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北海道の交通関係
並行在来線である函館線(長万部-小樽)バス輸送原案
2022/11/17
北海道新幹線の延伸区間における並行在来線区間である長万部-小樽に関しては2022年3月27日に行われた第13回後志ブロック会議で、長万部-小樽の全線を廃止しバス転換することの結論が出されました。また、7月7日に行われた第14回後志ブロック会議ではバス路線についての基本的な考え方が提示され、「秋ごろに具体案が示される」とされました。
これに関しては、以前の当サイト記事でも記載していますし、「並行在来線問題」のタグをご覧いただけますと複数の記事でその経緯を確認いただけるのではないかと思われます。
並行在来線である函館線(長万部-小樽)廃止バス転換報道
North-tt 2022/03/29
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1120
並行在来線である函館線(函館-長万部)の新たな動き
North-tt 2022/09/29
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1189
カテゴリ:並行在来線問題
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?category=%E4%B8%A6%E8%A1%8C%E5%9C%A8%E6%9D%A5%E7%B7%9A%E5%95%8F%E9%A1%8C
その「秋」となった11月6日に行われた後志ブロック会議では、バスルート及び本数に関する内容が提示されました。
第15回後志ブロック会議(令和4年11月6日)
内容に触れる前に北海道新幹線の並行在来線に関する資料や内容は北海道のサイトに掲載がありますので、こちらも確認していただきたいと思います。様々な報道や当サイトも含めた素人の解釈なんかもネットを探せば出てきますが、最も肝になるのはその「出所」である公式資料になります。ここからさらにメディアが取材して記事になった内容、そして書いた人が自分でどう解釈しているかという内容になっていきます。北海道 函館線(函館・小樽間)について(北海道新幹線並行在来線対策協議会)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/heizai.html
なお、北海道庁のサイトはこまめにサイト内の「場所」を変えますので、リンクが有効にならない場面が出てきます。これは後から物事を調べようとする方には正式な情報を検索する時に非常に困難になります。
第15回では各市長、町長が出席し、北海道からも交通企画監宇野氏、振興局長天沼氏、交通政策局鉄道局長の斎藤氏が出席しています。
この項を書いている11月16日の段階ではまだ議事録が掲示されていませんので資料を確認してみましょう。
第15回後志ブロック会議(令和4年11月6日)
資料1
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/7/1/3/5/1/4/1/_/04%20%E8%B3%87%E6%96%991_%E4%BD%8F%E6%B0%91%E8%AA%AC%E6%98%8E%E8%B3%87%E6%96%99(%E5%89%8D%E5%8D%8A).pdf
(見ることができない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20221117_01.pdf
資料1②
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/6/8/0/2/7/9/7/_/%E3%80%90%E7%B5%90%E5%90%88%E3%80%91%E8%B3%87%E6%96%991-2.pdf
(見ることができない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20221117_02.pdf
資料1③
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/7/1/3/5/1/4/3/_/04%20%E8%B3%87%E6%96%991_%E4%BD%8F%E6%B0%91%E8%AA%AC%E6%98%8E%E8%B3%87%E6%96%99(%E5%BE%8C%E5%8D%8A)2.pdf
