北海道の交通関係

SAPICAポイント付与率変更と回数券

2022/05/17

SAPICAは札幌市交通局が2009年に札幌市営地下鉄の乗車カードとして導入したICカードです。2013年6月からは札幌市電・市内を運行するバス事業者(ジェイ・アール北海道バス・北海道中央バス・じょうてつバス)への導入と、Kitaca・Suicaなどの交通系ICカードのSAPICAエリアでの使用開始が行われています。

札幌市内とその近郊ではJR北海道の鉄道以外ではほぼSAPICAでの乗車が可能となっており、逆にSuicaやKitacaはJR北海道Kitacaエリアの路線とSAPICAエリア全ての交通機関で利用できることになります。

これではSAPICAに優位性がありません。それでもSAPICAを使う理由としてポイント制度があります。

SAPICAのポイント制度

SAPICAのポイント制度は非常にわかりやすく使い勝手の良いものになっています。

●ポイントのため方

SAPICAを利用し、札幌市営地下鉄・札幌市電・札幌近郊のSAPICA対応バスに乗車すると乗車料金、運賃の10%のポイントがSAPICAポイントとして付与されます。
●さっぽろから麻生までSAPICAで地下鉄を利用した場合
 料金250円をSAPICAチャージ金額から引き去り、25ポイントを付与。
●麻生から大通まで地下鉄、路面電車に乗り換えて中央図書館前までSAPICAで利用した場合
 地下鉄の改札機を出場時料金250円を引き去り、25ポイントを付与。
 路面電車降車時乗継割引料金120円を引き去り、12ポイントを付与。
●北海道中央バスで札幌ターミナルから滝川駅前までSAPICAで利用した場合
 バス降車時に運賃1,500円を引き去り、150ポイントを付与
このように利用額の10%をポイントとして付与します。

セイコーマートなど対象店舗での電子マネーとしてSAPICAを使用した場合も利用額の0.5%を付与します。

●ポイントの使い方

SAPICAはポイントを1ポイント1円として換算し、乗車料金・運賃以上のポイント残高があれば自動的にポイントから充当を行います。
●SAPICAポイントが250ポイント以上ある場合にさっぽろから麻生までSAPICAで地下鉄を利用した場合
 料金250円をSAPICAポイントから充当。新たなポイント付与は行わない。
●SAPICAポイントが120ポイント以上250ポイント未満ある場合に麻生から大通まで地下鉄、路面電車に乗り換えて中央図書館前までSAPICAで利用した場合
 地下鉄の改札機を出場時料金250円を引き去り、25ポイントを付与。
 路面電車降車時乗継割引料金120円をSAPICAポイントから充当。新たなポイント付与は行わない。

ただし、SAPICAポイントは改札機や市電、バスのICカード読み取り機を使用した場合にしか充当されません。(券売機や店舗などでの使用でポイントは充当されない)

このポイント制度はSAPICAエリア内でSAPICAを使用した場合のみに付与、充当が行われますので、KitacaやSuicaなどを使用してもポイントは溜まりませんし利用もできません。


SAPICAのオートチャージ機能

また、SAPICAにはオートチャージ機能を用意しており、事前にクレジットカードを登録しておくと、SAPICA内のチャージ金額が設定された金額以下になると、改札機や電車・バスのICカード読み取り機のタッチで自動的に設定金額をチャージすることが可能です。これにより改札機や車内での現金チャージを行わずに利用が可能になります。また、クレジットカードのポイントを得ることも可能です。


定期券機能

SAPICAエリア内の札幌市営地下鉄と札幌市電、路線バスの定期券を組み込むことが可能です。乗り継ぎ定期として地下鉄-市電、地下鉄-バスの定期としても組み込むことができます。なお、定期券の利用ではポイントは付与されません。なお、JR北海道の鉄道と札幌市交通局の地下鉄・市電との連絡定期はKitaca・SAPICAとも発行できません。JRと地下鉄を乗り継ぐ定期利用は2枚のICカード(定期券)を持ち歩かなければなりませんし、2枚を重ねて定期入れなどに入れていますと地下鉄改札機で誤動作しますので非常に不便ではあります。


