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北海道の交通関係
北海道の交通関係サイト終了のお知らせ
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当サイトは2023年12月末で閉鎖することといたしました
ニセコエクスプレス公開に合わせて後志地方の保存鉄道車両を見てきました
2021/07/07
鉄道車両は、乗用車など道路交通で使用される車両よりは長期間使用されるものが多いとはいえ、製造から30年程度で廃車されるのがほとんどで、使われなくなれば解体されるのが基本です。
一般的な鉄道車両は長さ20m、幅3m、高さ4m、そして重量は蒸気機関車では80tを越え、客車や電車、気動車でも30tから40tはあります。こうなると、単純にその辺に置いておくというのも難しく、地盤の補強なども必要となると、なかなか廃車を保存しておくことも難しいものと思われます。
北海道内を走った鉄道車両のうち、一部は歴史的に貴重であるとして公的な場所に保管されているものがあります。特に小樽市の小樽市総合博物館本館は旧国鉄が設置した小樽鉄道記念館がベースですから、今も様々な車両を展示していますし、1987年に旧幌内線の幌内駅跡地にオープンした三笠鉄道村にはJR北海道から貸与されている様々な車両を展示しています。
そして、それ以前はSLの引退や運炭鉄道の廃止に合わせて多くの地域にSLが保存されていました。その多くは今も公園等で保存されていますが、年月の経過とともに荒廃が進み解体されたものもあります。
また、旧国鉄の廃線跡に地元の要請により車両が展示されているところもあります。こちらは気動車や客車が多く、現役当時の塗装から大きく変更されたものもあり、こちらも廃線から30年以上を経過し解体されたものもあります。さらには個人的に車両を保存し、公開されている方もおられます。
最近は車両を保存できない問題
国鉄がJRになった1987年以降、JR北海道が廃車した車両群は、特に貴重な車両は自社の苗穂工場敷地内に保存されていました。しかし、JR北海道の諸般の問題により、車両保存自体は直接的な利益にならないこと、敷地の有効利用が議論されるにあたり、保存されていた車両の多くは解体を余儀なくされました。・フラノエクスプレス
1986年に改造されたリゾート気動車。1998年の引退後先頭車を苗穂工場内等で保存していたが2015年解体。・トマムサホロエクスプレス
1987年に改造されたリゾート気動車。2002年の引退後先頭車と食堂車を苗穂工場内で保存していたが2013年解体。・711系試作車
1967年に製造された日本初の交流型電車であり、北海道の鉄道電化に功績のあった試作車、当初は2両編成で保管、その後1両を解体し、2016年に残ったクモハ711-901も解体。
(2009年苗穂工場公開の時に撮影した711系試作編成)
・ED79形機関車
青函トンネル開業に先立ち、トンネル区間を含む青森-函館間を専用に牽引するために改造された機関車。トンネル通過に対する連続勾配・多湿・ATCなどに対応する機能を持つ。11号機は部品取り用途か苗穂工場に留置されていたが2014年解体。また、五稜郭に5号機が部品取りとして保存されていたようですが、これも2020年解体(JR貨物への売却車と思われるので、JR北海道としてのものではありません)あくまでも一例ではありますが、北海道の鉄道の歴史を語るなら、なくてはならない車両群と言えそうです。当初はJR北海道としても保存を模索していたと強く思われるところです。しかし、自助努力を求める世論の声のなかでは保存車両を存置しておくことも難しくなったことは残念でありますし、現実に保存した車両を公開するにしても、触れることができる部分の危険な部分や、今は使用できないアスベストなどの部材が使われる場所の除去なども行わなければならず、公開するにも費用も手間がかかります。そして、再塗装やさび落としなど、数年ごとに大幅なリニューアルを行う必要があります。ただ放置するだけでは車体は錆び、そして最後は自立することもできなくなります。部品などの破損で見学者に被害が出ることや、近隣に迷惑がかかることについても検討しなければなりません。
小樽市総合博物館に最後に搬入された鉄道車両は日本銀行の私有車であった現金輸送車マニ30形で、2004年以降新たな車両の搬入はありません。公的な形で鉄道車両が保存されることは、その展示場所の問題、そして保存後のメンテナンスなどの問題で行いにくくなっているのが現状です。
クラウドファンディングによる車両保存
北海道内の公的機関で鉄道車両の保存がなかなかできない状況に、ファンが立ち上がって、車両を保存する動きが出てきます。●岩見沢市 711系