(見ることができない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20221117_03.pdf
資料2
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/7/1/3/5/1/4/5/_/05_%E8%B3%87%E6%96%992_%E4%BB%8A%E5%BE%8C%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB(%E5%BE%8C%E5%BF%97).pdf
資料2は次回開催に関するものですので、実際に内容としての資料は3つに別れている「資料1」のみです。
資料1(マクラとなる部分)
まず、資料1ですが、沿線人口について触れています。後志地域の人口は今後2050年には2020年比半減するという国立社会保障・人口問題研究所の推計を用いて説明します。そして、それに加え若年者人口の減少と、高齢化率が上がることも記載します。つまりは、今後人口減少社会であるから、バスに関しても「小さくなる地域人口と移動需要」を鑑みて「持続可能な公共交通」にすることを第一に考えたことになります。
逆を言えば、現状の鉄道による「利用客がいるのだ」という考えは、少なくとも資料を作成した北海道には考えが無く、今後20年もすれば半分しか人は居ないんだからそのときに困らない程度の「物量」でよいのではないか?と今回のバスダイヤを考えたと言えるかもしれません。
そのためデマンドバスに関する説明にも割いています。結果「交通結節点」となるバス同士、バス-デマンド交通の乗り換え点を黒松内・倶知安・余市に整備することを検討とします。
資料1(バスルート等について)
次の資料ではバス運行ルートを検討します。あくまで私個人の意識の中では、常識的なルートとは思うのですが、旧駅をどうしても使いたいという思惑があるために「必要の無い旧駅」に寄る形になるのが不憫だなとも思うのです。メインの利用者を高校通学、通院利用としていますので、それに限ったルートを考えます。ただ、何故旧駅に寄らなければならないのか?というのが見えない箇所がいくつかあります。ただし、駅自体が「結節点」とする、近隣にそのような施設がないとなると致し方ない面になろうかと思われます。駅に寄るのは時刻的な制約が出ますが、通学、通院メインなのだから問題なしと考えているのか。







資料1(バス運行ダイヤ等について)
さて、資料の途中で分割されていますが、一応は3つめの資料は時刻に関するものです。複数のルートを用意した路線に関して、そのバス時刻をどう考えたか?というところです。そこには「現行の鉄道ダイヤの概ね前後30分以内に並走する既存の路線バスを最大限活用」という文言があります。鉄道が輸送していた量に対して、既存バスでも特段問題ないよねという観点があって、新設されるバスをできるだけ少なくしようという意識が働いたものとおもわれます。
そして、これも明記された「国と道の補助制度」=「幹線補助」(地域間幹線系統確保維持事業費補助金)によるバス運行補填を受けられるという前提での路線検討となります。運行回数3回以上、1日15人以上の乗車が前提となります。
資料から既存の列車時刻との関係、代行バスとして新設される便を見てみます。当サイトで一般的な時刻表スタイルで書き直したものです。倶知安-小樽に関しては既存路線バスは余市以南への直通バスのみ記載しています。既存のバス本数が一定確保されている小樽-余市はバスの台数を確保するのだという形を取るしか今のところ方法はありません。この後確認いただきますが、代行バスとして走るのは「既存の鉄道の時刻に合わせたもの」だけですので、小樽-余市に関しては日中は既存の便に含ませて等間隔とする方が利便が高いはずです。問題は朝と夕方から夜にかけての通勤・通学輸送で、ここは「便数」よりも「台数」が確保できるかのほうがよほど問題と思います。
●長万部-倶知安

黒松内始発となる倶知安行きの便はニセコから2台運行を想定か、また始発便の長万部行きもニセコを始発とし、全体で長万部-倶知安を2台程度で回すことを想定しています。既存バスも合わせた倶知安-ニセコ間の効率化を想定しているように見えます。極端言えば域外のマニア的な移動は想定されないということでもありましょう。
