021/06/09

JR北海道は今年もこの時期に昨年度の収支、四半期報告、沿線自治体と行われているアクションプランについて広報しました。

JR北海道 2021.06.04
アクションプランの取組状況
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20210604_KO_action%20plan.pdf
2020年度 線区別の収支とご利用状況について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/210604_KO_Senkubetusyushi2.pdf
JR北海道グループ経営改善に関する取り組み
2020年度第4四半期報告書
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/210604_KO_KPI.pdf
(見ることができない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20210609_01.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/20210609_02.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/20210609_03.pdf



2019年度も第4四半期はかなり新型コロナウイルスの影響を受けていましたが2020年度は全期にわたってこの影響を色濃く受けました。

単純に全社の鉄道運輸収入では、2019年度の809億円から、わずか55%である444億7400万円に留まることになります。極端を言えば鉄道の収入は半分になってしまったということです。
大きな要因は間違いなくコロナであります。2017年度には837億円近くと、インバウンド、新幹線も含めた外的要因による収入が大きかったこともあろうかと思いますが、道外からの観光客も見込めず、海外からの観光客は皆無、そして、公共交通機関を忌憚する道民意識もあり、通勤客までもが逸脱するという最悪な状況であることが数字的によく理解できます。

North-tt
JR北海道各路線の「平均通過人員」(輸送密度)
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=123



いつもの輸送密度の表をご紹介しますが、今回は運輸収入についても記載しております。乗客を前年の3割程度と大きく減らした北海道新幹線の鉄道運輸収入は前年の44%と半分以下になりました。しかし、それでも鉄道運輸収入の約1割を新幹線が稼ぐという構図は変わらないということです。「赤字額」にとらわれますが、収入に占める各線の割合を考えた時に、新幹線が無ければマシだったということは考えられない面ではあります。

北海道新聞 2021年06月07日
JR北海道の全線区、赤字最悪841億円 20年度 道新幹線は144億円
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/551977
>  JRは国の監督命令に基づき、19年度から設定している経営改善目標の達成状況も発表。20年度はコロナ禍で設定を見送った6項目を除き、コスト削減など全4項目で目標を達成。JR単体のコスト削減額は4億9千万円で、業務委託の見直しなどにより目標を2億6千万円上回った。
 21年度の目標は、鉄道運輸収入を20年度比で約130億円多い489億円とすることや、100億円以上の運転資金を確保するなど9項目を新たに設定した。



淡々とした道新記事ですが、もちろん赤字額は大事なのですが、各路線がどれだけ収入を得て、結果どれだけの赤字を出すのか?が大事な面があります。これは逆に言えば、今後どれだけ利用客が戻れば赤字を少なく(運用益で赤字分を賄え、黒字化できるのか)を考える必要があるのだと思うのです。

元々JR北海道は鉄道事業が黒字になることはあり得ない収支構造です。なので、赤字額自体は問題になりますが、赤字であるそのものが問題にはなりません。なので、赤字だ赤字だとそれ自体を書いたところであまり意味が無いのですね。

NHK 2021年06月05日
JR北海道 本業で収益回復目指す コロナ収束前提に
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20210605/7000035020.html
> 一方、JRは今年度の鉄道事業収入の目標について、感染拡大が収束し年度末には利用者数が平常時の8割程度まで回復することを前提に、昨年度よりも38%多い489億円を目指す考えを明らかにしました。
JR北海道の渡利千春常務は「需要にあわせて柔軟に運行することでどれだけ固定費を下げられるかが課題だと考えている。経費の削減に努めて、赤字幅は昨年度のような大きな幅にならないよう努力していく」と述べました。



コロナの収束は「あり得ない」とする方もおられると思いますが、昨年GoToトラベル事業や、JR北海道に対する北海道の割引切符支援は短期間であっても大きな意味がありました。
今後夏までに高齢者のワクチン接種が終了、個人的には秋口には国民の7割程度がワクチン接種が完了するであろうとみています(早い遅い自治体はあると思いますし、国民の9割が打つとなれば越年は間違いないでしょう)このときに、ワクチン接種済の高齢者が今まで通り自宅で我慢の○週間みたいなことをしていましょうか?どう考えても秋の紅葉シーズン頃から観光移動は大幅に増える期待が持てると思われます。
(だからこそ観光地を持つ自治体は早くワクチン接種を終わらせるべく努力しなければ「不適切な観光地」と忌憚されることになります)
北海道は急激に観光客が復活する可能性が高く、そのときに向けて鉄道は安心であるという訴えをしていく必要があろうかと思います。