「赤電」という愛称があまりピンとはこないのですが、札幌圏で運用されていた711系電車を2両残すことができています。クラウドファンディング開始は2015年で、この年に引退した車両を移設しています。
(2021年4月撮影)
北海道新聞 2015/03/24
赤電 岩見沢に残そう 展示へ有志が資金募集
> 北海道初の電車として「赤電」の愛称で親しまれ、13日に引退したばかりの「711系電車」=写真=の保存に、道内の鉄道ファン有志が乗り出す。車両2両を引き取り、今夏に岩見沢市内で展示する計画で、25日からインターネット上で出資への賛同者を募る。
●北斗市 北斗星用24系客車
上野-札幌を結んでいた寝台特急北斗星用の車両が2両保存されています。寝台車とロビーカーの2両を保存できたのは、往年の雰囲気を感じるためには必要なことでありました。北海道新聞 2016/01/03
「北斗星」保存 北斗市で 客車譲渡、用地めど 地元有志 全国から資金募集へ
> 【北斗】昨年8月に運行を終えた上野―札幌間のJR寝台特急「北斗星」=社会面のことば=の客車を北斗市内に保存しようと、地元有志が活動を本格化させている。運搬費などを工面できれば、JR北海道から客車の一部を譲り受け、市有地に保存できる方向となり、今月から資金集めを始める。
●安平町 キハ183系
1980年から道内を走り始めた特急型気動車キハ183系も保存されることなく解体が進んでいました。そのうち1両が安平町追分地区の道の駅に保存されています。また、もう1両を町内で保管しています。なお、記事の「道内初の特急用ディーゼル車」は若干語弊がありますね。
(2019年9月撮影「道の駅あびらD51ステーション」に保存されているD51 320とキハ183-214)
北海道新聞 2018/01/08
キハ183系 安平で保存を 鉄道愛好家ら 寄付呼び掛け 道内初の特急用ディーゼル車
> 道内初の特急用ディーゼル車として旧国鉄が開発した「キハ183系」の初期型の先頭車両を保存しようと、道内の鉄道愛好家らでつくる「北海道鉄道観光資源研究会」(永山茂代表)が資金集めを始めた。必要額が集まれば、ベージュ地に赤を配した旧国鉄の「特急色」に塗り直し、2019年4月にもオープンする胆振管内安平町内の道の駅に展示する。
●北見市 個人所有の車両をCFで修繕費を調達
北見市内には個人が所有する7両の車両が保存されています。現時点では公的な形では保存されていませんが、寄付を集めての修繕を行おうとするものです。
(2019年8月敷地外から撮影。除雪機関車等貴重な車両が所蔵されている)
北海道新聞 2018/07/22
<レールの先に>特殊列車公開し誘客 石北沿線ネット 総会で部会設置決定
>市常盤町の旧ふるさと銀河線跡地で個人が所有するラッセル式除雪車や郵便車など7両を補修する計画だ。費用確保には、ネットで全国の鉄道ファンや元国鉄職員から寄付を募るクラウドファンディングの活用も検討する。
●ニセコ町 ニセコエクスプレス
札幌-ニセコのスキー列車など、全道で活躍したリゾート列車ニセコエクスプレスの先頭車1両を保存することになりました。最盛期は6編成を誇ったJR北海道のリゾート車は初代のアルファコンチネンタルエクスプレスが苗穂工場に前頭部が、千歳市内の牧場に先頭車1両が保存されている以外は、フラノ、トマムサホロそしてクリスタルと解体されています。その中で、ニセコエクスプレスだけでも、その縁のある場所に保存されたことはよかったなと思います。北海道新聞 2019/02/26
「ニセコ特急」里帰り目標 地元有志 保管へネット寄付募る
> 【ニセコ】後志管内ニセコ町の有島記念館などは、札幌とニセコ地域を結んだリゾート列車「ニセコエクスプレス」の車両の一部を町内で保管するため、インターネット上で資金を集める「クラウドファンディング」(CF)を26日から行う。目標金額は860万円。
●旭川市 旭山動物園号(車内再現)
旭山動物園が行動展示などで人気を博し全国的な知名度を得たことから、2007年にキハ183系を改造して作られた旭山動物園号は、車体などには特段手を入れないものではありましたが、斬新なラッピングと車内フリースペース、撮影用シートなどが人気を博していました。2018年に引退後は廃車となっています。この、車内を再現したスペースを旭山動物園内に再現する活動が行われています。車両として保存することはできませんでしたが、このような「保存」方法も考えられるところです。
北海道新聞 2019/02/26
旭山動物園に特急「動物園号」の車内を 再現資金 募集目標超え 新施設外壁の絵 あべさんに依頼
