北海道の交通関係

JR北海道2022年新ダイヤ素案発表

2021/12/20

JR北海道は2022年3月に予定されるダイヤ改正の概要が発表されました。
まず、そのリリース文を読んでみましょう

JR北海道 2022年3⽉ダイヤ改正について 2021.12.17
https://www.jrhokkaido.co.jp



今回は比較的小幅の改正内容になったように思われます。
大きなトピックとなるのは特急「おおぞら」からキハ283系が引退し、すべての列車をキハ261系で運行するように改めること、また、根室線新得-釧路の全普通列車をキハ40形からH100形に置き換えることでしょう。これにより、新得-釧路は貨物列車に使用されるJR貨物のDF200形も含めてJR化後以降に製造された車両にすべて置き換わることになります。

根室線御影駅で行き違いを行うキハ40形とキハ283系の特急「おおぞら」
根室線御影駅で行き違いを行うキハ40形とキハ283系の特急「おおぞら」
根室線新得駅を出発するDF200形の貨物列車
根室線新得駅を出発するDF200形の貨物列車
車両面の置き換えに関しては以前の記事も確認ください。

JR北海道の2022年3月改正。キハ283引退と廃駅、そして新駅
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1071


また、純然たる新駅開業としては20年ぶりとなる「ロイズタウン駅」そして移転という形にはなりますが「名寄高校駅」が開業します。

新型コロウイルスに対する利用減少は続いており、若干の改善は見られたといってもインバウンド需要もありませんし、公共交通機関の忌憚というのも続いているように見受けられます。

それを踏まえて、同時に発表されているJR本州3社などでは減便を示唆する改正内容になっています。特にJR西日本ではラッシュ時、日中も含めた減便も行われており、それに比較するとすでに「減便状態」であるJR北海道ではこれ以上の減便が非常に困難であることも見て取れます。

輸送改善

特急「おおぞら」のキハ261系への統一


札幌-帯広-釧路を結ぶ特急おおぞらは1997年からキハ283系による「スーパーおおぞら」として、従来よりも大幅にスピードアップし、札幌-釧路を3時間台で結ぶという大幅な時間短縮を行いました。
そのキハ283系が2011年に発生した脱線事故では6両が廃車になり、その後の減速減便運転では最高速度が110キロに制限されるという、他車よりも大幅に制限をされた状態で運行されていました。
しかしながら、カーブを高速で走行できるという振り子車両の特性は生きており、現行の最速は札幌-釧路の上り12号で337.6kmを3時間59分平均時速84.8キロで、札幌-帯広209.3kmを2時間25分平均時速86.6キロで運行しています。

2020年から3往復がキハ261系に置き換えられたものの、ほぼ所要時間の増加はなく、最高速度の向上と曲線通過速度の低下がほぼ帳尻が合っているといえましょう。次回改正で全列車がキハ261系に統一されますがおおぞら12号の最速は維持され、ほぼ所要時間の変化はありません。むしろ編成両数やグリーン車・指定席の位置が統一されることが利点といえましょう。
新札幌駅に停車中のキハ261系特急「おおぞら」
新札幌駅に停車中のキハ261系特急「おおぞら」
 
そして、閑散期の平日の編成両数を4両に減車することも発表されています。すでに札幌-帯広の特急「とかち」はキハ261系4両編成で運行されており、中間車をフレキシブルに増結できる体制は取られてはいますが、繁忙期は最大10両編成を組み、冬季は週末でも9両を組むことが少なくなかった「おおぞら」様々な要因がありましょうが4両とはあまりにも短いと悲しくもなります。

余談ではありますが、1984年(昭和59年)の21万8145人がピークであった釧路市の人口は、阿寒町、音別町の合併後も減り続け今や16万3000人も割り込む勢いです。そして2020年帯広市と人口数が逆転します。その帯広も2001年の17万5000人あまりがピークでしたが、現在は16万5000人あまりと人口が増えたというよりは減少幅が少ないからでありますので全体的な減少傾向は変わりません。
根室線の沿線に住む人自体がスーパーおおぞら整備時で比較しても2割から3割減っている上に高速道路開通、空路などの多様化では鉄道を選んでもらえる可能性は少なくなります。利用が少なければ車内販売などのサービスも継続できません。道東方面の列車に関しては、便数が維持できるか?が今後数年内の大きな分岐点になりそうと思われます。今回浦幌駅への停車列車を改めたものの、今後は細かく停車し利用を拾う形にシフトする可能性もあるとも思います。むしろ、所要時間を釧路4時間20分、帯広2時間45分程度に固定した形での等間隔ダイヤ的な方向になる方が求められているのかもしれません。


