北海道の交通関係

並行在来線である函館線(長万部-余市)廃止バス転換報道

2022/02/06

北海道新幹線の札幌延伸に伴い、並行在来線とされる函館-小樽に関して、後志ブロックとして協議されていた長万部-小樽のうち、長万部-余市の廃止とバス転換が確実な情勢となりました。

なお、余市-小樽に関しては第三セクター鉄道も含めた鉄道存続を訴える余市町と、態度を保留している小樽市により今回は決定せずという形になっています。

当サイトでは何度かこの区間についての記事を記載しています。最近では昨年12月の段階での各自治体の対応などをまとめています。

2021年末現在の北海道新幹線並行在来線各自治体の対応
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1096


この記事のあとに行われた後志ブロック会議の内容から見ていきましょう。

2021年12月27日の後志ブロック会議での結論

12月中に各自治体の意見を集約し、方向性を見いだすとしていた並行在来線後志ブロックですが、年末ぎりぎりに行われた第11回後志ブロック会議でも一部の自治体が保留し結論を出すことができませんでした。

並行在来線小樽―長万部の協議難航 4町はバス転換支持
2021年12月27日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFC271000X21C21A2000000/
>北海道新幹線の札幌延伸時にJR北海道から経営分離される並行在来線の長万部―小樽間について沿線9市町のうち、倶知安町など4町がバス転換を支持する方針を示した。余市町は余市―小樽間は鉄道として存続することを求め、小樽市・蘭越町・ニセコ町・黒松内町は判断を保留した。


各自治体が住民説明会などを開き、あるていど意見を集約した中で「期限」を無視した形で会議に出席するのは、一般的な観点からするとどうだろうと思いますが、彼らとて簡単にバス転換を認めますと言ってしまうのも住民からの反発を受けるという意味もあるのでしょう。

この会議では議事録に興味深いやりとりがありました。この議事録はこの区間の将来についてかなり重要な内容がありますので、この区間について何か発言なり、記載をするなら必ず読んでいかなければならない内容と思われます。

北海道 函館線(函館・小樽間)について(北海道新幹線並行在来線対策協議会)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/heizai.html

資料1 課題に対する関係機関からの情報提供について
資料1 課題に対する関係機関からの情報提供について
議事録(サイトから見ることができない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20220206_01.pdf


北海道運輸局交通政策部長と余市町長のやりとりです。事実関係がはっきりしていることも、経営安定基金の流用可能性のようなものも含めて、何度も執拗に質問を繰り返しています。
第三セクターでの鉄道維持を求める余市町にとって、足掻く必要はある、そのなかで「おかしい」と感じる部分を質問するのはわかりますが。その結果を新聞への寄稿という形で表明するための質問だったようです。残念ながらこの記事はWEBでの表示がされていませんので、一部を書き起こします。

<各自核論>斉藤啓輔 余市町長 並行在来線の存廃問題 道は明確に意思示して
2022年01月20日 北海道新聞(解説)
(WEB配信無し)
> ブロック会議には国土交通省とJR北海道も参加していた。そこで私は次の事を確認した。《1》JR北海道は新幹線が延伸開業する2030年まで並行在来線を運行する《2》その間の赤字は国からの経営安定基金の運用益で補填(ほてん)される《3》JR北海道は30年以降は運行するつもりはない《4》JR北海道の100%株主である国も運営するつもりはない《5》仮に廃線になった場合はJR北海道が線路を撤去し撤去費用はJR北海道が出す―の5点である。
 要するに国土交通省には貨物や特急が通行しない「山線」に関与する考えは無く、地域で決めるよう求めていることがわかった。山線の将来は、沿線自治体の首長に丸投げされた形となっている。
 「余市町が鉄路を残したいのなら、余市町の財政負担だけでやればよい」という声も聞こえてくる。しかし、この理屈が通るのなら、仮に全線バス転換され地域全体として赤字の負担金を求められた場合、多くの乗車人員が見込まれる余市―小樽間について余市町は負担しなくても良いことになる。
> 余市―小樽間は道内路線でも有数の高い輸送密度がありながら、国の公共交通政策の隙間にはまり込み、廃線の瀬戸際に立たされている。この問題を取りまとめる立場にある道は初めから「廃線ありき」の本音を隠し、そのアリバイづくりで会議を重ねているのではないか―。私はそんな印象を受け、道に対しても苦言を申し上げてきた。
 鈴木直道知事は「稼ぐ道政」や「食と観光」の推進を掲げている。その方針と照らし合わせ、新幹線延伸後の北海道にとって「山線」は本当に不要なのか。道には自らの意思を明確に示していただきたいと考えている。


