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北海道の交通関係
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鉄道開業150年記念にやっぱり暗い話題を考える
2022/10/14
この項は10月14日に公開するべく、結構前から準備していたのですが、何度も書き直して随分あとに公開することになります。各地の地元新聞社説なども含めて、分量も多くなってしまい、余計に読みにくい内容になってしまいますね。
鉄道の日である10月14日。日本ではじめて鉄道が開通した日とされます。1872年(明治5年)9月12日に新橋-横浜(旧汐留貨物駅-桜木町)が開通したことを記念しています。国鉄時代に「鉄道記念日」として制定され、JR化後も引き続きJRグループとしての記念日扱いであったものが1994年に当時の運輸省が「鉄道事業者全ての」記念日として「鉄道の日」としたという経緯です。(明治5年は太陽暦採用の年で、10月14日は新暦によるもの)
また、北海道最初の鉄道である官営幌内鉄道の開業は1880年(明治13年)となります。
10月14日を「鉄道の日」に
1994/03/18 北海道新聞
JR各社や全国の公営、民営鉄道各社は十七日、今年から、十月十四日に行う「鉄道記念日」を「鉄道の日」と改め、各種行事を行うことを決めた。鉄道記念日は旧国鉄の行事で、国鉄民営後はJR各社が引き継いでいたが、鉄道事業全体に対する利用者の関心を高めるため民鉄なども参加することになった。
実際の鉄道開業の日付とか、本当の最初は云々はともかく、150年前に日本国内は徒歩、馬、牛車といった交通手段しか持ち得なかったことがあります。また「道路」といえば徒歩道ですから人間が歩くならば急な坂や段差は許容されますが、馬車、牛車が行き交うには緩いつづら折りで峠を登るしかありません。現在の感覚では「緩い坂」であっても荷物を積んだ馬車、牛車では登れないのは自身が自転車に荷物を積んで登ることを考えれば、逆を言えば坂を「ブレーキ無しで」降りることを考えればよくわかることかと思います。では、明治時代の道路がどのようなものだったか?はそれを現在踏破するという偉業をされているヨッキれん氏のサイトなどを見るとわかろうと思います。徒歩道に対して勾配を緩くしたこと、当時の道路行政的な問題などで後に廃道になったからこそ残っている当時の遺構などがわかろうものです。
山さ行がねが 道路レポート 塩原新道 桃の木峠越 第一次踏査 導入編
http://yamaiga.com/road/momonoki/main.html
この世に「自動車」というものができたのはこれから随分後になります。量産化されて自動車時代の幕開けとなったといわれるアメリカの「T形フォード」が1908年(明治41年)の販売です。そして、日本で本格的に自動車が使われるようになったのは皮肉にも1923年(大正12年)の関東大震災で壊滅的な被害となった市内電車網復旧までのつなぎとして輸入されたものが評価されていくこと、アメリカ自動車メーカーが国内販売、国内製造を始めて行くきっかけとなります。
日本国内の自動車保有台数が1千万台を越えたのは1968年(昭和43年)でこの時期は毎年20%以上台数が増加している時期です。日産の初代「サニー」とトヨタの初代「カローラ」が1966年発売開始、1000ccのエンジンから「プラス100ccの余裕」や「となりのクルマが小さく見えま~す」で1200ccクラス。家族4人を乗せて100km/h以上で安定して走ることができるという性能を売りにしていきます。
家族が両親と子供2人という「核家族」といわれますが、もとより古い家制度的に家長が両親と住み家を継ぐというのは「長男家族」だけですから、子供がたくさんいた時代といえども次男、三男家族は「核家族」標準的な家族となりましょう。子供が2人以上いた時代とはいえ子供が小さなうちは5人乗りの大衆車に全員(大人2人12歳未満の子供4人が乗れる計算になる)が乗ることができ、子供が免許を取れる年齢になれば新たに車を買う。このような循環が特に地方部では進むということになります。日本国内の自動車保有台数が2千万台を越えたのは1972年(昭和47年)と1千万台からの倍増がわずか4年後の話です。そして自動車の台数は今も増え続け2022年は8千万台を越えています。もちろん自家用車だけではないとはいえ、国内の総世帯に対する自動車普及率は乗用車だけでも1を越えています。
日本自動車整備振興会連合会 自動車保有台数の推移
https://www.jaspa.or.jp/member/data/owned.html
自動車保有台数の推移