根室線・石北線へのH100形投入


函館線長万部-小樽、室蘭線長万部-苫小牧、宗谷線旭川-名寄に続きH100形が30両投入され根室線新得-釧路、石北線旭川-上川のほぼすべての列車を置き換えることになります。
函館線塩谷駅で行き違うH100形
函館線塩谷駅で行き違うH100形
 
根室線のキハ40運行区間であった新得-釧路はエンジン換装前の旧タイプの速度規格のままに運行されていましたので、本来の性能を発揮していないどころかむしろわざと遅く走っていたのではないかとすら思われるようなダイヤでありました。
特急をどうしても優先させる必要があり、また追い越しのための待避が可能な駅が限られることも背景にあります。結果、車両は直通するものの長時間停車する列車や、帯広駅で乗り換えができないなどの不便さが残っていました。

今回、まず最高速度100キロ、加減速性能に優れるH100形の性能で時刻設定を行い、新得-帯広や帯広-池田などの比較的短距離ですら最大21分の速達化が行われ、結果車両の運用も効率化でき帯広駅での普通列車同士の接続も改善されるということになります。過去に利用の動向を見ていますと帯広を挟んで通学する学生が帯広の長時間停車を所在なく過ごしている様子なども見かけていますので、エアコンの整備により快適性の向上も含めて大きな改善になるのではないかと思います。

また、これにより長期休み期間に発売される青春18きっぷや北海道&東日本パスなど普通列車しか乗車できない切符を持つ方にも意味があろうかと思われます。(どちらかといえば特急に乗車可能な新得-新夕張の先、新夕張からの列車本数が少ないことのほうが問題でしょうが)


また、石北線旭川-上川に関しても同様に低性能な車両での運行を余儀なくされていましたが、今回24本中19本をH100形で置き換えます。すでに朝の上り2本はH100形による運行を行っていますので残りは3本、うち2本は特別快速きたみ号ですので、キハ40のままで運行される普通列車は1本となります。その1本は遠軽(実質的に網走)から直通する現上川16:06発の旭川行きで、下り側は回送ですので、この1本を除きH100形に置き換えられ最大11分の所要時間短縮を図ります。
結果札幌方面からの接続が改善されることもアピールされています。


宗谷線名寄高校駅移転新設

こちらは「新駅」という扱いではなく、移設という扱いのようですね。こちらも以前当サイトでも記載しましたが現在工事が行われています。
建設中の名寄高校駅
建設中の名寄高校駅
 
名寄高校最寄りに設置される駅となり、通学時間帯のみではなく、普通列車・快速列車の全便が停車しますので、地域の利用も考慮されているものと思われます。


普通列車の接続改善


宗谷線の普通列車を繰り上げることで特急の接続が可能になるようにすることと、函館本線の函館-森-長万部の普通列車1本を直通化します。
いままで乗り換えることができなかったこの列車ですが、過去には函館発12時台の森行き普通列車は無く、13時台に運行されていたために「接続」の問題はありませんでした。
2016年改正前は10時台函館発で森13時台の列車に接続する、約1時間半程度の待ち時間でした。
これが函館発13時台の列車を12時台に繰り上げ、結果森駅で10分程度のわずかな時間で「接続できない」ことになります。ここだけを見ると「JR北海道は意地悪で接続しない」という意見もわからないでもありませんが、元からこの列車に接続できるのは10時台函館発の普通列車だったのですね。
森駅に停車中の普通列車。今回改正では車両の置き換えはありません。
森駅に停車中の普通列車。今回改正では車両の置き換えはありません。
 
今回、運用も変えることで函館発12:35、長万部着14:58で直通化され、大幅に改善されることになりました。もちろんこれは利用者の要請もあったろうと思いますし、元からJR北海道としても改善を検討していただろうと思いたいところです。

これにより北東パスの「北海道新幹線区間は特定特急券を追加で利用できる」オプションを使用したと仮定すれば、新青森発11:20はやぶさ7号で新函館北斗、1駅七飯まで4832D(改正後も運行されるなら)で戻ればこの列車に間に合います(当該の列車は藤代線周りで新函館北斗駅を通らないと思われる)ので、ここから室蘭線周りで普通列車を乗り継げば20時頃には札幌まで到達できるということになります。青函フェリー5便、函館港12:10からはちょっと無謀でしょうね。


