北海道の交通関係


北海道の交通関係サイト終了のお知らせ

当サイトは終了することといたしました。本件に関しましては以下をご確認ください。
当サイトは2023年12月末で閉鎖することといたしました


2023年9月現在の函館線(長万部-小樽)代替問題

2023/09/29

当サイトではしばらく並行在来線問題を取り上げていなかったですね。今回ちょっと書く前に、以前記載した内容をもう一度確認して経緯をおさらいしてみました。
もしよろしければ、あくまで個人が書いている当サイトだけではなく、本当に信頼できる公式情報なども確認してからお読みいただければと思います。

カテゴリ:並行在来線問題
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?category=%E4%B8%A6%E8%A1%8C%E5%9C%A8%E6%9D%A5%E7%B7%9A%E5%95%8F%E9%A1%8C


北海道 函館線(函館・小樽間)について(北海道新幹線並行在来線対策協議会)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/heizai.html



第15回後志ブロック会議

本件での前回の記事は2022年11月6日に行われた北海道新幹線並行在来線対策協議会の第15回後志ブロック会議で公表されたバスルートや運行時刻の概要から作成した記事になります。

今回まずはその第15回会議の議事録から各自治体がどのような意見を持ったのかを見ていきましょう。

黒松内町

口火を切ったのは黒松内町です。資料に出てきた「運転手確保の観点から、輸送人員の少ない区間は、大型免許を必要としないデマンド交通などの輸送手段を含め検討する。」というものが誰が運行を担保するのか?という質問が上がります。
黒松内町としては「すべて路線バス会社が運行してくれるものだと理解」としているので町としては何もしなくていいはずという認識なのですね。この問題は降って沸いた訳でもないのですが、自分の町に関わるのだけど、どこか自分の町とは遠いところで起きている問題で、勝手に「良きに計らって」くれるという意識が沿線自治体にあることを色濃く表していると思います。なのでバス時刻も鉄道の時刻と違う「今まで通りでは無い」ところに噛みつくわけで、今までの時刻が利便が高かったかどうか?もっといい時間にバスを走らせた方がいいのでは無いか?という面は少なくとも黒松内町からは感じられないのです。
とはいえ今まで勝手にJRが運行してくれた分は道が考えて提供され、それに合致しない鉄道沿線から逸れる分は自分たちの街でやらざるを得ないのも事実でしょう。

余市町

さて、最終的にバス転換への容認を示した余市町からはライドシェアの活用の検討についての質問が出ます。道はバスをメインで考えているというのは、一応は「幹線」的な面から全く利用がない状況まで酷い区間は少ないというのが観点のようです。ただ、高速バスを「行政の権限が及ばない」というのは補助金案件じゃないのでバス会社が「勝手に設定している路線」だから意見が通らないという意味なのか。規制緩和での新規バス事業者の参入までも聞いていますが、実際そういう動きがあるとしているのでしょうか。

仁木町

仁木町の心配事はスケジュール感なのは、現状のニキバスと都市間バスである程度の需要が満たされることを認識しているという面がありそうです。

ニセコ町

ニセコ町は新幹線のダイヤについて発言しましたが、ダイヤは当然のようにまだ全く決まっていないということになります。

議事録的にはこれだけです。9市町の町長が全て出席していますが、議事録に上がっているのはこれだけ。他の町としては特段異論も無いという認識でいいのかしら。特に小樽市から何の発言もないのは不思議ですらあります。

前回記事でも触れたとおり報道も北海道新聞と朝日新聞からのみで、もう、この方法でいいじゃんって感じなのかしら?細かい部分はともかく大枠ではこれでいいって感じに見えるんですね。
 然別駅
然別駅


第16回後志ブロック会議

5月28日に行われた後志ブロック会議も9市町、北海道から4氏が参加して行われています。

第16回後志ブロック会議(令和5年5月28日)
資料1
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/9/0/1/8/0/1/6/_/s16_04_%E8%B3%87%E6%96%991_%E5%87%BD%E9%A4%A8%E7%B7%9A(%E9%95%B7%E4%B8%87%E9%83%A8%E3%83%BB%E5%B0%8F%E6%A8%BD%E9%96%93)%E3%83%90%E3%82%B9%E9%81%8B%E8%A1%8C%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%A4%9C%E8%A8%8E(%E4%B8%AD%E9%96%93%E5%A0%B1%E5%91%8A).pdf
(見ることができない場合)
https://traffic.north-tt.com/txt/20230929_01.pdf


