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北海道の交通関係
JR北海道の雪対策の歴史と空港輸送を安定させる方策
2022/12/14
ここ最近、JR北海道は雪に弱く、国鉄時代だったらこんなことは無かった!みたいなお話を聞くわけですが、幼少期に鉄道を利用することが多かった我が家としては、いやいや、鉄道の輸送安定はそんなに高くなかったけど、鉄道がメインの交通手段だから辛抱強く待つしかなかったし、動いた列車も結果的に事故になっていないだけで危うい例はいくらでもありましたよ?としか言い様がない面があります。
1980年代あたりですと幹線道路除雪がある程度充実してきた時期とも重なりますし、その後1991年のスパイクタイヤ禁止など、冬期の自動車がどう使えたか?という問題もまぁあろうかとは思うのです。鉄道と比較して道路が使いやすくなった、クルマを使うことが可能になったという言い方はできましょう。
たとえば幌加内-美深の美深峠、北見-佐呂のルクシ峠(サロマトンネル)、白糠-浦幌の釧勝峠が日中とはいえ冬期も通れるようになったのは1988年のことです。釧勝峠は今は自動車道で結ばれており利用は少なくなったものの今は24時間除雪区間です。
その後も国道231号雄冬-大別苅は1992年、国道273号十勝三股-上川は1994年、国道452号夕張-芦別や札幌に近い国道453号も1998年までは冬期通行止めだったと記憶している人はかなり少なくなったのではないでしょうか。
そもそも道路として開通してなかった日高-穂別区間を含めた日勝峠なども含めて、1990年代になってやっと通年クルマでの移動、特に物流が担保できるようになったって面は抑えておかなければならないことだとも思うのです。
美深峠など通年通行に、道開発局の除雪計画
1988/10/31 北海道新聞夕刊
> 今年から新規に除雪対象となったのは国道275号線美深峠(空知管内幌加内町-上川管内美深町)、同333号線ルクシ峠(北見市-網走管内佐呂間町)、同392号線釧勝峠(釧路管内白糠町-十勝管内浦幌町)の三区間で、日中だけの除雪ではあるものの、地元要望の強かった通年通行が可能となる。
また同241号線弟子屈町内(釧路管内)の三・九キロ、同274号線の夕張市登川-胆振管内穂別町間の十一・一キロが二十四時間体制の第一種除雪路線となる。全道の第一種路線は三千九百九十二キロで全体の六八%。
そして24時間体制で除雪を行う「第一種除雪路線」はこのあと急激に増え、1990年には全体の除雪率は98.6%まで増えます。つまり「ほとんどの路線は除雪される」ということです。これは天北線や名寄線などの廃止問題で沿線道路の除雪体制が強化されたという面もあります。
そして、もう20年以上前のことですので忘れているような気がしますが、2001年度から北海道では自動車税の「積雪地軽減」を廃止しています。
自動車税 積雪地軽減を廃止 道が提案 段階的引き上げも
2000/07/26 北海道新聞
> 積雪のため自動車を運転しにくい北海道の地域特性に配慮し、自動車税を軽減する積雪軽減措置について道は二十五日までに、本年度で廃止する方針を決めた。九月の第三回定例道議会に道税条例改正案を提案する。道内のマイカー所有者は二〇〇一年度から負担増となるが、増額幅が大きい地域は経過措置を設け、段階的に税率を上げる。
北海道内では自動車税を7.5%~30%割り引いていました。これは冬期間積雪が多い地域は道路を利用できないとする観点であって、2000年時点では除雪体制が整備されており形骸化していました。ちなみに2000ccの乗用車で当時45,000円が札幌市では36,500円でした小樽や稚内などでは33,500円でした。現在新車登録すれば36,000円ですので、まぁ、先祖返りした感も無いわけではありません。少なくとも国(と道庁)は北海道の大まかな地域は夏も冬も道路交通に問題は無いという認識をしているということを、まず北海道に住むわたしたちは理解しなければならないのではないか?と思うのです。
北海道内の鉄道「運休」はどのくらい起きていた?