> 2018年に惜しまれつつ運行を終えたJR北海道の臨時特急「旭山動物園号」の車内を、旭川市旭山動物園内に再現する新施設のための資金募集が、目標の1千万円を大きく上回る1339万8千円で終了した。11月11日の冬期開園日にオープン予定で、募集した動物園の市民応援団NPO法人旭山動物園くらぶは「すてきな空間に仕上げたい」と達成を喜んでいる。
旭山動物園
”走る絵本”の再現空間を~旭山動物園号の世界観ができるまで~(11月17日オープン)
https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/news-blog/osirase/d0676281.html
クラウドファンディングは、多くの人から少額の寄付を集めることで、大きな事業を成し遂げることには向いているのですが、2回、3回と回数を重ねると、参加者、寄付額が減っていく傾向にあり、継続的な修繕や維持費用を得るものには向いていない面はあります。
鉄道車両の保存にはまず、保存用の土地と線路などの敷設、車両移動費用など初期的な費用が大きくかかります。しかし、それだけでは、保存は継続できません。保存された以上、長くその場で展示、保存がなされることが理想です。しかし、公的な車両保存であっても、保存費用などの面でうまくいっていない場所もあるのも見られます。
後志地区の保存車両をいくつか見てみる
今回ニセコ駅付近でのニセコエクスプレス公開に合わせて、後志地方のいくつかの車両保存箇所を廻ってみます。車両保存が難しく苦労されていることも実感できます。●北海道ワイン敷地内(ワインの丘公園)
小樽市朝里川温泉(住所的には朝里川温泉ですが、実際の温泉地区からはかなり離れています)にあります北海道ワインの敷地内のワインの丘公園にはSL2両と客車2両が保存されています。北海道新聞 1997/05/20
ニセコ号ホッ 解体の危機越え買い手 客車2両 第2の人生 小樽
> 北海道ワイン(本社・小樽)はこのほど、売り手が決まらずに解体処分の危機にあったSL「ニセコ号」の客車=写真=二両を買い取り、小樽市朝里川温泉一の同社敷地内に運んだ。同社は、かつて道内を走っていたSL機関車二両を維持管理しており、客車をこれにつなげて「将来は車内を改装し、ワインを飲んでもらう施設にしたい」と構想を練っている。
客車2両はJR北海道が1988年に復元したC62 3号機を使用した「C62ニセコ号」に使われていた車両です。このうちニセコ方1号車のスハフ44 7と小樽側5号車だったスハフ44 6が搬入されました。
(2号車だったスハフ44 27、4号車だったスハフ44 11は川端駅近くのパークゴルフ場に搬入されたが、現在は放置状態。3号車カフェカーのスハシ44 1はその後「SLすずらん号」で使用され、現在も「SL冬の湿原号」用客車として現役)
現地では以前から保存されていた1921年に製造された9600形機関車の59614と1939に製造されたD51 286と連結された編成状態で保存されています。
保存場所は工場見学、売店施設から国道を渡り向かい側。徒歩数分の「ワインの丘公園」で、お祭りなどのイベントで使用する場所になります。開放こそされていますが、展示車両以外には特段の施設はありません。
編成全景。機関車の銘板類は外されて別途保存されていると聞きます。ですので車番はペイントです。
機関車に関しては説明の表示があります。
D51キャブ付近。ある程度荒廃しているのがわかります。
9600形とキャブ付近
スハフ44 6と思われる客車。ほぼ引退時の原型のままだが、こちらも荒廃が進む。
再塗装したときに、表記類は塗りつぶされている。
スハフ44 7と思われる客車。編成としての向きは反対なのだろうが、ということは、車端側は貫通路のドアがないはずだがどうなっているのかは、薮が濃く見ることが難しい。
編成を反対側から見ると、走行しているような感じに見えてきます。ロケーションはとてもいいのですが。
なお、工場売店ではワインの他ブドウジュースや特産品なども取り扱い、また、ワイン製造機器を展示するギャラリーもあるので一緒に見学、購入したい。
●六郷鉄道記念公園(胆振線六郷駅跡)
1986年に廃止された旧胆振線の倶知安町内の六郷駅跡に整備されている鉄道公園です。駅ホーム跡にオハフ46 501と車掌車ヨ7913が保存されています。スハ43形客車から軽量化改造でオハ47に、さらに車掌室を取付けオハフ46に、北海道向け耐寒耐雪改造を受け500番台を得た経歴の珍しい車両で、こういう形で残っているのは奇跡的だと思います。
ただ、屋根の葺き替えが行われており、塗装こそ綺麗ですが、表記類が大幅に原形と異なるなど、保存車両を維持する苦労を見ることができます。

