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北海道の交通関係
札幌市営地下鉄開業50年とSAPICAの立ち位置
2021/12/17
札幌市営地下鉄は南北線北24条-真駒内の開業から50年という節目の年を迎えました。
1971年(昭和46年)12月16日に開業した札幌市営地下鉄は、翌年に行われる札幌オリンピックの観戦客輸送も兼ねることもあり真駒内まで一気に開業することになります。
この年11月にはさっぽろ地下街が誕生、また、現在の札樽自動車道である札樽バイパス札幌西-小樽と道央自動車道千歳-北広島が開業したのも地下鉄開業直前の12月4日でありました。
1960年代後半からオリンピック開催決定もあり、街の様々な場所が大きく変わりました。
この頃の建設に限っても1971年に4丁目プラザビル、明治生命ビル(2015年に建て替えられ現在明治安田生命札幌大通ビル)、札幌三越の大規模な増築、1972年に札幌駅前五番館ビル新築、1969年のすすきのビル(ニッカの看板のビル)新築など、札幌の今の街が姿を現したのがこの時期と言えましょう。
札幌市の人口は1970年に100万人を突破します。周辺の手稲町などの合併となりますが、あくまで現札幌市域で見ても1965年に82万人、1960年に61万人ですから、単純に毎年4万人以上増えていたということになります。当時交通インフラは駅が少なく本数も限られた国鉄を除けば市電とバスで運ばざるを得ず、また、宅地が郊外に広がるにつれて通勤時間が長くなり、また、道路混雑も増すという悪循環が続いていきます。
最盛期の札幌市電がどのような運転間隔であったかを記載した興味深いブログ記事があります。よく参考にさせていただいていますPUPUPUKAYA様のブログです。
PUPUPUKAYA WORLD 最盛期の札幌市電ダイヤ
http://pupupukaya.sblo.jp/article/64553752.html
>この表をもとに朝ラッシュ時の駅前通りの運転間隔を計算すると、
1時間当たり75.5台、約48秒間隔。
48秒間隔ていえば、信号サイクルは大体2分ごとに青信号になるから、1回の青信号で2~3台が通り過ぎる計算になる。
当時の札幌市電の車両は現在の「旧型」とされる210形などの車両と同じです。1両に一応は定員100人としていますが、実際にそれだけ乗ると全く身動きが取れない上に、車内移動や降りることもできないような状況になりましょう。さらに「連接車」「連結車」といわれる複数車両を連結した車両まで導入。それが1分と間隔を開けず、状況によってはダンゴ運転になっているわけで、この状況を放置することはできないでしょう。1時間75台で理論上7500人、それが上下線なら1万5000人が1時間に乗車したと推計することになります。
札幌市電250形車両
大通、札幌駅から北側は市電がそのまま地下鉄に置き換わったと言えますが、南側は今まで市電の無かった場所に地下鉄が延びます。1969年までは定山渓鉄道が豊平-定山渓を結んでいました。豊平からは札幌市電が都心部へ接続しますし、定山渓鉄道も国鉄札幌駅まで乗り入れを行っています。
定山渓鉄道豊平駅跡の碑、札幌市電の終点でもあった。現在はマンションが建っている。
おじさんの手帳 道内時刻表 ’67 [鉄道]
https://suzuran6.blog.ss-blog.jp/2013-06-23
1967年の時刻表で見る定山渓鉄道は上り20本程度、こう見ると都市郊外型鉄道としてはあまり本数が多くありませんで、利便が高そうではないですね。それでも真駒内から豊平まで10分とかからず到着できるのですから、鉄道の高速性を発揮しています。ただし当時の定山渓鉄道真駒内駅は地下鉄自衛隊前駅の先、札幌市交通資料館付近であります。今、車で走ると日中なら20分程度になりましょうか。
中の島駅近くにあるじょうてつバス転回場
また、地下鉄開業前は定山渓鉄道バスが札幌駅-大通-豊平橋-豊平駅-平岸小学校-真駒内-南町4丁目とこの付近への複数の路線を頻発運行しています。この南町4丁目バス停付近に1968年に北海道警察学校ができ、それと同時に定山渓鉄道バスは真駒内営業所を開設します。
じょうてつ じょうてつのあゆみ
http://www.jotetsu.co.jp/about/ayumi10.html
定山渓鉄道は1972年に札幌市交通局へ一部の人員と車両を営業所ごと移籍しています。自社のバスの頻発で鉄道が斜陽化、そして地下鉄南北線の敷地として鉄道を廃止して土地を供出、しかし、地下鉄の開通で澄川地区などのバス利用者が鉄道に移管することが確定的になるにつけ、バス事業を札幌市営バスに供出することでスリム化、2003年には逆に札幌市営バス藻岩営業所路線を移管され現在に至ることになります。