そして人口です。2004年にピークを迎えた日本の人口は今後徐々に減っていきます。そのときに生産年齢人口である15-64歳人口が減少していくことがはっきりわかります。そして対しての高齢人口は増加します。
総務省 我が国における総人口の長期的推移
https://www.soumu.go.jp/main_content/000273900.pdf
我が国における総人口の推移
これを踏まえた「鉄道の未来」「公共交通の未来」というのを考えていかなければなりません。
鉄道の日を迎えて、各メディアの社説を読んでみる
鉄道自体に明るい話題が少ない中での鉄道の日、このような「その日に出す」ことが決まっている社説は論説委員氏も事前に時間をかけて練った内容を書けるものと思われますので、メディアが鉄道に対してどのような未来を、どのような課題を感じているのかがわかろうとも思われます。なお、9月20日の「バスの日」に関する社説を書いた新聞メディアは私が検索した限りではありませんでした。鉄道の日に関しても日経・読売・朝日・毎日は鉄道の日に関する社説を掲載しませんでした。
産経は「200年」は厳しいと国鉄の労働組合問題を朝日新聞批判を交えながらの社説(主張)を掲載しました。JR西日本、東日本のローカル線維持問題、北海道は廃線続き、静岡県知事を名指しでリニアができない、東京-九州の夜行列車全廃と、なんかSNSで「正論」を言うような社説だなぁと、新聞として掲載するにはちょっと浅さを感じないでもない。ところでJR北海道が廃線したとする600kmってどれですかね?上砂川支線・深名線以降で405km、JRに一時的に引き継がれただけの特定地方交通線の池北線を含まない長大4線含めると800kmを超えるので、何か間違えているように思うのですが。
鉄道開業150年 不断の改革で200年目指せ
2022年10月14日 産経新聞
https://www.sankei.com/article/20221014-HUHNTTZLSZP3NPURE44VQFK32M/
>いずれも一民間企業には手に余る問題だ。欧州では、二酸化炭素排出量が自動車や航空機に比べて格段に少ない鉄道が再評価され、国が多額の補助金を出している。特にリニア新幹線建設は、成長戦略の一つとして国が積極的に関与すべきである。ローカル線の存廃問題も安直にバスへ転換するのではなく、地方の交通はどうあるべきかというグランドデザインを国が明確に示さねばならない。
中国新聞社は前提となる鉄道斜陽の経緯、特に人口減少幅が大きい中国地方の地方新聞として、きっちり理解した上で鉄道の転機であることを記載しています。
【社説】鉄道150年 存在意義、見つめ直そう
2022/10/14 中国新聞社
https://nordot.app/953415209024274432?c=724086615123804160
> ただ時代を追い、陰の部分も色濃くなる。戦後の高度成長期から高速道路や飛行機との競合が進み、時に「時代遅れ」とのそしりも受けた。負けじと新幹線網が拡大する一方で歯止めなき人口減と高齢化、地方の疲弊が生活路線の乗客減を招く。
> 紆余(うよ)曲折を経て日本の鉄道は再び転機を迎えた。中長期的な展望を持ち、持続可能な鉄路のありようを考え続けたい。
信濃毎日新聞は国とJRが「廃止」したいのだという観点は北陸新幹線長野開業で実際に並行在来線区間の廃止、地元が負担しての第三セクター鉄道での維持が行われたというところからの流れを快く思ってはいないということでもあるのでしょう。魅力や公共性を「見いだす」のは誰が行わなければならないのか?という観点は必要でしょう。
〈社説〉鉄道開業150年 見直したい地方線の価値
2022年10月14日 信濃毎日新聞
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2022101400016
>今年、JR西日本とJR東日本が相次いで不採算路線の収支公表に踏み切った。国土交通省の有識者検討会は、JRと地元自治体に議論を促す提言をまとめた。
時代は変わり、地方の移動手段は車が主役になった。ローカル線の役割は既に終わった、との意見もある。JRや国の動きは、廃線やバス路線への転換をイメージしているようにも見える。
>存続には、その鉄道が持つ魅力や公共性を再確認していく必要がある。地元に何ができるか、関係機関とどう連携していくかも課題となる。歴史を振り返り、価値を見つめ直す機会としたい。
比較的都市部の地方新聞である神戸新聞は鉄道が優位性を発揮できるのは「高速輸送と都市間交通」と明記しました。地方の鉄道問題を少子高齢化と人口減少とするのは「優位性」の部分での収益が地方に取られて都市部の鉄道の改善が進まない事へのいらだちも見えます。ただ、内部補助ができなくなった路線をさらに「鉄道利用をしない住民も含めた税金」による上下分離などは良いのか、そのあたりが見えません。