さて、記事として検索本数としてわかりやすいという意味で、道新データベースから「快速エアポート 大雪」と検索してみました。大幅な遅延などの記事もあったかもしれませんが、1996年から2022年まで96件の記事が検索されました。このうち2020年までの記事は59件、残り37件がここ2年間の記事です。これは地方面の収録が行われたのが1997年以降という面を考えても最近の記事数が異常すぎる感があります。1998-2000年、2002・2003年、2009-2010年など記事がない年もあります。もちろん雪での鉄道運休はあったはずです。
「JR 大雪 運休」のワードでも調べてみました。夏期の記事を除いて1139件の記事が検索されました。ここでは、
・1990-1999年が116件
・2000-2009年が224件
・2010-2019年が549件
・2020-2022年が247件
となります。1990年代に鉄道の運休が少なかったのかどうかは私としてはなんとも言えませんが、社説でJR運休に関して取り上げるのは2011年以降でありますので、道新としてJR運休が問題であると認識し始めたのがこのあたりの俗にJR問題が発生した後に記事にするようになったとも言えるかもしれません。
とはいえ、JR北海道のサイトで調べることができる2002年以降の輸送障害件数を見ますと、やはり自然災害を要因とする輸送障害も含めその件数は増えていることが見て取れます。JR北海道が公表する輸送障害は30分以上の遅延ですので、一般的な認識とリンクするかどうか?というのはありますが、その推移を資料にしましたので貼っておきます。

先の道新記事(日付とタイトルのみ)の印象と比較するとやはりJR北海道は「自然災害」も含めた輸送障害が多くなったという言い方はできようかと思います。ただ、出発した列車を駅以外で止めての「夜明かし」とかしたくないという意味でも早め早めに運休するようになったとも言えますので、必ずしも「運行できない状況」になったから運休しているかどうかは断言できない面はあります。
JR北海道の除雪体制
さて、JR北海道は2009年以降のプレスリリースをサイトに残してあります。今も見ることができますが、一応バックアップを取っておきましょう。
2009.11.11
冬期の安全・安定輸送確保の取り組みについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2009/091111-1.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/20221214_01.pdf
2010.11.10
冬期の安全・安定輸送確保の取り組みについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2010/101110-2.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/20221214_02.pdf
2011年は項目無し
2012.11.14
冬期の安全安定輸送確保の取り組みについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2012/121114-4.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/20221214_03.pdf
2013.11.13
冬期の安全・安定輸送確保の取り組みについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2013/131113-1.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/20221214_04.pdf
2014.12.02
冬期の安全安定輸送確保の取り組みについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2014/141202-1.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/20221214_05.pdf
2015.11.30
冬期の安全確保の取り組みについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/151130-1.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/20221214_06.pdf
2016.12.14
北海道新幹線における冬期間の安定輸送に向けた取り組みについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/161214-8.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/20221214_08.pdf
2016.12.14
在来線における冬期の取り組みについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/161214-3.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/20221214_07.pdf
2017.11.28