もう一つ、札幌市内の交通網の問題は豊平川を渡る橋です。当時札幌都心部と豊平、平岸、真駒内方面を結ぶ橋は函館本線の橋より南側で国道12号線の東橋、一条大橋、国道36号線の豊平橋、1971年に開通する南7条大橋、南大橋、幌平橋、こちらも1971年に開通する南19条大橋、南22条大橋、1968年開通の藻岩橋、そして1970年開通の五輪大橋となります。多くのバスが12号線の東橋、36号線の豊平橋にあつまり、バスだけで渋滞するという状況が発生します。特に冬期は通勤時間が全く読めないという大きな問題になっていました。
地下鉄の開通は特にこの橋を渡ることに時間がかかり、さらに都心部で渋滞に悩まされるバスの乗客についても朗報でした。
開業当時の南北線1000形、2000形で最大4両編成でしたので1編成に360人程度の定員、4分間隔としても1時間片道5000人以上の輸送力となりましたが、それでもラッシュ時は不足することになります。当初は日中2両編成での運行を予定していましたが、これはほとんど行われること無く、1972年には車両を増備、最大6両編成を組むようになります。なお、この当時の車両は全長14mで、現在の車両より短い車両でした。1978年以降は8両編成で固定され、新型車両5000形では18m車体6両編成となります。編成定員は828人ですから、輸送力は開業当時の倍以上となっています。
南北線5000型車両
札幌市の人口は2021年12月で約197万人。50年前の地下鉄開業時から倍になりました。当時12.1kmだった地下鉄路線は48.0kmに、179,744人だった1日平均乗車人員は2019年に619,971人まで増えています。
しかし、路線は1999年に琴似-宮の沢を延伸開業して以降20年以上も新規で開通させることができず、その間交通局の努力もありますが単年度黒字化を達成しています。
地下鉄の「赤字」とは
札幌市営地下鉄50年 コロナ禍で赤字 厳しい経営続く /北海道
2021/12/17 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20211217/ddl/k01/020/017000c
「市からの補助金充当がないと赤字の経営が続いています」と書く毎日新聞ですが、本当にそうなのか確認してみましょう。
札幌市交通局 財務状況
https://www.city.sapporo.jp/st/zaimu/zaimuzyoukyou.html
あくまで単純な、収益面での収支です。乗車料金収入と広告料で人件費と営業経費を補っています。しかし、減価償却費が非常に大きいこと、そして地下鉄建設費として借りている企業債償還費が大きな面を占めます。それに対しての補助金収入は国庫から586万円、札幌市からのものが17億5711万円、その他合わせて19億円ほどとなります。もちろん小さい額ではありませんが、収入に占める割合は、乗車料金収入が300億円を超えるわけですので、そう多くもないということが言えます。
では、コロナの影響が少ない2019年の決算はどうだったのでしょう?
実は2019年まで14期連続で黒字を計上しています。乗車料金収入で90億円以上の黒字を上げていたことになります。その中でも補助金額は19億円ほどと変わっていません。つまり「補助金が無ければ赤字の経営が続いています」は残念ながら大嘘です。
とはいえ、そこまでの嘘を書けないでしょうから、何か根拠はあるはずです。
そう、資本的収支、つまり、地下鉄には建設費、車両購入や設備更新など多額の初期投資が必要です。しかし、通常赤字黒字という時にこの表現は使いません。地下鉄や水道など「設備」を先に作らなければ収入が得られない事業で資本的収支が黒字になることは基本的に無いといっていいでしょう。だからこそ減価償却費や利益から補填するわけですね「補てん財源制度」で検索ください。
極端な例ですが、住宅ローンの残高と単年の収入を比較して赤字という人はいないってことです。
その企業債残高も、20年間新規で路線建設を行っていませんから、確実に償還が進んでおり、残高は2363億円とのことです。東豊線は軟弱地盤を走り、また、収入の多く見込めない路線でありました。それもあり、企業債の借り換えのための緩和債を発行して借金で償還する形を取らざるを得なかった。それも今はかなり緩和されていることがわかります。年間40億から50億程度を償還し、ここ最近は償還のペースが速まっている中でのコロナ渦です。それでも償還をしなければならない。補助金が必要になる面です。そしてその補助金は単なる赤字補助ではないということを正しく理解していなければならないと思うのです。
交通局、企業債支払い利息 昨年度は286億円に 札幌
1995/10/21 北海道新聞
> 昨年度末の企業債残高は五千百十億円で、このうち、金利七%のものが千三百二十四億円と全体の二六%を占め、八%のものも百五十三億円に上る。市は負担軽減を図るため、九三、九四の両年度で計十七億円の繰り上げ償還をしたほか、金利七・五%の十四億円を三%台のものに借り換えた。