(社説)鉄道開業150年/持続可能な活用へ議論を
2022年10月14日 神戸新聞
https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/202210/0015721407.shtml
> 日本では鉄道が長らく交通の主役だった。1960年代以降、高速道路の延伸や航空輸送が本格化すると次第に取って代わられる。旧国鉄の経営は悪化し、87年に分割民営化された。鉄道が優位性を発揮できる分野は、新幹線に代表される高速輸送と都市圏交通が中心となった。
そして今、鉄道が直面する最大の課題は、少子高齢化が進み、人口が減少する中で路線網をどうやって維持するかである。
> 鉄道は日常生活だけでなく、観光や地域活性化にとって必要不可欠な社会基盤である。災害時に果たす役割など、利用者数や採算性だけでは計れない面も忘れてはならない。
車よりも環境負荷が低い鉄道の運行を地域が一体となって支え、持続可能な公共交通網を再構築していく必要がある。線路などの保有と運営主体を別にする「上下分離」など公的支援の充実を急ぐべきだ。
岡山の山陽新聞もJR西日本のローカル線問題に携わる地域、JR化後の利便性向上を理解した上で現在の窓口閉鎖などの問題を認識しています。ここでも公的関与を書きますが、有識者会議の大切な地域の発展と「利用者から感謝され、利用して貰える」鉄道に戻そうという考えを紹介したのは一部で理念がねじ曲げられて伝わっているような気がする有識者会議を正しく理解していることになりましょう。
(社説)鉄道150年 利便向上重視し再構築を
2022年10月14日 山陽新聞
https://www.sanyonews.jp/article/1318793
> 岡山県は鉄道が充実し、岡山駅は全国有数の多くの路線が発着。88年の瀬戸大橋の開通で四国各県とも特急・快速で直結した。中四国の幹線鉄道の結節点として、地域振興の基盤となっている。
> 岡山、広島県などの在来線も国鉄末期からJR発足当初、高頻度の便利なダイヤが実現されたが、次第にじり貧となって減便や駅の無人化、みどりの窓口閉鎖などが進む。JR西日本は今年、姫新、因美、芸備線などを自力での維持が困難な路線に挙げた。
>国土交通省の有識者会議が7月に出した提言では、こうした連携の上で「真に地域の発展に貢献し、利用者から感謝され、利用してもらえる地域交通に」とした。時宜を得た方向性であり、地域戦略や利用者の視点に立ち、便利な列車運行への改善を重視することが欠かせない。
四国の高知新聞もJR四国の経営問題を持ってきますが、JR四国が国の支援の元に運営されていることを認識し、路線維持問題を地元自治体の関与が必要としました。地域の政治・経済を報道する立場で、県誌としての役割がある地方新聞ではこう書くのは勇気の要ることのような気もするのです。ただ、四国新幹線には否定的な様子が見えますね。
(社説)【鉄道開業150年】存在価値見つめ直そう
2022年10月16日 高知新聞
https://www.kochinews.co.jp/article/detail/601117
> 高知県の立場から言えば、経営構造が厳しいJR四国にはこれまで国の支援があり、赤字路線の見直し圧力が極端に高まることはなかった。それが、全国的な鉄道不振に伴って一律的な赤字路線対策が示され、今後はその枠の中での対応を迫られる形になったと言える。
JRは前身が国鉄で、民営化も国策だったため、自治体側はたびたび「路線維持は国とJRの責任」と主張してきた。運行会社の経営努力は当然だ。だが、厳しくなる環境に、自治体が積極的に関与していく必要性が増しているのは事実だろう。
協議では、路線を存続させるのなら自治体の支援や負担が焦点になるのが避けられまい。線路や車両の維持管理費用などを公費で担う「上下分離方式」の導入も選択肢に挙がってくるかもしれない。
世界日報は地方誌とも全国紙とも毛色が違う新聞ではありますが、社説がちょっと面白かったので紹介します。まず、開業当時の数字的情報が盛り込まれていること、そして外国人観光客を視野に入れたあたりは新聞としての起こりが海外である意味もあるのかもしれません。
【社説】鉄道150年 長期的視野で路線存続図れ
2022年10月17日 世界日報
https://www.worldtimes.co.jp/opinipn/editorial/20221017-165840/
>鉄道の運行(上部)と、線路や駅舎などインフラ(下部)の担い手を分離し、会計を独立させる方式を導入している地方路線もある。しかし根本的な経営改善には、やはり利用者を増やすことが鍵となる。
