北海道の交通関係

上砂川、三川の路線バス廃止と胆振線バス区間短縮

2022/09/13

北海道内の路線バスも、コロナ渦の影響もあって路線の縮小、減便が続いています。
残念ながら鉄道とは違い、その詳しい内容が伝えられることは希で、事業者のサイトで告知されないまま新しい時刻表でなくなったことを知るなんてこともあったりします。特に自治体の広報でも告知されないこともありますので、現実にその路線を日常的に使うわけではない趣味者が得られる情報というのは非常に少ないということになります。

札沼線沿線と新十津川町新公共交通に関連する北海道中央バスの路線については以前の記事で触れましたが、それ以外にも廃止路線があり、たまたま近くを通りましたので訪問して参りました。

その後の札沼線バスと新十津川町の「新公共交通」
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1179



中央バスはサイト内で3路線の廃止を告知しています。12月のダイヤ改正を待たないのは珍しいことと思います。

中央バス 滝川浦臼線・上砂川線の廃止及び岩見沢三川線の経路短縮・路線名変更について
https://www.chuo-bus.co.jp/%E3%80%90%E6%BB%9D%E5%B7%9D%E6%B5%A6%E8%87%BC%E7%B7%9A%E3%80%91%E3%80%90%E4%B8%8A%E7%A0%82%E5%B7%9D%E7%B7%9A%E3%80%91%E5%BB%83%E6%AD%A2%E3%81%A8%E3%80%90%E5%B2%A9%E8%A6%8B%E6%B2%A2%E4%B8%89%E5%B7%9D%E7%B7%9A%E3%80%91%E3%81%AE%E7%B5%8C%E8%B7%AF%E7%9F%AD%E7%B8%AE%E3%80%81%E8%B7%AF%E7%B7%9A%E5%90%8D%E5%A4%89%E6%9B%B4%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/main_info/1833




中央バス上砂川線

1960年代から70年代、80年代初頭までは「三井上砂川線」として日中15分間隔で運行されていたなんてことは遠い昔のことでありますが、砂川から上砂川駅、そして東山・東町地区へ2本、仲町・奥沢町地区に2本、そのうち1本が「保養センター」行きとなり、ここが今の上砂川岳温泉パンケの湯の場所になります。

1960年代70年代の航空写真と照らし合わせるとおびただしい数の炭鉱住宅があり、バスがそれだけ利用されていたことがわかります。昭和20年代に3万人を超えた人口がいた上砂川町ですが、1970年には1万2000人、1980年には1万人を割り込みます。1987年には三井砂川鉱業所閉山、函館本線の支線であった砂川-上砂川の貨物列車はJR転換前に姿を消します。
閉山後も「三井上砂川線」を名乗っていたバス路線は1988年から「上砂川線」と称するようになります。
1992年にJR北海道に引き継がれていた支線が廃止になりますが、充分な本数のバスが運行されていることから代替バスとしての特段の増発はされませんでした。この頃日中20分おき、1997年からは40分おき、2000年代に入ると1時間に1本から2本という本数に縮減されます。2009年には10往復と大きく時間が開く時間帯があるものの歌志内・赤平方面への便と合わせて1時間に1本程度は確保されている状況になります。2018年には東町-東山を廃止、東町地区はほぼ無人の集落となっていました。
2021年にはわずか3.5往復、土日祝運休にまで縮減した上砂川線。今回、路線そのものも廃止になります。
 上砂川線路線図
上砂川線路線図
(北海道廃線路線図様サイト・OpenStreetMapを使用 https://naeboworks.com/haisen/

砂川市立病院のバス停には8月31日訪問時にはありませんでしたが、9月11日には上砂川線廃線についての案内がありました。
 砂川市立病院・歌志内線バス
砂川市立病院・歌志内線バス
 砂川市立病院・上砂川線廃止の案内
砂川市立病院・上砂川線廃止の案内
 砂川市立病院・上砂川線廃止の案内
砂川市立病院・上砂川線廃止の案内
東山バス停は公営東山団地のロータリーにあります。
 東山バス停
東山バス停
 東山バス停
東山バス停
なお、この先東町地区は既に立ち入ることができず、現住者はおられないということになります。
 東町方面への通行止め表示
東町方面への通行止め表示
上砂川岳温泉パンケの湯に向かう道路脇には旧仲町バス停の折り返しスペースがありました。
 仲町バス停の折り返し所
仲町バス停の折り返し所
過去には上砂川岳温泉への訪問時に東町バス停を経由しての運行が行われており、何度か乗る機会はありましたが、現在は温泉への便も無くなり、また東山へも土曜休日運休とここ最近は乗る機会に恵まれませんでした。