北海道新幹線と特急「北斗」の接続時間見直し


特急北斗から北海道新幹線への乗り継ぎ時間は、多いものでは40分以上となるものが見られました。これは新幹線に比較すれば在来線列車の遅延がある場合を想定していること、そして東京に繋がる新幹線区間での接続待ち遅延を避けたいことがあろうかと思いますが、あまりにも間延びしており、札幌側から新幹線へ乗ることをあまり想定していないのか?と思うところでもあります。
逆に遅延のほぼ発生しない新幹線と、函館始発である札幌方面に関してはもっと接続時間は短くてもいいはずです。今回いくつかの列車の接続時間を改善しています。
新函館北斗駅の11番ホーム。本来特急とは平面的に乗換が可能で乗り換え時間の短縮を意図している。
新函館北斗駅の11番ホーム。本来特急とは平面的に乗換が可能で乗り換え時間の短縮を意図している。
 
しかし、最も大事と思われる札幌行き最終北斗21号への接続が伸びています。これは現在の接続列車はやぶさ29号が臨時化し、はやぶさ27号からの接続と約10分繰り上がったことが要因です。前回改正で北斗23号が廃止となって最終北斗自体も繰り上がっているわけですから、ここは新函館北斗着19:44となるはやぶさ31号に10分程度で接続させることは検討したかったところです。

札幌に行ける最終が東京発14:20(しかも8分繰り上がった)なんて、あまりにも悲しいことではないでしょうか。


札幌圏の変更

ロイズタウン駅設置と学園都市線の変更


現在工事が進められているロイズタウン駅が開業します。停車列車は75本で通過列車は主に早朝、深夜の便となりそうです。これは近くにほぼ住宅がないこと、ロイズ従業員輸送を考慮したものではないかと思われます。
建設中のロイズタウン駅
建設中のロイズタウン駅
 
また石狩太美、石狩当別から「石狩」を取ることも改めて発表されました。電光形の行き先表示を使用していない車両の「当別」行きはある程度時間がかかるのでしょうね。対象の車両数は多くないような気もしますが。

また、学園都市線の札幌発、15分ヘッドとなっている17時以降について19時台、20時台を20分間隔と減便することを発表します。帰宅時間帯の3両編成が少なくなるのは朗報かなとは思いますが、あくまで札幌駅で帰宅時間帯を見る限りですが致し方ない乗車数にも見えます。また日中時間帯の3両編成への減車が行われます。

余談ですが快速エアポート用の新車が入ってきますと721系による快速エアポート車両を日中学園都市線で使用することが難しくなります。721系エアポート車両をどう使うか?というのも難しい選択な気がします。ロングシート化で北広島球場輸送用などの転用もあり得るのでしょうか。


土曜休日運休列車の増加

江別9:45・手稲11:00・江別12:15・小樽14:10に関してはキハ201系で運行される便ですね。その他全10本を土曜休日運休とします。
特急「ライラック38号・39号」は逆に臨時化し、概ね連休時などに運行されるようになります。概ね30分おきを誇った札幌-旭川の特急列車もほぼ1時間1本となります。
余市駅に停車中のキハ201系気動車。見た目と車内設備は札幌圏の電車列車と変わらない。
余市駅に停車中のキハ201系気動車。見た目と車内設備は札幌圏の電車列車と変わらない。
 

快速エアポート「uシート」のチケットレスサービス導入

これはダイヤ改正とは関係なく2022年4月1日から行われる新サービスとなりますが、快速エアポートにチケットレス指定席券が導入されます。システム的には今年から行われている札幌ー岩見沢・苫小牧のチケットレス特急券とほぼ同様のものとなっています。

JR北海道 【社長会見】快速エアポート「uシート」へのチケットレスサービスの導入及び座席指定料金見直しについて 2021.12.15
https://www.jrhokkaido.co.jp



また、普通・快速列車の座席指定料金を840円に値上げすることも発表されています。
多くの報道はチケットレスサービスについては触れず、指定席料金の値上げについてのみ報道されていますが、観光列車については元々指定席料金が安すぎる問題があり、また、快速エアポートに関しても近距離で使用する客も少なくなく、メインの空港利用者が使う際に満席ということもありましたので、指定席を設置した当初とは状況が変わってきているような気がいたします。そう思うと指定席料金の値上げはある程度やむを得ないと個人的に感じています。

