北海道の交通関係


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高架化を予定している篠路駅周辺を見てきました

2021/09/06

JR北海道の線路高架化について、現在進行形で予定されているのが札沼線の篠路駅周辺になります。今年度まで計画が作られ、来年度以降工事開始、2025年には駅舎が新しくなるというスケジュールで住民説明が行われています。

なお、北海道内の鉄道高架化については以前も記事を書いていますので参照ください。

north-tt
JR北海道の高架駅と、高架化に進みそうな釧路駅と、高架化されなかった北見駅
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1039




篠路駅の歴史

篠路駅の開業は1934年(昭和9年)の札沼線(当時の札沼南線)桑園-石狩当別の25.9km開業時に設置されたのが始まりです。当時は新琴似、篠路、石狩太美、石狩当別のみに駅が設置されています。
その後1957年には旅客列車全てがディーゼル車で運行されるようになり、国鉄民営化後の1988年までに現在の各駅が順次新設され都市近郊鉄道に脱皮していくことになります。
1991年には「学園都市線」という愛称が設けられ、1995年の太平-篠路を皮切りに複線化工事が開始されます。
1999年には太平手前までの高架化も完成。これに併せて2002年篠路通りの篠路アンダーパスが開通。

(篠路アンダーパス。4車線の篠路通は国道231号線から東区丘珠空港、東苗穂、国道274号線札幌新道方面への短絡ルートとして機能しており、また、近隣の花畔札幌線などの道路整備も進んでいます)

2012年には北海道医療大学までの電化が完成し、ほぼ現在の状況になります。
現在朝ラッシュ時は最短10分間隔、夕方ラッシュ時は15分間隔での運行が行われ、篠路駅前にはグリンピア篠路と称されるマンションや高齢者施設などが集約された新しい街ができあがっています。

しかし、花畔札幌線が接続する横新道と札沼線の踏切「札幌篠路線踏切」は篠路駅に停車する列車で閉鎖時間が長く非常に渋滞する踏切で、近隣に交差点が多く一時はアンダーパスとすることが決定したものの、地元の反対で踏切が残されてしまっています。



(札幌篠路線踏切。線路を横断できる箇所がどうしても少ないこともあって特に朝ラッシュ時の渋滞が激しい。この横新道は国道231号線から丘珠地区、国道275号線方面への短絡路としても機能しているので交通量が多い)

篠路駅の利用客数は2011年5,168で2019年には6,159とここ10年程度でも2割ほど増えています。これは通勤、通学輸送での利便向上による鉄道への移行と地域住民自体が通勤、通学する層が増えたこともあるかと思いますが、今後は大きな伸びはないものと思われます。

なお、反面篠路付近から地下鉄麻生駅、都心部へのバスの本数は減便傾向にあります。


篠路地区の現状

篠路駅周辺は札幌市の都市計画上「地域中心核」とされており、2017年には北区役所篠路出張所での窓口サービスの充実(北24条駅近くにある北区役所から離れているため、住民は区役所の窓口機能を出張所で行えるよう)を要望しています。
その他地区のまちづくりに関しては専用のサイトが公開されています。

札幌市
篠路駅周辺地区のまちづくりについて
https://www.city.sapporo.jp/keikaku/partnership/shinoro/p_shinoro.html


人口は減少傾向、高齢化率の増加傾向があること、20代人口が流出しているのは、学生時代は親元から通うが、就職は札幌市内を選ばない、または一人暮らしで篠路地区に住まないという言い方もできそうです。しかしながら、30代~40代人口の流入があるのは、比較的安価で利便が高い鉄道沿線に新居を構えることに篠路は魅力があることを示しています。



鉄道高架区間

篠路駅付近の鉄道高架については国土交通省に資料があります。

国土交通省
篠路駅周辺地区まちづくり推進事業
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanminrenkei/content/001372365.pdf



これによると除去される踏切は4カ所(みなし踏切とされる地下道含む)高架駅1カ所となります。
また、高架脇には側道が設置され、現時点では線路沿いが歩けず、遠回りして駅に移動する状態を改善します。


