北海道の交通関係


北海道の交通関係サイト終了のお知らせ

当サイトは終了することといたしました。本件に関しましては以下をご確認ください。
当サイトは2023年12月末で閉鎖することといたしました


祝!北広島ボールパーク開業、そして北広島市と球団が先見できなかったアクセス問題③

2023/04/06

エスコンフィールドの開幕シリーズが終了し、4月14日まで試合がありませんのでアクセス問題に関しては再度関係者が改善に向けた協議を行っていると思われます。

当サイトも厳しいことを書いてはいますが、新しい球場に期待し、ボールパークとしての周辺施設も含めて地域が盛り上がっていくことを期待しています。ただ、そのためにはボールパーク周辺に簡便にアクセスできる環境が必要で、そこに「街」を形成し、マンションなどを建て住民がいるという環境ならば、当然生活するための公共交通インフラが必要になるとも言えるのです。

祝!北広島ボールパーク開業、そして北広島市と球団が先見できなかったアクセス問題②
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1258



利用者が考えるシャトルバス改善策は期待できるか?

Fビレッジの公式「目安箱」としてTwitterでは「@FVillageOjisan」というアカウントで困りごとを受け付け改善しようとする試みが行われています。こんな内容すら気がつかなかったんかい!と文句の一つも言いたくなりますが、現実従業員の意見がなかなか伝わらないことが「クレーム」なら伝わりやすいということなのだろうとも思われます。

では、「#聞いてよFビレッジおじさん」のタグで寄せられたいくつかの意見のうちシャトルバスに関する要望が応えられそうかどうか、勝手に公共交通マニアとして考えてみたいと思います。


シャトルバス運行範囲の要望
 札幌駅・大通駅・福住駅・大谷地駅・真駒内駅など他の地域からのシャトルバスを運行できるか?

札幌都心・真駒内からFビレッジまで22km程度、特に渋滞していなくても1時間程度はかかりましょう。こうなると出発したバスは二度と観戦客を乗せることができませんので、1台50人として5台で250人程度と非常に輸送力が小さくなります。
北海道バスの関連北星ツアーなどが札幌駅発着の観戦ツアーを行っていますので、シャトルバスという形ではなく観戦ツアー的な旅行としての運行の方が利用の価値はあるように思われます。問題は後にも触れますがツアーバスなどの駐車できるスペースが極端に少ないことです。

北星ツアー
http://www.hokkaidoubus-newstar.jp/tour


大谷地駅は距離的には問題ないとは思いますが、新札幌行きと観戦客としての方向行先的にはかぶり、分ける意味がどこまであるか?という面がありましょう。中途半端な台数を大谷地に吐くくらいならば新札幌に投入して欲しいというのが並ぶ観戦者の本音ではないかとも思われます。

福住からFビレッジは16km程度、新札幌駅、野幌駅よりは遠く片道30分程度を見込みますが、まだ可能性があるといえます。もし、札幌市が東豊線を清田区役所・真栄交差点付近まで延伸したならば13km程度となります。
福住や清田方面に関しては元々想定があったようですので、バスの台数や乗務員の確保、また、事業者参入があれば運行できる可能性はあるように思います。

シャトルバスの運行先として札幌市民には無関係にはなりますが、北広島市民でも大曲地区に住む方がFビレッジに行くには路線バスしか選択が無いという状態となっています。

北海道中央バス 北広島市内線
https://www.chuo-bus.co.jp/city_route/course/common/images/pdf/hakuyoudai_hiroshima.pdf
平日の北広島駅発大曲経由福住行き最終は20:20
休日の北広島駅発大曲経由福住行き最終は19:40


となっており、特に平日ナイトゲームでは試合を最後まで見て帰宅することはできません。北広島市は住民説明会で大曲地区からの観戦に関する市民の不安に「検討」という言葉で返していますが、結果的に既存路線バスの設定時間も含め反故にされています。

(2018年)ボールパーク構想市民説明会・意見交換会を開催しました
https://www.city.kitahiroshima.hokkaido.jp/hotnews/files/00129900/00129901/04_20180727_oomagari_kai.pdf

 (抜粋)
(抜粋)


前回も記載した通り球団と北広島市が既存路線バス会社との関係性の構築に失敗していることは明白で、北海道中央バスは遅延・混雑時もバスの増便は行わないとも明記しており、こちら側の利便性確保は絶望的ではあります。

 中央バスの掲示
中央バスの掲示
北広島市は市民が二分されて結果的に観戦が難しい状況について早急に何らかの対策を行う必要があるとは思います。(北広島市は大きく北広島駅側の団地・東部地区と大曲・西部地区に二分されており、その間を徒歩で連絡するのは困難で、なおかつバスの本数も限られる)


シャトルバス運行時間の要望
 新札幌駅便の試合時の運行時間拡大、北広島駅便のシャトルバス運行時間の拡大は可能か?

