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JR北海道の新型電車737系に乗ってみました
2023/06/07
JR北海道が苫小牧、室蘭付近で使用していたキハ143形の置き換えや札幌圏以外の電化路線での利用を目的に新型車両の製造を表明したのは2019年4月の「JR北海道グループ中期経営計画2023」ではないかとおもいます。ここでは2両編成のワンマン電車新製の検討とし、外観的には既存の733系電車を2両編成にしたような挿絵も掲載していました。
JR北海道グループ中期経営計画2023
https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/mi/vision/20190409-03.pdf
「ワンマン運転の拡大」
あくまで私個人のこの時点の感想としては、733系電車は高い場所に運転台があることもあり、車内で運賃収受や定期券を確認するワンマン運転での利用はあまり適さないのかな、しかし、札幌圏への乗り入れなども考えると3扉は維持されるのかなとも思っていた部分です。
2022年8月に会見でその2両編成ワンマン電車が「737系」を名乗り、片側2扉ロングシートの車内であること、既に製造が開始されており、2023年春より苫小牧、室蘭地区で運行開始する旨が発表されます。
JR北海道 2022.08.17【社長会見】737系通勤形交流電車が登場します
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/220817_KO_737.pdf
737系概要 737系概要
製造両数は13編成26両で現在苫小牧、室蘭地区で使用しているキハ143形の両数(5編成10両)よりも多いことから、それ以外の地域でも使用することが予想されます。もとより当初の目的は「ワンマン運転の拡大」ですので、現在ワンマン運転を行っていない岩見沢-滝川および、ワンマン列車区間でありますが電車3両運転で設備的にワンマン運転を行っていない滝川-旭川の電車列車の置き換えも視野にあるものと予想します。
737系電車は2022年11月から順次メーカーから搬入され試運転が度々目撃されていました。
2022年12月に発表された2023年3月ダイヤ改正に関しての発表で、737系の運用開始は2023年5月20日からとなり、2段階に分けてのダイヤ改正となりました。
JR北海道 2022.12.16 2023年3月ダイヤ改正について
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/221216_KO_kaisei.pdf
737系室蘭線導入
ダイヤ改正に関しても「経費節減効果」が必要で8,600万円の節減ということが発表されます。
具体的なダイヤ改正の情報は2023年4月に発表されました。
JR北海道 2023.04.13 5月20日(土)新型737系電車を室蘭線に投入します
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/230413_KO_0520_737.pdf
737系電車を室蘭線に投入
最高速度が10キロアップすることでの所要時間短縮効果が平均9分、苫小牧-東室蘭の普通列車での最速が1時間を切ることになり最大17分の短縮は大きいですね。また、接続改善が行われ、札幌側からの普通列車同士の接続が1本早くなるものなど、細かな改善が行われたことが判ります。
また、今回H100形とドア扱いが統一され全駅で半自動扱いとなります。
733系電車の特徴
大きな特徴はH100形同様のワンマン機器設置が行われており乗務員からするとある程度の取り扱い共通化が行われたことになりそうです。キハ143形同様冷房車として新製されたのは当然ではありますが、窓も換気用の開きがあるのみで大きくは開かないことでの事故防止策がとられています。・バリアフリー推進
札幌圏の733系、735系と同様出入口のステップを廃止し床面高さを1,050mmとしています。沿線の多くの駅ホームは920mmのホーム高ですので13cmの段差のみで車両に乗り込むことができるようになります。これまでのキハ143形より床面高が19cm低くなっており、これまではステップ面から27cmの段差がありましたので大きな改善になる部分です。
また、半自動ドアで運行されることから札幌圏では731系以降設置されていたドア脇のエアーカーテン装置も省略されています。
・トイレと旅客案内
編成に1箇所つけられているトイレも室内が拡大され洋式化されており、車いすでの利用が可能な形になっています。車いすスペースが車端だけでなく車内中心部に「フリースペース」として取られているのはトイレの前で窓がないスペースではないという意味でも画期的ではないかとは思います。
運賃表示器は液晶パネル化されており、運賃の他多言語表示も可能になっています。後方となる部分でも次駅表示などがありますので、札幌圏電車に見られるドア上の次駅表示装置は省略されています。放送設備もH100形同様英語自動放送、英語案内なども含めた配慮がなされています。
・その他
既存の札幌圏電車車両とは非常時以外の連結は行わないとしています。最大6両編成までの連結が可能ですが基本的には2両編成での運用が行われます。
車体は軽量化を目的に735系以来のアルミを用いています。
座席幅は従来よりも5mm拡大し、460mmとなっています。座席定員は2両で93席、編成定員は269人となり、キハ143形2両編成に対して座席は3席の減少に留まっています。
733系電車の外観
前面はH100形同様警戒色となる黄色とコーポレートカラーの萌黄色を配していますが少し意匠が違います。灯火類は全てLEDによるもので、前照灯4灯、尾灯2灯となります。フルカラーLEDによる行き先表示が設置されています。