小児・福祉割引機能

SAPICAにはこども料金・運賃にて精算される子供用の設定を行うことができます。
また、障害者手帳・療育手帳・精神障害手帳保持者の福祉割引SAPICAを設定することができます。
さらに、障害者手帳・療育手帳の等級により介助者の福祉割引SAPICAを設定することができます。
これらは自動的に記名SAPICAとなり、他者の使用はできません(ただし福祉割引の介助者用は福祉割引対象者名となり介助者が固定されるわけではない)

なお、福祉割引の介助者の割引に関してはバス事業者によって扱いが異なるので注意されたい

札幌市 交通機関の利用 障がい者交通費助成
https://www.city.sapporo.jp/shogaifukushi/guide/ido-shien01.html



SAPICAは少なくとも札幌市内で公共交通機関を利用することに関してはほぼ不便がないカードと言えるかと思います。
しかし、当サイトでは札幌市長がJRとの相互使用についてJRの問題であるように答弁、回答したことについて以下の内容を書いています。

札幌市営地下鉄開業50年とSAPICAの立ち位置
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1099


SAPICA自体が行っていることは共通化を行った他地域でもできていることですし、SAPICA自体が「独自性」と言っているほとんどは、今や「独自」ですらない状態になっています。


ポイント付与率の変更

札幌市は2022年2月の定例市議会でSAPICAのポイント付与率を減額することを示唆します。しかし、このとき道内マスコミは全く食いつきませんでした。北海道新聞には札幌市内面の片隅に、しかも高校の再編統合をタイトルにした記事で取り上げました。

藻岩高と啓北商高 27年度に再編統合 市議会で教育長方針
2022年02月22日 北海道新聞 札幌面
(WEB配信無し)
>*代表質問の主な内容
> 水上美華氏(民主市民連合) 市営地下鉄の経営改善に向けた取り組みは。
> 吉岡亨副市長 改善には現在の提供サービスを見直さざるを得ない。ICカード乗車券「SAPICA(サピカ)」のポイント付与率引き下げについて関係者と協議を始めている。


その後市議会経済観光委員会で交通局が答弁した内容で概要が明らかになります。ポイント付与率については触れてはいませんが「大きく引き下げ」とします。また、ここでは乗車券タイプの乗り継ぎ券の廃止も示唆しています。

サピカ付与率引き下げ 札幌市交通局方針 大幅減収で今秋
2022年03月01日 北海道新聞 札幌面
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/651028
> 札幌市交通局は28日の市議会経済観光委員会で、市営地下鉄や路面電車(市電)などで利用できるICカード乗車券「SAPICA(サピカ)」のポイント付与率を、今年秋から引き下げる方針を示した。
新型コロナウイルス禍に伴う乗客減で大幅減収が続いており、現在利用額の10%となっている付与率の引き下げ幅について、交通局は「ある程度大きく引き下げざるを得ない」と説明した。
>  また交通局は感染症対策で、地下鉄とバス間で発行している紙の乗り継ぎ券廃止や、地下鉄定期券購入時のクレジットカード決済導入などを検討していることも報告した。


また、市営企業調査審議会交通部会ではポイント1%引き下げで年間1億7000万円の増収となることを明らかにし、またJR北海道での利用については否定的な見解を行いました。なお、先の記事ではポイントの負担について「2020年度実績で計14億5100万円に上る。」としています。10%付与で利用が減った2020年度を考慮しても1%で1.7億円というのは外さない数字でしょうか。

地下鉄サピカのポイント 1%引き下げで1.7億円増収
2022年03月23日 北海道新聞 札幌面
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/659920
>札幌市交通局は22日の市営企業調査審議会交通部会で、今年秋にも実施する市営地下鉄や路面電車(市電)などで使えるICカード乗車券「SAPICA(サピカ)」のポイント付与率引き下げについて、1%引き下げると地下鉄事業は年間1億7千万円の増収となる試算を明らかにした。
>  また、サピカとJR北海道の「Kitaca(キタカ)」との相互利用については、「JR北海道とは情報を共有しているが、現時点では難しい」と述べた。