代替バスの想定では倶知安で乗り継ぎ無しに小樽方面と直行する便は作られないようです。代替バスと既存のニセコバス小樽-倶知安-ニセコ便との関係性が気になるところですし、どうしても「似たような時間」に走る面をどう考えるかですが、それよりもニセコ以南ですね。
現実には長万部で新幹線から乗り継いでくれるという想定はあまり考えにくく、ニセコ方面は結果倶知安駅から乗り継ぐことになりましょうから、観光的な要素も考える必要が低いという認識もあるのでしょう。
●倶知安-小樽


ざっくり鉄道の時刻を代替しただけという形になります。最上・塩谷経由の通学対応便に関しては3往復設定される形になります。札幌方面への直行便に関する情報は無く、直行需要は既存高速バス(この時刻表内に記載していない余市始発の高速便)等で設定されることを考えているかもしれません。
こちらは倶知安ではなく、余市に営業所を持つ事業者(仁木始発便の設定も含めて)を検討しているように見えます。北海道中央バスにしてみれば、ここに他社の参入はあまり喜ばしくないでしょうし、定期券等の部分を考えてもそれが利便が高くなるものとは予想します。
余市で乗り継ぎになるのか、それとも系統分離で実際には乗り継ぐ形にならないのかはわかりませんが、倶知安と小樽を直通する形はあまり考えていないように見えます。これは実際に新幹線ができてしまうと、そちらを使う方がよっぽど利便が高いからとも言えましょう。そして札幌までですら倶知安から30分とかからないわけですから、単純に倶知安-小樽を1時間半かけるバスでの直行は考えにくいということ、そして、銀山を挟んで小樽側、倶知安側に大きな流動の差があるわけですから、それも考慮になりましょうね。
いずれにしてもルートも含めてざっくりした形にはなりますが、今回「鉄道時刻を単にバスで代替した」という言い方ができます。新設されるのはバスの回送的な要素もある長万部方くらいで、鉄道からは減便、既存のバスになるべく誘導したい、それは既存バス自体が便数の維持に苦しんでいるからに他ならないという面があります。
札幌から小樽・岩内・倶知安・ニセコ方面への高速バスは高速道路の延伸で小樽市内や札幌市内の一般道を走る区間が多くなればなるほど自家用車との所要時間の差ができる。結果的にバスが使われなくなってしまう面があります。鉄道の廃止でそれを再編することでバスの利便性を上げる。バスの利用を増やす形になるのが北海道および沿線バス会社の願いとなる面もありましょう。
報道
今回の第15回後志ブロック会議はまだ議事録が無いため、どのような議論がされたのかというのが見えない部分があります。報道では一部自治体首長の意見が掲載されていましたので紹介します。まず、北海道新聞ですが、運行本数が減ることが報道のメインになっています。
長万部―小樽 道、費用対効果意識し一部減便案 バスダイヤ決定へ曲折も
2022年11月07日 北海道新聞 小樽・後志面
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/756492/
>道が6日示したバスダイヤの方針案は、一部区間で運行本数を現行のJRより減らすなど、費用対効果を意識した内容となった。
高校への通学時間や、デマンド型交通で補完する場合の事業主体など残された論点も多く、来年1月以降の具体的なダイヤ案の決定には曲折が予想される。
>長万部―小樽間の4区間のうち、黒松内―倶知安と余市―小樽はJRと同等以上の運行本数を確保するとした。長万部―小樽、長万部―倶知安、倶知安―小樽といった、現行のJRと同様の区間横断的な長距離路線も一部残すほか、倶知安発長万部行きで午後2~3時台の便を新設する。
> これに対し、長万部―黒松内は、現行のJRで夜に黒松内から長万部に向かう便などがなくなり、上りで2本、下りで1本が減る。倶知安―余市は上り、下りとも乗車人数が少ない時間帯に4本ずつ減り、路線短縮も相次いだ。
> また、道は今回の方針案以外に地域ニーズへの対応として、予約に応じるデマンド型交通も検討する方向性を提示。事業主体は沿線自治体とも協議するとしたが、黒松内町の鎌田満町長は「すべて路線バス会社が運行してくれると理解してきた。急に地元に振られても困る」とくぎを刺した。
まぁ、順当な内容なのですが、黒松内に関してはたしかに現時点で長万部方への通学以外のまとまった需要があるとは思えず、かといって小樽まで通院というのもない以上、こうなると普段の移動に「路線バス」よりはデマンド交通的なもののほうが合っているような感はあります。市街地に住む人ばかりではありませんので、路線バスルートだけでは町内移動は無理です。