新札幌駅からFビレッジへのシャトルバス運行時間は変則になっています。
●試合のない日
 10:30から18:00まで30分間隔の定期運行

●試合日
 試合開始2時間30分前から随時運行、試合開始30分後が最終

つまり、18時開始のナイトゲームのある試合日は午前中や日中時間帯の運行がなく18:30が最終。デーゲームの場合は13時開始なら13:30分以降の運行が無いということになります。仕事終わりに試合を見に行く場合も最終に乗れなければ北広島駅までJRで移動するしか来場できないことになります。

北広島駅からFビレッジへのシャトルバスは定期運行の便は決まっています。
●試合のない日
 7:15(土日祝)8:15(平日)~20:45まで30分間隔の定期運行

●試合日
 試合開始3時間前から試合開始30分後までシャトルバスとして随時運行

新札幌でのシャトルバス最終に間に合わなければ北広島駅に回ることになりますが、北広島駅からの球場行きは試合開始後30分以降は30分ごとの定期運行のバスしかありません。このためバス定員以上の乗車客が集まり積み残す事態になる様子を何度か見かけています。

シャトルバス運行時間の拡大や新札幌線の試合日の定期便拡大ができない理由も、また、シャトルバスの運行地の拡大ができないのも、いずれもバス事業者の人員問題、コロナ渦での減車、そしてエスコンフィールド内のシャトルバス乗場に乗り入れるための構内営業許可問題(公道ではないので)で簡単にバスの行先を増やすことは難しいし、それができなかった結果が現状と思われるのです。

試合終了後にバスを運転する人は日中、特に午前中にバスを運転することが難しいことになります。試合開始3時間前から、そして試合終了後約3時間をハンドル時間とした場合の「残り」部分が「路線として運行できる時間」と思えばかなり厳しい労働環境であることがおわかりいただけましょうか。そして深夜までシャトルバスで運行した運転手さんが翌日運転できるまで休息期間は継続 8 時間以上が必要です。

厚生労働省 バス運転者の労働時間等の改善のための基準
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000510309.pdf


これが日中の運行が行いにくい理由であるといえましょう。これは乗務員数がある程度潤沢にならない限り解決しない問題です。

特に千歳相互観光は乗務員不足による千歳市内の定期路線バスを減便したままになっています。そのさなかに北広島でシャトルバス運行に車両と乗務員を少なくない台数出していることを千歳市と市民がどう考えているか?という面があります。

 少なくとも5台が運行されている千歳相互観光バス
少なくとも5台が運行されている千歳相互観光バス



シャトルバス決済手段の要望
 非接触クレジットカード拡大や交通系ICカードやQRコード決済を導入できるか?

現状のエスコンフィールド発着の各路線は、乗車券購入方法はある程度複雑ですが基本的に現金(乗車券を買うか直接支払うかはともかく)とVISAタッチしか使用できません。

エスコンフィールド館内で利用可能である交通系ICカード(Suica・PASMO・Kitaca等10種)の利用はできません。また、JCBやMasterCard等他のブランドのコンタクトレス(非接触)決済やQRコード決済にも対応できていません。もちろんエスコンフィールド館内でも利用できない札幌市とその近郊で地下鉄・路線バスに使用できるSAPICAも使えません。

この要因は何故かははっきりしたことはわかりませんが、まず車載器を見てみます。
 VISAタッチ車載器
VISAタッチ車載器
使用されているのは小田原機器の製品でマルチ決済端末として販売されているものです。

小田原機器 マルチ決済端末 BOSS
https://www.odawarakiki.com/service/bus/boss.html


対応できる決済手段はVISAのほかJCB・American Express・ダイナースクラブ・Discoverのコンタクトレス決済、そしてPayPayなどのQRコード決済となっています(交通系は不可)

ほぼ同一の機器を導入している北都交通の空港連絡バスではこれらコンタクトレス決済が可能です。なおPayPayは利用者のスマートフォン端末内で決済する方法のため本機器は使用していません。

