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北海道の交通関係
北海道の交通関係サイト終了のお知らせ
当サイトは終了することといたしました。本件に関しましては以下をご確認ください。
当サイトは2023年12月末で閉鎖することといたしました
JR北海道の列車運行情報ページ、告知体制の改善
2023/01/11
JR北海道は1月10日から、以前からの課題であった旅客への運行情報告知のリニューアルとTwitterでの投稿内容の見直しを行いました。
その内容を確認する前に、列車の運行状況を旅客に伝える仕掛けがどのように進化してきたかを見ていきましょう。
(以前の記事。JR他社の在線位置表示アプリなどについて言及)
2021/03/05(終了)当サイトの札幌圏列車位置と鉄道各社の「列車位置表示アプリ」
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1029
ネット以前の運行情報告知
現在のようなインターネット、SNSの無かった時代、そして、それ以前に鉄道自体の電子的なシステム化が無かった時代を考えてみましょう。鉄道は必ず地上側でポイントを切り替えて、必要な場所に列車を「誘導」して運行されるシステムです。列車の運転士は自分の思う方向に列車を動かすことはできません。では、そのポイントはどこで切り替えていたのか?各駅に職員を置いて列車の運行ダイヤに則ってポイントを切り替えるという作業を行っていました。
列車が予定されたダイヤ通り動いているならば、作業は順序通り日常業務として行うことになりましょう。しかし、いざ列車が遅れました、運休しましたとなると、それを各駅に伝え、さらに旅客に告知しなければいけません。それが全て人の手で行われていたということです。
列車の運行を管理する司令室も、列車がどこを走っているかは「駅を出発したこと」を電話で受けることでしかわかりません。次の駅に到着してはじめてその区間を走りきったことがわかりましょう。遅れていた列車を打ち切ることや、列車の行き先を変更することなど、駅側に指示して切り替えて貰うことで初めて完遂するということになります。
(かなり端折った書き方をしています)
乗客への告知も駅にその知らせが来てはじめて駅職員から伝えられることになります。乗客は駅に来て、その場ではじめて情報を得るしか手段はなかったのです。そして、その駅職員も列車がどこまで来ているのかは、自分の駅ではっきりわかるのは前の駅を列車が通ったことを知った後です。もちろん電話で大きな駅の出発は伝えられたでしょうが、その列車が確実に動いているかは前の駅を通過するまでわからなかったのです。
国鉄は東海道新幹線を設計する際に「CTC(列車集中制御装置)」を採用します。いくつかの路線での試験を経て東海道新幹線では全ての駅と信号情報を集約したCTCセンターで集中管理することになります。司令室の職員が列車がどこを走っているか運行情報パネルを通じて視覚的にわかるようになったのはこれが最初です。この情報は各駅の旅客案内にも利用され、自動放送などのシステムを通じて乗客や駅職員が列車がどこまで来ているかを把握できる状況になったと言えましょう。
このCTCシステム。特にローカル線では各駅に必要だったポイント切り替えを行う運転要員を削減でき無人化できるということもあり、要員省力化のための投資として導入されたという面もあります。北海道では1969年に桔梗(五稜郭)-森に導入を開始、1970年代にかけて多くの路線がCTC化されます。国鉄末期の1980年代には特定地方交通線関連での廃線区間を除く多くのローカル線にも導入されます。函館線の長万部-小樽、根室線東釧路-根室、宗谷線永山-南稚内、釧網線東釧路-網走、日高線苫小牧操車場(貨物駅)-様似には簡易的で各路線内に軽微な司令室を持つ方式を導入し、札沼線一部区間の廃止をもって北海道内全区間は現在一定の自動化、遠隔化が完了しています。
しかし、その運行情報内容はJR内部から外へ提供されているものではありませんでしたし、その手段もありませんでしたので、利用者が駅に行ってはじめて運休や遅延がわかるという状況は残念ながら長い間変わることがなかったのです。また、ホームに立つ駅職員など、指令画面を見ることができない職員もまた、完全な形で情報を受け取ることができなかった。各職員が軽量化されたタブレット端末などを持つことができる最近までそれを待たなければならなかったのです。
ネット黎明期から最近までのJR北海道の運行情報告知