なぜ全線バス転換なら余市町は負担しなくていいという考えになったのか、前後を見てもわかりかねますが、国は「地域輸送」に関与しないというのはどこの路線でも同じであるし、毎度2000人以上と言っていながら、それは他の地域からの通し乗車が入っているので余市だけで考えれば半分とはいわないまでも相当な減少が見込まれるのは確かであります。地元では金を出したくないが鉄道は残すべきだ国がJRが道がといったところでルールは決まっています。調印したのは現町長ではないが調印した事実は事実。そのルールでやるしかありません。
その上で道知事は上下分離を行う考えが無いと表明していることを撤回させられるだけのネタがあるかどうかにかかっている。国交相がJR九州に働きかけるとした「長崎新幹線」と同様の状況は現状発生していない。

さて、それ以外にも、この議事録の中には興味深い内容があります。
JR北海道は
・経営分離を見直す考えは無い(どのような形でも長万部-小樽は分離される)
・上下分離の運行委託については必要経費の地元負担で受託することを検討の用意がある
・第三セクター鉄道への支援は「いさりび鉄道」の例を持ち出し協力はできる
としています。
ここでも余市町長以外からは質問が出ず。また「2000人」について質問を行います。JR北海道にとってこの区間は「経営分離する」という同意を得ているので利用人数に関しては考慮されていないと取ることができます。
ただ、JR北海道が2030年の北海道新幹線延伸開業まで「今のまま進めていく」との発言を得ています。

JR貨物は災害時の代替ルートとしては、運行できる区間乗り換えし運行、トラック代行を優先とし、この区間の運行は「大変厳しい」としています。前回の記事にも記載していますが2000年の迂回輸送では本数も輸送個数も1/10程度しか迂回できず、しかも迂回運行中は普通列車の運休措置まで行われていますので「地域の足」を考えたときに貨物列車迂回受け入れを前提にするのは第三セクターとしての意味が無いともいえるように個人的には思います。

北海道中央バスは余市-小樽で2000人以上の「余裕」があるので代替受け入れ可能という回答を得たことになります。(この部分を意図的に記載しなかったのか北海道新聞が掲載しなかったのか、個人的には先の記事は恣意的だと思います)

そして倶知安町の発言です。


現在の倶知安駅の駅舎がございます。造成工事に着手する際には、現駅舎の撤去が終わっている必要があります。在来線が存続する場合、例えば高架下などに駅機能を移設する必要があります。廃止の場合は、撤去のみ、ということになりますけれども、いずれにしても、現駅舎が駅前広場を整備する上での支障物件となっている実態がございます。仮に、在来線の方向性が決まっていない中で、駅前広場整備を進めるために移転ということも考えられますけれども、駅舎内に函館線(長万部・小樽間)の運行に必要な信号施設というものが入っています。この施 設には、JRさんからのお話ですと、莫大な経費がかかる、移設には7億円以上、あるいは10億円近くかかるのではないか、とかそういったお話も出ているところでございます。これらを対応するにも、公費、国費等を使って移設した後に在来線の廃止が決まった、ということになれば、相当な手戻り、手戻りだけではなくお金の無駄というものが発生して、大変なことになるのかな、と思っております。