室蘭側がモーター、パンタグラフなどがつく「クモハ737形」、苫小牧側がトイレが設置される「クハ737形」となります。
733系電車の車内
座席はロングシートとなっており、中間部にフリースペースが設置されています。室蘭側クモハ737形は山側、苫小牧側クハ737形は海側にフリースペースが設けられます。







客用ドアとその枠も薄いピンク色に塗られています。

クハ737形の車端部に車いすスペースとトイレが設置されています。



走行音・座席の座り心地など
座席は既存の733系ともH100形とも異なるもので、少し固めではありますが、これが最近の標準かなとも思われます。特にフリースペース前の席に座れば大きな目の前に眺望が開けるのは今までと随分違う感覚です。個人的にはクロスシート絶対視はなく、横向きに座ることを厭わないので違和感はありませんし、座席数が確保されたこと、通路幅を考えるとこのような形が標準かとも思います。今更仕様を分けるのも利用環境的に不便なのかもしれませんがH100形もロングシートならばざっと40席以上は設置できるわけで、中途半端なクロスシートと極端な便所設備などで座席数が確保できないこととバリアフリー面の両立は今後も運行事業者の頭を悩ませることになりましょうね。
走行音は既存車両とギア比が少し異なるためか、少し低音が強い感じですね。やはり走行速度が違うので速く感じますし、また、減速も回生ブレーキが強く利いているような音を感じます。特に不快な音はありません。
今後の予定とキハ143
特に今後の予定についてはJR北海道から発表にはなっていませんが、今後岩見沢-旭川などにも導入が検討されていると思われます。721系の初期車両も導入から35年を経過しており、また、今後も経費節減圧力、鉄道職員の減少が伝えられる中メンテナンスフリー、省力化、そして省人化のための施策は続いていくものと思われます。今回737系は13編成導入の予定で、当然に苫小牧、室蘭地区だけの運用では余りますし、2扉で日中に札幌圏に入ることも想定されていないでしょうからほぼ旭川方面での利用は確定的でしょう。ただ、札幌圏の朝ラッシュ少し遅い時間に運用される現行721系3両で旭川を6:29に出発し、岩見沢で3両増結し手稲9:19着で運行される2152M列車など懸念もありますので、札幌圏の電車運用自体が今後大幅に変わっていくことは予想されるところです。
キハ143形は1994年から11両が「客車」から気動車に改造され学園都市線で運行されていた気動車でした。学園都市線の電化でワンマン運転化改造を受け室蘭線に転属されて、気動車になってからでも29年、元の客車の製造から40年以上を経過しています。この車両の置き換えが急務であったことは否めませんし、電化区間を気動車で運行するという非効率問題もあったと思われます。
そのキハ143形については、現在のところ転用や廃車の明確な発表はありませんが、とりあえずは冷房車であることも含めて検査期限までは何かの転用を想定しているのかもしれません。現在は苫小牧駅の側線に集められて留置されています。


学園都市線時代にはよくお世話になったキハ143形ををはじめとする客車改造の気動車群ですが、冷房のない車両もあり、夏場は難儀した思い出です。選んでキハ143に乗っていました。また、室蘭線ではそれでも他の気動車よりは速い110キロで走行するのも魅力でした。





おわりに
H100形ではJR東日本のGV-E400形とほぼ同じ仕様で導入されましたが、737系電車ではその意匠はある程度受け継ぎながらもJR東日本の仙台地区や第三セクターの青い森鉄道などで導入されているE721系に類する車両とはせずに独自設計の車両を導入したことになります。もちろんE721系が両開き片側3扉であるなど北海道の気候に合わない面はありましょうが、その北海道版とはせずに独自にこだわったというのは北海道独自の電車を長く運用してきた一つJR北海道のプライドな部分があるのかなとも思います。ですので運転席周りにしてもH100形と似ているけれど違う面を見る面があります。様々な理由でH100形が一定の評価はされましょうがJR北海道にとっては妥協しなければならなかった車両であることを考えても、今回737系は車両の「名称」が737系ということも含めた自社として提供する車両ですというものが見えます。
アルミ車体に塗装したことも含めて、それは定期的な塗り替えが必要になることが判っていますので、それが組織維持的な面も考慮があるのかもしれません。
いずれにしても今後少なくとも数十年、この車両が愛されていくことを願っています。