快速エアポートは1992年の新千歳空港尾開業、新千歳空港駅への千歳線乗り入れから運行されている列車となります。当初は指定席車両を1両の半室設定し、設備的には通常の普通列車車両と同等となっていました。早速道内メディアでは批判的に報じます。

<ぽてと時評 大久保尚孝> 新千歳空港駅で-本当に便利なのか、快速エアポート
1992/07/12 北海道新聞
>「直行線ができて便利になる」としきりに宣伝されていたJR。「快速エアポート」新千歳空港までが九百四十円になった。今までなら「快速」には特別料金はかからず七百二十円だった。「おや」と思ったが、「距離も延び、設備費もあるし」としぶしぶ了承した。快適な車両で全員座れるものと信じこんだからでもあった。
 ところが、「空港ライナー」が「快速エアポート」と名前を変えはしたが、入ってきた車両はなじみの三ドア。空いている車両を見つけて座ったところ、早々と車掌が検札にきて「お客さん、この車両は指定席です」。「えーなにそれ」と、訳が分からない。
 席を移るにも、自由席は既に窮屈なばかりに込んでいる。仕方がないから指定席料三百円を支払う。なんと「快速エアポート」は従来の「快速」ではなく、指定席などをつけたりして「立派な特急」扱いなのであった。しかも、所要時間は「従来の快速」とほぼ同じ。そのことを学ぶために、愚鈍な私は三百円の授業料を払った。
> 国際化時代に向け、千歳空港の拡張整備はうれしいニュース。だが、一方には騒音に悩む人々、JRに再雇用を求め続けている人々がいることも、忘れてはなるまい。
 (北海道中小企業家同友会専務理事)


読まない、聞いてない、周りを見ておかしいと思わない「偉い方」のご意見であります。しかしまぁ、けちくさいことこの上ないですね。このくらいでないと中小企業の経営はできないのでしょう。

とはいえ、2000年の「uシート」化と2003年の1両全室指定席化が行われてきたというのは、継続は力なりで空港へは定時性が高い快速エアポートで行くということが半ばあたりまえになり、混雑も酷くなり当初は4両の特急形車両も使用していたものを旭川直通以外は6両化、さらに旭川行きも5両化、そして札幌行き、小樽行きに統合し全6両編成化、さらに733系電車を導入して普通車部ロングシート化、2020年には毎時5本化と輸送力を強化しています。

快速エアポートの指定席車両。座席や壁、室内灯などを更新している。
快速エアポートの指定席車両。座席や壁、室内灯などを更新している。
 
追加の料金を出しても座席を確保されている「指定席」の需要は大げさでは無く、インバウンド客が溢れていた2018年頃で言えば、ピーク時なら1本見送ってでも自由席で座れないかもという状況になっていたわけで、指定席の存在がどれだけ安心だったかという面があります。

エアポート指定席値上げ 4月、札幌―新千歳 乗車券含め1990円
2021/12/16 北海道新聞
> JR北海道は15日、来年4月から札幌駅と新千歳空港駅を結ぶ「快速エアポート」指定席の片道料金を現在の530円から840円に値上げすると発表した。乗車券と指定席券を合わせた同区間の料金は片道1680円から1990円になる。消費税増税を伴わないエアポート指定席券の値上げは2016年以来。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ鉄道運輸収入の補填(ほてん)を狙う。
 同社は16年に指定席料金を310円から520円に値上げ。さらに19年に消費税増税に伴い530円に上げた。新千歳空港と札幌を結ぶ高速バスの運賃は片道1100円で、今回のJRの値上げで指定席利用の場合の価格差は890円に拡大。快速エアポートは、所要時間や運行本数で優位性があるものの、値上げによってバスに乗客が流れる可能性もある。


バスはいいんですよ。バスを選んで快適ですという方は、バスを選んだ方がいい。むしろバスを選んでください。高速道路経由ですから絶対に座れますし、札幌都心部だけでなく郊外部に直接乗り換えなく行くことができるのが利点の一つでもあります。ただ、以前と違って増便がすぐに行われませんので、定員で札止め次の便ですし、定員は4列座席にきっちり全員が座るということですので、隣に誰が来るかわからない状態で1時間以上。快速エアポートが40分とかからず札幌に着き、指定席を選ばないという選択も可能ですので、確実に快適性が得られる指定席の高額化は、今の価格帯なら充分理にかなってるかなとも思われます。