町が設置した看板

編成の全景。駅ホーム跡を上手く使用している。

客車側から見ると、駅に停車している感がある。

オハフ46は北海道向け耐寒耐雪装備ではあるが、発電機にベルトが見える。資料には機械式発電機に変更した旨書かれているが、スハフ44などの機械式発電機とは異なるように見える。こういうところが確認できるのも保存車のいいところ。

車内には入ることができないが、窓から見る限り車内の荒廃は進んでおり、このままでは公開し続けるのは難しいかもしれない。

9600形9669の動輪も保存されています。
設置当初は車内も入れたと思われますが、現在はデッキ部、洗面所部分のみに入ることができますので車内の写真は撮れます。車掌車ヨ7913もデッキ部のみしか入れません。曇りの入った網ガラスで車内を伺えません。
●倶知安町文化福祉センター
倶知安町内中心部にある施設です。9600形79615が展示されています。過去に訪れた時は「2つ目羊蹄号」というヘッドマークが設置されていた記憶があるのですが、その2つのヘッドライトの片側が欠落しています。
倶知安駅の駅名標と、車両についての案内。

前面、何かが足りない感が。

側面、サビが酷くなっており、シリンダー下部は錆びて破れている。

キャブ廻り、機関車の運転室には立ち入ることが可能。

運転室内。計器類こそ残っているが、かなり荒廃しています。ただ、石炭投入口が開くのは驚き。


後面、給水塔こそないものの給水用の設備が再現されています。
以前訪問した時よりもかなり荒廃した印象です。定期的に注油や磨きを行っていた方が引退されているのが現状なのだと思われます。SL末期に市街地施設にモニュメントとして飾られたSLですが、引退後の年数の方が長くなるような状態では、必要性の住民説得も難しくなりますし、荒廃すればあんな汚いもの撤去してしまえという話になるのは必然でもあります。
あくまで個人的には新幹線開業後の倶知安駅の転車台付近などに移設されるといいなとも思うところですが、荒廃が進みすぎると移動もままならない状態になります。そういう意味で室蘭は特殊な例です。
●ニセコ駅付近ニセコエクスプレスと9643
先に記載しましたニセコエクスプレスの先頭車キハ183-5001がクラウドファンディングも含めた全国から集まった寄付1025万円を元に保存されることになりました。保存されている場所はC62ニセコ号をニセコ駅まで延長運転するために新得から移設された転車台付近で、この場所は1953年まで運行していた殖民軌道真狩線の狩太停留所の跡地となります。
まず目立つのは、ニセコエクスプレスが入っている「機関庫」です。木造ではありますが非常に基礎がしっかりした本格的なもので、積雪地であることを考慮した屋根構造も取られています。