資料2は次回開催に関するものです。第17回は10月、11月にバス事業者との協議状態も含めた検討、第18回は翌年2024年1月移行に開催され、それまでにはバスに関する住民説明会があるとされます。

資料1は2ページだけのものですが、文字情報が多くなっています。バス事業者を北海道中央バス、ニセコバス、道南バスとし「特に輸送密度が高い区間は、実際にバスでの輸送が可能かどうかの検討を行ってきた。」ことから、ある程度の問題は解決するという認識をしているように思えます。むしろ「「黒松内・蘭越間」や塩谷駅・銀山駅周辺などは、バス運行のあり方等の検討を進めて」という、バスでは輸送単位が大きすぎると認識している部分の方が不安であるというのが道庁の考えにありそうに見えます。

資料が2ページの割に議事録はボリュームがあります。これはやはり費用負担の話がされたことが大きく、費用面を抑えることが利便面より重要であるというのは仕方ないということもありましょう。また、自治体としてはこれだけバス乗務員不足が報道される中、バス運転手が確保できるのか、本数が確保できるのかは特に心配であろうとは思います。黒松内町は今回も一番に発言しているのは後志支庁管内でも「端」であることで本当に公共交通には苦労されているとも思うのです。

道庁は非公式であるもののバス事業者の声を聞いていること、ただ、ここで回答できるようなものではないとしています。

余市町

余市町は正直言いますと、この議事録での発言では今まで在来線鉄道が必要であると声高に言ったこととあまりリンクしない内容で、ちょっとした演説会になっていたように見えます。
「ただやみくもに鉄道が走っていたルートをそのままバスに転換する、これは本当に合理性があるんでしたっけ」とか「倶知安と余市、小樽は拠点として、新幹線に任せるというようなルートを構築するようなことをしていかなければ」とかは、うん、それは間違いないけど、1年前なんて言ってましたっけ?とは思ってしまいます。
ただ、新幹線の恩恵が極端に少なく、倶知安側は高規格道ができるとはいえ稲穂峠に阻まれ移動需要が極端に少ないこともわかっていますので、費用面でも小樽との交通網に振りたい、充実させたいということに舵を切りたいことが見えましょう。
余市町のバスの長距離化よりも短距離細切れに回していくという考えは悪くはないのですが、極端言えば倶知安へは直接行けなくてもいいとなりかねないので、他の自治体とはなかなか意見が合わないようにも見えます。
そして、バスの赤字負担に関しても「乗っていない人員を運ぶために自治体の一般財源から持ち出すことについての適否」というのは踏み込んだ発言だと思います。

仁木町

仁木町は前回同様やはり倶知安側との流動の少なさは感じている、そして少なくとも市街地地区が国道沿いということもあって都市間バスで問題が少ない都認識していると思われ、だからこそ「メリハリつけて」といえる面がある。

倶知安町

倶知安町が発言した「駅のない町村」への利便性確保というのも実は大事で、特に倶知安はジャンクション的な面がありますし、倶知安町がいう事前の鉄道廃止ならばそのあたりもしっかりしなければならないというのはありましょう。「転換時期を新幹線の開業前にということで出来るだけ早くして欲しいんだ」というのは本当に倶知安の本心であることがわかります。「オープニングのときには、あまり見たくないような状態の中でスタートせざるを得ない形」もはや倶知安町にとって在来線鉄道は見せたくないようなものであることを隠しません。もちろんそれは開業時に中途半端な道路整備や駅前整備になることを意図しているとは思いますが、この趣味をやっている者としては非常に残念な発言ではあります。
そして転換時期が決まらないとバス会社と話ができないじゃないかというのも正論です。

蘭越町・黒松内町・共和町

バス会社との協議という面では、やはり今現在で非常にバスの便が悪くなってしまっている蘭越、黒松内の危機感というのを強く見ています。余市や倶知安はバスが残るでしょ、でもこっちは明日にも廃止されてもおかしくないって思ってるよねぇ。そういう意味でも現在の鉄道があまりルートとして関わらない共和町が釘を刺す形で発言するのはちょっと優等生感がありますね。