新千歳空港のバスチケット売場。札幌市内の様々な位置にダイレクトに行けるのがバスの魅力である。
新千歳空港のバスチケット売場。札幌市内の様々な位置にダイレクトに行けるのがバスの魅力である。
 
なお、チケットレス化がありますので、チケットレスなら3割程度割り引くなら従来とほぼ同等の価格帯になることも考慮に入っているのではないかとも思われます。チケットを発券しない=窓口も指定席券売機も使わなくて済むわけで、その分設備を縮小可能です。というか、チケットレスに報道が言及しているのは日経新聞だけに見えます。物事の重要性として読者や視聴者である北海道民は利便性のアップよりも値上げされることが問題と感じるはずという理解なのでしょう。


地方部の編成両数減車・減便

土曜休日を中心に函館線岩見沢-滝川の1往復、室蘭線苫小牧・糸井-岩見沢5本、日高線8本、根室線池田-新得3本、宗谷線旭川-名寄1往復(ただし比布行きと時刻を入れ替え増結するため影響はほぼ無し)、函館-森1往復を1両に変更することにしています。

また、函館発七飯行き1本を土曜休日運休にします。

今回のダイヤ改正での純然たる減便は学園都市線の2本(上りに関しては発表になっていないが、現行ダイヤからすると上りも1本減か)だけではないかと思われます。


駅廃止


駅は7駅を廃止することが発表されました。
・函館線

池田園

流山温泉

銚子口

石谷

本石倉

・花咲線
糸魚沢

・宗谷線
歌内

駅廃止の発表があるたびに批判もあろうかと思いますが、現実に鉄道駅としての利用が少ない以上致し方ない面かと思われます。残す方策は提示され、中川町は1年だけ代替交通を作るための猶予として支援しただけでありますので、廃止になるのが前提だったということです。そのあたりは細かく調べる人以外には提供されません。

3月12日で幕 無人5駅廃止「仕方ない」 地元自治体、利用者対応急ぐ 七飯町3駅、森町2駅
2021/12/18 北海道新聞
> JR北海道が17日、JR函館線で七飯町の池田園、流山温泉、銚子口、森町の石谷、本石倉の無人駅5駅の廃止を正式に発表した。
> 七飯町には昨年1月にJRから3駅廃止の方針が伝えられ、その後の住民説明会には8人が参加した。
 池田園駅に近い軍川町内会の池田泰久会長(62)は「利用者が減る中、駅廃止に反対する人はいなかった。自分も学生時代に使っていたので寂しい気持ちはあるが、仕方ない」と受け止める。同駅と民家は離れた場所にあり、高齢者はJRより車やバスを使うため、町に対し「運転免許返納後に買い物や通院をするための代替の交通手段を考えてもらいたい」と注文した。
> 七飯町政策推進課の中村雄司課長は「歴史のある駅、利用者のいる駅もある。3駅すべての存続を求めていただけに残念」とした。
 森町では2駅が廃止となる。石谷駅のある蛯谷町内会の松田保会長は「地元としては駅がなくなってしまうのは寂しいが、利用者がほとんどいないので仕方ない」。森町の岡嶋康輔町長は「駅存続を要請していたので非常に残念。今後は地域で暮らし続けることができるよう公共交通の実現に力を入れたい。また、通学で使う生徒がいるので対応を急ぎたい」と話した。


高校生の通学に関しては以前からJRは定期券の発売枚数を確認していますので、現実にこれらの駅から通学する生徒はいないということになろうかと思います。親に近くまで送ってもらうとかいうイレギュラーな話は以前も姫川などで聞いていますが、まぁ、現実的にそれを元には残せないようにも見えます。

リゾート開発が頓挫した流山温泉駅はともかく、他の駅は集落から離れていないが利用がないという意味では、地元もすでに車利用が標準的で鉄道を使うこと自体が難しいとなると、残しようもないとしか言い様がありません。また、子供の数という意味でも、若年人口、今後の子供の出生の可能性なども考慮すると駅を残すことを声高に言えない状況もあるように感じます。その中でも町長は「残念」と言わなければ地域に顔向けができないということです。