つまり、在来線を「先に廃止」すれば設備を撤去し、跡地を駅設備、町管理の駐車場などの整備に使え、設備の移転を最小限にでき、無駄が無いという発言を行ったことになります。

この議事録中での結果は
●バス転換
長万部町、倶知安町、共和町、仁木町
●鉄道維持
余市町
●保留
小樽市、黒松内町、蘭越町、ニセコ町
という形になりました。

余市町長は最初からこの会議の内容を北海道新聞の「特派員」として書くことが決まっていたのでしょうね。最後に念押しするあたり「記者」そのものです。

この結果について、北海道知事は記者の質問に答える形で回答します。

知事定例記者会見(令和4年1月7日)
2022年01月07日 北海道庁
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tkk/hodo/pressconference/r3/93237.html
>態度を保留した自治体があります。保留が1市3町あるのですね。ですから、その保留した自治体については、方向性の確認を行いますよということで合意したということなので、道としてもこの関係自治体の皆さまと協議を進めていきたいと考えています。


知事はあくまでも自治体が出した方向性で協議を進めるとしています。

1月11日には鉄道存続を希望する余市町と態度を保留する小樽市が協議を行っています。

小樽市長、余市町長 並行在来線 道交え協議へ 初会談 財政支援確保狙う
2022年01月12日 北海道新聞 小樽・後志面
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/632276
>今後は道の担当者を含む3者で協議することで斉藤町長と一致したと説明し「道に入ってもらうことで広い視点で意見を頂いたり、調整していただきたい」と述べた。ただ斉藤町長との財源確保に関する議論は深まらず「(余市側から)そのあたりの回答は出なかった」と語った。


1月20日には余市町と小樽市、北海道も交えた会議を行っています。

新幹線延伸に伴う並行在来線問題で小樽市と余市町が協議
2022年01月20日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20220120/7000042504.html
>道の担当幹部を交えて協議しました。
>会合のあと、小樽市の迫市長は「財政負担が大きな問題だ。住民説明会を開催した上で方向性の確認を進めたい」と述べ、来月の住民説明会を開くまで、方向性を示すことはできないという認識を示しました。
一方、余市町の齊藤町長は「この地域の鉄路が必要なのかどうかという判断、方針を道としても示してほしい」と述べ、道に対しても考えを示すよう求めたことを明らかにしました。


いずれにせよ財源問題が大きい問題になります。道に方針を示せとしますが、知事の発言通り、その方向になったら道として動くということなのでしょうから、北海道としては最初に方向性を出す気もないということになりましょう。

知事定例記者会見(令和4年1月21日)
2022年01月21日 北海道庁
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tkk/hodo/pressconference/r3/95961.html
> そうですね。広域自治体と基礎自治体、それぞれ立場があるというのは、事実としてあると思っています。ただ、まずは前提として、それぞれ沿線のみんなで経営分離に同意したわけですね。それぞれ沿線のみんなで、その後のあり方について決めていきましょうねということで決めました。ですが、うちは(方向性を)決めたけれど、他のところで保留になっているという状況が、まずありますよね。
 それで、方向性が保留になっているのを、次までに決めて、みんなで集まりましょうねとなっているわけですから、そこでしっかり議論することが大事だと思います。


知事にしてみますと「経営分離に同意」してるんだから、当然各自治体がそれから5年も10年も経って「考えていないわけがないでしょ」ってことなんでしょうね。なので、地域が方向性を当然出せる、それに従って道も支援しますと言ってるわけですね。逆に言えば、最初から北海道は「経営分離」を認め「上下分離」は認めないのですから、基本的に鉄道はなんとしてもやりたくないということが見え隠れします。