1995年当時の記事です。企業債の利払いが286億円、しかも金利が高い。そのために「繰上償還」を行って借り換えも行ったということも記事になっています。地下鉄は現在健全な運営を行っていますが、それができているのは駅の委託などの人件費抑制などが行われていることの問題を別に考える事も必要です。委託費用が安いために、地下鉄駅員は公務員では無く公社職員で多くが非正規、彼らが地下鉄を維持しているということの危機感を感じなければなりません。
とはいえ、地下鉄が黒字化したのはそう昔のことではありません。
札幌市営地下鉄-不振東豊線が重荷、88年度末見込みで累積赤字1千億円を超す
1989/04/12 北海道新聞
> 近年、百三十-百四十億円で推移していた単年度赤字が昨年度大きく膨らんだことについて同市交通局は、昨年十二月二日に開業した市内三線目の東豊線建設費の金利償還や減価償却が始まったうえ、同線の利用者が当初計画の半分にも達しない不振が続いており、同線だけで五十三億円の赤字を出した事情を挙げている。
地下鉄事業は、東豊線で一キロ当たり二百六十二億円と建設費が膨大なため、どの公営地下鉄も赤字経営を強いられているのが実情。
先の建設費償還や減価償却が重いのもありますが、利用者が伸び悩み、また、運賃も抑えられている実情があります。年100億円以上の赤字となりますが、これも先の話と同じで建設費の償還が累積赤字として積み上がる非常にまずい状態が続いていたのがこの時期です。ちなみに初乗りが140円の時代です。翌年160円に値上げされます。
<社説> 火の車の札幌地下鉄どうする
1991/08/30 北海道新聞
> 地下鉄は北国の快適な足であり、地域に及ぼす有形無形の恩恵は数字で表すことはできない。しかも子々孫々に引き継がれる財産だから、必ずしも短期的に収支の帳じりを合わせなければならないものでもないだろう。
> 地下鉄の現状改善はひとり市当局の努力だけでなく、市民の側も我慢すべきは我慢して協力しなければ進まない。その意味で、着工見送りを、市民ぐるみで地下鉄の将来を考える機会にしたい。
しかし、地下鉄の利点は当然メディアも理解していますから、どうこの局面を乗り越えるのか?が大事であるとしています。
札幌市交通局、職員900人を削減-乗務時間も延長へ。地下鉄、赤字1000億円を超す
1991/10/31 北海道新聞
>市交通局は三十日までに、約三千百人の職員の三分の一弱に当たる九百人余りの削減を含む合理化案の骨子をまとめた。それによると(1)現行の乗務時間の延長(2)諸手当の廃止(3)業務委託の促進-などを行う一方、定期昇給の延伸も盛り込み、かつてない大規模な内容になっている。同局は十一月五日に交通労組に合理化案を提示する。
合理化案は大きく分けて(1)労働生産性の向上(2)業務委託(3)経費の削減(4)増収対策-の四点からなり、このうち生産性の向上では、管理職手当を削減し、乗務・整備などの特殊勤務手当と、五十三歳以上の職員に認めている高齢者ダイヤを廃止するほか、乗務時間は地下鉄、路面電車、バスの各部門で一時間程度それぞれ延長する。
交通局はまず人件費の削減を行います。まだバス事業を持っていた時期ではありますが、まずは人件費を削減し、支出を絞ることを開始しなければなりませんでした。駅の公社委託はこの頃から始まっています。
札幌市営交通再建、道に支援を要請-桂市長、沿線施設配置などで
1991/12/04 北海道新聞
> 桂札幌市長は三日、札幌・豊平館で開かれた道・札幌市行政連絡会議の席上、横路知事に、巨額の赤字を抱える札幌市営交通再建に対する支援を要望、地下鉄建設への道費補助、地下鉄沿線への道立施設の配置を求めた。
あたりまえですが沿線に目的地が無ければ地下鉄に乗りません。札幌ドームの時もそうですが、地下鉄沿線に何かを作るという話はこのときに確約されたとも言えましょう。逆の言い方をすると不便な場所に設備を作ることは、利用者のためにもならないということでもあります。
ただ、市民は地下鉄に大きな信頼を寄せる「事件」もありました。
地下鉄 ドカ雪で乗客数記録更新 初の一日80万人台
1995/12/23 北海道新聞
> 記録的な大雪の影響で札幌市内の道路は依然大渋滞が続いているが、“雪に強い”地下鉄の一日当たりの利用客数が初めて八十万人台を突破、昨冬の同時期と比べ十万人以上も増えたことが二十二日、市交通局の速報データで分かった。
札幌でも自家用車が利便が高い地域はともかく、地下鉄沿線でも車を使っていることが露呈するわけですね。
さて、さまざまな策を行った結果、2006年度決算で地下鉄は25年ぶりに黒字を計上することになります。2006年の25年前は1981年。収支が均衡していたのは東西線新さっぽろ開業前あたりまでだったということがわかります。
日ハム効果?! 札幌地下鉄 25年ぶり黒字 でも累積赤字3412億円
2007/12/21 北海道新聞
