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将来の「鉄道ファン」を大事にしたい
2021/09/27
いつも書いている気がいたしますが、ワタクシ中年太りも顕著になってきて、お腹周りがよろしくないなぁと思っている昨今であります。列車の旅もいいけれど、少し歩いたり走ったりしなきゃなって強迫観念にかられておりまして、最近は列車である程度移動して、駅から駅への間を自転車で走るっていうのをやっております。
1回の旅で20kmを目安にしているのは、ずいぶん遅いのですが、その分線路沿いをできるだけ走り、踏切や橋梁などの線路設備を見ながらというのが楽しいのですね。
(あくまでもイメージです)
優しい少年との出会い
ある地方の駅で、自転車を輪行袋に詰め、それなりに重そうな出で立ちで駅の時刻表なんかを見ていましたら、小学校高学年くらいの少年に声をかけられました。彼は冊子の北海道時刻表を持っていて「見ますか?」と。私が駅の時刻表や配布の時刻表の確認(これはだいたいどの駅でも利用者利便が担保されているかという意味でチェックしているもの)をしていたので、時刻がわからないと思ったのかもしれません。
優しい少年は、私に「本州から来たんですか?」と問いかけます。札幌から来たこと、20kmほど離れた駅から自転車でここまで来たことを話すと「そんな遠くから自転車ですか?」と驚いていました。
思い返すと私も小学校の頃の行動範囲はせいぜい10キロ圏内だったように思いますので、自転車でその距離を走ってきたのを(しかも折りたたみ自転車で)不思議に思ったのでしょう。
彼の住む町には「割引切符」がない
私は彼が時刻表を持って旅に出ていることから、札幌圏の子が「一日散歩きっぷ」などを使ってここまで来ているのだと思いました。「入場券を集めてるの?」と聞きますと首を振って「お小遣いでたまに列車に乗っている」と言う。そうか、午後になっていますが、本数の少ないこの地域、午前の列車を逃せば、もうこの列車しかありません。JR北海道が札幌圏の駅を限定して発売した普通列車用の1日フリー切符である「一日散歩きっぷ」は1995年4月1日から発売されていますから、もう25年以上前から発売されているロングセラー商品です。当時は大人2千円、子供千円で、現在は大人2,540円、子供1,270円と値上がりしたものの充分お得感のある切符であります。
一日散歩きっぷ
JR北海道
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Otoku/006500/
この切符を使えば、札幌から彼の住む駅まで往復しても充分元が取れます。しかし、彼の住む駅は無人駅。そしてこの切符の発売エリアから離れています。彼が思い立って周遊しようと思っても、正規の運賃を必要としますし、無人駅からの乗車なら、それを行うのはとても難しいことであるのです。
一日散歩きっぷについては、札幌圏からの気楽な日帰り旅行の提案でJR北海道としても有効な商品として認知されることになります。報道機関も発売当初は「静かな人気」と報じています。
静かな人気一日散歩きっぷ JR北海道 昨年度販売数を既に突破 1月までに6万7千枚
1997/02/07 北海道新聞
> 土・日と祝日、冬・春休み期間に限り、普通列車を一日乗り放題できるJR北海道の「一日散歩きっぷ」が一昨年四月に始めて以来、順調に伸びている。本年度の販売枚数は一月までで前年同期比五割増の約六万六千八百枚。マイカーとの競合で、乗客が伸び悩んでいる同社にとって、貴重なヒット商品になっている。
一日散歩きっぷは、通勤通学客の減る土・日・祝日などの集客を狙った商品。
しかし、事前購入ができないこと、一部を除く普通・快速列車しか使えないこと、そして発売駅を制限していることについて北海道新聞は急遽この切符の批判記事を何度も掲載することになります。
地方で買えぬ“格安切符” JR北海道「一日散歩」 往復で5千円の差
1997/06/11 北海道新聞
休日に格安運賃で列車の旅を楽しめるJR北海道の人気割引切符「一日散歩きっぷ」が、道内の主要駅でしか発売していないため、地方のJR利用者から批判が出ている。利用方法によっては、通常運賃と比べて往復で五千円近い格差が生じる区間もある。JR北海道は切符の性格上、発売駅を増やさない方針だが、「地方の利用客にも割引になる商品を考えたい」としている。
> ところが、同きっぷはエリア内であっても札幌、函館、釧路、旭川などの周辺駅でしか発売していないため、ほかの駅の利用者から批判が相次いでいる。
> JR北海道営業部は「都市の利用者数が極端に落ちる休日対策として設定した商品」として、今後も発売駅は増やさない方針。
ただ、地方駅では、マイカーを駐車できる「パーク&トレイン」の駐車料金を無料にしたり、特急・急行の割引切符の設定駅を増やすなどの対策も進んでおり、同部は「採算上の問題もあるが、今後、地方の利用増につながる商品も打ち出したい」としている。
また、読者投稿欄を使用して、何度もJRの「地方軽視」として投稿を掲載。JRも営業職からの回答として地方は別に特急割引切符などを発売して需要に応えるように配慮している旨を掲載します。