JR北海道における冬期の取り組みについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2017/171128-1.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/20221214_09.pdf
2018.12.11
JR北海道における冬期の取り組みについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20181211_KO_inWinter.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/20221214_10.pdf
2019.11.29
JR北海道における冬期の取り組みについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20191129_KO_winter.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/20221214_11.pdf
2020.12.03
JR北海道における冬期の取り組みについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20201203_KO_winter.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/20221214_12.pdf
2021.12.03
JR北海道における冬期の取り組みについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/211203_KO_Winter.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/20221214_13.pdf
2022.11.16
【社長会見】JR北海道における冬期の取り組みについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/221116_KO_Winter.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/20221214_14.pdf
先の推移で見てもわかりますが、除雪機械の数は一定数維持していることがわかります。路線的に廃止になった区間で使用していた機材で車両を更新するなどもありますので、実際の機材の数は減少していますが、営業キロで直すと2009年時点では約20kmに1台だったものが、現在17.8kmに1台と数字的に手厚くなっていることもわかります。(あくまでも全線で割っているだけですからあまり降雪しない日高線がなくなったからといって実際に手厚くなるわけではないが、降雪地帯での運用が少なくなればその分手厚くなるとは言える)
新幹線は在来線部分の除雪用の機材が入っていること、トンネル区間は実際な除雪しませんから数字的にはこのような形になりますが、実際は青函トンネルなどを除く露出区間に対する除雪ですので、かなり手厚くなっているといういいかたもできます。
また、ポイントの不転換を防止する設備である融雪ピット、マットヒーター、圧縮空気による除雪設備は廃線になるような線区には設置されていなかったとも言えましょう。
宗谷線、石北線と函館線長万部-小樽(苗穂)に関しては除雪機関車による定期除雪列車が運行されています。これは機材の数としてこの表に含まれていません。DE15形除雪機関車は現時点で12両が配置されており、夏期には「ノロッコ号」などの牽引に使用されますが、元々は除雪のための設備であります。冬季に運行されていた流氷ノロッコ号が運行できなくなったのは除雪機関車の老朽化で車両数が確保できなくなったことがあり、現在は気動車で流氷物語として運行されるようになっています。
そして、数には入っていませんが平成27年度(2015年度)から大型除雪機器ENR-1000を試験導入し留萌線などで試験を行い、これを元に定期列車としての運用が可能な車籍を持つ車両としてキヤ291形を製造しています。
JR北海道 2021年11月10日 新型除雪車両キヤ 291 形ラッセル気動車の導入について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20211110_KO_291.pdf
除雪「機械」と除雪「車両」は分けて考える必要があります。鉄道では除雪などで線路に「機械」を入れる場合は線路を閉鎖し他の列車が一切入ることができないようにする必要があります。除雪車両は列車運行時間中に走行することが可能になりますが、その代わり車両を運行する乗務員を必要とします。機械は運転士資格を必要としませんので、どちらがよいというものではなく、どちらも必要という言い方ができましょう。
ただし「除雪列車」を運行する路線が限られているということは、特に札幌圏などは日中に除雪列車を入れるダイヤの隙間も少なく、必要時に線路閉鎖し作業を行う方が安全面でも効率面でもよいという判断がなされているものと思われるのです。
North-tt 2022/01/16 北海道大雪による輸送障害
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1106
North-tt 2022/02/13 JR北海道札幌圏列車大雪による全列車運行不可。そのとき何が起こった?