北都交通 各種タッチ決済
https://www.hokto.co.jp/visa_touch/index.html

 北都交通で使用できるタッチ決済
北都交通で使用できるタッチ決済


つまりはVISAタッチしか使用できない要因は機器の問題ではなく契約的な問題であるといえましょう。前回記事にも記載しましたが、このバス車内での決済方法はバス会社と決済事業者の契約で行われるものであります。しかし、球団の事業統括本部長前沢氏は民放のテレビ番組でのインタビューで次のように答えています。

ファイターズのボールパーク オープン戦で見えてきた課題…帰りのバス乗車まで40分待ち 球団のキーパーソンを直撃
2023年03月27日 UHB
https://www.uhb.jp/news/single.html?id=34466
>ファイターズスポーツ&エンターテイメント 前沢 賢 事業統轄本部長:「最初はバスが40台くらいしかなかったが、10台増便している。バス会社と相談しながらやっていきたい。交通系ICを含めて全部やりたい。そこからスタートして、さまざまな規制があった中で今の状態になっている。今のままで終了ではなく、徐々に拡大していく」


つまり、シャトルバスの決済方法で球団が関与できることを認めている、逆を言えば球団の意向があるからこそ「VISAタッチしか使用できない」状況に陥っているといえます。でなければここまでの表明はできないはずです。

とはいえ球団の統括責任者がここまで表明していますので、時期はわかりませんが決済手段の拡大は行われると期待したいところです。

2023年7月より交通系ICカード(ただしSAPICA除く)の利用が可能となりました




シャトルバス決済手段の要望
 券売機の台数増加や発売開始時間の拡大はできるか?場内整理員が発券できるか?

新札幌駅シャトルバス乗場に設置してある券売機は球団が設置している球団資産のようです。結果バス会社の意向ではなく球団の意向でこの時間に稼働しているように見えます。(券売機の問い合わせ先がバス会社では無く球団になっている)
デーゲームの13時試合開始の場合、バス始発発車は10:30、券売機稼働は10:00となります。

混雑した日は手売りでの発券も行ったようですが、基本的に現金を誰もが扱えるような状況にはできないという面があります。場内整理員が列を回って乗車券販売を行うなども、緊急的措置としては考えられても恒久的な形にはできないと思われます。(多くの路線バスが運転手さんに一切現金を持たせず、運賃を直接運転手さんが扱えないようにしているのは長いバス運行の歴史的な事情ではあるのですが、小銭であっても現金を扱える人員と不正防止の対策を行う必要があります。その結果の機能が制限される「券売機」です)
 運行終了後の新札幌駅券売機
運行終了後の新札幌駅券売機
また、試合日以外は券売機を稼働させないというのも、同じ路線で乗り方が変わることでもあり、非常にわかりにくい面であります。やはり決済手段の拡大、現金決済の場合の乗車券購入を通年行える仕掛けの構築は必要ではないかと思います。

エスコンフィールド側は観戦チケット売場でのシャトルバス乗車券発売などの改善がありましたので、新札幌駅側でも付近に簡易な待合室のようなものを作り券売機の稼働時間を長くする、また、場合によってはコンビニ発券などの方法も検討し、バス乗場に「券売機購入列」と「バス乗車列」が錯綜しないような形になることが期待されます。


シャトルバス混雑緩和の要望
 連接バスなど定員の多いバスを導入できるか?

シャトルバスアクセスに関する混雑では連接バスを導入しては?という意見が見られました。連接バスはバスの車体を2つ繋げているような構造になっており、全長は18m程度、定員は立席を含めると120名ほどになります。連接バスを運行している千葉県の京成バスの事例を紹介します。

京成バス 路線バス 「新都心幕張線」 に 3代目 となる連節バスがデビュー
https://www.keisei.co.jp/information/files/info/20210323_122652940835.pdf

 京成バス 連接バス
京成バス 連接バス


運転するための免許は一般のバス運転と同じ免許ではありますが、挙動や大きさが大きく異なるので地元警察署等に特殊車両の通行許可の申請を行い路線が限定されるなど、運用に制限があるという面があります。

京成バスでは千葉マリンスタジアムでのシャトルバスに連接バスが使用されていますが、ここでの連接バスは球場への観戦客輸送に特化しているわけではなく、幕張本郷駅からの大量の通勤客を運ぶためにほぼ1分おきで運行していても通常のバスでは足りないという問題を解決するための連接バスであるという理解も必要です。

京成バス 幕張本郷駅時刻表

 幕張本郷駅時刻表
幕張本郷駅時刻表


エスコンフィールドシャトルバスでは、それを使用しない期間の通勤等の運行がなければ年70日程度の運行で他の路線で使用できない特殊性を鑑みると高価な連接バスを導入する動機に欠ける面があるとも思えます。