> 札幌市営地下鉄(高速電車事業会計)の二○○六年度決算がまとまり、経常収支が二十五年ぶりに黒字となった。人件費抑制や企業債の借り換えによる支払利息の減少が奏功。北海道日本ハムの人気も乗客増の一翼を担い、黒字化に貢献した。
経常収益は四百八十二億二千万円、経常費用は四百七十八億八千万円で、三億四千万円の黒字を計上。市交通局が一一年度に見込んでいた単年度黒字を五年早く達成した。
このからくりですが、札幌ドーム観戦客ももちろん影響があったのですが、1日あたりの利用客の増加は0.9%にすぎませんので、増えたことは意味はありますが、大きな金額の問題にはなりません。
最も大きいのは企業債の利息低減です。これが単年度赤字の解消には最も重要なことでした。先の企業債残高です。2006年は平成18年ですので、企業債残高は4800億円ほど、そのなかで緩和債や平準化債が大きくなった=金利が安くなったのがわかります。
現在約2300億円の企業債残高ですが、平均利率は1.35%とのことで、先に7%、8%で借りていた企業債なら利払いだけで収入を食ってしまうわけですね。もちろんこの当時は一般会計からの補助金も収支に対する意味が大きいこともわかります。2010年度の補助金が74億円あまりで45億円の黒字ですからね。
この時代を思えば補助金頼みと言われても仕方ないかなとも思いますので、単純に毎日新聞が最近の動向をチェックせずに思い込みで書いているんじゃないかとは思われます。いずれにしても現在の低金利があるからこその「黒字」であることは理解しなければなりません。
地下鉄を延伸できるか
20年にわたって路線の延長ができなかった札幌市営地下鉄ですが、もちろん建設債の残高がまだ残っている状況で新規に建設するのは難しいという判断もできると思われます。また、どうしても建設は末端部の利用の少ない地域となりますので、それを行いたくないというのが市長の現在の考えのようです。「東豊線延伸を」期成会が要望書 市長へ提出
2021/12/09 北海道新聞 札幌面
> 札幌市清田、豊平両区の町内会などでつくる「地下鉄東豊線建設促進期成会連合会」(牧野晃会長)は8日、市役所を訪れ、秋元克広市長に地下鉄東豊線の清田区への延伸を求める要望書を提出した。
東豊線の延伸は、当初北野への予定でしたが、清田区の分区などで清田地区(現清田区役所)への変更が求められています。
地下鉄清田延長 「採算性確保は十分」 交通対策審 市長に答申 市、本格的に検討
2001/04/28 北海道新聞
> 将来の札幌市内の交通体系を検討してきた札幌市総合交通対策調査審議会(会長・小林好宏札幌大教授)は二十七日、審議結果を桂信雄市長に答申した。答申は地下鉄東豊線の福住-清田区役所の四・二キロ延長問題について、「延伸に向けた検討を進めていくことが必要だ」と結論づけ、市に推進を求めた。答申を受けて市は内部検討を本格化させる方針だ。
また、現市長の秋元氏は市長選挙で札幌ドーム方面への地下鉄延伸に言及しています。
<2015札幌市長選>秋元氏「交通アクセス整備」 3歳未満の保育を拡充
2014/09/19 北海道新聞
> ――市営地下鉄延伸は。
「冬季五輪が招致できれば開会式や閉会式には札幌ドームを使うだろう。東豊線福住駅から札幌ドーム方向は、五輪開催などの新しい考え方を取り入れれば可能性がないわけではない」
しかし、結果的に厳しいとして事実上の撤回に追い込まれます。
東豊線延伸 精査に時間 市長会見 黒字化困難「変わらず」
2017/04/27 北海道新聞 札幌面
> 札幌市の秋元克広市長は26日の記者会見で、2年前の市長選で公約に掲げた市営地下鉄東豊線の清田区方面への延伸検討について「将来の需要をはっきり推計できる状況にない」と述べ、黒字化が難しい状況は変わらず、精査に時間がかかるとの見通しを示した。
市は2011年、福住駅から約4キロの延伸効果を試算し「黒字化は困難」と判断した。一方、秋元市長は「冬季五輪・パラリンピック招致に合わせ、札幌ドーム周辺を歩いて楽しめる空間に整備するとともに、地下鉄の清田方面延伸を検討する」と公約していた。
2019年の市長選挙では、大幅にトーンダウンし、しかし、要望はあるのはわかっているので玉虫色的な表現で公約に載せることになります。メインはアクセス道と新幹線後の駅前開発で、あくまで地下鉄延伸は可能性検討にとどめます。
<札幌市長選2019>「超高齢化へ基盤作り」 秋元氏公約 アクセス道 早期完成
2019/03/06 北海道新聞 札幌面
> 札幌駅前再開発促進、バスターミナル整備
> 都心アクセス道路早期実現
> 地下鉄東豊線清田方面延伸の可能性検証
それは現時点でも大きく変わらず、会見で問われた市長はこのように答弁します。
札幌市 2021/12/16
令和3年度第15回定例市長記者会見記録
https://www.city.sapporo.jp/city/mayor/interview/text/2021/1216.html