区間の「根元」になる小樽市はバス転換を視野と発言します。

並行在来線説明会決行!小樽市次のステップ明らかに
2022年01月31日 小樽ジャーナル
https://www.otaru-journal.com/2022/01/post-78333/
> 迫市長は、説明会の趣旨についての質問に、「ブロック会議で明らかになったことは、国あるいはJR北海道からの鉄道運行に対する支援は難しいとの見解で、地域住民の皆さんからは貨物利用ができるのではとの意見もあったが、山線を貨物輸送に使うのは難しい見解が示され、貨物調整金が見込めないことが明らかになった。収支不足の多くは、沿線自治体が負担せざるを得ない。
 こうしたことを踏まえ、地域住民は鉄道が生活の一部であり、それについては理解しているが、今後人口減少が進む中で財政負担を考えると、バス転換を視野に入れた動きを進めたいと考える。
 次のステップとして、北海道なりJR北海道がバス転換にあたりどのような支援が可能なのか確認する必要があり、地域住民にはどのような条件であればバス転換を受け入れていただけるのか、次のステップで確認させてもらいたい」と述べた。


当初予定の1月を迎え、2月になろうとしますと「保留」自治体が表明を発表します。

並行在来線 長万部―小樽 黒松内 バス転換支持へ
2022年01月26日 北海道新聞 小樽・後志面
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/637737
>冒頭、町企画環境課は昨年末に開かれたブロック会議について報告した上で「鉄道の存続には多額の財政負担が必要となり、町の財政状況から次世代に大きな負担を残すべきではない」とバス転換支持の方向性を示した。  これを踏まえ、全町議が発言。おおむね町側と同様の趣旨でバス転換を支持する意見だったが、一部町議からは「簡単に認めるわけにはいかない。国に支援を求め続けなければ」などと反対の声も上がった。


並行在来線 長万部―小樽 ニセコと黒松内 バス転換支持へ
2022年01月29日 北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/639180
>28日に開かれた臨時ニセコ町議会の閉会後、片山健也町長が町議全10人に「バス転換に移行することはやむを得ないと判断した」と報告した。
片山町長は鉄路を維持した場合、30年間の運行で864億円超の赤字が生じるとの道の試算に触れ、「多額の負担をこれ以上、後世に強いることはできない」と述べた。町議から異論は出なかった。


蘭越町も支持 赤字懸念 7町「バス転換」 沿線自治体 余市―小樽間 焦点
2022年02月03日 北海道新聞 小樽・後志面
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/641052
>蘭越町は2日、町のホームページで、バス転換より鉄路維持の方が赤字が膨らむことなどを理由に挙げ、全線バス転換方式を支持する方針を公表。
金秀行町長は北海道新聞の取材に「持続可能な住民の足を確保する上で、現実的で最善の方法だ」と述べた。3日に後志管内倶知安町内で開かれる道と沿線自治体の協議会会合で正式表明する。




2022年2月3日の後志ブロック会議での結論

この記事を記載した時点では議事録などが出ていませんので、報道の内容を各種集めて状況を確認しようと思います。

長万部―余市 バス転換 沿線市町一致 全国2例目 並行在来線廃止へ
2022年02月04日 北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/641534
>【倶知安】2030年度末の北海道新幹線札幌延伸に伴い、JR北海道から経営分離される並行在来線の函館線長万部―小樽間(140・2キロ)の存廃を巡り、道と沿線9市町の協議会は3日、後志管内倶知安町内で会合を開き、長万部―余市間(120・3キロ)の鉄路の廃止・バス転換を決めた。
> 長万部―余市間の鉄路廃止・バス転換の時期については、道の柏木文彦交通企画監は、新幹線延伸に伴う駅前再開発を進める倶知安町などの事情を念頭に「早くしないと工事に支障が出ると聞いている。技術的な問題も含め精査したい」と述べ、新幹線開業より前倒しが可能かどうかを検討する考えを示した。
> これまで態度を保留していたニセコ、蘭越、黒松内の3町は鉄路を維持した場合、多額の赤字が出ることなどを理由に長万部―小樽間の全線バス転換支持を表明。余市以南の鉄路廃止・バス転換について道と9市町が合意した。今後、道と沿線自治体でバス転換に向け作業を進める。
 会合では、余市―小樽間について、同管内余市町が第三セクターによる鉄路維持をあらためて主張。これに対し小樽市の迫俊哉市長は最終方針を保留する一方、今後の住民説明会で「どういう条件であればバス転換を考えてもらえるか、投げかけたい」と述べた。迫市長は1月末の記者会見でバス転換を視野に議論を進める意向を表明している。