別枠ではありますが、ジェイ・アール北海道バスは様似地区の路線バスでSAPICAを導入することを発表します。6月から行われます。ジェイ・アール北海道バスの様似地区は磁気バスカードによる利用を昨年2月で終了し現在は紙の回数券に戻る運用となっています。

日高線転換バス1年 あすダイヤ改正 利便性向上へ停留所11増 管内7町協議会 休日の部活 通院に配慮
2022年03月31日 北海道新聞 苫小牧・日高面
(WEB配信無し)
>ジェイ・アール北海道バスは6月から、ICカード乗車券「SAPICA(サピカ)」など10種類のカードを使用できるようにし、新しくノンステップバス4台の運行を始める。


そして5月11日、札幌市交通局はSAPICAのポイント付与を3%にすることを正式に発表します。

300億円減収「経営改善図る」 サピカ付与率10%→3% 市交通局発表 実質値上げ、理解求める
2022年05月12日 北海道新聞 札幌面
(WEB配信無し)
> 札幌市交通局は11日、市営地下鉄などの公共交通機関で利用できるICカード乗車券「SAPICA(サピカ)」のポイント付与率を、10月1日に現行の利用額10%から3%に引き下げると正式に発表した。
新型コロナウイルス禍の影響で、2020年度からの3年間で乗車料収入が計300億円減ると見込んでおり、実質的な値上げに理解を求めた。
>  また、サピカの事業主体「札幌ICカード協議会」(札幌)は同日、地下鉄のほか、路面電車(市電)と民間バスのジェイ・アール北海道バス、じょうてつ、北海道中央バス3社のポイント付与率についても、10月1日に10%から3%に引き下げると発表した。


SAPICAの公式ページでも発表になりました。

SAPICA 2022年5月11日 地下鉄・バス・路面電車におけるSAPICAポイント付与率の変更予定について
https://www.sapica.jp/view/attach/20220511_press.pdf





SAPICAは何故高ポイント還元を行っていたのか

さて、交通系ICカードは数あれど、高率のポイント還元を行う事業者はそれほど多くはありません。Pasmo等での「バス利用特典サービス」のような、実質的な回数券的な還元策がなされていたものなどを除けば、数パーセント程度の還元というのが一般的です。

札幌市交通局と札幌市電、札幌周辺の各バス会社3社は磁気カードのウィズユーカードを発行しており、1万円券で11500円分乗車が可能という大盤振る舞い的なサービスを行っていました。また、札幌市内のみ使用可能なウィズユーカードに対して各バス会社はバスカードで市外も使用できる同様なカードを発行していました。
札幌市電と各バス会社はそれ以前は「回数券」として1000円で1100円分利用可能(9.1%還元)を行っていました。しかし、札幌市営地下鉄には「回数券」が開業時からありませんでした。

札幌市営地下鉄で定期券以外で複数回乗車に対する割引を行う状態になったのはウィズユーカードにプレミアムが付いた1995年4月1日まで待たなければなりませんでした。そして1997年4月1日からバス・市電でも利用できる共通ウィズユーカードとなり、現在のSAPICAに繋がっていくことになります。


SAPICAのポイント付与の減額で、もちろん付かないよりはマシではありますが、複数利用の割引は失われることになります。また、回数券が廃止されている札幌市電についても同様となりますね。


バス回数券

SAPICAを導入している事業者であるジェイ・アール北海道バスはすでに札幌市内近郊のSAPICAエリアでの回数券発行は行っていません。本年6月以降は様似地区でのSAPICA導入で同様に回数券発行は終了します。
SAPICA導入を行っていない深川地区での回数券発行は今後もされるものとおもわれます。(100券5枚、50円券10枚、20円券5枚の1100円分を1000円で発売)この回数券は札幌圏での利用も可能となっています。

