北海道の交通関係

2022年3月改正で導入された根室線・石北線のH100形

2022/03/21

2022年3月ダイヤ改正では、根室線新得-釧路の全普通列車、石北線の旭川-上川のほとんどの列車にH100形が導入され、既存のキハ40形を置き換えました。これによりこの区間の普通列車は石北線の一部列車を除き全て冷房車になります。


H100形導入の経緯

H100形は2018年に量産先行車2両で試験を開始、2019年から量産され2020年3月改正から函館線長万部-小樽のほぼ全ての列車を置き換えました。2021年3月には宗谷線旭川-名寄、室蘭線長万部-室蘭・東室蘭-苫小牧に導入し、スピードアップも図られました。

2021年度末までに75両が導入されており、老朽化した既存車両を置き換えています。2022年3月改正では釧路地区に24両、旭川地区に6両が導入されました。次年度以降も「黄色線区」と言われる自治体などと協力した上で路線存続を目指すという地区に導入されていくことになりそうです。

H100形自体の導入経緯についてはJR北海道がプレスリリースでこのように説明しています。

JR北海道 新型一般気動車の試作車 (量産先行車 )について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2017/170712-2.pdf
(見ることができない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20220321_01.pdf


2017年の導入発表時点で30年以上を経過した一般型気動車は166両としています。これは客車の車体を流用し気動車化したキハ143も含めての数字になります。

 室蘭・苫小牧地区で主に使われているキハ143
室蘭・苫小牧地区で主に使われているキハ143
75両もの大量導入を行ったH100形をもってしても、今も製造から30年以上を経過した車両が90両程度はまだ残っているという言い方もできましょう。


石北線に導入されたH100形

旭川地区では昨年に導入された宗谷線旭川-名寄に続き今回石北線旭川-上川のほとんどの普通列車がH100形に置き換えられることになりました。昨年時点で上川→旭川の上り2便のみH100形が既に導入されており沿線としては「おなじみ」になっているように思われます。
 旭川駅に停車中のH100形
旭川駅に停車中のH100形
旭川地区は宗谷線に導入した12両にさらに6両が追加され18両のH100形が配置されたことになります。

それでは、今回は時間帯的に上川に行くのが難しかったので、愛別まで乗車してみます。旭川発時刻が富良野線列車と同時発車となり並んで出発するのはターミナル駅然としていい感じです。富良野線のキハ150はどのような処遇になるのか気になるところです。
 今年は雪が多く、沿線も畑の融雪が行われています
今年は雪が多く、沿線も畑の融雪が行われています
 まだ真新しい車両ですので窓も綺麗ですね
まだ真新しい車両ですので窓も綺麗ですね
乗客にとっては石北線にはあまり走らなくても、車両としてはもう慣れた感があるようです。ただ、スピードは速いなぁという印象はあります。加速がすさまじいとか、そういう感じはないのですが、気がついたら高速で走っているという感じが既存のキハ40とは随分違います。
 後部の運賃表に行き先表示
後部の運賃表に行き先表示
今まで先頭部の運賃表示器以外に案内表示が無かった車内ですが、後部にも行き先案内や次駅表示が流れます。

今回、石北線旭川-上川では特別快速きたみ号1往復と遠軽発旭川行き普通列車1本を除きH100形に置き換えられました。
 キハ54の特別快速きたみ号と交換
キハ54の特別快速きたみ号と交換
 DE15形除雪機関車とも交換します
DE15形除雪機関車とも交換します
上川-網走-知床斜里・緑はこれまで通りキハ40(一部キハ54)による運行が続けられることになっています。この関係で旭川-上川は上り1本がキハ40のままで運行される列車になります(下りは回送列車のため乗車できない)
 旭川地区の車両には宗谷線関係の広告が掲載されていた
旭川地区の車両には宗谷線関係の広告が掲載されていた
旭川駅でキハ40を見かけることができるのは函館線関係の5本のみとなり、ほぼキハ40を見かけないということになります。キハ54を含めても留萌線関係と宗谷北線、特別快速きたみくらいで、冷房化率はぐんと上がりました。これは乗務員さんの作業環境の改善にも繋がります。
 旭川駅でH100形をはじめとするJR化以降に製造された車両が並ぶ
旭川駅でH100形をはじめとするJR化以降に製造された車両が並ぶ