記事中での結果は
●バス転換
長万部町、黒松内町、蘭越町、ニセコ町、倶知安町、共和町、仁木町
●鉄道維持
余市町
●保留
小樽市
という形になりました。結果区間が連続している長万部-倶知安-余市はバス転換が決まったという報道になります。そして、個人的に驚いたのは廃線の前倒しを自治体が求めていることです。

<フォーカス>バス転換 具体策課題 JR長万部―余市 時期や運行体制焦点 余市―小樽は存廃なお時間
2022年02月04日 北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/641704
>後志管内倶知安町の幹部は北海道新聞の取材に「25年度末にはバス転換するのが好ましい」と話し、新幹線開業より廃止を前倒ししたい考えを示した。並行在来線は新幹線開業時にJRの経営から分離することになっているが、同町は新幹線の新駅整備と駅周辺の再開発を計画中で、函館線の線路を早く撤去しなければ、これらの工事に支障が出かねないためだ。
 新駅建設が予定される渡島管内長万部町も、早期廃止を求めている。道はこうした状況を受け、「協議会で話し合いを進め、バス転換の時期を調整したい」(交通政策局)としている。
 バス転換に向け検討すべき課題も多い。道は「バス会社からは具体的なルートや必要人員、台数が確定してからの協議を求められている」と話す。鉄道輸送をバス転換する分、車両や運転手らの増強も必要だ。


この2記事で北海道の交通企画監、倶知安町幹部、長万部町交通政策局という複数の立場から廃線の前倒しの話が出ています。

この前倒しに関しては2021年12月の会議で倶知安町が触れていますが、新幹線駅を高架駅として開業予定の倶知安駅では地平に残る在来線のために西側からの導線で段差を生じ、エレベータなどの設置を行わなければならないこと。新幹線開業前日まで在来線が動くことで簡易的にせよ西側からの旅客動線の確保、また資材搬入用の導線の確保が行いにくいなど問題を持っているように思われます。

倶知安町は2021年1月に開催された倶知安駅駅舎デザインコンセプト検討でも、在来線存続1案、在来線廃止3案とし、在来線駅が移設が行われた現駅として検討を行っています。

倶知安町 北海道新幹線倶知安駅駅舎デザインコンセプト検討について
https://www.town.kutchan.hokkaido.jp/town_administration/shinkansen/dezain/
第3回検討委員会 資料2_駅前広場駅舎(都市施設)レイアウト検討資料

3.駅前広場レイアウト 【在来線存続の場合 都市施設高架下型】
3.駅前広場レイアウト 【在来線存続の場合 都市施設高架下型】
駅前広場レイアウト 在来線廃止(3案)の特徴
駅前広場レイアウト 在来線廃止(3案)の特徴


また、倶知安駅の南側にある跨線橋である南1線跨線橋は新幹線工事が行われれば撤去が必要で、その間迂回または仮設踏切化がなされるとは思いますが、現在踏切の新設はできませんので最終的には在来線を潜るアンダーパス化などを行わざるを得ません。これを避けたいという意識もあろうかと思うのですね。この道路が後志道倶知安ICへの接続道路にもなりますので、新幹線が高架になる以上平面化が望ましいと個人的にも思います。(町の資料では工事中は仮設踏切とのこと)

南1線跨線橋
南1線跨線橋

倶知安町が望んでいる2025年度末の在来線廃止が実現すると、倶知安駅本体工事の多くに間に合い、2027年頃に開業予定の後志道倶知安ICとも一致し南1線跨線橋撤去後の道路整備にも関わってくるという意味でも、倶知安町としてはほぼ役に立っていない在来線を「不要」と言い切っているに等しいともいえます。