> 地下鉄の延伸ということになると、やはり交通事業として国に申請をしていくことになりますので、収支採算性ということが一番大きな課題となってまいります。これまでも何度か計算をしておりますけれども、なかなかその収支採算性が出ておりません。建設した分の投資額を乗車料金で回収をしていくことになりますので、乗車人員や乗車料金が倍になるということでなければ、採算性が取れないことになり、これは現実的でないということで、今後、土地利用ですとか、人の動きについて、引き続き見ていきながら、延伸ということについて考えていかなければいけないと思っております。
ただ、低金利だからこそインフラ投資を行った場合の負担が少なくなる面もあります。また、将来的に人口減少を押さえることを考えるならば、都心からある程度の距離の中に住んで貰える、地下鉄沿線に人が集まる形を作ることが得策とは思いますが、今はその判断ができない状態とも言えましょう。
企業債の残高が1000億円程度までになる、あと5年程度後にはそのような話がもしかすると出てくるかもしれません。
ICカード乗車券SAPICAの立ち位置
さて、その市長の会見ではもう一つSAPICAについての話が出ていました。札幌市 2021/12/16
令和3年度第15回定例市長記者会見記録
https://www.city.sapporo.jp/city/mayor/interview/text/2021/1216.html
> SAPICAにつきましては、地下鉄・バス事業者などと一緒に運営体を作ってきております。その背景として、以前札幌で使用されていたウィズユーカード(磁気式共通乗車券)はバス事業者などと共通カード化し、割引制度も設けておりましたが、それをICカードに落とし込んだものがSAPICAであります。
そのときに、JR東日本さんが提供しているSuicaなどとも一緒にできるかなど、いろいろな議論がありました。
多くの都市では、運営体制をJRさんにお任せして、カードを共通化するというやり方をとっておりますが、札幌の場合は、ウィズユーカードで独自の割引制度を設けており、その料金体系はJRのほうにはありませんでした。さらに、単なる交通カードではなく、市民カードとして、お買い物に使えたり、いろいろなポイントを付けられたりするなど、交通事業以外のサービスを付加するということも踏まえて交通事業者の皆さんの同意の中で作ったものがSAPICAです。
JR側のSuicaを読み取るために、交通局の読み取り部分はすでに改修しておりますが、JRさん側でSAPICAを読み取れるようにするには、改札の読み取り部分を改修してもらわなければなりません。それは非常に多額の経費がかかるということで、なかなか進まないというのが実態ですので、引き続き、JRさんとは相互利用できる方策を探っていくことになります。
今後もSAPICAの利用については、例えば、市民のみなさんが何かに参加したときのポイントとして使うなど、さまざまな形で市民が利用できるサービスを広げるということを今でも進めていると思いますが、引き続き検討を進めていきたいと思います。
HTB
JR側としては、SAPICAを使えるようにすることについて、前向きなご意見というのは出てきていないでしょうか。
市長
多額の経費がかかりますので、JRさんの投資と見合うメリットはないということで、なかなか進んでいないという状況です。
HTBの聞き方も「JRで使えない」ことを「使い勝手の悪さ」として聞いていますが、最初からSAPICAはJR北海道と互換性を持たせない形で導入しており、市長の答弁も、JR北海道が改札機を改修という形になっているのは違和感です。
SAPICAは当時ですら全国的にICカードは共通化しようという思想の中で動く地域が多かった中「市の独自性」を発揮するためには独自規格でなければならないとしていましたので、SAPICAがそれを選ばなかった以上JR北海道が改札機を改修する可能性は少ないといえましょう。
SAPICAの前に札幌市営地下鉄はICカード乗車券の実証実験を行っていました。
札幌の地下鉄で来月実験 用途広いICカード 改札通過時間短縮 売店支払いも
1999/10/13 北海道新聞
> 現金の代わりになる特殊なIC(集積回路)カードの公共交通への応用実験が、十一月から札幌市内で始まる。地下鉄の五つの駅での実験だが、将来的には地下鉄などの料金支払いはもちろん、市営駐車場や地下鉄駅売店での支払いなどに用途が広がる可能性がある。札幌市が導入している代金先払いの「ウィズユーカード」よりも、改札に要する時間も大幅に短縮されるという。
実施するのは同市が出資する第三セクター・札幌総合情報センターで、実験期間は来年度末まで。
> 本年度の対象は関係者二百人。使用可能な場所は地下鉄東西線の大通、菊水、発寒南、大谷地、新さっぽろの五駅。
この実験はその後地下鉄全駅、そして今では当たり前の買い物などの決済に使えるまでに成長します
札幌の地下鉄全駅に読み取り機 ICカード実験拡大 数万人に
