北海道の交通関係


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JR北海道令和4年度(2022年度)事業計画

2022/04/08

JR北海道は4月1日に新年度の事業計画を公開しました。まず、その内容を確認してみましょう。

JR北海道 2022.04.01 令和4年度事業計画について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/220401_KO_R4Jigyoukeikaku.pdf




Withコロナ

どのような事業を行っていても現在のコロナ渦をどう乗り切り、それが収束後どう動いていくか?た問われてきましょう。「New Raillife」はコロナ渦の中でも様々な施策を提供するという強い決意を伺わせます。


持続可能な交通体系

この「持続」は逆に言えば「持続できるところは」という意味でありましょう。そういう意味で留萌線と根室線富良野-新得を名指しで「早期の鉄道事業廃止及びバス転換」を書くのは、まずこれだけでも進めないことには「次」に取りかかれないという意味でもあります。のらりくらりしていた地元に関して、それを認めないという強い信念があろうかと思われます。


自助努力と経営状況

もはや何かを行えばどうにかなるという経営状況ではないので、パフォーマンスとしての自助努力(これはそれを見せないことには廃止もままならないと彼らはわかっていることでもあろう)と最大限の支援を受けることでの会社の存続、そして新幹線札幌開業後の経営自立を目論む形になります。


この大きな3つの枠を前文に、個別の内容になります。

・設備更新

今回、ロングレール化の推進、車両更新、運行管理システム更新、踏切保安度向上が盛り込まれています。新幹線開業までの高速特急列車の走行区間である函館線・室蘭線でロングレールになっていない区間においても、今後10年近くは整備が必要という認識があろうかと思われます。
H100形の投入は昨年度に行われた「黄色線区」への導入が続くものと思われます。JR北海道にとって地元支援の中で維持するとした黄色線区区間の導入に関しては、万一の廃線があれば車両が余ることになります。少なくとも車両の耐用年数を見た10年から20年スパン程度では維持すると考えていると見るべきなのでしょうか。
また、キハ261-1000系による既存特急車両の置き換えも10年後には宗谷線特急も車両面では置き換え時期、2030年代には現行キハ261-1000系の初期車両も25年~30年の車歴となるところからも、今のうちに車両の導入ができればと考えているのかですね。
 H100形気動車
H100形気動車
 キハ261-1000系気動車
キハ261-1000系気動車
また、今後10年は使用するであろう789系特急車両、キハ201などの重要部取り替えにも触れています。札幌圏普通列車用731系などは更新が終了したと見ます。
 宗谷線用キハ261と函館線特急用789系
宗谷線用キハ261と函館線特急用789系
2両ワンマン電車の導入については言い切りました。kitacaエリア拡大と連動するかはわかりませんが、運行区間を岩見沢-旭川・苫小牧-室蘭とすれば現在ツーマン運行の岩見沢-滝川のワンマン運行拡大はありそうに見えます。製造から30年以上が経過した721系電車初期車両の更新も視野に入ってくるものと思われます。
 岩見沢-旭川で使われる721系電車と札幌圏で使われる733系電車
岩見沢-旭川で使われる721系電車と札幌圏で使われる733系電車
高架橋の耐震工事のうち大きいのが札幌駅部分でありましょう。パセオの閉館はそれの意味があることはもう少し報道されてもいいと思われます。
踏切は札沼線・日高線廃止による減少を除けば令和2年度に5箇所を廃止しています。大型車の通行規制と冬期間の使用禁止の拡大、そして踏切自体の廃止は課題になってこようかと思われます。極端言えば、高架化などの対策ができないような路線は路線自体の存廃の話にもなってきそうに思われます。将来的に危険な踏切は残してはならないはずです。特に警報機も遮断機もない4種踏切は淘汰されるべきであろうと思われます。