展示場所全景(写真明度を調整している)ニセコエクスプレスが入る建屋と、9643が展示される部分も屋根がかけられている。給水塔と、背後には転車台が設置されている。

ニセコエクスプレス車は建屋か前部を引き出して展示することが可能だが今年は行われない。

建屋の窓はキハ183-5001に実際につけられていたポリカーボネート窓を再利用している。現在の車両は登場時の姿に復元されているとのこと。ニセコエクスプレスのロゴが窓から見えるようになっているのも演出。



建屋内に収まった形で公開されているニセコエクスプレス。基礎も含めた建屋が非常に立派なものだというのがおわかりいただけると思う。冬期の保存も安心であろう。

展示車両に関する説明や寄付者名簿などが建屋に貼り付けられている。JR苗穂工場の技術力などの説明、そして保存の意義に関してもわかりやすく書かれている、単に保存しましたではなく、コンセプトを持って保存したのだというのがわかります。

また、敷地内の9643に関する説明もここにあります。サッポロビール園に保存されていたこの機関車の移設が井門氏の私財で行われたことは、初めて知りました。



9643も磨かれ、非常によい状態で保存されているように見えます。屋根がありますので、冬期はブルーシートで覆うとしても、直接雪が載らないだけ機関車への負担は少ないと思われます。給水塔はC62ニセコ号の延長運転時に新規設置されたものですが、これも保存されています。

新得機関区から移設された転車台は、現状動作しないとは聞いていますが、ニセコエクスプレスの入る建屋とも線路が接続されており、予想では車両移動が可能なアント的な移動車も用意してると思われますので、将来は様々な展示方法を検討できそうです。

ニセコ駅との線路は切れています。C62ニセコ号が転車台に向かっていた線路に現在9600が停車していることになります。

ニセコ駅ホームから見る保存場所。
なお、敷地近くの駐車場は民間敷地ですので、車での来場時は駅横の町営駐車場を使用してください。近隣の私有地への駐車は決して行わないこと。
●岩内運動公園
ニセコから快適なドライブで岩内町まで来ました。岩内町内の岩内運動公園内にはD51 159の静態保存機が展示されています。公園内には特段SLについての履歴などを表示する看板がありませんでしたが、1939年製造、1974年廃車で主に倶知安機関区にいたもののようです。廃車後すぐここで展示を始めたと思われますので、もはや引退後の方が長い車両ではあるのですが、屋根が掛けられていることもあって比較的良好な状態を保っています。各所に現役当時に無い色が入っているのは子供の衝突を避ける注意喚起の意味もあるかもしれません。

少し丘になっている場所から真横の姿が撮れる。子供達が機関車で遊んでいる姿は、当時保存機関車を持ってきた時の「意味」が継承されていると思われるので、微笑ましいです。

様々な場所に差し色がされているのがわかる。

後部も綺麗な状態を保っており、手入れは定期的にされているように見える。

ただし、キャブは助手席側の一部が欠落している。
●幌似鉄道記念公園(岩内線幌似駅跡)
1985年に廃線になった岩内線幌似駅跡地に設置されている鉄道公園です。岩内線跡地をほぼトレースする国道276号線岩内共和道路の工事のため、公園自体を移設しています。非常によくできていますが、現役当時の施設ではありません。とはいえ、これだけの施設を移築、そして移転したということが本当に素晴らしいことだと思います。
展示されているのはスハフ42 507とワフ29587ですが、車掌車と有蓋車の合造車ワフが展示されているのは非常に珍しいことだと思います。車掌室側は立ち入ることができ、当時の貨物列車の車掌室を存分に楽しむことが可能です。
また、スハフ42も北海道形改造車であり、なおかつ近代化改造を受けた晩年の旧型客車を本当によく残しています。なお、細かいところを言えば車内の化粧板にはシートが貼られていますが(ささくれだったりさびが出てきていたのでしょう)色味を合わせているのでよく雰囲気は感じられます。トイレこそ入れませんがアクリル板で仕切っているだけで、中を見ることもできますし、洗面所には大型の現役当時のごみ箱もあります。車掌室も入ることが可能。ここまで公開されている施設は非常に珍しいです。
札幌から少し距離があり、管理者もいらっしゃるようで夜間の施錠などもしっかり行われているからこそとも言えそうです。

