北海道の交通関係

支障移転が進む倶知安駅を見てきました

2021/10/19

北海道新幹線の新函館北斗-札幌の建設工事は期間の長くかかるトンネル工事が主に進められてきています。2021年10月現在で貫通したトンネルは2本、工区として掘削を完了している工区が3工区あり、毎月1.5kmから2.5kmほど掘削が進んでいます。
長く掘削開始が遅れていた札幌市内の工区に関しても掘削が開始され、新函館北斗-札幌の全トンネル区間の約半分の掘削が終わっています。

地上区間に関しては新函館北斗駅付近の市渡高架橋区間の発注が始まり、今後「見えるところ」の工事も進んでいくと思われます。

さて、開業まで約10年となり、その大きな工事箇所である「駅」部分に関しても動きが出てきていますので、ここでまとめておこうと思います。駅自体の工事の前に、現時点でその場所に存在する施設などの移設作業が開始されているんですね。

倶知安駅支障移転

倶知安駅は現駅舎と現ホーム部分に新幹線駅が設置されます。そのため、現在のホームを廃止し西側に新しいホームを建設する作業が行われています。

2019年




2019年9月の倶知安駅ホームの様子です。翌2020年3月からH100形車両に置き換えられましたのでキハ40形が見えているのが2年前とはいえもう懐かしく感じますね。
ホームの西側は側線などがありましたが撤去されており、さらに夜間留置用の「車庫」がありましたが、2020年に使用停止され撤去されています。

駅舎は今もあまり変わっていないと思いますが、スキー置き場として使われていた部分が撤去されています。

2019年時点で、倶知安駅はホームのない1番線が小樽方、長万部方両方に出発、到着できる線路で、ホームと接する2番線が到着は小樽方からのみ、出発は小樽方、長万部方両方に可能、また3番線が到着は長万部方からのみ、出発は小樽方のみという制約がありました。


小樽側から旅客列車で倶知安に到着するホームは2番線しかなく、また、長万部方に出発できるのも2番線しかないため、小樽方から来て長万部方へ倶知安で乗換を要する列車では対面に乗り換えることができませんで、必ず一旦車両を引き上げ、入れ替えなければならない、構内作業の複雑さがありました。

2020年


キハ40やキハ150で運用されていた長万部-小樽のほとんどの列車がH100形に置き換えられました。3月のこの時点ではまだ新ホームの工事は始まっていません。




7月の段階では普段使用しないホームのない1番線を車両の一時留置に使用するようになり、夜間留置用車庫、検修庫を使用しなくなりました。この時点で夜間留置用車庫の解体も進んでいます。
新しいホームの基礎工事が始まっています。




11月の段階では新ホームと新留置用車庫の建設が進んでいます。


駅近くの北3条踏切付近では新しい本線と引き揚げ線の工事が進んでいました。




倶知安は雪深い土地で、12月もまだ半ばですがすっかり雪に覆われています。ホームや車庫の工事は一段落という形になっています。

2021年



倶知安駅舎の改札口と旧胆振線が使用していた1番ホーム部分は、もうしばらく残りそうではあります。



今年3月の段階では雪に埋もれた新ホーム設備を掘り返す作業が行われていました。前年秋の時点でわざと屋根をつけていなかったんじゃないかと推測できます。

新車庫はある程度前年秋までに完成させていたように思います。シャッターなどで中に雪が入らない構造ではないように見えますね。この時点ではまだ駅付近の北3条踏切の工事は行っていません。


今年5月の段階でホーム基礎部分は完成している模様です。


北3条踏切は新しい警報機用の基礎が建ち始めました。本線側の線路敷設も始まっています。

支障移設の工事標識。


5月中旬からは北3条踏切を約1ヶ月通行止めにして軌道敷設の作業を行っていました。

新ホームは屋根の工事を行っていました。



8月に訪問した際には踏切設備は完成し、新しい警報機はまだ設置されていない状況でした。


新ホームはほぼ完成し、あとは運行や乗客案内に必要な看板類を取り付けるだけになっていました。

また、車庫に関してもほぼ完成と思われます。車庫の終点側から見てもシャッターなどはなさそうに見えます。





10月17日の訪問です。新ホームへの切り替えが11月1日からと発表されています。


新ホームは現在のホームと平面に接続されることになっています。現時点では準備工事となります。

駅構内にホーム変更の案内が掲示されています。


新しい車庫も準備できた様子です。

現ホームへの跨線橋も運用が終了となります。1番線を使った車両留置も終了しますので、ここを車両が走る姿も見納めです。



北3条踏切も新しい警報機、遮断棒、踏切制御ボックスの準備が行われています。11月以降旧踏切を撤去すると思われます。

さらに小樽側の苗浦踏切から見える場内信号機です。現在使用中の1番線、2番線への信号には通電され赤が灯っています。新しい信号機は行き止まりホームとなる1番線、長万部方面へ直通可能な2番線両方に進入できるように設定されるようです。

線路脇に碑がある場所から倶知安駅方向です。新ホーム側への接続点の準備も進んでいます。





くとさんパーク側から見た新ホームです。
停止位置目標は1番線側が「○」(全ての両数の列車が同じ場所に停車する)となっており、基本的には3両以上は入らないように見えます。
また、2番線側は3両編成分の表記しかありません。通常は3両以上の列車は入りませんので、これで問題なしとなるのでしょう。1番線側が行き止まりですので、旅客通路は平面的に改札まで進むことができるようになります。


南1線跨線橋から見た駅構内全景です。新幹線は高架駅となりますので、この跨線橋も将来的には撤去されることになります。


列車行先変更(?)