> 新型コロナウイルスでの入国制限がほぼ撤廃され、これから外国人観光客の本格的な流入が期待される。日本のローカル線は大きな魅力となりうる。観光資源として活用し、地域活性化に利用する道もあるはずだ。
地域おこしがすすめば、人口減の歯止めともなるだろう。自治体と住民が知恵を出し合って、経済活性化と路線存続の戦略を練るべきである。国はそのような取り組みにこそ積極的な支援を行うべきだ。
青森県の東奥日報は「鉄道の形態」まで踏み込みます。「住民を含めて当事者意識」というのも踏み込んでいるなという印象です。なかなか住民までは動員しにくいものです。それにしても新幹線が地元に開通してしまえばリニアも整備新幹線も「利用の有無は不透明」ってのはなかなか言えないですね。青森県が拒否していたら北海道新幹線はできなかったのですから。
ローカル線の将来像探れ/鉄道開業150年
2022年10月14日 東奥日報
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/1387690
>少子高齢化やデジタル化が進む時代に適した交通手段として、利便性向上の一方、鉄道の形態にとらわれない変革が求められている。
> 肝心なのはローカル線問題を鉄道事業者や沿線自治体任せにするのでなく、国、住民を含めて当事者意識を持ち、どのような地域交通網が次代に必要とされ最適なのかを考えることだ。
さて、やはり危機感を感じているのはJR西日本管内とは言えましょうか、東北があまり熱心ではないのは福島の只見線記事などで先に鉄道系の社説を出したこともあるのかもしれません。残念ながら社説も有償でしか読めない新聞はいくつかあり、特に公明党から選出される国土交通大臣を思うと聖教新聞あたりどのようなスタンスで書かれたのか(有償なので)気になるところであります。
〈社説〉 2022・10・14 きょう「鉄道の日」
2022年10月14日 聖教新聞
https://www.seikyoonline.com/article/409A268963BC90C00F983AE374F29F57
それでは当地北海道はどのような社説を書かれたのかを確認してみます。北海道新聞は通常の社説は2500文字程度を2本掲載しますが、この日の社説はこの鉄道に関してだけを1本、5000文字以上を使って書いている「力作」です。全て貼るわけにもいきませんが、現時点の北海道新聞が鉄道の未来に関してこうすることが「正しいこと」であると思って書いている内容となります。しばらくは全文を無料でWEBで公開されていると思いますので是非お読みいただければと思います。
<社説>鉄道開業から150年 路線網守る道筋考えたい
2022年10月13日 北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/744481/
> 国は今年に入り、沿線自治体やJRと赤字各線の将来像を考える協議を主導する方針を決めた。
個別線区の存廃のみにとらわれず、国全体として鉄道網をどう守るのか。過去を振り返り、未来を展望する節目の時としたい。
> 北海道はJR各社の中で唯一私鉄との競合がない。鉄路の行方はJRの経営問題と直結する。
かつてあった私鉄は石炭や木材輸送が主で、時代とともに姿を消した。例外は57年の東急による札幌・定山渓鉄道(後に廃線)買収だ。路線を延ばし当時の夕張鉄道に乗り入れる構想だった。
> 国鉄民営化は競争による効率経営が目的の一つだが、道内はサービス合戦もなく、保線経費がかさむ中で路線縮小を重ねてきた。
鉄道最盛期だった70年の道内総延長は約4300キロという。現在廃止が決まった区間を含めると数年後にはこの半分にまで減る。
一方で高速道路と自動車道はこの間に約1200キロ整備され、利便性は高まる。鉄道客はマイカーや高速バスへと流れていった。
国の財政支援後もJRの連結累積赤字は400億円に上る。一企業で解決しそうにない。航空やバスと補完し合う仕組みが必要だ。
> 廃線は暮らしも分断させる。鉄路は国が責任を持ち、地方線では道や市町村に権限や財源を移譲してはどうか。地域目線で持続可能な路線網を考える時機である。
まず前段、民営化前の国鉄時代に鉄道が廃止されている前提、その後の全国的なコロナ渦の苦境による路線維持問題、そして有識者会議による国の関与、結果的に主導となるという面を認識しています。
上下分離に関しては鉄道の歴史的経緯を書きますが、あまり意味は無くて、海外では~も事情が随分異なりますからそのまま参考にできない面です。国鉄に対してどの程度の国の補助金が入っていて、それを批判していたのもまたマスコミでありましょう。