報道

「ロイズ」新駅75本停車 JR北海道 7駅廃止 来年3月
2021/12/18 北海道新聞
> JR北海道は17日、函館線流山温泉駅など無人駅7駅について、沿線自治体の同意が得られたため来年3月12日のダイヤ改正に合わせて廃止すると発表した。土日祝日を中心に全道で減便や減車も進め、年間1億3千万円の固定費削減につなげる。一方、道内の在来線で20年ぶりの新駅となる札沼線ロイズタウン駅(石狩管内当別町)を開業。1日75本が停車し、観光客などの利用を見込む。
 同社は1日の乗車客が平均3人以下の駅を中心に、廃止や自治体管理への移行を進めている。廃止する7駅のうち、宗谷線歌内駅(上川管内中川町)は4月に同町による管理に移行したばかりだが、費用負担が重く1年で廃止となる。自治体管理駅の廃止は初めて。道内は全342駅となる。
 ダイヤ改正では、函館線小樽―江別間で土日祝日に普通列車10本を減便。札幌―釧路間の特急「おおぞら」は利用が少ない年60日程度について、自由席車両を2両から1両に減らし動力費を圧縮する。無人駅の廃止を含めたコスト削減効果は9月時点で約8千万円と見積もっていたが、関連する人件費や清掃費を加味して5千万円積み増した。
 ロイズタウン駅の当初の乗車客見込みは1日400~500人だが、当別町などは駅周辺を観光エリアとして整備する方針で、JRは今後の観光客などの利用増を期待している。また同町の要請を受け、札沼線石狩太美駅を太美駅に、同石狩当別駅を当別駅にそれぞれ名称変更する。
 宗谷線では名寄―風連間の東風連駅を1・5キロ移設し、名寄高校駅に改称。通学利用を見込み、普通列車と快速「なよろ」の計24本が停車する。


すごいな、新車両の話なんか一言も書かずに多くの内容をネガティブだけを書くって、ちょっと驚きです。あのリリース文からこの内容になるんだと、ある意味感心します。

JR3月12日にダイヤ改正 当別町に「ロイズタウン駅」開業
2021年12月17日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20211217/7000041338.html
>JR北海道は、来年3月12日にダイヤ改正を行うと発表しました。これに伴って、石狩の当別町に新たに「ロイズタウン駅」を開業する一方、7つの無人駅を廃止することになりました。


宗谷線 新たに「名寄高校駅」 無人駅の歌内駅が廃止へ
2021年12月17日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20211217/7000041359.html
> JR北海道は、来年3月12日にダイヤ改正を行うと発表しました。宗谷線では新たに「名寄高校駅」が設置される一方、無人駅の歌内駅が廃止されます。


駅新設が先なだけマシですね。H100形導入について触れているのは、ざっと見る限りNHKのこの記事だけ。

JR北海道が7駅廃止、土休日運休などで1.3億円削減
2021年12月17日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFC1711C0X11C21A2000000/
> JR北海道は17日、2022年3月12日に予定するダイヤ改正で、函館線や宗谷線の利用の少ない7駅を廃止すると発表した。通勤や通学利用が少ない土休日の運休本数を増やすほか、特急列車の臨時列車化で年間約1億3千万円の経費を削減する。


経費削減金額を出すのは日経らしい記事になります。

JR北海道が函館線、花咲線、宗谷線の7駅廃止 1日利用3人以下
2021年12月17日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASPDK6GJSPDKIIPE025.html
> JR北海道は17日、来春のダイヤ改定に合わせて、利用者の少ない7駅を廃止すると発表した。同社は今後も人口減が進むなかで、1日の利用者が3人程度の駅については、地元自治体の同意を得て廃止していく方針だ。


朝日は駅廃止の理由を明記しています。使われている駅は無くなさいのではないですか?という話です。

札幌―釧路間の特急おおぞら6本が新車両に JR北が3月のダイヤ改正を発表
2021年12月18日 十勝毎日新聞
https://kachimai.jp/article/index.php?no=549584
> 【札幌】JR北海道は17日、来年3月12日のダイヤ改正に伴う新たな輸送体系を発表した。札幌-釧路間の特急おおぞらは、283系で運転していた上下線計6本を新車の261系に置き換える。これで同区間を走行するおおぞらは全て261系車両となる。


さすが地元のことで、廃止駅については地域外ということもありまして十勝毎日新聞はおおぞら号の新車化を先に持ってきています。


JR北海道の改正内容がポジティブになりきれないのは確かです。しかし、今後もスクラップ&ビルド的に経費を削減して、収入を得るしか道もないわけで、では、その方法は?結局当事者しか考えない、当事者すら考えないのが現在です。ダイヤ改正一つとっても多くの興味の無い道民にはネガティブなことしか伝わらない、これでは道内の鉄道は衰退するしかありません。

北海道の交通関係 JR北海道 ダイヤ改正

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