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1112
North-tt 2022/02/24 続:JR北海道札幌圏列車大雪による全列車運行不可。そのとき何が起こった?
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1114
これはJR北海道の鉄道だけでなく、高速道路も含めた道路も含めて動けるような状況ではなかったことです。JR北海道は執行役員運輸部長が発表した時刻に運行再開できず、これも含めて正しい情報が「誰からも発表されない」という異常な事態だったということになります。もちろんJR北海道は頑張って運行して貰わなければ困りますが、その運行を誰が担保し、どう情報を発出するのかが問われています。
新千歳空港輸送をどう担保していくのか
その2月の札幌圏大雪、不幸にも千歳市内はそれほど降ることがなかった、結果「航空機の運航支障は最小限に抑えられたのに鉄道もバスも動かないから空港内で滞留が起きた」のだと、空港を管理する北海道エアポート社と北海道庁は考え、「頼りにならないJRではなく」バスなど対策を行わなければならないと考えます。
空港―大谷地バス輸送集約 新千歳雪害時の新たな滞留者対策
2022年10月19日 苫小牧民報
https://hokkaido-nl.jp/article/26912
> 緊急ピストン輸送は▽JR千歳線の札幌―新千歳空港間が終日運休▽札幌地下鉄の東西線が運行している▽高速道路が開通している―などの条件で、同空港で滞留者の発生が予想される場合、HAPが要請し、空港連絡バスを運行する北海道中央バス、北都交通の2社が行う。
JRだけが止まっていて、空港は堅牢、高速道路も動いていて、バスが大量に用意できるという大前提をもってこれを考えたということです。そんなことは基本的に発生しません。2月の雪害も高速道路は全くアテにならず札幌市内から空港まで6時間もかけた便があったことを知らないわけではないでしょう。
雪害時は札幌市内の渋滞も想定されるため、普段は同空港と札幌市内を結ぶ路線を、すべて同空港―大谷地間に集約。同区間を除く全便を運休する「集中投下」で1日最大延べ60台体制、約6000人を輸送できるという。空港に同2万人が到着した場合、うち1万人は自家用車やレンタカーの利用を見込む中、滞留者は全員ではないが一定程度の解消を図る。
さらに1万人は自家用車やレンタカーって、本気で考えているんでしょうか?結果バス会社も懸念を表明することになります。何より2月の札幌圏麻痺状態のときは空港会社と航空会社が客を降ろし続けたことが問題なわけです。捌けない数を下ろして、運べないアクセスの問題と「自分たちにお鉢が回らないように」JRが悪いからバスでアクセスすればいいじゃないか的なよく考えていないで発言しているように見えます。
空港足止め客輸送 タクシーで柔軟に 道協会とHAP協定
2022年08月03日 北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/713244/
> 北海道エアポート(HAP、千歳)と北海道ハイヤー協会(札幌)は2日、道内7空港の滞留解消に関する協定を締結した。大雪などの自然災害でJR北海道の列車が止まった場合に、タクシーが営業区域外で運行できるよう円滑に手続きを行う。
これが功を奏したのはJRの問題ではなく航空機の到着が深夜になったことでのものでした。到着便数が4便、それでも空港で夜を明かすのが200人以上いる、少なくとも4便なら約1000人程度はいたわけですから、深夜にアクセスさせる方法はタクシーより別に考えなければならなかったのではないかとも思われます。
タクシーの営業区域外運行 羽田便遅れで初適用
2022年08月06日 北海道新聞 千歳面
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/714745/
>【千歳】新千歳空港は4日、羽田便のダイヤが東京の雷雨の影響で乱れ、到着が大幅に遅れたため、観光客ら209人が国内線ターミナルビルで一夜を明かした。
> 同社によると、4日は新千歳―羽田便が11便欠航。新千歳行きの到着も遅れ、うち4便の到着は5日午前0時を過ぎ、最も遅い便は同2時45分ごろになった。
同社は4日夜、タクシー会社に増車を要請。その後、同社と北海道ハイヤー協会(札幌)が2日に締結した空港の滞留解消に関する協定に基づき、タクシーが営業区域外でも運行できるように北海道運輸局に初めて要請し、承認を得た。
話を戻しますが、HAPが想定するバスアクセス輸送を見てみましょう。北海道新聞は何か素晴らしいと思って記事を作りますが、中身は唖然とするものです。
<大雪に備えて>JR運休時 バス輸送強化 新千歳空港―札幌 大谷地に集約 HAPや事業者 貸し切り車両も臨時運行
2022年10月19日 北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/747403/
> 今回の対策では、道央道札幌南インターチェンジに近く、地下鉄に乗り換えられる大谷地バスターミナル間以外の路線を全て運休し、バスを空港―大谷地間に集中することで輸送力を高める。
実施の条件は、
《1》快速エアポートが終日計画運休する
《2》空港に滞留者が見込まれる
《3》高速道路が開通している
《4》札幌市営地下鉄の大谷地―さっぽろ間が運行している