移設整備したことを知らせる看板が設置されています。

駅舎自体も移転していますが、雰囲気はあります。廃駅当時は通常の木目板でした。


移設とは思えないような雰囲気があります。

車体の表記はオリジナルとは異なる。



スハフ42車内はよく保存されています。近代化改造の証である丸形蛍光灯は外されていますが、その雰囲気は感じられます。扇風機も近代化改造後かなと思われます。

本来、旧型客車は車掌台側には貫通路に扉があり、反対側は鎖だけでデッキを仕切ることができませんが、新たに扉がつけられています。施錠のためですが、違和感の無い外観になっています。

洗面台のごみ箱。こういう細かなものが残っていると、当時の様子を伝える要素になります。

トイレ部分も見学可能(入室はできない)


客車車掌室の車内も見学可能。


ワフ29587の車掌室部分も見学可能(貨物室部分は不可)
青色の座席が並ぶ客車の雰囲気というのは、北海道では最後にキハ40が雰囲気を伝える状態ではありますが、それがなくなれば、もう過去のものです。このような客車が、中に入れる状態で残るというのは、地域の尽力もありますが、なかなか将来に渡ってと言うのは難しいかもしれません。当車も雨漏りの跡がいくつかあり、屋根は吹き替えられています。いつまでもこの形で維持できるかは、わかりません。
さいごに
旧国鉄の廃線跡には、車両を保存する自治体が少なくありませんでした。今回訪問した六郷、幌似だけでなくキハ22などの気動車を保存した自治体もありました。しかし、その多くは廃止後30年以上を経過して、車両の傷みが目立っています。そんななか、展示車両を再整備する動きも出ていますし、展示を断念し解体するものも出てきています。北海道新聞 2021/05/28
天北線列車お色直し 中頓別の有志企画、修復へ 屋外展示で風化 国鉄カラーに 観光資源に期待も
> 【中頓別】かつてJR天北線を走り、現在は中頓別駅跡の「天北線メモリアルパーク」に置かれているキハ22型気動車。車体は長年の風雪にさらされてさびが浮かび、傷みが目立つ。この気動車を修復して往年の色に塗り直そうと、地元の有志が活動を企画している。
国の政策による国鉄廃止路線とは別にJR北海道が廃線を行った函館線砂川-上砂川、深名線、江差線木古内-江差、留萌線留萌-増毛、石勝線新夕張-夕張、札沼線北海道医療大学-新十津川、日高線鵡川-様似がありますが、上砂川駅跡地に鶉駅近くで保存していたスユニ60とヨ8000を移設したくらいで、車両保存が行われた例はありません。
これは、自治体が財政的にも車両保存を手がけることができない裏返しな部分もあるかもしれません。鉄道に対して思い入れを多く語ってきた各自治体が、駅の保存も車両の搬入もできないのが、現在の現実であるという面は、致し方ないとはいえ、寂しいものがあります。
あくまで個人的には往年の姿にまで増築した増毛駅ホームには車両があったらいいなと思いますし、5年以上も列車が走らない駅として維持されていた日高線の様似や静内など、車両があるといいなとも思うのですが、その後の維持を考えると簡単に言えません。本来であれば、ニセコエクスプレスの保存建屋のような、このくらいの投資が絶対に必要です。車両の維持だけでなく建物の維持、そして固定資産税などの負担を考えると本当に簡単に言えないものです。
せめて、今残っているものを、できるだけ後世に残せるように、また、車両だけでは無い、鉄道のシステムそのものとしての資料として残せるように願っています。本当はそれを担うのがJR北海道の苗穂工場内の「北海道鉄道技術館」なのでしょうが、これも今の状況ではいつまで維持できるかすら怪しいのが現状に見えます。
次回の記事
North-tt 2021/09/14
江別・岩見沢の保存鉄道車両を見てきました
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1070