JR北海道が現在のWEBサイトのドメイン(jrhokkaido.co.jp)でホームページを公開したのは1999年になります。この当時、時刻表の提供はありましたが、運行情報については一切案内されていませんでした。2001年4月から札幌圏の列車については運行情報の案内がされることになりました。当時携帯電話でのサイト「iモード」などでも配信され、一応は駅に行かなくても運行情報がわかるという状況が構築されたことになります。


2004年からは対象を本州からの寝台特急列車にも拡張しますが、基本的には札幌近郊の情報以外は提供されない状況は続いていました。


2005年4月からは対象を北海道内全路線に広げます。しかし、この時点でも運行概要のみで個別列車の遅れや運休に関しては告知されていませんでした。2006年からはエリア区分が表示されるようになりますが表示内容に変化はほぼありません。


当サイトでは2013年1月11日以降、JR北海道のこの運行情報を毎時刻取得し、データベースにまとめていました。例えば2013年1月11日11:00にはこのような内容を取得しています。
https://traffic.north-tt.com/03_jrh_incident.php?ins_date=201301111100

2014年7月23日以降からはJR北海道もついに個別列車の遅れ・運休案内を掲載するようになります。ただし、案内は始発駅と出発時刻という形ですので、途中駅で乗る場合は当該の列車がどうかを始発駅の時刻を調べてから運行情報を再度確認するという、なかなかハードルは高いものでありました。それでも提供されることはそれ以前から大きな差であります。
https://traffic.north-tt.com/03_jrh_incident.php?ins_date=201410010730


2016年12月にJR北海道は現在の「Kitacaエリア列車運転状況」の前身となる「札幌駅列車運行情報」として試験的に公開することになります。
JR北海道 2016.12.21 「札幌駅列車運行情報」の試験モニター公開を開始します
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/161221-2.pdf
札幌駅だけではありましたが、WEB画面上に駅の列車発車標同様の画面が表示され、始発列車でなければ列車位置も表示できる仕掛けとなります。これをKitacaエリアである小樽-札幌-岩見沢、札幌-新千歳空港・苫小牧、札幌-北海道医療大学に拡大したのが「Kitacaエリア列車運転状況」になります。
JR北海道 2017.07.12 「Kitacaエリア列車運転状況」の試験モニター公開開始について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2017/170712-4.pdf
これが若干デザインを変えながら現在も続いている状態です。
2018年3月改正以降、大きくデザインを変えた列車運行情報案内では、1画面内で概要と運休・遅延列車が確認できるようになりました。表示自体は大きく変わっていないものの、デザイン的に洗練され、まず「△」など遅延があるかないかが確認できるようになりました。そしてインバウンド客増加を受けて2019年からは運行案内の多言語表示も開始されます。
2019年2月からはTwitterでの情報提供を開始、ただ、その内容に関しては最小限となっており、日常的な遅延、運休に関する情報を得られるほどの内容を告知しないという状況がありました。もとより胆振東部地震での全道停電でJR北海道のホームページが機能を失い、運休告知などができなかったことに対する施策であり、WEBサイトを見ることができない環境下での活用を当初は考えていなかったという面があります。
JR北海道 2019.01.17 「大規模災害時」や「事前に運休や運転見合わせを決定した際」のTwitter配信を始めます
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20190117_KO_Twitter%20start.pdf
JR北海道Twitter配信告知
2023年1月10日からスタートしたJR北海道のあたらしい運行情報告知
JR北海道の特に冬期の輸送障害時の情報提供体制については、毎年のようにその必要性と緻密化が求められています。しかし、JR北海道自体が経費の節減を求められ、新たな投資がしにくいという現状の中で限られた仕掛けしか作れていなかったという面はあろうかと思われます。そして起こったのが2022年2月の大規模な札幌圏の全面運休という問題でした。
JR北海道 2022.06.08 【社長会見】2022年2月札幌圏大雪による大規模輸送障害の検証と改善策(最終報告)