現在のところ特段にアナウンスはありませんが、倶知安駅で列車交換(行き違い)ができなくなりますので、一部列車の行先変更や直通列車の乗り換えへの変更が発生するようになると思われます。
今回のホーム変更で設備的にはニセコ-小沢の24kmで列車の行き違いができないことになります。

現在のダイヤで倶知安駅で交換となる列車は以下の通りです。
2929D 長万部始発 07:39着 08:02発 小樽行
1924D 小樽始発  07:45着 07:52発  蘭越行

1950D 小樽始発  18:06着 18:30発 長万部行
2953D 長万部始発 18:13着 18:22発 小樽行

朝の2929Dは倶知安まで3両編成で倶知安で1両を切り離します。この1両で1924Dの蘭越行きとして倶知安で乗換としそうです。
夜の1950Dは倶知安行きとして1番線到着、2953Dが出発した後に入れ替えて同じ車両を2番線に入線させて長万部行きとするのが想像となりますがホームに待合室がないので、直通の方は少し不便ですかね。

追記
JR北海道サイトの時刻表情報からは1924D-1926D・1950Dー2950Dの2列車の直通表記が無くなっています。



今後の予定

旧設備のうち北3条通り踏切部分の撤去が行われます。

北3条通り踏切移設工事に伴う町道通行止めのお知らせ
https://www.town.kutchan.hokkaido.jp/town_administration/shinkansen/tuukoudome/



11月1日から30日までの1ヶ月間、車は踏切が使用できなくなります。歩行者用の踏切としては工事中も存置されます。

11月も中頃には雪の多い地域ではありますので、ほぼ工事らしい工事はできないと思われます。今年度の工事は現ホームなど一部設備の撤去に限定されるものと思われます。

2022年度以降は旧ホーム解体、そして駅舎自体の仮駅舎構築と移転なども始まろうかと思われます。

在来線併設駅であることから大きく変貌していく倶知安駅を今後も見ていきたいと思っています。



追記:移転後の新ホームを見てきました

10月31日にホームの移転作業が行われ切り替え作業は無事に終了した模様です。切り替えから約1週間後の新ホームの様子を見てきました。

(改札前からまっすぐ通路が設置されました)




(ホーム間の通路には屋根がないので現在は濡れてしまいますね。工事が進むと屋根が設置されますでしょうか。旧ホームは今のところは特段の工事は行われていませんが、一部の設備が撤去されたようです)

(2番ホームの3両停止目標から先1両程度の余裕がありますが、常設の停止位置目標はありません)



(1番ホームは小樽方からしか入りませんので全ての列車が同じ停車位置になります。形式的には対面乗り継ぎが可能ですが、現在の所待合室がなく、到着列車はすぐに回送するので、理想的な形にはなっていません)


(2番ホームは4両、1番ホームは3両が入れるようになっているようです。乗車位置目標が設置されています)

(むかい鐘はこの位置に移動していました)

長万部方からも小樽方からも到着、出発列車には臨時徐行信号機が設置されており45キロ制限になっています。臨時信号ですので、将来的には撤去されるように思われます。
ホームは比較的狭く、自動販売機などの設置もありません。実用十分の機能としたものと思われます。

倶知安駅の新幹線ホームに関する資料を見る限り、在来線が存続した場合もこのホームがそのまま使われるように見えます。もちろん不要であれば撤去となりそうです。

倶知安町 資料2_駅前広場駅舎(都市施設)レイアウト検討資料
3.駅前広場レイアウト 【在来線存続の場合 都市施設高架下型】
https://www.town.kutchan.hokkaido.jp/file/contents/3737/44299/siryou2.pdf





追記:2022年5月現在

北3条通り踏切は旧線部分が撤去されています。
 北3条通り踏切
北3条通り踏切
 北3条通り踏切
北3条通り踏切
 北3条通り踏切
北3条通り踏切
駅舎から新設ホームまでの通路に屋根が掛けられました。
 倶知安駅構内通路
倶知安駅構内通路
旧ホーム、跨線橋の解体はまだ始まっていません。
 旧ホーム部分
旧ホーム部分
倶知安駅舎も現状はそのまま使用されています。
 倶知安駅本屋
倶知安駅本屋

また、駅の長万部側にある倶登山川の道路橋が掛け替えられました。これも新幹線橋梁設置のための支障移転になります。
 旧第1倶登山橋付近(新幹線橋梁設置付近)
旧第1倶登山橋付近(新幹線橋梁設置付近)
 新第1倶登山橋
新第1倶登山橋

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