根室線に導入されたH100形

根室線新得-釧路に関しては普通列車全列車がH100形に置き換えられました。釧路近辺の数本はキハ40が残るかな?という期待がありましたが、運用的に花咲線、釧網線とは完全に分離したということになりますね。
 新得駅は貨物機関車も含めてJR化後の車両に統一されたことになります
新得駅は貨物機関車も含めてJR化後の車両に統一されたことになります
 新得駅の発車標のアイコンもH100形を模した表示に
新得駅の発車標のアイコンもH100形を模した表示に
 新得駅の側線にH100形しか並ばない
新得駅の側線にH100形しか並ばない
早速新得駅に降り立ちましたが、真新しいH100形が並んでいました。新得駅の案内表示もH100形を模したアイコンになっているなど、現場の方も新しい車両には期待していることが感じられます。
この地域ではドアの開閉は自動でしたので、今回ボタンでの開閉は慣れるまで難しいかもしれません。ただ、全ての列車が置き換えられましたので、取り扱いが変わることがないというのはいいことです。
 帯広駅でも特急はキハ261、普通はH100形しか来なくなります。見慣れない感じ
帯広駅でも特急はキハ261、普通はH100形しか来なくなります。見慣れない感じ
 今回改正では特急もキハ261系に統一された
今回改正では特急もキハ261系に統一された
帯広駅でも新しい時代に変わった感が強いですね。内陸部で夏は暑い地域ですので冷房車は魅力的であります。

今回改正では帯広駅での普通列車同士の乗り継ぎが配慮され、長期休み期間の普通列車専用割引切符青春18きっぷ等のユーザーだけでなく、日常的に利用する高校生の通学でも待ち時間が大幅に改善されたことになります。
 H100形側面の行き先表示
H100形側面の行き先表示
釧路では駅から少し離れた釧路運輸車両所を外から見ています。役目を終えたキハ40形が多数留置されています。(全て敷地外公道上からの撮影です)
 釧路運輸車両所
釧路運輸車両所
 釧路運輸車両所
釧路運輸車両所
 釧路運輸車両所
釧路運輸車両所
 釧路運輸車両所
釧路運輸車両所
釧路運輸車両所にはキハ40が23両配置だったと思われますが、H100形は24両の配置となり、運用に余裕を持たせたことにもなるのかもしれません。

新得-釧路をH100形の普通列車で往復しましたが、車内は快適で大きな窓も明るくよく景色が楽しめます。
乗降の無い駅ではドアが開きませんので車内の温度も保持されますし、面白いことに今まで半自動ドアを使ったことが無いはずの帯広付近の高校生はドアボタンをちゃんと理解して開け閉めし、停車時間の長い駅では適時締めているのが印象です。啓発していたんでしょうかね。


改正前にキハ40に乗る

機会がありましたので、改正前の3月1日にキハ283系による特急おおぞらと、釧路-帯広のキハ40による普通列車に乗ってきています。
キハ283系に関しては以前に記事にしています。

さようならキハ283系「スーパーおおぞら」
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1116


キハ40に関しては、まだ車両としてはどこかで乗れるのですが、長年走っていた根室線からは淘汰されるわけで、若干感慨深いものがあります。

 釧路運輸車両所に並ぶ出番を待つH100形
釧路運輸車両所に並ぶ出番を待つH100形
徒歩で釧路運輸車両所を廻るとH100形が出番を待っていました。同じ場所に改正後はキハ40形がいましたね。
 釧路駅で発車を待つキハ40形
釧路駅で発車を待つキハ40形
 車体は塗装が剥がれて酷い状態
車体は塗装が剥がれて酷い状態
 車体は塗装が剥がれて酷い状態
車体は塗装が剥がれて酷い状態
乗ることができたキハ40 1772は塗装が剥がれて痛々しい姿でした。もう改正直前でしたから直すこともないのでしょう。
 まさか窓を開け続ける方がいるとは
まさか窓を開け続ける方がいるとは
青春18きっぷのシーズンに入っていましたので、一般の客よりもマニアの方が多く、この寒い中で窓を開け続ける方までいて憤慨でした。H100形のいい面はほぼ窓を開けることが無いことでしょう。少なくとも景色のために開ける人はいないと思いますので。