むしろ現在使用している一般路線車両に関しても朝ラッシュ時などは千歳市内の路線バスとして使用できる千歳相互観光に比較して、路線バスタイプの車両を運用する必要がある路線が他に存在しない北海道バスはこの車両をどう効率的に運用するのか、ほとんどの車両が年間290日以上使われないことをどう改善するか気になるところです。

これは乗務員もそうで、290日は他の路線の運行を行うとはいっても、連休中やお盆休みなど高速便のピーク時も球場輸送は必要となり乗務員の効率的な配置に頭を悩ませることになりそうです。

そういう面でなかなか連接バスの運用は厳しいとは思うところです。

仮に札幌市内の事業者がシャトルバス事業に参入していた場合は連接バスに限らず混雑特化の車両導入は朝ラッシュ時など球場輸送に無関係な時間帯にも威力を発揮できる面があり、活用できた可能性があります。しかし、今回市内路線運行を一切行っていない事業者がメインであることで、乗務員だけでなく車両を大量に用意できないという問題はありましょう。


シャトルバス乗車場所の要望
 エスコンフィールドバス乗場に屋根とトイレの設置はできるか?

ここまでの試合日で雨になったのは3月26日のみで要望がまだあまり多くないという面がありますが、やはりせめて乗り場だけでも屋根が必要と思います。また、喫煙所は付近に2箇所あるにもかかわらずトイレが全くなく、農業学習施設「KUBOTA AGRI FRONT」付近まで行かなければならないのはあまりにも利用客の生理を考えていないと言わざるを得ません。
 シャトルバス乗場前の喫煙所
シャトルバス乗場前の喫煙所
 遠く離れた屋外公衆トイレ
遠く離れた屋外公衆トイレ

また、案内員が看板を持ちシャトルバス乗り場などの案内をしますが電照がない上に黒地に白文字のため全くという程目立ちません。

エスコンフィールドのコカコーラゲート前にバス出発案内、乗り方の告知などのサイネージと屋根があり足下が明るいバス乗場、乗車券売場をうまく導線を合わせて再構築する必要はあるのではないかと個人的には思います。

多くの方が「バスに乗る混雑」そのものを問題にしているのではなく、わかりにくい案内、どこに並んで良いかわからないことに対するいらだちがあるという面で改善できる事柄でもあります。


エスコンフィールドのタクシープールとツアーバス駐車場問題

エスコンフィールドでのタクシー乗場はコカコーラゲート前の一箇所のみしか用意されていません。駐車場側のゲートなどにタクシーを着けることはできませんので、適当にタクシーを路上に降りるような状況が見えますが、これは非常に迷惑であります。

とはいえ、コカコーラゲート前のタクシープールが北広島駅行シャトルバス及び千歳相互観光バスの待機場所と同一となっており非常に狭くバスとタクシーが錯綜しスムーズに出られません。

そして、個人がタクシーを迎車した場合、アプリなどでの配車依頼に対して乗車できる場所が無いのも問題です。せめてタクシープールをシャトルバス乗場とは別に用意する必要がありましょう。
 タクシープールとシャトルバス乗場
タクシープールとシャトルバス乗場
 タクシープールとシャトルバス乗場
タクシープールとシャトルバス乗場
そしてもう一つ大きな問題と思ったのが観光バス、ツアーバスの待機場所です。
 ツアーバスが待機
ツアーバスが待機
 ツアーバスが待機
ツアーバスが待機
 シャトルバスも待機
シャトルバスも待機
ツアーバスの待機場所は新札幌駅・野幌駅・新千歳空港へのシャトルバス乗場に設けられています。この日は観光バスが溢れ、シャトルバスが場内で転回するのも一苦労という状態になっています。台数もなんとかギリギリ入れた感があって、全くスペースが足りていないように見えます。
結果シャトルバスの車両も切り返ししながらなんとか出している状況で、これもシャトルバスの運行問題になっているように見えます。
 北海道バス営業所
北海道バス営業所
北海道バスの営業所も余裕は無いように見えます。営業所内は北海道バスの車両しか入らないようで、共同運行のエルム観光や千歳相互観光の車両も入りませんからこれらのバスもシャトルバス乗り場付近で待機せざるを得ない、そして近隣の外にトイレも休憩施設もないような状況です。バスの運転手さんの愚痴が聞こえましたが書くようなことではないとは思います。

観光バスの待機場所、その待機場所から球場への導線とバス乗務員の休憩施設の確保は必要と思います。


利用者が考えるJR北広島駅を改善策は期待できるか?