●代替輸送
砂川市立病院-旧上砂川駅付近の中央1丁目までは滝川-歌志内-赤平の中央バス歌志内線が継続され運行されますので、函館本線支線(上砂川)の廃止代替バスがなくなるという一部報道やネット意見は誤りです。また、旧歌志内線で駅代替を行わないのは焼山のみで、それ以外の駅は中央バス歌志内線が並行していることを確認ください。
廃止区間を含めた上砂川-砂川に関しては上砂川町では乗り合いタクシーを拡充しての代替輸送を検討しています。乗合タクシー利用は町民とその家族などに限定され、利用登録が必要。また、平日のみ運行となります。
運行は砂川のタクシー会社北星三星交通となり、予約は電話受付です。運賃は現金払いです。

上砂川町乗り合いタクシー制度の拡充について
https://town.kamisunagawa.hokkaido.jp/soshiki/kikaku/chiiki/kotsu/913.html

 上砂川町乗り合いタクシー制度の拡充について
上砂川町乗り合いタクシー制度の拡充について


上砂川町内と砂川市内を結ぶ乗合タクシー特別便を4便(上砂川発3便、砂川発1便)運行し、この便は上砂川町内のみの利用、砂川市内のみの利用はできません。砂川市内は・高速砂川吉野入口・砂川高校・砂川神社・JA新すながわ農協(砂川十字街)・砂川市立病院を利用できます。運賃は300円で、現状の砂川市立病院-中央1丁目350円、砂川市立病院-東山430円よりは割安ですが、砂川高校-中央1丁目は280円ですので若干高くなります。

また上砂川町内のみを運行する町内便は9便(町内施設発7便、利用者宅発8便・6便は相互)運行します。町境の下鶉から上砂川岳温泉パンケの湯まで14箇所の指定施設発着となります。運賃は200円で、バス並行区間の町内は概ね同価格となりそうです。

なお、この付近では旧JR歌志内線の廃止代替路線だった中央バス焼山線が2019年に廃線となっており、現在砂川市では予約制乗合タクシーを運行して代替としています。


中央バス岩見沢三川線

岩見沢から栗山・由仁を経由して三川駅通まで運行していた岩見沢三川線が廃止となり、由仁までの短縮となります。岩見沢-由仁間の時刻は変更ありません。

貨物列車が多く走り、複線区間が多かったとはいえ旅客列車の本数が制限された室蘭本線の岩見沢方。それを補う形で運行していたのが中央バスのこの区間になります。
以前は三川より先も枝分かれしており1989年までは石勝線(夕張線)川端駅前まで、1994年までは追分町内の若草団地まで、それが短縮されて1996年までは追分駅前まで路線を延ばしていました。

現在はそれぞれの本数は少ないまでも
・系統25 岩見沢長沼線
・系統26 岩見沢栗山線(美園)
・系統27 岩見沢栗山線(教育大)
・系統28 岩見沢三川線
・系統29 夕張線
と岩見沢方に関しては17.5往復1時間に1本、2本程度が確保されています。現在郊外線でここまで本数が確保されているのは珍しいと言ってもいいでしょう。
過去でも1980年代は岩見沢から夕張への便が頻発していたこともありましたので概ね30分以内に1本は発車していたことになります。

今回廃止される区間は完全に鉄道と並行している由仁駅前-三川駅通の区間です、由仁町役場前、古山駅前を通って三川駅通りは国道沿いとなります。

由仁駅では廃止に関する掲示は駅前バス停ポールのみでした。駅内の掲示には特段何もなく、由仁から古山、三川方面への利用は少ないのかもしれません。
 由仁駅
由仁駅
 由仁駅
由仁駅
 岩見沢三川線廃止の案内
岩見沢三川線廃止の案内
 由仁駅内の掲示
由仁駅内の掲示

三川駅通り現地のバス停留場です。その先があった時代がありましたので、ターミナル的な要素はありません。
 三川駅通バス停
三川駅通バス停
 三川駅通バス停
三川駅通バス停
岩見沢方面のバス停には簡素ですがベンチが備えられていました。
 三川駅通バス停
三川駅通バス停
 三川駅通バス停
三川駅通バス停
 三川駅通バス停
三川駅通バス停
栗山駅でちょうど三川駅通行きのバスがいましたが、表示がうまく写せませんでした。
 栗山駅で三川駅通行き
栗山駅で三川駅通行き
 栗山駅で三川駅通行き
栗山駅で三川駅通行き