さて、収支発表を前に、JR北海道の第4回経営改善委員会が開かれ、様々な意見が出たようです。なお、過去3回の議事要旨は公開されています。今後4回目の内容も公開されるでしょう。
https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/mi/

日本経済新聞 2021年06月02日
JR北の経営改善委員長、「コスト削減に成果」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFC021XO0S1A600C2000000/
>委員会では、JR北海道が単独では維持困難としている路線について「スケジュール観を含めた明確な考え方とプランを明示すべきだ」との意見があった。「会社の将来像やアフターコロナの環境の変化を見据えたビジネスの提案など建設的な意見を引き出す取り組みが重要」といった指摘もあったという。



JR北海道の経営改善委員会メンバーは
片野坂真哉委員長(ANAホールディングス代表取締役)
知野雅彦(あずさ監査法人専務理)
瀬川隆盛(日本政策投資銀行常務執行役員)
石井吉春(北海道大学公共政策大学院客員教授)
檜森聖一(北海道二十一世紀総合研究所顧問)
上浦正樹(北海学園大学名誉教授)(工学研究科非常勤講師)
であります。
本業が大変なさなかにJR北海道の委員までされるのは大変でしょうが、あくまでも第三者が言いたいこと言ったくらいの話にしか見えないのは、まぁ、致し方ないことなのでしょう。大事なのは今後も営業する必要のある路線を営業するための資金的な裏付け。これがないと従業員が安心して働けません。赤字でも財務的に問題が無いですよという話がなければいけませんね。
従業員が辞める要因も、会社の将来性が見えない、同じ仕事なら別会社の方が稼げるという状況の問題です。今はどこも人手が足りませんから、一度は(それなりに)厳しく試験などを受けて入ったJR北海道の社員なら安心して採用できるという考えもありましょう。JR北海道の職員が自治体に流れるというのはそういう意味があります。
そんな中で、職員をどうつなぎ止めるのか?という面を、できるだけ重要視して欲しいとは個人的に思うところです。


2020年度第4四半期報告書には2021年度に行われる様々な策を記載していますが、なかなかコロナで先が見えない状態になっています。

観光列車として設定された「花たび そうや」は運休、ノロッコ号は6月の設定はなくなっています。昨年に続いて「THE ROYAL EXPRESS」は7回運行が予定され、これとは別に第3四半期に「道内周遊列車」を運行することが明記されています。第4四半期は「SL冬の湿原号」しか設定が無さそうです。

H100形は第2四半期12両、第3四半期12両、第4四半期6両となりますので、全30両という、かなり大規模な導入を予定しています。今までの経緯からすると釧路地区への導入が規定と思われますので、来春は釧路地区のキハ40もほぼ置き換えられそうな気配です。
また、話せる券売機は第3四半期4台、第4四半期10台。今のところ発表はないものの、JR東日本などに続いて「みどりの窓口」の集約、閉鎖、時間短縮などは、もう避けられない状況が考えられます。これは従業員数的にも致し方ないことでしょうが、当然地域の批判も出てきましょう。
電気設備の状態監視システムについては、はっきりとしたアナウンスはありません。

また、他には
・北海道レールパスのEチケット引換証(スマホバーコードによる券売機発券と思われる)
・新「えきねっと」(6月に行われるリニューアル)
・261系気動車への車椅子スペース増設(年度内7編成施工)
・SL客車リニューアル(第2四半期着手第4四半期運行開始)
・駅バリアフリー化推進(第2四半期洞爺駅エレベータ設置)
・札沼線ロイズタウン駅開業(第4四半期)
・多言語車内放送アプリ内容充実(第1四半期)
 (H100の放送内容と思われ2020年度は室蘭線・宗谷線・石北線のH100導入区間に拡大)
・旅客トイレの洋式化(第4四半期に桑園・島松)
 (2020年度は網走・新川・苫小牧・発寒)
・札幌圏無人駅案内モニターの設置(第4四半期にあいの里公園・石狩太美・北海道医療大学に設置)
 (2020年度は太平・百合が原)
・遅延証明書のHP掲載の試行導入(第4四半期)
が含まれています。


アクションプランの取組状況ですが、大きかったのは駅廃止と、駅維持管理負担を沿線自治体が行うようになった点、また、自治体の協力で駅トイレの改修が行われたのは日高線項目とはなっていますが、あまり関係は無さそう。直接的に意味のありそうなものは少なくは感じますが、数年を経て、少しずつ、意味のある支援や、利用促進が出てきているようには感じます。

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