バス転換に対する、特に人員面の不安というのは今に始まったわけではないのですが非常に不安は感じます。とはいえ、鉄道だと人員不足が起きないわけではない。ここで何故バスドライバーの人員不足がフォーカスされるかと言えば「自分たち」のことであるからで、長万部町が言うトラックドライバーなどの助成事業でもほとんど応募がない、そういう事態は自分たちでわかっているし、道庁もバスドライバー確保の支援を行っている。しかし、鉄道の人員は勝手に鉄道会社が採用して養成しているからそれが本当に不足しているかどうか知る術が無い。
報道でもそれはほとんどされませんから、昔の感覚で鉄道は余剰人員が~という印象が成り立ってしまっているのではないか?そういう印象を持ちます。

では、この会議はどのような報道がされたでしょう。

バス転換、自治体が赤字補填 JR長万部―小樽 沿線9市町と道方針
2023年05月29日 北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/852797/
>バス転換後の赤字について「自治体が補填(ほてん)する」とし、バス事業者に負担を求めない方針を決めた。赤字の算定でも、事業者側に配慮した方法を採用することで合意した。
>この日の会合で、並行在来線の廃止後のバスではバス事業者が使う単価で算定する方針も決めた。
 一般に、バス事業者の単価の方が高いといい、既存の路線バスに加えて運行の負担が増える事業者側に配慮した格好だ。
 道はバス転換後、30年間で累計70億2千万円の赤字が生じると試算している。


そうか、バスの赤字補助についてだけですか。確かに資料に


>・補助制度の活用が見込める路線については、地域間幹線系統補助や広域生活交通路線補助などを活用する。
・ 運行経費の算出に用いるキロ当たり単価は事業者単価とし、収支後に、実際に生じる運行費用に対する欠損は自治体が補填する


がありますので、そうなんだけど、現状もうバス運行で利益を得られる路線などほとんど無いわけで、踏み込んだとはいえ、どうなりましょうねぇという感想です。確かにその結果自治体区間の赤字補助を必要とするのであれば余市町など小樽方面に注力して利用の見込めない倶知安方面をできる限り少なく運行することを行うことで補填額を抑えていという意識が出るのは致し方ない面だと思います。
そこに優等生的に、いやみんなで決めたんだからみんなで出そうよという共和町の考えも尊重されなければならないでしょう。今はいわない号も倶知安へのバスもあれど、この先を考えると特に都市間バスの維持に不安になることはありそうです。

JR長万部―小樽バス転換赤字補填 自治体の負担割合焦点に 30年で70億円の試算 運転手不足も課題
2023年05月30日 北海道新聞 小樽・後志面
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/853319/
> 路線バス維持に向けた現行制度では、運行経費の最大45%を国、道が補助し、それでも生じる赤字を沿線市町村が負担するなどの方法が採られている。並行在来線のバス転換でも、こうした枠組みを参考に議論が進みそうだ。会合では運行経費を、現行の国の「地域単価」より一般的に高くなるバス事業者の単価で算定する方針も決まり、事業者への配慮が打ち出された。
> また、会合ではバスの運転手不足への懸念が沿線市町から相次ぎ示された。
 小樽市の迫俊哉市長は、バス転換後のダイヤ編成について「現行の鉄道の運行本数を基本に利便性を確保すると地域住民に説明しているが、バスドライバーの不足を考えると厳しい面もあると思う」と指摘。道側は「バス事業者との非公式な意見交換では、鉄道の運行本数を確保するという確定的なところまでは議論ができていない」と認めた。
 さらに、倶知安町の文字一志町長は、新幹線新駅関連の都市施設などの整備で在来線施設の早期撤去が必要になるとの立場から、バス転換の時期について「できれば5年、遅くても3年、開業前に転換を」と前倒しをあらためて訴えた。