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20220608_KO_Snow.pdf
運行情報などのリニューアル
これに対する批判は、当サイトでは他の記事でも触れていますし、現実的にJR北海道だけが酷い状態だったわけでもないのではありますが、逆に運休本数などが明確に数字で出現するJRだけに非難が集まったという観点もあろうかと思います。
とはいえ、この改善が吃緊の課題であるとし、新たな運行情報の表示に投資することを表明します。
JR北海道 2022.11.16 【社長会見】札幌圏大雪による輸送障害を受けた改善策の進捗状況について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/221116_KO_Snow.pdf
情報提供の品質向上に取り組みます
JR北海道 運行情報ページをリニューアルします
https://www3.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/hpunkou/pdf/230105_KO_RN.pdf
(見ることができない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20230111_01.pdf
リニューアルの概要
この輸送障害時の情報提供体制に関しては以前から各鉄道会社への取り組みが期待されていて、国土交通省も2018年に「鉄道の輸送トラブルに関する対策のあり方検討会」で列車の在線位置情報や駅の混雑状況などのリアルタイムな情報提供を求めています。これに則った対策の一つが「Kitacaエリア列車運転状況」ではあったと思いますが、札幌を中心に4方向に伸びる鉄道網、そしてそのうち3つが相互に乗り入れるという線路構造から、1箇所のトラブルが広範囲になりやすい問題があります。
ここで大事なことは、このような利用者への情報提供は「鉄道職員の業務改善に繋がる」ということです。利用者が今乗りたい列車が動いているのかどうか、真っ暗な掲示板で次の列車がわからない中、とりあえず駅職員を捕まえて質問しなければ「何もわからない」という状況では駅職員が何人いても足りません。列車到着の見込みやどこまで来ているかの在線表示などが正確に行われていれば、それを駅職員に聞く必要が無いのです。
そういう点から1月10日のリニューアル初日を見てみましょう。
リニューアルした運行情報ページ
今回のリニューアルでは運行情報ページ内にお知らせを添付。これは現時点の遅延・運休ではなく、運休の事前告知や臨時列車運行に使用する部分です。特段の運行障害がなければ「○」を表示します。これをエリア毎に表示することになります。


新設された各駅発車時刻表ページ
今回のリニューアルで最も要望されていたのが「駅の時刻表」から運休列車を表示させる機能です。
全区間運休列車には「×」がつきますのでにわかりやすいです。では、部分運休の「□」を見てみましょう。画像の駅はほしみ駅です。「部分運休(小樽-手稲間)」の列車はこの駅に来ません。つまり、この「区間運休」の列車はほしみ駅にとっては「運休」ということになります。このあたりをもう少し考えた表記ができないのか?と思います。もし乗客の立場で列車が利用したいのならという「立場」でその表記は正しいか?というのはもう少し思案が必要と思います。
「部分運休」は「運休」している区間と「運行」している区間がある列車です。これが逆に札幌-滝川が運休だとすれば「部分運休」で案内は正当でしょう。しかし、当駅が運休している区間ならそれは「×」でしかありません。詳細はクリックして知れば良いだけです。
ついでに、遅延はここでは表示しませんから、運行の列車もどのくらい遅れてくるのかわかりません。結局「Kitacaエリア列車運転状況」など複数の表示を見比べる必要があるんですね。
Twitterでの情報提供の拡充化
今回、期待していたのが公式Twitterからの情報発出です。1月10日だけで24発言を行いました。今までの遅延・運休とは比べものにならないくらい情報提供としては行われたと思います。01月10日13時15分 配信
— JR北海道 列車運行情報【公式】 (@jrhokkaido_info) January 10, 2023
本日(1/10)、降雪の影響により、函館線・千歳線の一部の列車に運休および遅れが発生しています。
札幌近郊 道央エリアhttps://t.co/UnbHcN4gDP