北広島駅ホームの要望
 「0番ホーム」「5番ホーム」の新設はできるか?

同様に北広島駅についての意見も多数ありました。多く見かけたのはホームの狭さの問題で、現在の4番線線路の反対側に(仮)5番ホームを設定して、乗車客を捌くというものです。

これは、敷地的にはできそうではありますが、駅設備の改修、新たな改札口の増設、そしてエルフィンパーク内での整列が行いにくい状況から考えると、多くの観戦客を外で並ばせることになり、今よりも不満が大きくなると思われます。設備の費用面でもJR北海道が踏み切れない問題に見えます。
 現在の北広島駅3・4番ホーム
現在の北広島駅3・4番ホーム
千歳方面への1番線の東側に0番ホームを設置することに関しても同様のことが言えそうです。

ただし、新駅の設置が行われない場合はその検討をせざるを得ない可能性はあります。球場新駅ができなければ恒久的な根本的な混雑回避の方法を検討せざるを得ないでしょう。前回も記載したとおり、JR北海道が自社で負担した9億円にも及ぶ既存駅の改修費用を新駅が設置される前に回収する必要がある。そのために観戦客が支払う運賃ではとうていそれに足りず、人件費や臨時列車運行費用を考えると報道や識者すらもいう「JRは儲かるのに改善しない」が大嘘であることは暗算でもわかるくらいはっきりしていることです。


千歳線ダイヤの要望
 大幅な増発はできるか?

一部にはJRはやる気が無いと酷評された千歳線の増発でありますが、何度かこのサイトでも記載していますが千歳線を増発するにはハードルがかなり高い状況があります。現状の快速エアポートも1時間5本、約12分間隔ですが、その運転間隔が少し乱れる時間帯があります。そこには乱れざるを得ない理由があるからこそその間隔になってないといえるのです。

以前も記載しましたが、千歳線は1973年に新札幌駅付近を経由する形で線路を付け替え、1980年に電化されるなど、輸送力を増強してきた歴史があります。しかし、基本的には国鉄時代の本数が少なかった頃の設備を踏襲しており、その設備の中で目一杯の増発を行っているのが快速エアポートの1時間5本運転である現状です。

また、平和駅付近にある札幌貨物ターミナル駅からの貨物列車出発時、線路を共用する関係から新札幌駅から札幌方面への列車が約5分出発できなくなるという問題があります。列車本数が少なかった時期は大きな問題になっていなかった面ですが、球場輸送で大量の列車を出発させたい現在ではこの制約が非常に大きくなっています。
 札幌貨物ターミナルを出発し新札幌方面に向かう貨物列車
札幌貨物ターミナルを出発する貨物列車
この貨物列車の線路の改善を行うには大きな用地買収と既存線路に併走する難しい工事が必要になりJR北海道が単独で出せるものではないとはいえそうです。

国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス
https://mapps.gsi.go.jp/contentsImageDisplay.do?specificationId=1886780&isDetail=true

 札幌貨物ターミナル付近
札幌貨物ターミナル付近


そういう制約のある中、JR北海道はどう列車の増発を行ったのかを見てみます。
臨時列車の中で列車の時刻が公開されていないものと、各駅を通過する列車の時刻を推定した時刻表を作ってみました。

 北広島発22時以降の札幌方面時刻表
北広島発22時以降の札幌方面時刻表
・Excel形式
https://traffic.north-tt.com/txt/20230406_01.xlsx
札幌貨物ターミナルから出発する列車について新札幌駅着時刻部分が貨物駅出発時刻です。この貨物列車が貨物駅を出発して新札幌駅に到着するまでの約5分、新札幌駅から札幌方面への列車が出発できません。通過列車については推定した時刻です。

「時刻表に掲載されない臨時快速列車」は今までのいくつかの機会で21:09北広島発で設定されており、これを「遅延した」として試合終了40分後程度のタイミングで出しているように見えます。特に22時台に札幌貨物ターミナル駅からの貨物列車出発列車が3本、23時台にも2本あり、それと札幌行の特急列車や札幌貨物ターミナル駅行の貨物列車もありますので、うまく等間隔で列車を出せないジレンマがありましょう。22:18・23:23の列車は今まで設定されたことがないものの、当サイト管理者的にここに入れられる可能性として考えたものであり実際のものとは異なります。