面白いのは「競合がない」からJR北海道は「路線縮小を重ねてきた」というのも雑ではあるが、その後に自動車道についても書いているわけで、最大の競合相手がマイカーでそのための高速化だったことがまるっきり抜けてるのか、わざと書かないのかがわからない面です。札幌急行電鉄を聞きかじったから書いたのでしょうか、はて、その当時の国鉄は地域輸送よりも広域輸送にリソースを取られていたことを考えた時に、競合としての関係ができていたかは怪しいところです。
並行在来線問題は分けて考えたいところだが、結局国が出せ全部出せという内容で、今でも地域が求めれば支援の策を用意していることを全く無視しているのか、それとも、そうじゃない、国は金を全て地方に差し出せなのかがよくわからない。
深刻な北海道の人口事情
北海道庁は毎月の細かな人口情報を掲示しています。推移に関しても各自治体毎の人口は1977年(昭和52年)から、自治体別年齢5歳階級別人口は2002年(平成14年)以降Excelファイルで掲載しています。ただし年度毎になっていますので比較しての一覧性に難がありました。北海道 住民基本台帳人口・世帯数
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tuk/900brr/index2.html
これを今回、まとめた1枚のExcel表にしました。単にまとめただけでは合併、分区の場合過去との比較ができませんのでこれをまとめた項目も作成し、過去から現在までの比較ができるような表となっています。
なお、振興局が変更になっている幌加内町(2010年空知>上川)幌延町(2010年留萌>宗谷)は項目的には現在の表の中、振興局・支庁の集計的には2010年以前は元の振興局・支庁として集計されていることに留意してください。
このExcel表については、元の資料から数値をコピーしていますので、集計誤りがある場合は元の資料も確認してください。また、他の用途(自身の発言、論文等)に使用する場合は必ず元の資料を確認し、本資料を参考資料とすることの無いよう願います。
Excelを日常的にご使用の方には問題ないものと思いますが、各シート先頭列に連番を入れており、これでソートすることで元に戻せます。また、各自治体名の左隣には総務省の全国地方公共団体コードを付与しています。
住民基本台帳人口
最も右側のシートは1977年から2022年までの各自治体人口を表にしています。なお、元の資料は平成26年以降は1月1日現在、平成25年以前は3月末現在のデータですので、本来は直接比較できないものですが、参考として利用ください。シート左側に1987-2022・1977-1987・1987-1997・1997-2007・2007-2017を対比したものを貼り付けています。10年ごとの差異と35年が経過しての差異がわかります。鉄道のあるなしが関係したかはともかく鉄道民営化後35年で34の自治体が人口50%以下となっているという現実です。旧産炭地が含まれるのは致し方ない面ですが、幹線鉄道沿線の自治体も含まれていることがわかります。1997-2007や2007-2017で見ますと、旧産炭地の人口減少は閉山から時間が経過しても変わらず進んでいっているという現状です。


スキーリゾート的な意味合いでのニセコ町、倶知安町、赤井川村、そして特異な例であろう猿払村や新冠町が減少を抑えられていることや、急激に人口増加があった後減少に転ずる釧路町という、都市周辺での基幹産業の衰退をどう考えるかという自治体もちょっと見えてくるものと思われます。
北海道全体の人口はピークが1998年の5,693,495人、緩やかにそして確実に下がっていく人口について、もう一つ考えなければならないのが、高齢化人口です。
市区町村別年齢5歳階級別人口
ちょっと見せ方に困って、年度別の表に対してソートして自治体別を作成しています。2つめ・3つめのシートは基本的に同じ内容です。2015年以降は元の資料で80歳以上も5歳区分され100歳以上がまとめられています。過去との比較のため80歳以上の項目を追加し集計しています。国勢調査よりも細かく1年毎に出力されますので、推移がわかりやすい面があります。自治体別のほうには年少人口(0-14歳)、生産年齢人口(15-64歳)、老齢人口(65歳以上)をまとめて人口と比率を出しています。また、5歳毎の残存率(という表現がいいかはわからないが)を出しています。
こちらは2002年から2022年までの20年間を追うことができますが、この「最近」のように感じる20年間の変化が大きく、この変化に気がついていないと、現在の「人手不足」の本質がわからないような気もするのです。