ことで、HAPがバス会社に要請する。 連絡バスの集約で、最大200便1万人の輸送を見込む。
最大4千人が滞留した2月23日に札幌への移動を希望したのは、空港に到着した約1万8千人のうち半数の9千人で、同規模の滞留が発生しても代替輸送は可能だという。
バス1台に50人乗れるから200台で1万人運べますね!これで完璧!みたいな考えってどうしてできるんでしょうか?200台のバスを1分に1台出せば3時間20分かかります。深夜から始めたら朝ですし、そもそも深夜に地下鉄は動かないんです。朝から?朝からJRが動かないけど高速道路は動いています、昼までに完遂します?その時点で次々下ろすの?正直何を想定にしているのか全くわからないんですよ。
さすがに道新も、そんな都合のいい話ある?とJRも批判しながらも、記事を書きます。
大雪に備えて〉新千歳滞留者対策 バス集約 効果未知数 高速道不通なら長時間移動 訓練で課題精査へ
2022年10月19日 北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/747405/
>「机上の部分も多々ある。災害時の輸送は危険が伴い、安易に高速道路が開通したからではなく、気象や除雪状況を組み合わせて運行を決めたい」。会議で北海道中央バスの岡田浩司常務は、くぎを刺した。
> 連絡バスを運行する北都交通によると、昨冬に高速道路が通行止めになった際、一般道の渋滞に巻き込まれ到着に6時間近くかかったという。トイレや急病者対応の検討も必要で、道南バスの高本克彦輸送安全部担当次長は「空港から出すことが本当に最善なのか。(ピストン輸送の実施は)そういうところも加味してほしい」と強調した。
>北都交通の矢萩靖巳バス事業部長は「事業者のホームページだけでは不十分。マスコミの力も借りて周知を図ってほしい」と訴えた。
ただ、空港で滞留が相次げば、徐々に戻り始めた旅行者から道内の冬の観光を敬遠される懸念も。貸し切りバスを臨時の乗り合いバスとして運行する札幌観光バスの佐藤圭祐常務は「冬の北海道に行ったら大変なことになると言われるのが観光バス会社としては非常につらい」とし、「全ての問題をクリアしてからでは、いつまでもできない。やりながら施策がどんどん磨かれればいい」と話した。
観光業界である札幌観光バスはそう言いたいだろうけど、基本的に冬の北海道はリスキーだという前提がないと、輸送完遂できないのに来られたって困るでしょ?って話です。バス会社の言い分はもっともで、最初からこんなザルな方法に付き合ってらんねぇが「大得意様の北海道エアポート様が言ってるから」って思っている感はあります。
そもそも北海道エアポートの担当者が「冬の北海道」を舐めきっていないか?吹雪の高速道路や高速が閉鎖になるほどの気象条件の中走れると思っているかどうか?という点が疑問に残ります。要は道内企業バカにしていませんか?ってことです。
さて、その訓練が12月に入り行われました。
大雪に備え 空港から貸し切りバスで札幌へ利用客輸送する訓練
2022年12月08日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20221208/7000053207.html
> この訓練は、新千歳空港を運営する北海道エアポートなどが実施し、大雪でJRが運休したと想定して、空港側が臨時で確保した貸し切りバスで利用客を輸送する手順の確認が行われました。
空港のバス乗り場では職員が無線で連絡を取り合いながらバスを乗り場まで誘導し、担当者が利用客から料金を集めたり荷物を積み込んだりする作業を確認していました。
マスコミを呼んで大々的に行い、記者を「試乗」させましたので、様々なメディアが取り上げました。
昨冬の大雪パニックを教訓に…新千歳空港で訓練 JRが運休になったことを想定 今冬の新対策とは?
2022年12月08日 hbcnews
https://www.hbc.co.jp/news/a359a817058e025b7a15b6fc966e49d2.html
> 堀内大輝アナウンサー 「空港で身動き取れなくなった想定でバス乗り込みます」 冬に気になる「空港アクセス」。確保をかけた、新しい試みです。
> 北海道エアポート交通対策部 河口亮部長 「大谷地に空港連絡バスを集約したとしても(空港の)滞留者が発生する場合には、貸し切りバスの緊急乗り合い輸送を実施する」 堀内大輝アナウンサー 「空港で身動き取れなくなった想定の人たちがバスに乗り込んで行きます。乗客の乗り降りを想定して訓練を行います」
> 「大谷地バスターミナル」は、道央道の「札幌南インター」から近く、札幌中心部で渋滞に巻き込まれるリスクを回避できます。地下鉄駅にも連結し、利用者の、その後の足にも不安を与えません。
HBC記者は脳天気でいいなぁとおもいますが。空港缶詰な滞留が起こりそうということは夜間の可能性がありますよね。大谷地に着いた後どう移動させるのか?そういう面を考えているかです。札幌の入口に放置して「完遂」にはなりません。空港よりはマシと思えるかどうかです。
NHKは特集として「課題」を大谷地ターミナルとして報道しますが、これがまたズレているなぁ。
大雪でJR運休時 新千歳空港の客をどう運ぶ 課題は
2022年12月13日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20221213/7000053361.html