また3月30日に運行された23:40・23:50・0:00・0:10の臨時普通列車は単純に10分間隔と出したわけではなく、これも札幌貨物ターミナル駅からの貨物列車出発時刻をうまく縫う時間帯に設定されたことがわかります。「このタイミングにしか出せない」ものです。事前にJR北海道が制約の大きい中で時刻設定を準備していた列車ということになります。
 3月22日の北広島駅出発表示
3月22日の北広島駅出発表示
もちろん列車の本数を「やる気が無い」と批判するのは自由ですが、設備的な制約があること、そして、その制約を考慮し、今年のダイヤ改正では一部の貨物列車や特急列車の時刻を変更した上で観戦客輸送を完遂しようとしていることは理解しておきたいものです。むしろ、列車本数はこれ以上はどうしようもないのが現状であるともいえます。


千歳線混雑緩和の要望
 駅構内の導線と輸送障害への対応

北広島駅は市の自由通路エルフィンパークに接していますので、駅としては非常に簡素な小さなものです。駅だけでは改札外に50人も並ばせることはできないでしょう。結果エルフィンパークに整列し順次誘導する必要があります。

ただ、その責任分担がありますので、駅構内が混雑してきてJRの担当者が改札を停止したことが、外のエルフィンパークで誘導している方に伝わらないというのは要改善でしょう。それができたとして、パーク内に留まれるのは1000人、改札内を含めて1500人から2000人までは無理とみています。
 エルフィンパーク整列
エルフィンパーク整列
これまでのオープン戦、公式戦開催日は千歳線大きな輸送障害がなく順調に列車を出発することができていますが、鹿などの野生動物との接触事故は札幌付近でも発生していますし、踏切事故など大きな輸送障害が発生した場合、どう観客を輸送していくのか?というのは当然にJR北海道は考えてはいるとは思いつつも、すぐに代替できるようなことはありません。

また、折り返し運転が可能な駅が限られますので、輸送障害が沿線外であっても北広島と新札幌の間だけ運行するというような方法は採れません。(できるとすれば白石駅を折り返しに使う形くらいかと思われる。)これも含めた対策がどの程度考慮されているのかが気になるところではあります。


千歳線混雑緩和の要望
 列車の両数を増やせるか

これまで観戦者の帰宅の様子を見る限り、列車が満員で乗れずにホームに人が溢れる事態が起きていないようです。ホームに入れる人数が列車の定員より少ない状態、さらに普通列車や臨時快速が3番ホームに据え付かれている状況で、先に出発する快速に乗りたいという人のための混雑で、結果普通や臨時快速が空いている状況になっているように思います。
 3番ホームの普通列車(右)と4番ホームの快速列車(左)
3番ホームの普通列車(右)と4番ホームの快速列車(左)
これは等間隔に列車が発車できない意味もありますし、普通列車が必ずしも先に札幌などに着かないという意味でもあります。少なくとも新札幌までは先発列車が先に着くことを案内できるか、更には普通列車が白石で待避し後の快速が先に札幌駅に到着することを改善できるかがあります。

また、あくまで個人的には北広島発19時以降の快速エアポート(特別快速も含め)は白石に停車し、停車案内を簡素にする必要があるようにも思います。ホームや改札前に次の快速は白石停車とか白石は通過とか、多くの利用者は白石は関係ないので必要な情報をアナウンスするための方法として検討した方が良いかと思います。

現時点では6両以上の増結はあまり意味が無く、そのための車両の改修が快速エアポート専用編成も含めた札幌圏全編成に及ぶことを考えるとJR北海道としてはやりたくない内容に見えます。むしろ以前妄想した「首都圏的通勤列車」を北広島駅と札幌駅のみを往復するアクセス列車のみに導入するという方法は一つの方法にはなりそうには思っています。(これもJR北海道的にはやりたくないでしょうね)


千歳線混雑緩和の要望
 往復きっぷの発売

JR北海道は北広島駅を降りる観戦客に「帰りの切符の購入」を案内していました。券売機で購入する乗車券は当日限り有効で、帰りも利用できますから、それを案内するのは理にかなっています。
本来ですとエスコンフィールド内での飲食でも利用できる交通系ICカードであるKitacaを利用して貰いたいのでしょうが、現金が使えるところは現金という利用の方もおられましょうからこのような案内になります。