なお、記事につけられている図が適切ではなさそうに見えますね。ぱっと見て減ってると言いたいというのはわかりますが。
朝日新聞の記事は何故かWEBにありません。
(岐路の鉄路)代替バス、経路・ダイヤ案 後志ブロック、道が提示 函館線 /北海道
2022年11月07日 朝日新聞
(WEB配信無し)
> ダイヤは現在のJRの運行時間をもとにバスを走らせることを検討するとしている。また、きめ細かいニーズに対応するため、予約すれば乗車できる「デマンド型交通」の導入を検討することも明らかにした。
9市町の首長からは「デマンド型交通は、バス会社が運行してくれるのか。地元に振られても困る」といった意見や、バスの運行本数確保のため、新たにバス会社が参入することも可能なのか問う声もあった。
新たなバス会社の登場が「できる」ならば、それも検討の中だとは思いますが、別の会社が平行で走る形が必ずしも利便を高めないことも考えなければなりません。
というか、道新と朝日以外記事がなくて、全道的な興味はもう「鉄道の廃止」で終わってしまった。ここからどう地域の利便を高めるかという観点ではなかなか記事は出てこないということになりましょう。
この会議資料内容からどう思ったか
最近私個人の思うことをあまり書いていなかったような気がしますが、鉄道の廃止ということそのものが反対ならば、鉄道が地元が通学に使えない「観光鉄道」とすればいいとかいくらでも無責任なことを書くことができます。しかし、当サイト管理者は、その地域に住む方が、今後も移動ができ、通学、通院だけでなく、日常的な移動を行うことができることが大事だと考えています。これは過去の日高線や札沼線の廃止に関しても書いていたことで、考え方は変わっていないつもりです。
今回、あくまでも鉄道の時刻を踏襲して、運行を行いやすいように末端部の削除を行うなど「とかくバス運行の効率化」というのを検討したように見えます。
しかし、鉄道廃止後「バスが利便が良くなった」とするためには、それだけではうまくいかず、本当に必要な利用に対して必要な場所、時刻で繋ぐことを考えなければなりません。今回、鉄道の時刻を踏襲したのは鉄道の時刻が便利だったのならばそれでいいのですが、実際は既存のバスと重複した時間が多すぎ、また区間を繋がず乗り継ぎにする(のかどうかも見えない)ことが本当に利便を高めるのか?というのがあまり見えません。
これは日高線が不幸な災害で運行できず、鉄道の時刻を踏襲したバスを長年走らせたことが「それでいいのだ」と思ってしまっているのかもしれないとも思うのです。大胆に必要なところには既存のバスも含めた等間隔化を行うとか、そういう感じには多分できない、そこまで地元既存バス会社との話し合いも終わっていない。そのように思うのです。
もし、利便の高い交通機関に再編されたとしても結果的に地元首長は苦渋の決断で「不便なバスに転換することになった」と訴えかけることになります。実際の時刻や利便はともかく、利用者は不便だ不便だと思いながら実際は必要なところに設定された「便利なバス」を使うことになりましょう。それを、自信を持って道庁、地元自治体は利便の高いバスを作りましたと胸を張れるような設定をして欲しいのです。
バスルートだけ考えても全く不要な「駅」へ出入りします。それがデマンドバスなどの拠点になるという話がまとまっているならば、その考えも理解できますが、多くは「ただ旧駅に立ち寄っただけ」になってしまい、時間がかかるだけで何も意味が無い可能性もあります。新幹線の駅ができる倶知安以外は「本当に住民利便の高い場所」を考え、作る必要がありましょう。たいていは駅は町外れで不便です。
正式な内容は来年出てくるようですので楽しみにしていますし、倶知安が求める新幹線開業前の早期の鉄道廃止に関しても、それが行われるのであれば、段階的に朝晩以外は鉄道の運行を行わず、鉄道のチケットでバスに乗れるようにするなどの対策も一つの方法と思われます。
重ね重ね大事なことは住民がこの先も公共交通で移動できること、子や孫が高等教育を受けることができる移動手段を確保すること、そして、高齢になって車を手放しても一定の間は移動できることです。
本記事中で使用した時刻表はExcel形式から作成していますので、必要でしたら以下からダウンロードください。
https://traffic.north-tt.com/txt/20221116_01.xlsx
追記:2022年年末になって議事録が公開されました。