さすがに地方面は詳しい内容が出てきました。記事としてはこの2つだけで、他の媒体は私が確認した限りはありませんでした。

ともかく北海道側はバスを動かして貰う、そのためには金はある程度なんとかするとしかいいようが無いわけで、それをバス会社が飲めるか、運行できるか、そして、やっぱり峠区間などはデマンドでいいじゃないかとなるのか。そして補助案件ではない高速便などが今後も動くことができるかというあたりが焦点となりそうです。

会議とは別枠ですが、小樽市長は代替バスの自治体負担を道に財政支援として求める考えを表明します。

新幹線延伸で在来線代替バス 道に財政支援要望へ 小樽市長答弁
2023年06月21日 北海道新聞 小樽・後志面
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/864826/
>迫俊哉市長は、北海道新幹線札幌延伸に伴う並行在来線廃止後の代替バスの自治体負担について、「道は既存の補助制度以外の負担を含め幅広く協議に応じてほしい」と述べ、道に財政支援を求める考えを示した。



不安の面は既存のバスでも今の本数、路線を維持できていないという面でもあります。

 岩内バスターミナルのニセコバス掲示
岩内バスターミナルのニセコバス掲示


後志道と代替バス

当サイトでも以前書いているのですが、後志道には現在開通済みの余市IC以南は仁木市街地の東約2kmに2024年度開通予定の仁木IC(以下仮称)、国道5号線と道道1022号仁木赤井川線交点の仁木町大江付近に設置予定の仁木南IC、稲穂峠区間を約3.8kmのトンネルで抜き道道泊共和線との交点共和北IC、そして国富に近く岩内側国道276号線へも分岐する形で旧小沢中学校跡地付近に設置される共和ICまでが2025年度開通予定とされています。ここは小沢駅から約2kmとなります。倶知安までは事業中ですが今のところ開通予定は示されていません。

道道泊共和線一部開通と後志道、日高道の延伸
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=1276


「倶知安余市道路」における インターチェンジの追加設置について
https://www.hkd.mlit.go.jp/ky/release/slo5pa000000jyc0-att/slo5pa00000110bn.pdf


第15回ブロック会議でのバスルート検討では余市-小樽に関しては現行の国道5号線経由と、塩谷駅付近から小樽環状線塩谷駅付近経由ルートを検討していますが、残念ながら後志道を経由するルートは検討されていません。

これに関しては小樽-後志各町の「速達性」に関しては代替バスで求めないという部分があり、既存路線バスも含めて市街地を経由できる現道ルートを経由する形、また、将来的には稲穂峠区間など高速便は一部区間で利用する可能性はあろうかと思いますが現時点ではそれは行われないとしているようです。稲穂峠区間以外は仮に一部区間を高規格道路を経由しても短縮時間はわずかで、むしろIC-市街地の往き来の方が時間的にかかるといえそうです。

なお、小樽市の説明会では住民より塩谷の高速道路内にバス停設置を行えないかという意見を小樽市が否定しており、小樽市としても市内のIC設置位置的に市内交通にあまり利便が無い後志道の扱いがどのようになるかというのは難しい面でしょう。北海道新幹線仮称新小樽駅付近にインターチェンジ設置が行えるか(ここから駅経由で市街地へのルートが構築できる)は検討の必要はあるとは感じますが、小樽市の新小樽駅周辺整備構想にも後志道については一切触れられていません。

北海道新幹線 新小樽(仮称)駅周辺整備構想(概要)
https://www.city.otaru.lg.jp/docs/2020120400236/file_contents/koso.pdf


 後志道稲穂トンネル
後志道稲穂トンネル


代替バス体験乗車会

小樽市は2023年8月31日から9月3日までの4日間、塩谷・蘭島地区の住民を対象に小樽市中心部とを結ぶバスの体験乗車会を行いました。

新幹線延伸の在来線代行バス 小樽市、31日から体験乗車会 塩谷、蘭島地区の住民対象
2023年08月29日 北海道新聞 小樽・後志面
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/899787/


並行在来線 小樽・長万部間 小樽で代替バスの運行実験
2023年08月31日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20230831/7000060477.html
>沿線の自治体や道はバスのルートやダイヤなどの検討を進めていて、小樽市で始まったバスの運行実験には沿線周辺の住民のほか迫俊哉市長も乗車して所要時間などを確かめました。
>小樽市の迫市長は、「沿線住民の理解を得るには、鉄道と遜色ないバスの利便性が重要だ。住民の皆様からさまざまな意見をもらいながら道とも協議していきたい」と話していました。