百合が原公園駅-篠路駅の現状


(百合が原駅のホーム端から篠路駅方向。百合が原駅隣接の黒田作場踏切は存置される。桑園起点8.747km)


(黒田作場踏切から徐々に勾配を取り、桑園起点9kmキロポスト付近「太平すこやか公園」脇あたりから高架橋となれば、この先の市道も通行可能になろうかと思われます)

黒田作場踏切すぎから7mの高さまで上るとすれば約20パーミルの勾配で350mとなるはずです。全て電車で運行されている学園都市線ですので、もう少し勾配を大きく取り、線路を横断できる道路(歩行者自転車のみとしても)を取る可能性はあろうかと思われます。

(篠路駅の停車場予告標識のあるあたり。ここから除去される学田作場踏切まででも約200m)


(撤去される学田作場踏切。用水路が並行しており道路の幅員が狭く、片側に歩道も無い。この付近は百合が原と篠路のちょうど間になりますが、線路に並行する道路がここで分断されていることから、高架化で平行道路が新設されれば利便も高まることが予想されます)

学田作場踏切を過ぎると、線路西側の平行道路は無くなり、線路に直接住居が隣接しています。また、東側の線路沿いの道路も肝心の篠路駅に近づくところで途切れてしまいます。


(線路沿いは住宅やマンションが立ち並び、前方にはコープさっぽろ関係の建物や商業施設があり大きく迂回しなければ篠路駅側に行くことができません)

そして上記の横新道札幌篠路線踏切にぶつかりますが、この横新道を渡る横断歩道も無く、篠路駅にはさらに迂回しなければなりません。

(札幌篠路線踏切から百合が原駅方面。線路沿いの道路が無いことがわかります)

(札幌篠路線踏切から篠路駅方面。右手の緑地は再開発用地。左手にはJRの篠路変電所が見えます)

(篠路駅ホーム端から百合が原駅方面。駅設置のための工事用地をどう確保するかは課題になると思われます)


篠路駅の現状

現行の篠路駅は東口が元からある開業時からの駅舎を使っています。全体的に小さく、地方のローカル駅を彷彿させるものです。また、ホーム側も段差をスロープに改修しているもののホームの狭さなども含め、あまり利便は高くなく見えます。


(東側駅舎外観。札幌近郊の駅舎ではこのタイプのローカル駅然とした駅舎は見かけなくなりました)



(東側駅舎内部。元の利用客数から設計されていることもあり非常に狭く、現在朝ラッシュ時には通勤客であふれます。導線もあまり良くなく、自動券売機は「話せる券売機」に更新していますが1台しか設置するスペースがありません)

西側駅舎は1988年に新設されたもの。こちらも待合室は狭く、券売機1台のスペースしかありません。また、通常は無人となっています。駅舎への入り口、ホームへの通路に段差があります。


(西側駅舎外観。非常に簡素な作りとなっています。しかし、駅ロータリーが整備されており、駅前にはマンションが建つなど、こちらの利用も多いことが覗えます)


(西側駅舎内部。券売機1台と入場専用改札機が設置されています。ICカード以外は集札箱で対応するのは無人駅と同じシステムとなります)


(改札は比較的広い1通路となっています。朝晩など係員が詰められるスペースがあります)



(西側駅舎は保守用車用の「構内踏切」があり、さらにホームへの階段があります。札幌方面への1番ホームへはさらに跨線橋を使用することになり、現行西側駅舎はバリアフリーにはほど遠い状況です)

東側駅舎から札幌方面行きになる1番ホームにはスロープで接続されていますが、全体的に狭く、列車を待つスペースとしては少々貧弱です。

(スロープは改札を出て両側に設置されています)

(駅員がポイントの切り替えを「てこ」で操作していた場所の名残でしょうか。今は貴重な列車待ちスペースです。風が強い日や吹雪のときに重宝します)

(その代わりホーム側が狭い部分があります)