>北海道エアポートによりますと、空港側で臨時にチャーターするバスも含めて1日200便を運行し、合わせておよそ1万人を運ぶことを想定しているということです。
北海道エアポート交通対策部の河口亮部長は「高速道路の出入り口に近い大谷地にバスを集約することで札幌市内中心部の渋滞を避け、輸送力を高めることができる。地下鉄駅と直結しているので利用客がそのまま目的地まで移動しやすいというメリットもある」と話していました。
>札幌市から委託をうけて大谷地バスターミナルを管理運営している会社の統括責任者、市川知之さんは「空港連絡バスを大谷地に集約して1日200便の運行となるとこれまでに経験したことのない数だ。バスを集約していなかったことし2月でさえ、バスを待つ長蛇の列ができ、『周辺に宿泊施設はないか』などと問い合わせが殺到し、窓口に怒号も響いて大混乱に陥った。それ以上の利用客が集中するなんて想像もできない」と話しています。
そして、多くの利用客が集中しても誘導する人員がいないと言います。
>バスターミナルから地下鉄へつながる通路で階段の幅は2メートルほどしかなく、設置されているエスカレーターは上りのみで、「古い施設でバリアフリーも整っていない。多くの人が行き交い、しかも旅行客となると荷物もある。大きな問題が起こりかねない」と話しています。
>北海道エアポート交通対策部の河口亮部長は、「同じタイミングで多くのバスが大谷地に着くということにならないよう空港側で出発のコントロールをして、混乱が起きないようにしたい。初めての取り組みだけに関係者には不安もあると思うが、少しでも払拭して本番に備えたい」と話していました。
>北海道エアポートなどとともに大雪の際の新たな対策をまとめた北海道運輸局自動車交通部の樋口康弘部長は、大雪の際に空港連絡バスを大谷地バスターミナルに集約した場合に想定されるターミナル内の混雑について、「バスを運行する会社2社からは乗客の案内のための要員を配置すると聞いているので、まずはその人たちに対応いただく。利用客が地下鉄まで行けば市営地下鉄の方で対応していただくことになる」と説明しています。
また、「バスが来るまで利用客が待つ時間は多少あるかもしれないが、このときはバスは定刻で運行するのではなく、利用者で満席になり次第、出発していくので、それでピストン輸送を行えば大勢の利用客もある程度さばけていくんじゃないかと予想しています」と話しています。
NHK記者が大谷地ターミナルで「滞留」に対応できるか?というのは、個人的には大谷地ターミナルの設備問題ではないと思うんですよね。大谷地は多くの人には目的地ではないので、必ずそこから出て行く。大谷地にバスを集約するのだからHAPの想定通りなら大谷地からの乗車客も滞留はしないはずですし、そもそも貸切バスも含めて運行するのでしょ?でも担当は「中央バス」と「北都交通」の担当を立たせるの?運輸局もどういう風に考えているのか全くわかりません。大谷地で「中央バス・北都交通の空港行き切符」買った人が貸切に乗れるのか?とかそういう部分でもう少し詰めた訓練しないと実際にこの輸送が発生したら「バス3台」「わくわく乗ってる記者」が客じゃないんだからさ。HAPも含めて「何も考えていません~、バス会社が勝手にやってくれるんでしょ?」じゃ困るんですよ。本当に困るのは実際に不慣れな中で空港を使う乗客なんです。
これに関しては北海道新聞の方が取材が丁寧です。
〈大雪に備えて〉大谷地にバス集約 懸念も JR運休時 新千歳代替輸送の検証会議 乗降場所不足や誘導に不安
2022年12月15日 北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/775165/
> 会議は非公開で行われ、約20人が参加した。HAPによると、訓練ではバスターミナルの代替バスの乗降場所に、通常運行のバスが停車していた。代替バスの乗降場所は1カ所しか想定しておらず、会議では「他にも乗降場所や待機場所を確保するべきだ」との意見が出た。
乗車まで長時間待つことになる利用者のトイレ対応や、多数の乗客の誘導方法を課題とする声もあった。
> 大谷地バスターミナルを運営する西新サービスによると、乗降場所の調整は同社が行っているが、現時点でHAPから具体的な話はなく、実地訓練にも参加していないという。
> HAPの河口亮交通対策部長は「誘導や整理の人員は限られるが、バスは順次出発するので一度に多くの便が到着することは想定していない。地下鉄も運行している想定なので、大幅に混雑することは考えにくい」と説明。「事業者の不安を正確に把握できていなかったのは確か。関係者と連携を取り、必要な対策を講じていきたい」と話している。
あのねぇ、3台しか出していないバスが、大谷地の降り場に着けられなかったって相当よ。待機場所も考えていなかったってバスの運転手さんどこで休憩するの?HAPさんが「最大の関係者」なのにバス会社もターミナルも客が行けば「全部勝手にバス会社もバスターミナルもやってくれるから」って思っていたってことですから相当たちが悪い。
北海道エアポート社は、北海道の窓口として請け負ったという自負はなく、儲かるから、オレたちがヤレと言ったら北海道の田舎企業はオレたちの靴舐めて勝手にやってくれますよって自分たちが最上位にいるような感覚で商売していませんか?そういう印象を個人的に強く感じます。今は北海道新聞の関連会社も出資関係者ですから悪くは書かれませんし、JR悪しと書けば擁護して貰える。でも、北海道は空港がねぇって言われるようになったら終わりですよ。なにやってるんですか?