・乗客利用面

鉄道利用の回復のためにできることは大きくはないものの、逆を言えば今使われている区間に利便性を上げて収益を拡大する方向で考えているように見えます。快速エアポート指定席のチケットレス化、そしてkitaca(ICカード)エリアの拡大の検討は出改札省力化と、利便性アップの意味がありますので、少なくとも札幌-旭川・室蘭などの特急頻発区間への拡大が行われなければあまり意味が無いことになります。札幌-旭川・札幌-東室蘭の特急停車駅への「話せる券売機」導入も含めたこのあたりの出改札省力化と利便性の拡大はありそうです。
また、kitacaエリア拡大での定期券非接触化は定期券による不正乗車の排除などの意味もありますので進めていきたいものです。
ICカードエリア拡大に無人各駅での設備導入は難しいと思われますので、JR西日本で採用した車上形ICカード端末の検討は行われるとも思われます。

・新幹線

自社負担の320km/h工事についても出てきました。北海道新幹線は「整備新幹線」としての建設で、当初整備新幹線は最高速度260km/hとして設計されています。ただ、北海道新幹線はカーブが少なく、高速化の障害になる部分は少ないという特徴があります。東北新幹線の盛岡-新青森についてもJR東日本が自社負担での高速化を検討していることもあり、札幌までの300キロ以上の運行が行えなければ逆に競争力を失うと見ていると思われます。
また青函トンネルも含めた在来線共用走行区間の260km/h運行についても明記されました。これは貨物列車とのどのような共用方法を取るのか、それも含めた気になる項目でもあります。

札幌駅工事、支障移転となる11番ホーム、長万部・倶知安駅の工事についても進んでいくものと思われます。これに関しては地元自治体が要望する在来線の早期廃止についても考えていくことになりましょう。


その他

輸送体系については2022年3月ダイヤが踏襲されそうで、車両の置き換えが今後も起きるのみで大幅な増減便は検討していないように思われます。


過去の事業計画から

まず、昨年2021年度の事業計画を見てみましょう

JR北海道 2021.04.02 令和3年度事業計画について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/210402_KO_jigyo.pdf



利用者に目立つ項目は新型車両の導入と話せる券売機導入でした。また、北広島駅のホームや駅構内の改修は進んでいます。

 北広島駅ホーム工事
北広島駅ホーム工事
 北広島駅ホーム工事
北広島駅ホーム工事
また、踏切の警報機、遮断棒などの更新は随時行われていることも確認しています。2021年度から見ると2022年度の事業計画はもう一歩先を見据えた、特に新幹線への注力が伺われます。


また、2019年3月発表の中期経営計画の内容からも見てみます。

JR北海道グループ中期経営計画2023
https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/mi/vision/20190409-03.pdf





この計画通りにある程度進んでいます。2021年度で定期利用が停止になった札幌-釧路の特急「おおぞら」で使用されていたキハ283系のほか、2022年度までに札幌-函館の特急「北斗」用に使われているキハ281系についてのキハ261系への代替が明記されています。またその後安全報告書2021では札幌-網走の特急「オホーツク」「大雪」で使われているキハ183系も2022年までに対象となっているように見えます。
チケットレスサービスについても言及してあり、乗車券のチケットレス化はICカード以外の方法も考えているのか気になるところではあります。

JR北海道 安全報告書2021
https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/safe/pdf_06/safetyreport2021_1.pdf



中期経営計画2023では快速エアポートの733系への更新が今後2023年度・2024年度に行われること、また、今回具体的な話が出てきた2両ワンマン列車についてはこのときに話が出ています。

キハ40形の老朽取り替えに関しては2021年度から「黄色線区」の更新が開始、これはたしかに石北線の旭川-上川が2021年度に対象となりましたが、今後も少なくとも2023年までに行われるとしています。

既存車両の731系電車、キハ261系(宗谷)、789系電車の重要機器更新も進んでいっています。

この中で気になるのがATS-DNの整備で、次世代型といわれるATS-DNの現在の整備区間は
・函館-長万部-東室蘭-苫小牧-(新千歳空港)-札幌
・小樽-旭川-名寄
・南千歳-釧路
・札幌-北海道医療大学
となっています。現在120キロで走る高速での特急列車の運行区間、普通列車の本数の多い区間は網羅しています。
ここに追加されるとすれば「黄色線区」となります。特急運行区間で名寄-稚内・新旭川-網走になろうかと思いますが、これこそ支援がどの程度行われて、路線が維持されると決められるかどうか?にかかっていると思われます。