ただ、非常に残念なのが、先ほども書いた内容ですが「函館線・千歳線の一部」では全く情報として伝わらないのです。函館から長万部・小樽・札幌・旭川まで「函館線」どこで起きているのかが全くわからない。札幌近郊だから小樽かな、岩見沢かな?って判断させるのか?ってことです。JRが思っている輸送障害区間と利用者が思う区間が違うのは情報発信として正しくないでしょう。
【事故通行止(開始)】(4:40現在)
— NEXCO東日本(北海道) (@e_nexco_kita) January 10, 2023
〇E5道央自動車道
落部IC⇒八雲IC(札幌方面)
▼お出かけの際は最新の交通情報をご確認ください。https://t.co/IM0tiXE4ce
高速道路も「E5道央自動車道」として大沼公園ICから長万部・室蘭・千歳・札幌・旭川鷹栖・名寄という長大な区間です。ここで「道央道の一部は通行止めです」なんて案内したら困りませんか?ってことです。完全に通行止めになる道路と運行区間的にもうすこし大きな枠になる鉄道の違いはありますが、せめて区間、むしろ区間毎にtweetしても良いのではないかとおもうのです。
さらに驚いたtweetはこれです。
01月10日22時34分 配信
— JR北海道 列車運行情報【公式】 (@jrhokkaido_info) January 10, 2023
本日(1/10)、列車が鹿と接触した影響により、一部列車に遅れが発生しています。
札幌近郊 道央エリア 道東エリアhttps://t.co/UnbHcN4gDP
「札幌近郊 道央エリア 道東エリア」ですから、まぁ、根室線の特急列車かなぁとあたりをつけますが、これじゃ何もわかりません。このtweetに関してはWEBサイト上も同じ内容しか表示がなく、影響列車は釧路行きの「おおぞら」だったようですが、あまりにも「雑」です。
しかし、踏切事故は饒舌です。
01月10日21時03分 配信
— JR北海道 列車運行情報【公式】 (@jrhokkaido_info) January 10, 2023
本日(1/10)、宗谷線 風連~名寄高校駅間の第1風連旭名寄線踏切において安全確認を行っている影響により、宗谷線の一部列車に運休および遅れが発生しています。
【1/10 運転再開】
・宗谷線 風連~名寄間
道北エリアhttps://t.co/UnbHcN4gDP
こんどは、一般的には名称を言われても全くわからない踏切名を出してきました。駅区間があるので場所はわかりますし、運休区間もわかるだけマシです。つまり、その運行障害要因によって通知する内容がかわってしまう。これが担当者の「思いつき」なのか、思案した自動化の結果なのかはわかりませんが、これでは利用者を混乱させるだけです。
あまりにも「雑」で事前準備も、発出内容の検討も足りない
最後に、私個人は北海道の公共交通を趣味として、鉄道の利用がもっと行いやすくなるようになっていってほしいと、非常に期待を込めて今回のリニューアルを見てきました。初日に大量の運休を出すような天災に見舞われたのは災難ではありましたが、逆にリニューアルで便利になった、鉄道が利用しやすくなったと良い方向になることを願っていました。
残念ですが、あまりにも雑で、こんな内容で誰が許可したんだ?とご担当者様には申し訳ありませんが、及第点はつけられません。もちろん予算は限られるでしょうしIT技術者は簡単には集まらない。内製するにも外注するにも困難なのはわからんでもないです。
しかし、昨年以前から長い間JR北海道の改善点として「旅客への輸送障害の告知」が何度も俎上に上がってきていて、相当な準備期間を持って開始されたのではないでしょうか。6月の最終報告からでも半年、それ以前からも何度も輸送障害の告知の拡充なんてのを冬の入口に書いているじゃないですか。それが、そのあたりの「何を伝えるのか」が煮詰まらないままに1月から「細かく発信します」だけを告知し、前例主義な内容を、国交省から「ヤレ」と言われて嫌々やったかのような「結果」を見て愕然としています。
本来当サイトがやっていたような「外部による不確実な運行内容の告知」なんて今すぐにも淘汰されるべきなんです。一番情報を持っている鉄道会社公式サイトが、なんかいいかげんな「正しい」けれど、見せ方的に実際に駅で待っている人には「正しくない」情報を見せられるということに、どう考えているのか?ということです。
来年度、新たに「影響エリアマップ」とやっと「列車の走行位置」がわかるようになるとしています。あと1年、開発期間をかけて素晴らしいものができあがることを期待しますが、それまで、今の告知内容で本当にいいのか。そのあたりを、実際に輸送障害時に無人駅のホームに立って、実際に乗ろうとする乗客にはどんな告知内容が必要か考える時間が必要なのではないでしょうか。