(跨線橋も利用者の割に狭く感じます。跨線橋の床表示は奉仕活動により改善した模様です)

(当別方面の2番ホームも屋根が所々にしかないこともあり、除雪の観点からも改善が急がれます)

当初2025年の開業とされていた鉄道高架は先の国交省資料では2029年になっており、遅れが出ているのが気がかりです。駅としては趣があったり、趣味的な好ましさは感じますが、利用者的には非常に不便な駅でありますので、早急な改善、また、高架開業が遅れるのであれば、特に西側は一時的な駅舎拡大やスロープなどによる導線改善は必要ではないかとは思うところです。


篠路駅-拓北駅の現状

篠路から拓北側は東側に篠路神社の境内が隣接しています。西側は駅西口開設、ロータリー設置時から篠路駅南公園に沿うように歩行者自転車専用通路が設置されており、その先も市道により伏籠川までの通勤導線がとられています。

(篠路駅ホーム端部から拓北駅方面。右側に見えるのは篠路神社の敷地で、左側は篠路駅南公園となります)

(篠路駅に隣接する篠路神社。建立は1855年(安政2年)というから非常に歴史のある神社です)

(篠路神社敷地内に馬魂碑があり、ここから篠路駅1番ホームが見えます。馬魂碑は5頭の農耕馬が祀られています)

篠路駅東口を出て、篠路神社を超えますとバスの転回場が出てきます。篠路小学校バス停で1982年まで札幌市営バスが営業していた篠路小学校-地下鉄麻生駅の路線を地下鉄東西線開業による補償により移管した路線となります。その後地下鉄栄町駅を経由する系統も新設され、最盛期には日中1時間4本以上、朝ラッシュ時は10分おき運行していた時代もあります。

(今では栄町駅、麻生駅へ3系統が各1時間1本、朝ラッシュも本数が減少している篠路小学校バス停)

そして、篠路駅もそうですが、このバス停への近道として設置されたのが篠路人道地下歩道になります。単線時代の地下歩道をそのまま使用していますので、出口と線路が近い感覚があります。



(篠路人道地下歩道は鉄道高架化で撤去され、篠路駅前本通として道路で直通できるようになる予定です)

さて、国交省資料ではこの人道地下歩道を過ぎた先の「丸〆街道踏切」までが「高架区間」とされています。ここまでが「高架として有効」と思われます。


(丸〆街道踏切という名称は、由来がよくわからないのですが、表示では桑園起点10.852kmとのことです)


(丸〆街道踏切から篠路駅側。木田製粉の敷地内のため入ることができませんが、敷地に隣接して線路が走っています。このため、この区間でも線路平行の徒歩、自転車道が整備されると、このあたりの方も駅に行きやすくなります)

(丸〆街道踏切から拓北駅側。篠路アンダーパスまでの距離は150mほどしかなく、もう少し先伏籠川の橋梁手前までで降りていく形でも約300m。高架頂上が7mで300m程度のアプローチで約25パーミルとなります。もうすこし手前から下ろす形かもしれませんが)

(伏籠札幌川橋梁から篠路駅側。ここからカーブを描き登っていく形になる?)

(伏籠札幌川橋梁を行く電車)


工事方法

現在の所、沿線を歩いた限り関係する工事関係の表示や現地事務所なども見ることはできません。複線化するときにもあまり余裕が無かった区間に見えますので、今後高架化するときは1線ずつ上げる形になるのかなとは思っています。また、付近が線路ギリギリまで住宅地ですので、そういう意味でも工事は大変そうな印象を受けます。

篠路駅に関しては篠路神社の敷地に駅用地が入らないとするならば、一旦西改札口を撤去して西側に仮線を敷いて東側を工事する形になるかと思いますが、変電所が絶妙に支障しますので、その工事もなかなか大変そうに見えます。

この区間は工事が始まりましたらまた細かく見ていきたいなと思っています。

北海道の交通関係 JR北海道 鉄道高架化 バリアフリー

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