2002/04/30 北海道新聞
> 電子マネー普及のモデルケースとしてIC(集積回路)カードでの料金支払い実験が行われている札幌市営地下鉄で、事業主体の国が実用化に向け実験規模を拡大させることが二十九日、明らかになった。これまで東西線各駅とさっぽろ駅にしかなかった同カード読み取り機は同日までに全駅に設置。現在約二千人の実験参加者も七月以降に追加募集し、今後二年間で数万人規模にする方針だ。
同カードは、町中に設置した入金機で、内蔵のICチップに入金情報を記録し電子マネーとして支払いに使える。
このカードはS.M.A.Pカードという名で、私も実験に参加しています。
クレジットカード型のテストカードはS.M.A.Pカードとしての利用の他MONDEXバリューのチャージも可能という複数のICカード決済システムを導入した上で、さらにクレジットカードとしても使用できるカードとなります。
札幌市営地下鉄の一部の改札機にリーダーが設置されており、券売機での使用はできませんでした。チャージ用の機器はさっぽろ駅等一部の駅に設置されていました。
なお、後には札幌市電でも利用できるようになり、乗り継ぎ割引も自動適用になるなど、システムとしては問題の無いレベルであったといえましょう。
なお、私は定期券は使用していませんでしたが、定期券利用のためのリライト式のカードも発行されていた模様です。チャージ時にポイントが付与され、1万円チャージ毎に1100円分のウィズユーカードと交換が可能という制度も行われていました。
共通ウィズユーカード
なお、1997年から札幌市営地下鉄、札幌市電と札幌市内のバス3社で利用できる磁気カード「共通ウィズユーカード」が発売されていました。このシステムは回数券のない札幌市営地下鉄でプレミアムが付与され、また、市内ほぼ全域のバスで使用できるという大変利便性の高いものでしたが、唯一JR北海道の鉄道では使用できないという制約がありました。
S.M.A.Pカードの実験と並行するような形で首都圏ではJR東日本がSuicaの導入を開始します。当初は磁気カードのイオカードの置き換えをメインにしていましたが、その後電子マネーとして買い物などに利用できるようになり、そして2004年からはJR西日本の関西圏で利用できるICカードICOCAと、2007年からは首都圏の地下鉄、私鉄が導入するPASMOとの相互利用が可能になります。
そのS.M.A.Pカードは2005年に突然というほどあっけないタイミングで終了を迎えます。利便を感じていたモニターはその後SAPICAが導入されるまでの4年ほどの間、また磁気カードに戻らなければならなかったのです。
そのSAPICAを導入するにあたり、札幌市は「共通化」を目指した協議を行っています。
地下鉄、JR、バス これ1枚でOK 共通ICカード検討 札幌圏の交通5社 05年実用化目指す
2003/01/05 北海道新聞
> カード一枚で改札スイスイ-。札幌圏で公共交通機関の利用客の乗り換えをスムーズにしようと、札幌市交通局やJR北海道、バス三社などが研究会をつくり、共通の集積回路(IC)カードシステムの導入を検討していることが四日までに分かった。早ければ、二〇〇五年の実用化を目指す。将来的には、既に首都圏で実用化したJR東日本や、導入を検討中の関西圏各社との連動の可能性もある。
この研究会は「札幌圏公共交通ICカード事業研究会」。札幌市内のシンクタンク「北海道総合研究調査会」(広畑民雄理事長、通称HIT)が市交通局とJR北海道のほか、じょうてつ、ジェイ・アール北海道、北海道中央のバス三社の計五事業者に呼びかけ、〇二年十一月に設立。市営地下鉄でICカードの実証実験を行っている市の第三セクター、札幌総合情報センターや、道運輸局もオブザーバーとして参加した。
同研究会が描いているシステムのイメージは、札幌圏でJRや市営地下鉄改札機、バスの料金箱に統一のICカード対応機を設置。一枚のカードで、どこで乗降しても自動的に料金を引き落とせる仕組みとする。乗り換えのたびに券売機で現金を扱う必要がなくなり、乗客の煩わしさが解消される。
札幌市内とその近郊路線を対象とする方針で、JRは小樽や新千歳空港、岩見沢、石狩当別あたりまでの範囲で導入を想定している。
札幌市がS.M.A.Pカードを実験しているなか、そしてJR東日本がSuicaを導入したタイミングです。2004年からSuicaの電子マネーとしての駅ナカ利用が開始されています。そして将来的な関西圏との相互利用はこの時点で決まっていたはずですので、当然札幌も2005年にはS.M.A.Pカードがそのままかどうかはともかく、JRでも地下鉄でもバスでも使える複合的な乗車カードになると疑っていなかったのです。
なお、S.M.A.Pカードは2004年にはバスでの実験も検討していたようですが、それは実現しませんでした。そして2005年に全ての利用が終了します。