北海道中央バスではSAPICAを導入していない空知地区を中心に回数券を発売しています。この回数券を札幌圏で使用することは可能です。また、札幌市内の路線バス利用で発売している回数券券種は「よろこび回数券」のみとなっています。

北海道中央バス
https://www.chuo-bus.co.jp/marutoku/




「よろこび回数券」は46枚綴りで40枚分の価格となりますので210円券なら8400円で9660円使用可能になります。13%の還元になりますね。これはウィズユーカードの10000円券と同様の還元となります。
なお、一部の「よろこび回数券」は札幌市内のクレジットカード会社ニッセンレンエスコートで会員向けに割引販売を行っています。先の210円券は8,230円ですので約15%還元となります。また、300円で1ポイントのクレジットカードのポイント還元もあります。(ただし1万円未満は送料がかかるので注意)

ニッセンレンエスコート ギフトカード・交通チケット等の販売
https://www.nissenren-scort.co.jp/benri_ticket.html



なお、いずれの回数券も札幌市営地下鉄との乗り継ぎ割引は適用になりません。

じょうてつバスは回数券の発行を終了しています。

札幌市内でSAPICAエリアとなっていない夕鉄バス、ばんけいバスは現在も回数券を発行しています。



回数券の廃止は続くか

普通回数券(10回分の運賃額で11回乗車可能)に関してはJR東日本が9月をもって廃止を決定しています。
また、JR西日本、JR九州でも多くの区間で廃止済みとなっています。
私鉄では2020年いっぱいで廃止とした京阪電鉄を皮切りに西日本鉄道、東武鉄道が廃止に踏み切っています。

JR東日本は1カ月間同一運賃区間を10回以上乗車でポイントを10%還元する「リピートポイントサービス」を開始、また、JR西日本も回数券を廃止したICOCAポイントサービスで1カ月間同一運賃区間の11回目以降の利用1回ごと運賃の15%のポイントを還元し、回数券を補う形になっています。しかし、JR九州は自社ICカードSUGOCAのポイントサービスを廃止することも決定しており、定期券以外の割引サービスは縮小の一途を辿ることになりそうです。

今のところ北海道ではJR北海道や回数券やバスカードを発行している各バス事業者に関して廃止の話は出ていませんが、SAPICAポイントの縮減は各事業者にも影響を与えるのではないかと思うところです。

追記
北海道中央バスは7月11日に「よろこび回数券」の廃止と回数券券種の縮小、プレミアム率縮小を発表しています。
https://www.chuo-bus.co.jp/%EF%BC%B3%EF%BC%A1%EF%BC%B0%EF%BC%A9%EF%BC%A3%EF%BC%A1%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88%E4%BB%98%E4%B8%8E%E7%8E%87%E3%81%AE%E8%A6%8B%E7%9B%B4%E3%81%97%E5%8F%8A%E3%81%B3%20%E5%90%84%E7%A8%AE%E5%9B%9E%E6%95%B0%E4%B9%97%E8%BB%8A%E5%88%B8%E3%81%AE%E5%89%B2%E5%BC%95%E7%8E%87%E7%AD%89%E3%81%AE%E8%A6%8B%E7%9B%B4%E3%81%97%20%E3%83%BB%E4%B8%80%E9%83%A8%E5%88%B8%E2%80%A6/main_info/1801

 北海道中央バス2022年7月11日
北海道中央バス2022年7月11日


追記
JR北海道は7月19日に普通回数券の廃止を発表しています。11月30日をもって一般用の普通回数券の発売を終了します。
2022.07.19 普通回数乗車券の発売終了について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/220719_KO_ticketbook.pdf

 JR北海道2022年7月19日
JR北海道2022年7月19日


 SAPICA導入時の掲示
SAPICA導入時の掲示

北海道の交通関係 ICカード乗車券 札幌市交通局 路線バス

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