しかし、この批判はすぐに鎮静化。JR北海道が批判が多ければ切符の発売を継続できないこと、そのあたりをやんわり道新側に伝えたのではないかと私個人は思っていますし、現在に至るまで2018年に1度同様の投書を掲載した限りであれほど叩いていた道新がこの切符に関しては「有用」という視点で記事が何度か出るくらいには「不可侵」になっているように見えます。
もとより一日散歩きっぷは、休日に輸送力に余裕のあることから利用客の多い都市部から地方への「旅行喚起」な商品ですので、地方部から都市部への単純往復割引切符になってはならないのは明らかなことです。地方発が可能なフリー切符としては学校の長期休みの時期に発売される「青春18きっぷ」や「北海道東日本パス」などもあるにはありますが、なかなかこれを使うのは難しいのかもしれません。
過去には北海道中央バスが高速バスも利用可能、事前販売も行う同様のフリー切符を発売しましたが、当然に地方部からの「札幌往復割引切符」として使われ、1シーズンで発売を終えることになります。
「一日フリーきっぷ」中央バスが発売へ
1995/11/22 北海道新聞
> 北海道中央バスは十二月二日から来年三月末までの土、日曜、祝日(年末年始を除く)に、同社の路線バスを乗り放題で利用できる「一日フリーきっぷ」を発売する。
対象は、予約制や共同運行の都市間バス、スキーバス、定期観光バスを除く同社の全路線で、料金は大人二千円、子供千円。後志管内岩内町から札幌経由で石狩管内石狩町を往復すると、通常料金の大人四千三百六十円より二千三百六十円安くなる。
切符は乗車当日に限り有効で、一週間前から同社の主要ターミナル窓口で発売する。
中央バスのフリーきっぷ 買い物客らに好評 岩内
1996/01/26 北海道新聞
【岩内】北海道中央バスが今冬初めて発売した土日・祝日限定の道央地域乗り放題「一日フリーきっぷ」が好評だ。岩内地方では、札幌までのバス代が往復割引よりまだ安いとあって、買い物客らに人気を集め始めた。
とはいえ、子供料金がある気楽な1日券というのが、地方では発売されていないのは、やはり残念ではあります。現在旭川近郊で使用できる「道北一日散歩きっぷ」は残りましたが、函館近郊の「道南」、釧路近郊の「道東」は廃止です。
若年層割引の必要性
JR北海道がYOUNG GO GO CLUBと称した若年層割引を行っていたのはずいぶん昔の話です。「スカイメイト」的に会員カードを持てば25歳までの期間中運賃・料金が割引になる制度がありました。特に地方の学生が札幌などに移動するときに高速バスなどに対抗するには片道でも割り引く必要があると判断したものと思われます。
現在JR北海道が道内在住者に対する若年層の割引はなく(AIRDOひがし北海道フリーパスなど、道外からの航空利用者向けの若年層割引は存在する)むしろJR東日本と共同である「大人の休日倶楽部」など高齢者、中年層への割引の方が充実している状況です。ある程度金銭面で余裕のある層を重視する観点があるのかもしれません。
しかし、若年層が「鉄道に乗る」動機付けがないと、もうその人たちはずっと鉄道を使ってくれないということも考えなければならないですね。そうすると、安価に子供券もある「路線毎フリー切符」なんかがあるといいのかなと思うところです。
道南いさりび鉄道が、全線フリー切符を700円で発売(10月1日からは1000円)していますが、これの各路線版です。例えば室蘭近郊として長万部-東室蘭・室蘭-苫小牧(沼ノ端)・日高線をフリー区間で1000円とかね。室蘭-苫小牧が1,490円ですから、休日限定ならば悪い施策ではないように思いますが、どうなんでしょうね。
このような切符は「札幌に行けない」分安くていいと思うのです。地域を見て回る。地域の再発見をする。そして「地域の鉄道に乗ってみる」お試しですから、範囲は地方部だけでいいとも思うのです。
利用促進のてこ入れ策としての「子供が乗れる切符」
JR北海道の路線維持では「黄色線区」といわれる、地域とJRが一体になり路線維持を図る必要のある路線があります。しかし、その区間の「利用促進」として運賃補助を行っている地域は数えるほどしかありません。実際に地域の路線をどうでもいいと思ってるかはともかく、地域の子供たちが列車に乗る、そして路線のファンになってくれる施策は是非行って欲しいと思うところです。そのなかで自分で時刻表を持ち、自分で乗るという子を増やしていかなければならないと私は思っています。どうせ高校卒業したら車に乗って汽車になんか乗らないんだろ?そういう状況になってるからこそ、子供の頃から切符を買って自分で乗る子を増やすしかないと考えます。ダシはいろいろある。見慣れた景色も列車からだと違うのです。それが地域の再発見と、地域を大切に思う気持ちを育てることにつながっていくんじゃないか?
むしろ、車でどこでも行ける、地元の商業施設なんか使わないよ!そういう子を育て続けていることが地域の疲弊につながっているのではないか?そうも思うのです。

列車で揺られて昼寝して
自転車で疲れてしまったのもあって、列車では昼寝を貪りました。列車の中で眠ることができる安心がそこにあります。ジャンクション駅でまた少年が声をかけてきました。ここでお別れです。彼にとって今日黄金色に輝く麦畑が広がる車窓は素敵な思い出になってくれたらいいなと思いますし、無事に帰って、また出かけるんだとお小遣いを貯めて、今度はもっと遠くに出かける日があることを願って。そして、将来彼が地域の公共交通を好きでいてくれることを願っています。