1便目は北海道が15回ブロック会議で示したルートを使用して運行したもので、病院や高校がある南小樽地区へのルート、2便目は住民が要望した塩谷駅から小樽駅へのルートとなりますが、塩谷付近の国道側住民と駅側住民の分断の側面があるのか、そのあたりが(大昔の駅設置の経緯も含めて)気になるところではあります。

北海道新聞の地方面ではもう少し突っ込んだ記事がありました。

代替バス、運行実験開始 塩谷、蘭島地区-小樽市中心部 9月3日まで 通勤通学帯は走らず
2023年09月01日 北海道新聞 小樽・後志面
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/901744/
> 初日は計28人が乗車。市立病院に少なくとも月2回通院する****さん(78)は塩谷駅前から乗車した。「JRが頼みの綱でこの先どうしようかと思っていた。塩谷から病院の近くまでバス1本で行けるルートは便利」と、バスの利点をさっそく感じた様子だ。
> 実験は4日間で、市は「現時点ではこのほかに体験乗車会(運行実験)を行う予定はない」(新幹線・まちづくり推進室)とする。ただ、今回乗車したのは高齢者中心で、通学利用が多いとみられる高校生は1人もいなかった。渋滞が発生しやすい冬期や朝夕の運行などの課題も残る。


実のところ小樽市内に通う高校生がどの高校に通うかで小樽側の目的地が大きく変わるわけでもありまして、現行のバスがそこそこ利便がいい地区も、南小樽側に直行する方がいい場合もあるんで一概には言えませんし、実証実験では基本的日中便を想定しているのでその必要性を小樽市としては想定していないとも思われます。若干記事は恣意的ですが100%はないですし、どちらかと言えば定期券代の問題で不便な経路の鉄道を使わざるを得ないという学生はどう考えるか?というのもあります。

小樽市議会での報告が記事になっています。

並行在来線代替バス運行実験 4日間に延べ88人利用 小樽市が報告
2023年09月20日 北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/911476/
>延べ88人が利用したと明らかにした。
> 市建設部によると、利用者のうち47人がアンケートに応じ、「(運行実験の)ルートがあったら利用するか」との問いに「利用する」「どちらかと言えば利用する」と回答した割合が過半数を占めたという。


これが審議されていたとされる予算特別委員会ですが、令和5年度どころか令和4年度の議事録すら公開されておらず、内容は確認できませんでした。
多分、この内容に含まれるとは思うのですが

R050919 小樽市議会 予算特別委員会1(音声のみ)
https://www.youtube.com/watch?v=xS2mtXhyRB8


Youtube内容を書き出し追記。ニュアンスなどがあるので実際に聞いた上での判断をお願いします。
本件録音は24分20秒あたりからになります。
・夏のこの時期を選んだ理由
 -夏休みやお盆の特殊事情のある時期を外した。地域が参加しやすい時期。
・木曜日-日曜日を選んだ理由
 -参加意思のある方が参加できるよう平日・休日2日づつ設定した。
・時刻設定の理由
 -JRの利用状況から午前の小樽駅方向行きが多くバス1台で運用するためにこの時間を設定した。
・参加者数
 -8月31日(木) 1便19名 2便9名 合計28名
 -9月1日(金) 1便10名 2便7名 合計17名
 -9月2日(土) 1便14名 2便13名 合計27名
 -9月3日(日) 1便12名 2便4名 合計16名
 合計88名(延べ人数)
・コース設定の理由
 -4種類(2種類)のルートのうち1つは並行在来線対策室で設定したもの、1つは住民要望によるルートを設定した。現行路線バスルート以外で考えられるルートである。
・停留所の位置設定の理由
 -並行在来線代替バスの実験として対象者である蘭島、塩谷地域の方が利用可能であること、新たなバス停の候補位置としての塩谷駅前。降車はルート上はどこでも可能とした。
・停留所ごとの参加者数
 -乗車 蘭島17名、蘭島神社通り1名、塩谷文庫歌8名、塩谷駅前1便29 2便33 合計62名
 -降車 住吉神社、小樽築港駅、小樽駅では降車があった。
・課題
 -年度当初は1日3便を検討、中央バスとの相談で長い路線、迂回ルートは運行時間がかかるため2便とした。
 -思ったより運行時間がかかったというのが課題であった。
 -蘭島-国道塩谷文庫歌-環状線右折に時間がかかった。
 -塩谷から最上の急カーブは冬場や立席は厳しいと実感。
 -今回塩谷ICを転回場として利用して国道を往復しており時間がかかりすぎる。
 -最上ルートの期待が高い。
 -地域が求めるものとバス会社の路線持続性とのすり合わせが課題。
・アンケート設問内容と分析結果
 -アンケート参加者88名中回答47名。
 -塩谷66%蘭島2割。
 -年齢層は60歳未満1/4それ以上3/4。
 -実験ルートの利便性:5段階評価で各ルートとも便利と回答した方が過半だが。Bルート塩谷駅前経由ルートは低い。
 -利用すると思うと回答した方が過半数、しかしBルート塩谷駅前経由は低い。
 -要望時刻は午前の8時から9時頃の要望が多い、小樽駅側発は分散。
 -バス停については駅だけでなく塩谷地区他の場所の設定の希望がある。
・今後の実証実験の予定
 -現時点では新たな運行実験は考えていない。
 -協議会の中で具体的な協議が進む中で実験の必要があれば行う可能性はある。