同様に長万部町も現駅舎と駅西側の温泉地を結ぶ中央跨線橋を今年撤去し、新幹線開業まで大きく迂回が必要になるところ、町内を分断する踏切を撤去可能という意味では前倒しに前向きになる理由があるとも言えましょう。
長万部駅ホームから見る中央跨線橋
長万部駅ホームから見る中央跨線橋

報道

まず、北海道新聞は社説で国とJR北海道に対して強い言葉を投げかけました。

<社説>並行在来線廃止 新幹線だけでいいのか
2022年02月05日 北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/642105
> 延伸決定時に地元自治体は経営分離に同意した。国はこれを盾に存続策は「地域において議論いただくべきだ」と突き放してきた。
 北陸や九州ではJR西日本、九州が並行在来線存続に財政面でも手厚く協力しているが、JR北海道は消極的な態度を崩さない。
 国もJRも旧国鉄から継承した財産である幹線鉄道をどう生かすかという視点が欠如している。
 倶知安町は新幹線駅整備と周辺再開発のため、廃止を25年度末に前倒ししたい考えという。工事に支障が出る恐れがあるとして道幹部も後押しする姿勢を示す。
 ニセコ地域を中心にコロナ後の外国人客回復を見据えた動きだろう。ただスイスなどの例を見ても山岳鉄道は貴重な観光資源だ。トンネル区間が8割を占める新幹線だけでいいのか疑問は残る。


こういう言葉で投げると書いてる方は気持ちよくなりますよね。ワタシにも経験がありますよ。ただ、中身が正しいかどうか?というのは必要ですね。毎度のJR九州・JR西日本賛美も中身は本当に「手厚く」なのかを確認したいところです。むしろ貨物の重要な路線だから残す必要があるからこそ最初から車両を三セクに融通することを前提に作ったものや、電化設備まで撤去することで最小限の運営を行うことで譲渡金額を少なくした(そのかわり既存直通列車を運行できなくした)など、精査していない感が強いように見えます。さらに倶知安町や北海道の前倒し案まで批判して多方面に喧嘩を売っていますが大丈夫ですか?
乗ったらわかりますが「山岳鉄道」みたいな景色は望めない路線ですよ。乗ったことないんじゃないですか?そうは言っても道新さんは北海道エアポートには関連会社として出資しても「山岳鉄道」へ出資や運営に関わる気はないでしょ。それが答えです。

JR長万部-余市 鉄道遺産保存望む声 沿線住民 利便性の維持も
2022年02月04日 北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/641704
 同管内黒松内町のJR黒松内駅に近い老舗旅館の専務小間章弘さん(42)は「通学生やお年寄りに特に影響があるだろう」と心配する。バス移行の際は「利用者の多い地区のバス停設置や、運行遅れをスマートフォンで確認できるシステム導入など、バスの利点を最大限に生かしてほしい」と要望した。


もう、ある程度地元は先を見てる感が強いです。自分たちは使っていませんしね。むしろ通学利便が担保されるかどうか?が大事だとも受け取れます。黒松内は後志にありますが通学や買い物などが長万部向きというのもありますしね。

並行在来線 長万部―余市 バス転換了承 住民落胆 「時代の流れ仕方ない」
2022年02月04日 北海道新聞 小樽・後志面
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/641581
> 沿線市町のバス転換了承について、悲しむ住民は少なくない。共和町のJR小沢駅前で60年以上、名物の「トンネル餅」を販売する末次商会の末次セツ子さん(88)は「廃線は寂しいが、仕方がないのかな。一つの時代が終わったような気がする」と涙ぐむ。「JR函館本線の存続を求めるニセコ住民の会」の渡部誠二会長(70)は「怒りを通り越してあきれている。鉄路を残そうと具体的に行動した首長は皆無だった」と落胆した。
 廃線を惜しみつつ、長年の功績をたたえる声も。JRニセコ駅舎内で喫茶店「茶房ヌプリ」を経営する松田裕子さん(65)は「時代の流れの中、仕方がない。物資や人を運ぶ動脈として地域を支えた歴史や鉄路のある風景を、鉄道遺産として有効活用する方法を考えてほしい」と希望する。