北海道も札幌の玄関口が都心から50kmも離れている新千歳空港で、そこまでのアクセスがものすごく大事だという観点でいままで対応していないって面もあります。北海道も高速道路会社とJR北海道に任せておけば勝手にやってくれるという意識で新千歳空港になってからでも30年近くアクセスを丸投げしてきた。
北海道が人流観光物流で生きていくって騒ぎながら、冬期の空港閉鎖と札幌圏への道路、鉄道が恐ろしく脆弱なことに関して「寒冷地だから仕方ない」でずっと済ませ続け、もう除雪人員確保に苦しんでるのにこの後どうしたいの?ってのを北海道の政治、経済界のお偉い人がどう考えてるのか全く見えてきません。
高速道路のICすらまともに接続していない空港であることも含めて、いままでなあなあにだらしなく北海道が「金を集められない」最大の理由が本州からの物流の悪さであって、いつまでも「遠い未開の地」であることを求めてきた北海道のダメなところが露出しているだけのように私は思います。そろそろ空港アクセスを「本気」で考えてくださいな。
そして、本当に問題なのは「アクセス」の前に空港がクローズすることが毎年起こっている、そのときにどうするのか?って面ですよ。アクセスが悪くて空港に客が滞留するよりも「空港から飛べなくて」空港に客が滞留する方がずっと回数が多いのに「オラの責任じゃないもんねぇ」って印象を与えるHAPにはかなり問題があるんじゃないかと個人的には思います。空港は安全で温かく食事もできますって状況をある程度確保できることの方が、ずっと観光客にとっては安心なんじゃないでしょうか。
続:JR北海道の除雪体制
JR北海道は昨冬の大規模な運行障害を受けた改善策を発表しました。2022.11.16 【社長会見】札幌圏大雪による輸送障害を受けた改善策の進捗状況について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/221116_KO_Snow.pdf
https://traffic.north-tt.com/txt/20221214_15.pdf
大きなものは1月2月の土曜深夜と日曜早朝の一部列車を運休し除雪間合い時間を確保することでしょう。同じ50cmの雪が積もっても12月は一定の運行ができますが1月以降に運休が出るのは高架橋内や沿線の雪堆積が進み、列車を運行できるだけの除雪が困難になるということが大きな要因で、週末の運行間合時間に堆積した雪を「排雪」することで備えるという意味合いがあると思われます。
ポイント部のヒーターやカメラによる状況把握は今までも行っていた通りであって、それは新しいものではありません。(報道がこれをただ報じるのは過去の報じた内容を全く理解せず、無視し続けた結果のもので驚くに値もしません)
また、除雪機械ENR-1000の導入に関しては、留萌線廃止後に島松に転属する形になると推測はしますが、大型除雪機を千歳線のほぼ中間である島松に置けるのは大きいと思いますし、その成果は期待します。JRとて留萌線を今諦めて転属するわけにもいかないのでしょうが。
<社説>大雪時の空港客 状況に応じた対策必要
2022年11月27日 北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/766130/
> 新千歳―大谷地間のピストン輸送は運輸局や空港会社・北海道エアポート(HAP)、JR北海道、バス各社などの会議で示された。先月には約400人が参加した情報伝達の訓練も行われている。 バス運行は道央道経由だが、経路は東日本高速道路が道内最大規模の除雪体制を取る区間だ。
ただ実施には《1》JRの快速エアポートが終日計画運休《2》空港滞留者が出る恐れ《3》高速道路は開通《4》地下鉄大谷地―さっぽろ間が運行―の条件を満たす必要がある。 JRが運休する大雪で高速道路が通行できる気象条件は限られる。
>他の札幌連絡バスを運休してこの区間に集約するため、郊外の地元客は帰宅困難が懸念される。 観光は基幹産業だが、住民に負担を強いるのは納得できない。
> JRの輸送力強化も大切だ。除雪強化のため、来年1~2月の土日に計8回、札幌圏の普通列車を一部運休する計画という。 大雪に備え、線路脇に堆積した「側雪(がわゆき)」を深夜早朝に集中的に取り除くためだ。とはいえ雪は計画通りには降らず、利用の少ない列車運休目的ともとられかねない。
「利用の少ない列車運休目的ともとられかねない」そんなこと言ってるの道新の論説さんだけです。関係者全員が何故それが必要か一定理解して、利用決して少なくない最終列車を繰り上げるという利用客の反感を買うことを行ってでも対策を考えたということでありますから、物事には必然性があるということを理解しなければなりません。
えっ?道新の論説がこれを書かなきゃならない必然性?しらんがな。