●代替輸送
由仁町のサイトでははっきりした代替交通についての案内はありませんでした。ほぼ唯一役場に接続する公共交通機関ではありますが、町の関係者もバスを使わないということもあるのかもしれません。中央バスの告知にも特段の案内がないので、代替交通がないのかもしれません。

別枠ではありますが広報誌には由仁駅-北広島駅のデマンドバスについて掲載がありました。平日のみ1日4往復で運賃は片道500円ですが10月31日までは無料で運行されます。
なお、利用は町民、町内に職場があることが条件となっています。

由仁町 広報ゆに 2022年9月
https://www.town.yuni.lg.jp/chosei/kohoyuni-index

 由仁北広島線
由仁北広島線


片道30分の予定ですので三川を経由する可能性は少ないものと思われ、本バスは三川へのバス代替とは無関係と思われます。
由仁駅前-北広島町内北広島共栄の夕鉄バス急行便とは駅直行であるので競合はしないものと思われますが、この区間が660円でありますので、運賃差があることも含めて、由仁の住民が夕鉄バスを使わなくなる状態はありそうです。


道南バス 胆振線代替バス一部区間

道南バスと沿線5市町でつくる胆振線代替バス連絡協議会は倶知安駅-伊達紋別駅を結んでいた胆振線代替バスのうち、喜茂別-大滝を廃止し、それぞれ倶知安-喜茂別・伊達-大滝区間で折り返すことを決定します。

大滝―喜茂別 9月末廃止 胆振線代替バス 連絡協が決定
2022年07月21日 北海道新聞 室蘭・胆振面
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/708231
> 総会では「倶知安駅前―喜茂別」(27キロ)と、「伊達市大滝本町東団地―伊達駅前」(39キロ)の2系統の運行は継続することを確認した。
> 代替バスは旧国鉄胆振線が廃止された1986年から、沿線の後志管内倶知安、京極、喜茂別の3町と伊達市、壮瞥町、道南バスで運営していた。協議会事務局によると、2021年度は約1億2千万円の赤字で、特に喜茂別町―伊達市大滝区間の利用者が少なかった。今回の決定で、赤字額は約6千万円に圧縮される見通し。


喜茂別-大滝を運行する便は直行便のみ3往復となっています。

倶知安-伊達紋別 道南バス時刻表

 道南バス時刻表
道南バス時刻表


10月以降は区間便として倶知安方、伊達方に統合することになります。伊達から倶知安は直通できなくなるものの、以前行われたJR北海道と道南バスが洞爺~倶知安アクセスバスを運行するなど、利用の確保ができそうな観光路線などでの代替は考えていそうです。
なお、伊達から洞爺湖温泉、留寿都、喜茂別を経由しての倶知安まで直行はないものの道南バスの路線としては今後も繋がることにはなります。

 倶知安駅前のバス路線図
倶知安駅前のバス路線図
 倶知安駅前のバス路線図
倶知安駅前のバス路線図

私がこの区間を乗車したのは2017年と結構前の話になります。廃止区間の乗客は5名だったと記しています。
 伊達駅前バス停
伊達駅前バス停
 伊達駅前バス停
伊達駅前バス停
 道の駅そうべつ付近
道の駅そうべつ付近
 すれ違うバス
すれ違うバス
 廃止区間の日の出バス停
廃止区間の日の出バス停
 倶知安駅前
倶知安駅前

なお、国道から経路が外れる御園(金山地区)への路線バスは2014年に廃止になっており喜茂別町営バスでの代替となっています。直接的に胆振線とは関係ありませんが喜茂別町の双葉地区からの飛び出しとなる共和バス停も同時に廃止になっていますが、こちらは代替バスは無いようです。


●代替輸送
広報きもべつ2022年9月には廃止の事実のみが記載されています。
もとより町営バス「ウサパラ」号が廃止区間に運行されています。日曜祝日は運休しますが、本数は維持されており、3往復の路線バスよりは住民利便があることになります。喜茂別から大滝方面への利用は振興局が異なることもあってあまりないというのが現実なのでしょう。定期バスですので町民外の利用も可能です。

喜茂別町 町営バス『ウサパラ号』の運行について
https://kimobetsu.sakura.ne.jp/soshiki_shigoto/somuka/soumu_kikaku/2015-0814-1154-133.html




大滝区の広報だてに関しても廃止の事実のみが記載されています。こちらは清原地区も含めてほぼ住民がおらず、代替輸送が必要ないという認識であるように思われますが、10月以降確認したいと思います。

北海道の交通関係 路線バス

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