報道

事業計画の内容よりも会見での社長発言の方が注目を集めたように思います。

若手社員の退職多いJR北海道 再雇用や福利厚生充実へ
2022年04月01日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20220401/7000045051.html
> JR北海道の島田社長は若手社員の退職が続いていることを受けて、一度退職した社員の再雇用や社宅・寮の建て替えなどを進め、定着を図りたいという考えを明らかにしました。 これは1日、JR北海道の島田修社長が今年度・令和4年度の事業計画の説明で明らかにしました。
JRでは昨年度・令和3年度に自己都合で退職した社員の数が198人と前年度より15人増えて過去最多となり、このうちの多くを30代以下の若手が占めていることが大きな課題になっています。
このためJRでは21年ぶりにベースアップを実施するなど賃金水準を見直すことに加えて、一度自己都合で退職した社員を再び雇用する「カムバック制度」を早ければ来月にも始めるということです。


JR北海道、22年度は最終赤字226億円 予想を下方修正
2022年04月01日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFC015OD0R00C22A4000000/
>鉄道収入は定期券利用を新型コロナウイルス感染拡大前の19年計画比で10%減、特急列車など定期券以外の利用は20%減を見込む。インバウンド(訪日外国人)客は回復しない前提で算出した。ホテル事業は半減、駅売店など小売事業は2割減、不動産事業は3割減とした。
JR北海道単体の最終損益も225億円の赤字(中期計画時点は191億円の赤字)と下方修正した。ロシアのウクライナ侵攻で資源価格が高騰し、鉄道運行に欠かせない燃料費や電気料金合計で中期計画段階より8億円コストがさらにかさむという。
同社は2月、札幌圏を中心とする大雪の影響で2度にわたって大規模運休を引き起こし、翌3月に除雪機械や融雪設備の増強などを柱とする除雪体制の改善策を示した。記者会見した島田修社長は「22年度は10億円前後かけて設備を強化する」と話した。


収益や売上に関しては触れませんでしたが、厳しい数字を予想しています。コロナ渦からの回復はほとんど望めない状態で算出するほか無く、また、電気、燃料費用のコストアップ要因にも触れています。
また、事業計画では触れていませんでしたが、北広島ボールパーク予想に関しては、ある程度具体的な予定が見えてきました

日ハムBP駅に試合後9本運行 午後10時台
2022年04月02日 北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/664511
> JR北海道の島田修社長は1日の記者会見で、2023年春に開業予定のプロ野球北海道日本ハムの「北海道ボールパークFビレッジ」(BP)に関連し、試合終了後の鉄道利用者を輸送するための準備を進める方針を示した。
 島田社長は、千歳線で快速エアポートのほか、普通列車と臨時列車を合わせ「(試合終了後の)午後10時台は1時間に9本運行できる」との試算を説明。1試合につき約1万3500人の鉄道利用者を想定しているという。


この鉄道輸送の試算は毎度北広島市の算定ですので、JR北海道は「そうですか」って話ですが、実際の所は蓋を開けなければわかりません。なお「9本」は純増数では無いものと思われます。

 2022年3月改正北広島駅時刻表
2022年3月改正北広島駅時刻表
現行の列車が快速4本普通2本の6本ですので、これに7本「増発する」というように見えます。(快速エアポートに観戦客をできる限り乗せたくないと予想する)なお、北広島発22:43札幌行は東室蘭からの2両編成なので、何らかの対処を行って6両化するものとは思われます。
ちなみに1列車800人程度の定員としても9本なら1時間に運べるのは7200人ですので、快速エアポートを含めても1万人程度、ピーク時にかなり待たせないと厳しいことになりそうな予想はできます。純増が9本と仮にしたところで1万2000人ですから、22時台に北広島駅でどのような状況になるか。個人的には危惧しています。

なお、車両更新やKitacaエリア拡大、新幹線のスピードアップへの取組等を報じた社は皆無となります。北海道のマスコミ情報だけではどうしても「何が起きているか」はわからないということになります。これらは伝えたくない事実なのでしょうから。

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