2006年1月には北海道新聞がJR北海道が「Suica」を導入すると報道。これは結果的に誤りで、2008年にKitacaを導入、その後Suicaとの相互利用も開始されます。
札幌市は2007年にJR北海道のKitacaとは相互利用しない方針を早々に発表します。
札幌市 地下鉄カードのIC化 JRとの共用断念
2007/02/20 北海道新聞
> 札幌市は十九日、二○○八年度に導入する市営地下鉄のプリペイド式のIC(集積回路)カードをめぐり、JR北海道(札幌)が〇九年度に導入するICカードとの相互利用方式を事実上断念する方針を固めた。当初は地下鉄で導入後の数年以内に実現させることを目指していたが、電子マネーなど技術面で札幌独自のサービス機能の充実や、費用対効果の面で難しいと判断した。
>市交通局幹部は「JR北海道はJR東日本の仕組みに基づくシステムを導入する方針のため、ICカードに札幌独自に多機能を付与するのは技術面でもコスト面でも難しくなる」とした。ただ、JR側と技術面の協議は続ける考えだ。
札幌市がこの時点でSuica・Kitacaと互換を取らない理由は電子マネーと「札幌独自のサービス」としました。
<インサイド>来年度導入 ICカード乗車券 相互利用に高い壁 札幌市交通局 赤字で多額投資難しく/JR北海道 「スイカ」と同仕様主張
2007/08/14 北海道新聞
> JR北海道が導入するICカード「Kitaca(キタカ)」と札幌市のICカードはともに、JR東日本の「Suica(スイカ)」などと同じ非接触型ICカード技術「FeliCa(フェリカ)」を使い、きっぷの電子情報を統一する日本鉄道サイバネティクス協議会の規格(サイバネ規格)に準拠している。
> 一方、札幌市交通局のICカードも基本的なシステムはJR北海道と同じ。相互利用が見送られたのは、地下鉄と市電などとの乗り継ぎ割引や、磁気式プリペイド(前払い)の「共通ウィズユーカード」に付けている増額分などの機能をICカードでも継承するため、独自の仕様を目指している点が大きい。
同局によると、キタカと互換性を持たせたうえで乗り継ぎ割引などの機能を追加した場合、ICカード導入費用として一三年度までに見込んでいる約三十五億円を大幅に上回るという。ICカード導入でも従来のサービスは維持する方針だが、累積赤字約三千四百億円を抱える市営交通事業の経営状態では「多額の投資はしにくい」と話す。
SuicaやKitacaと相互利用できない理由を乗り継ぎ割引とポイント制度とします。
JR北海道は地下鉄との相互利用は模索していたように見えます。
<いんたびゅー>一條雅弘さん(53) JR北海道Kitaca事業室長 IC乗車券導入の狙いは 改札スムーズ 混雑軽減
2008/10/16 北海道新聞
> --札幌市民にとっては地下鉄との相互利用ができるようになるのかが気になります。
「私たちも相互利用をしたいと思い、早い時期から市と協議をしてきました。残念ながら読み取り方式が異なるなどシステム上の問題で現状で相互利用は難しい。将来的な可能性を残すため、情報交換は続けています」
2009年に導入されたSAPICA。初日にはノベルティも配られ、対応改札機が少ないことから対応機はピンク色の表示を追加した。
とはいえ、全国的に交通系ICカードは相互利用が進み、札幌を訪れた観光客がSuicaで地下鉄に乗れないのが非常に不便であるという話になるのは当然のことでした。そして、市電やバスでの利用もできない状態が続いていましたが2013年にそれが解消されます。
ICカード乗車券 サピカ(札幌地下鉄、市電、バス)、キタカ(JR、札幌地下鉄、市電、バス) 13年度にも利用範囲拡大 使い勝手向上に期待
2011/01/14 北海道新聞
公共交通機関で利用でき、電子マネー機能も持つ集積回路(IC)カード。札幌市が市営地下鉄で使われている「SAPICA(サピカ)」を2013年度にも市電やバスへ拡大し、サピカ利用エリアでJR北海道の「Kitaca(キタカ)」も使えるよう検討していることが明らかになり、利便性向上への期待が高まっている。
市電、札幌市内近郊の路線バスへのSAPICA導入と、Kitaca・Suicaなどの片方向利用を可能にしたのがこのときです。
当然に札幌市もSAPICA陣営である地下鉄、バスで首都圏や全国的に普及が広がる全国交通系ICカードが使えなければ話にならないということは認識しているわけです。
しかし、逆に、SAPICAを交通系ICカードとして使用してしまえば本州の事業者とのやりとりが必要になる上、札幌市民がチャージした金を他地域で使用してくることになるわけですから、自分の懐に入った金が出て行くということを極端に嫌ったとも言えましょう。
JR北海道と共通化したくないのでは無く、単に自前の金が出て行くのが嫌というのは隠していません。
<現代かわら版>地下鉄ICカード「サピカ」登場1カ月 利用増へ 鍵は相互利用 スイカとも 互換性で「キタカ」優位 安全性、集金方法… 規格統一 札幌市及び腰