もうひとつ、発駅で「往復きっぷ」を購入して貰うことも混雑緩和の一つの方法になろうかと思います。しかし、Twitterでの「#聞いてよFビレッジおじさん」で札幌駅で往復乗車券を買えないと訴える方がおられました。JR北海道の券売機はJR東日本の「多機能券売機」相当の機能があり、クレジットカードこそ使用できませんが往復きっぷや定期券が購入できるものです。確認してみますと札幌駅の券売機の「往復きっぷ」ボタンの中には北広島の文字がないのですね。
 札幌駅券売機の「往復きっぷ」ボタン
札幌駅券売機の「往復きっぷ」ボタン
北広島駅の券売機の台数があまり多くないことも含めて事前に乗車券を買える仕掛けはPRして欲しいとも思います。無割引でトレーディングカード的なあまり高額ではないプレゼントを添付したシーズン回数券の販売など、北広島駅の混雑回避の方法を検討したいところです。


千歳線バリアフリー的な要望
 車いす・ベビーカーの案内体制

北広島駅は改修を機に改札内のエレベータに直接接続する改札を設置しています。しかし、この改札口には通常は駅員がおらず、案内が必要な場合は一旦通常の改札口を回る必要があります。また、券売機も設置されていないものです。
 北広島駅エレベータ改札
北広島駅エレベータ改札
 北広島駅エレベータ改札
北広島駅エレベータ改札

JR北海道は車いすでの案内が可能な駅を明示しています。

JR北海道 車いすをご使用のお客様へ
https://www.jrhokkaido.co.jp/network/barrier/pdf/okarada_1_map.pdf

 各駅マップ
各駅マップ


北広島駅は残念ながら「有人駅ですが、係員の配置上、事前に係員を手配する必要のある駅」となっています。あくまで4月2日に見た限りではありますが突発的な要望にも駅員が対応していましたし、個人的にはそれが当然になることが求められるとは思っていますが、現状は対応できない可能性があることに留意してください。

ベビーカーに関しては、駅内まで入ると駅構内の案内係員がエレベータ改札を案内するのですが、乗車券類や交通系ICカードを所持していれば直接エレベータ側の改札を案内する方が良いわけで、エルフィンパーク側の案内員もそれを案内できる体制が望ましいと思われます。

なお、バス会社の公式的な案内はありませんが、以前も指摘した通りFビレッジの公式案内では新札幌・野幌のシャトルバスに関して車いす利用を拒否しています。

Fビレッジ 交通アクセス
https://www.hkdballpark.com/access/
> 新札幌駅と野幌駅の試合日シャトルバスはハイデッカー・バスを使用するため、車椅子のお客様はご乗車いただけません。シャトルバスでFビレッジまでご来場されたい車椅子のお客様は、JR北広島駅発のバスにご乗車ください。

 交通アクセス
交通アクセス


だからこそバリアフリー面での北広島駅、JRの役割が大きくなる面があります。ただ、以前も書いたとおりこのような案内を路線バスとしても、施設管理者としてもしてはならないのではないかと個人的には思います。


地方からの観戦者が帰宅できるか
 特急などとの接続的な問題

ナイトゲームで観戦した場合、北海道内の各都市に帰宅する場合の特急接続を見てみます。
●旭川
北広島21:28-快速エアポート211号-札幌21:48/22:00-特急カムイ45号-旭川着23:25
北広島22:37-快速エアポート223号-札幌22:57/23:05-特急カムイ47号-旭川着00:30

●室蘭
北広島22:00-普通列車新千歳空港行-南千歳22:23/22:34-特急すずらん12号-東室蘭23:31-室蘭23:44

●帯広
北広島21:18-快速エアポート 210号-南千歳21:34/21:40-特急とかち9号-帯広23:48

釧路、函館方面はナイトゲーム観戦後の接続はありません。札幌ドーム時代を考えると札幌駅での接続時間を考えると概ね変わらない感じでもありましょうか。北広島駅までのシャトルバス・徒歩の関係を考えると、試合を最後まで見ることが可能なのは21時台前半に終わらなければ難しく、帯広は観戦後の帰宅は難しいですね。

ボールパーク内の宿泊施設が結果的に12室のTOWER11とtakibiグランピングのみですので、北広島市内に宿泊するのは現在のところは難しいと思われます。恵庭には少数、千歳は駅前にいくつかの宿泊施設があり、札幌方面へは混雑するものの千歳方面はかなり余裕(最終列車も遅い)ことも考慮いただけるとよいかと思います。


路上駐車問題を解決できるか

Twitter上でよく見かけたのが大曲川河川敷や近隣の店舗等への違法駐車が非常に多いという問題です。試合チケットが満席になっていない日であっても公式駐車場は満車になっており、近隣に駐車する車が後を絶たないという指摘があります。これについて市がどう考えているかの表明が全く見えず、半ばやったもの勝ちになっているのは防犯上も問題であろうかと思われます。