北海道全体で見ますと2002年から年少人口は22万人近く減少、生産年齢人口は86万人以上減少しています。そして老年人口は59万人増加しています。人口自体は48万3000人の減少ですが、高齢化比率は19%から32%まで上がったわけです。
そして、残存率でいいますと、子供が小さいうちは道内に住まうも、高校、大学、社会人として北海道に残る数が限られる、これが生産年齢人口の維持にも影を落としていると言えましょう。

鉄道を維持する話をする時に、学生が乗る、高齢者が乗ると言われます。学生輸送のために3両以上の連結を行う地域を見て見ましょう。
●余市町
高校生が属する15-19歳人口を見ますと半減しています。現在の627人(高校生数として380人程度)はその後の年齢を見ると維持できる感じではありません。10年後2032年に高校生になっている数は15年で90%残存としても310人程度、15年後2037年には235人程度まで減少することを考えて政策を行わなければなりません。

高校生が属する15-19歳人口を見ますと1378人から787人と約57%。現在の787人(高校生数として470人程度)は10年後345人、15年後は240人程度になっているということです。この町では15歳までに15%程度は転出するように数字上見えます。

例示したのは極端な例かと言われるとそうでもなくて、生まれる子供の数が地方ではまず2002年の半分以下になっているような自治体は決して少なくないこと、そして、子供の成長とともに親も子供を連れて転出してしまうこと、それは地域の経済的、就労先の問題もありますし、それだけでは言い表せない問題もあるのでしょう。
●東神楽町
人口増加の例で挙げた東神楽ですが、中を見るとまた違った印象があると思われます。年少人口が維持されている、子供がいる世帯の移住はありますが、高校を卒業すると街を出てしまう。しかし、地元に就労を見つけられれば定住してくれるという良い巡りがあった時期があるように見えます。しかし、最近はそうでもなく、若者が街を去っているような傾向が見えることになります。

●幌加内町・音威子府村
地元高校を寮制にして高校生を定住させることで人口維持を図っている自治体です。生産年齢人口が見かけ上は上がりますが残念ながら生産活動には従事しません。そして高校卒業とともに街を出ます。ただ、残ってくれた場合の定着率が高いようにも見えます。音威子府の老齢人口が減少する理由は、老人介護施設、老人ホームなどが用意されていなかった過去、つまり自立生活できない方は街を去る決断を迫られていたという面があります。音威子府村は道内で介護保険料がいちばん安い自治体であるとPRしていましたが、現実には2017年まで特養や老人ホームといった滞在型の介護施設がなかったというのが現実だったのです。

人口減少社会は頭の中ではわかっています。しかし、どういう状況で人手が不足していくのかは、あまり現実感がありません。都市部に住めば24時間商品を購入できる施設がたくさん存在し、鉄道もバスも本数をまだ確保できています。
しかし、生産年齢人口の減少はそれをいつまでも許さず、そして高齢人口の増加が保険料などの面で現役世代を疲弊させていきます。
2002年はちょっと前、そんなに昔ではありません。でも、2002年の感覚で「競争」でサービスが良くなる、なんて考えるのはもう無理です。鉄道もバスも残って介護施設のタクシーも潤沢に使えるなんて事もありません。
良くてあと10年、特に設備インフラに手がかかる鉄道を、わずかな通学の高校生が乗るからと維持させられるような状況は考えられません。そして税収面でも、高齢者支出面でも税金を「ろくに使われていない」鉄道につぎ込むことは是とはしないでしょう。
特に地方は、その人口減少に対する生産年齢人口の減少が大きすぎ、現状のサービスの維持は非常に困難になります。これは観光でも、商業でも、工業でも、もちろん農林水産分野でもです。どう集約するか、どう効率化するのか。そして老朽インフラを新しく、メンテナンスフリーにしていくことも必要です。もちろん完全な放置はできないものの、高架橋、トンネル、コンクリートによる軌道を使用した新幹線は一つの解です。災害箇所を避ける形での高速道路もそうです。明治生まれのトンネルと鉄橋で「景色がいい」を維持するためにどれだけの手がかかっているか?を考えなければなりません。
少なくとも鉄道で起きている現実は「駅の窓口を無くすな」レベルではないこと、そして10年20年後、いかに手を少なく鉄道を運行するのか、特に人口の減少が緩やかな都市部で「輸送を維持」するにはどうすればいいか。
鉄道の日に、あまり明るくない話題です。しかし、郷愁や観光で鉄道を残すというなら、そのための「人員」をどうするのか?物流を担うならば誰がどの程度運ぶのか?赤字黒字の前に「走らなくなる」ことは充分に考えられる、そんな未来なのです。