やはり「葬式鉄」が出てきたら廃止関係の場所に近づくべきではない。そう強く思うところです。


キハ40形運転区間

この3年で急速に運転区間を縮小しているキハ40形、今回改正で運行区間は以下の通りとなります。
●函館線
 函館-長万部の気動車普通列車全便
 札幌→岩見沢1便(札幌6時発923D)
 岩見沢-旭川の気動車列車の一部(キハ150の場合あり)
●室蘭線
 糸井-苫小牧-岩見沢の一部列車(苫小牧-追分の区間列車1本以外はほぼキハ150)
●石勝線
 千歳-追分-新夕張(ほぼキハ150)
●日高線
 全線全列車
●根室線
 滝川-東鹿越の全便
●石北線
 上川-網走-知床斜里・緑(一部キハ54の場合あり)
 上川→旭川1便
●道南いさりび鉄道
 全列車

これ以外は突発的に車両が変更されるなどのことがなければキハ40が入ることはほぼありません。当サイト内時刻表にできるかぎり使用車両を記載していますが、過渡期でありますので、必ずしもその車両が使われるとは限りません。特に室蘭線・石勝線はキハ40自体が6両配置で日高線で3両使用ですので、日高線と朝の苫小牧-追分1往復以外に投入される可能性はかなり低くレアです。
また、函館線札幌-旭川は苫小牧車で運用される925D-924Dの1往復は室蘭線と共用ですので同様にキハ40での運行はレア、苗穂配置の車両が運用される923D-922D-926D-929D-930D(この後苗穂に回送)と旭川配置の車両で運用される921D-928Dはほぼキハ40以外は運用されませんが今後はわかりません。
 930Dで運用されていたキハ40
930Dで運用されていたキハ40
 930Dで運用されていたキハ40
930Dで運用されていたキハ40

もちろんマニア的には古い車両を崇めることもありましょうが、快適に早くなることに悪いことはありませんので、一利用客としては歓迎したいところです。


キハ54形運転区間

また、現時点で旭川と釧路のみに配置されているキハ54は今しばらくは使用されるとは思われますが、必ずしも安泰とも言えないでしょう。
●宗谷線
 名寄-稚内全列車(一部キハ40の投入可能性はある)
 旭川-名寄3本(321D・3320D・3322D)
●石北線
 特別快速きたみ号(キハ150の場合あり)
 遠軽-網走の一部
●函館線
 深川-旭川の一部(留萌線直通列車、キハ150の場合あり)
●留萌線
 全線全列車(キハ150の場合あり)
●花咲線
 全線全列車(キハ40の場合あり)
●釧網線
 一部を除く全列車

いずれにしても、現在動く車両を融通し合っている状態ですので、ダイヤ改正を待たずに車両が変わっていく可能性はあろうかと思われます。特に苫小牧と旭川に集められているキハ150に関しては先に転配する可能性はあろうかと思っています。そうなると両数の少ない苫小牧のキハ40あたりは先に淘汰の可能性はあろうかと思うのです。


今後のキハ40転配

あくまで予想ではありますが、今回のH100形投入では旭川と函館に残るエンジン更新の終わっていないキハ40形4両を廃車にすることは決定稿と思われます。その他は必要数を残し検査期限とともに廃車となろうかと思います。

気になるのは旭川で使用しているキハ150の処遇で、富良野線で使用している10両程度以外は定期的な運用がない状態になっています。
以前も当サイトで記載がありますが、函館に配置されているキハ40は16両でありますので、キハ150を配置させようと考えている節があります。2022年度のH100形投入は「黄色線区」となりますので、対象は旭川地区でありましょうか。そう思うとキハ40が見られるのはもう数年となりそうです。

北海道の交通関係 JR北海道 車両更新 ダイヤ改正

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