また、自家用車による送迎も多く見られます。送迎車が路駐しておりせっかくの4車線が半減している場所もありモラルとマナーだけでは解決できない問題があるように見受けられます。


アクセス案内について、いつまで球団と北広島市は観客と事業者に丸投げなのか

多くのメディアが混雑問題を取り上げた3月30日の開幕戦ですが、それに関して球団からも北広島市からも特段の案内やコメントは出ていません。

また、報道では辛辣な意見を書いた記事がありましたが、何故か公開から半日も経たないうちに削除されました。

ここまでアクセスが悪いスタジアムは見たことがない…日ハム新球場「エスコン」大失態の根本原因
2023年4月3日 プレジデント  
https://president.jp/articles/-/68204
https://news.yahoo.co.jp/articles/3960f769e0bfe978d1d668badd8a3954f6d5b74f
(いずれもリンク切れ)


この記事の内容は私から見ても現地を見ていない酷い内容の記事とは思いましたが、コメントなどでクレームがあっても今までほとんど対応してこなかったプレジデント社が簡単に記事を削除したというのは不思議なことです。

アクセス問題の記事はほぼ出尽くした4月6日になって毎日新聞が報道したあとはどこも話題にしませんでした。

focusプロ野球:ハム新球場、課題は輸送 バス待ち行列 周辺大渋滞
2023年4月6日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20230406/ddm/035/050/030000c
>午後9時半ごろに試合が終わると、JRの各駅へ向かうシャトルバス乗り場に長い列ができ、新札幌駅行きは一時90分待ちの状態に。徒歩20分ほどの最寄りの北広島駅も帰宅客であふれたため入場規制を実施し、周辺道路もファンの車で大渋滞した。
>バス運賃の支払い方法にも課題がある。事前に乗車券を購入していなかった場合、現金かVISAのクレジットカードによるタッチ決済に限られ、交通系ICカードなどは使えない。その場で現金を両替してもらう乗客も多く、乗り込みに時間がかかる。また、球場のバス乗り場周辺には屋根などがない。
>約4000台を収容できる駐車場が用意されているが、開幕3連戦では事前予約制の駐車券が完売した。周辺の道路は大混雑し、駐車場から出るのに約1時間かかったというファンもいた。
>  球団の広報担当者が「(混雑は)想定通りだった。(開幕3連戦の)3日間の中でも改善できる部分はしてきた」と言うように一定の改善も見られた。1、2日はデーゲームで時間に余裕のある観客が多かったこともあったためか、スタッフの時差退場の呼びかけに応じる様子も目立った。
試合後のイベントや、営業を続ける飲食店などもあり、広報担当者は「(来場者の退場時間を)どう分散させるかは考えてきた」とする。
>1日の試合後に取材に応じた小村勝球団社長は「しっかりと受け止めて、できることから改善していきます」と話している。


球団は当然様々な意見があることを認識した上で、しかし、対外的なコメントを出すこと無く、それは自分たちの問題ではなく「想定通り」だったとしました。

あくまで個人的な意見ですが、誘導に不備があったことや事前の想定が明らかに外れて場当たり的な対処をせざるを得なかったことは素直に認めた上で、対処を検討していくというコメントを出した方が良かったと思います。

最も可哀相なのは事前の準備で禄に情報無い、ザルな状況のなか最善を尽くすべく頑張った場内整理や運輸に従事してきた方々で、結果的に梯子を外されて「想定通り」などとされるのはあんまりだと思うのです。

そして、私もなんとなく予想していたとおり、もうアクセス問題についてはどこのメディアもだんまりです。多分JRに輸送障害が出るか、死人でも出ない限り二度と出てこないでしょう。それが本当に何かの力があったのか忖度なのかはわかりませんが、今後アクセス問題は自身でしっかり情報を収集されることをお勧めします。今日私が書いていることが次の試合日も行われるかは私自身もわかりませんし多分誰も答えられないでしょう。JRはダイヤに則って動きますので変化はほとんど無いと思われますが、シャトルバスは今後大きく変化する可能性は捨てきれません。

何度も書きますが、私自身は素晴らしい球場で素晴らしい環境で野球を楽しみたい。そのためにはアクセスもできる限り快適である必要があると思っています。始まったばかりの施設だからこそ、早くに課題を解決していくことが必要ではないかと思うのです。

北海道の交通関係 JR北海道 路線バス 北広島球場輸送

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