2009/03/04 北海道新聞
> 市は、サピカに敬老パスや図書館の貸し借り、住民票の取得など市民生活に役立つ仕組みを持たせる考え。そのためには「バスで利用できることが必須条件」(市情報化推進部)なのだ。
*他圏域は先行
全国的にはICカードの相互利用が急速に進んでいる。
スイカは〇七年三月から、関東圏のバス、私鉄の「PASMO(パスモ)」との相互利用が始まった。関東圏は今、スイカかパスモを一枚持っていれば、ほとんどの電車・バスに乗ることができる。自動販売機や売店もこの一枚で支払える。
>*「地元に金を」
札幌市営地下鉄とJRが相互乗り入れできない状況はさておき、なぜ同じICカードのキタカとサピカは相互利用できないのか。
札幌市交通局は「セキュリティーの問題と、運賃などの集金方法にある」と説明する。
JRが要求した高度なセキュリティー規格に対応するには費用がかかりすぎるというのだ。この規格に対応すると、バスの車載機も、さらに高額になる。
また、サピカには利用額に応じて10%のポイントがつくが、キタカにはない。バスとの乗り継ぎ割引は、地下鉄にはあるが、JRにはなく、計算が複雑になるという。
さらに、サピカに将来、電子マネー機能を持たせた場合、集金方法をキタカの規格に合わせてしまうと、集金作業がすべてJR系列の会社が行うことになる。市としては「地元にお金を回してほしい」との思いがあった。
こうした札幌市の「事情」について、道外の交通事業者は言う。「ほとんどの交通事業者が、ICカードに『運賃の支払いやすさ』の役割を持たせたのに対し、札幌市は先に『市民カード』の役割を重視した。良いことだと思うが、ICカード導入の目的を考えれば、順番が逆では」
結局SAPICAエリアの住民が不便を強いられても「金が出て行かないこと」が重要であることなんですね。
そして札幌市がこだわった「独自のサービス」は結局図書館貸出券と市役所や区役所での利用くらい。もちろん乗り継ぎ割引やポイント制度、敬老パスはありますが、これを実現しながら交通系として相互利用している地域もあります。
北海道新聞でも散々比較されるのが福岡市交通局の「はやかけん」西鉄のnimocaやJR九州のSUGOCAも含めた交通系ICカードとして全国で使用できます。そして地下鉄とJRで行われている通過連絡運輸による運賃割引にも当然対応、はやかけんのみに付与できる敬老パス、身障者割引も自動適用されるのはSAPICAと同じです。むしろ札幌市は敬老乗車カードはSAPICAではなくシステムは同じだが独自のカードを発行しているという意味では退化しているとも言えましょう。
函館市は市電と地域を運行する函館バスのICカード導入に西鉄のnimocaのシステムを導入しています。
函館市 ICAS nimoca
https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2020111700024/
バスと市電、バス同士の乗換で乗継割引が自動適用され乗車ポイントの制度も装備されています。そして当然に交通系ICカードとして相互利用が可能です。
全国で使えるからこそ「おみやげ」としてアピール可能なICAS nimoca
北海道新幹線の利用者が函館市内で交通機関を使うとき、Suicaなどが使用できないと話になりません。その上で乗り継ぎ割引やポイント制度といった仕掛けを最初からパッケージングされているnimocaは函館市の使い方に非常にマッチしています。また、高齢者にはnimocaポイントとして付与することで対象の交通系や加盟店以外の利用ができない仕掛けとしています。
札幌市が威厳を持って独自規格を押し切ったSAPICA。図書館貸し出しカードはWEBでは券番号を控えなければならないのでSAPICAだけでは完結せず、区役所の手数料支払いは今やSuicaなどの交通系ICやWAONなど流通系電子マネーも使用できるようになりました。全く「独自」の意味が無いカードになっています。
ただ、バスに乗っても、地下鉄に乗ってもSAPICAの利用は多いです。道外に出る機会が少ない札幌市民にとっては困らないこともまた事実なのでしょう。しかし、新幹線で街は変わります。函館に行っても使えない、本州なんて当たり前に使えない「札幌地域だけのICカード」は行き来が多くなれば使いにくいカードになります。
今、Suicaは携帯電話に入っています。AppleWatchでも使えます。それで電車やバスに乗るのが当たり前。札幌でもその普及で不便なSAPICAに見切りをつける人も、もしかすると増えてくるかもしれません。
あくまで個人的な意見はJR北海道に改札機の改修という、他地域との共通化の関係上難しい案件を声高に主張するよりも、頭を下げてSAPICAを全国で使える交通系に加盟させる方向のほうがずっと正しいと私は思っています。
(仙台市のicscaのように地域のJR路線だけ使用できる相互利用という方法ができるのは当然認識した上での意見です)