鉄路が無くなるのはワタシも寂しい話です。しかし、わかっていたことでもあります。新幹線はいらない、高速道路はいらないと仮に言ったところで路線の斜陽化は明らかで、その要因は沿線人口の減少でありますので、致し方ない面です。たまたま函館-旭川の幹線として100年以上ここに敷かれていた。歴史はわかりますが、歴史だけで残す努力をしてこなかった以上、新幹線という目標があったから「早く決着できた」という言い方も可能かと思います。
最初から国もJRも批判されようがその方向で動いていたことは誰の目にも明らかでした。


余市-小樽の行方

今回態度を保留した小樽市ですが、説明会は随時行っています。

小樽市で並行在来線の住民説明会 反対やバス停整備求める声
2022年02月06日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20220206/7000043091.html
> 小樽ー余市間の鉄道のバス転換をめぐって小樽市が住民説明会を開き、住民からは反対の声があった一方、仮に転換を受け入れる場合には風雨をしのげるバス停の整備が欠かせないなどの要望も出されました。
> 住民説明会のあと、迫俊哉市長は「本来であれば、これからの財政負担などを考えるとバス転換で意見をもらいたかったが、住民の鉄道への思いが強く、議論が煮詰まらなかった」と述べました。 その上で「まずは住民説明会を重ねたい。もらった宿題にどう答えられるか精査して、余市町、道との3者で協議して最終的な方針を決めたい。住民説明会のほか、市議会、経済界の意見も聞きたい。今月中に意見を示すのは難しい」と述べました。


小樽市は全く鉄道で残す気が無いと言えそうです。ただ、説明会の参加者の数(蘭島で7人)を考えると、住民に鉄道に対する想いは少ないと言わざるを得ない部分です。やはり存続を願うならば住民の意識も必要です。しかし、現時点で本数も多いバスや日常使いが車である以上地域の中での鉄道の地位は非常に低い。

余市町が次の一手をどのように考えているかはわかりませんが、そのためには小樽市の協力が不可欠です。さらに北海道との協議も不可欠です。しかし、そのような動きもあまり見られず、あまり意味の無いネット上など外部に対しての発言に留まるのが気になります。鉄道廃線をダシにした町のアピールならば別な意味で策士とも言えますが。


今回、あくまで個人的な感想ですが、沿線自治体が本当に鉄道を愛していない。在来線はいらないという意識があることを強く感じました。JR北海道が昨年の会議で新幹線開通の前日まで責任を持って運行するという態度を示している中で、倶知安町も長万部町も不要な在来線はさっさと撤去してしまう方が町にとって利便が高いという態度を隠そうともしません。廃線の前倒しということはもう新幹線の並行在来線協議とは別の話ですね。もう、個別にJRと自治体が協議し、JRは届1枚出せばおしまいです。

鉄道を愛して、できる限り走らせる「鉄道愛」があり、法律と協議を経て最も真摯に取り組んでいるのは北海道新聞が散々批判するJR北海道そのものではないですか。もはや地域に在来線はいらないんです。新しい新幹線に期待し、それに向けた街を作っている。前を向いている以上、過去の遺物は撤去されていくだけなのです。仕方ないことなんですよ。


2022年2月11日追記

第12回後志ブロックの会議議事録が公開されました。

北海道 函館線(函館・小樽間)について(北海道新幹線並行在来線対策協議会)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/heizai.html
議事録(サイトから見ることができない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20220206_02.pdf



北海道の交通関係 JR北海道 北海道新幹線 並行在来線問題

検索入力:

記事カテゴリ