また、記者会見では小樽市長が実証実験についてコメントしています。

市長記者会見記録令和5年9月29日
https://www.city.otaru.lg.jp/docs/2023092900018/

(北海道新聞)
鉄道並みの利便性をバスで確保できるのかという話しがありましたが、先日、小樽市が行ったバスの実証実験の結果は4日間で88人でした。このことについて、どう受け止めていますか。

(市長)
利便性はいろいろな観点から考えていかなければいけないと思っています。一つは、塩谷地区の皆さんが、南小樽地区を経由して、築港まで真っ直ぐに乗り換えなしで行けるという利便性は感じていただけたと思っています。一方で、ダイヤがまだはっきりしていないので、どの程度にダイヤが編成されるかによって利便性は変わってくると思います。また一方で、乗り換えなしで築港まで行くためのバス料金が、現行どおりでいけるのか、ということもまだまだ課題として残されていると思っています。高校や病院に乗り換えなしで行けるという利便性は感じていただけたと思いますが、トータル的な利便性という意味では、乗りたいときに乗れるダイヤ編成なのか、バス停をどこに設置するのか、という課題もあります。それらはこれからもしっかりと地区の皆さん方に意向調査をしていきたいと思っています。ダイヤ編成はドライバー不足の問題と非常に関わりが出てくるのですが。

(北海道新聞)
ダイヤ編成とは、本数の確保にもつながるのですか。

(市長)
そうですね。通勤・通学の時間帯に、今、乗っている方がちゃんと乗れるのかということです。帰りは皆さんバラバラですので、朝の通勤・通学の時間帯に、鉄道と遜色ないダイヤ編成ができるかが一番大きなポイントではないかと思っています。

(北海道新聞)
市長も実際に実証実験に乗ってみて、そのように感じたのですか。

(市長)
いえ、乗ったときに感じたことではありません。元々ある話ですので。乗ったときに感じたことは、最上トンネルが開通すればもっと時間短縮ができるでしょうし、そういった部分での利便性は感じていただけたと思いました。もう一つのルートは、住民説明会の中から出た住民の皆さんの要望に応えたルートですので、それについてはご理解いただけるのではないかと思っています。ただ、これは私どもの思いで、バス事業者がやってくれるのかなど、いろいろな課題がまだ残されています。とりあえず、まず一歩を踏み出したかなと思っています。


 北海道中央バス小樽駅前ターミナル
北海道中央バス小樽駅前ターミナル


政治的な動き

8月になると立憲民主党が各自治体首長、地域とのヒアリング活動を行います。

<政治メモ>立憲が山線のバス転換で地元ヒアリング
2023年08月05日 北海道新聞 小樽・後志面(WEB非掲載)
>北海道新幹線札幌延伸に伴いバス転換する並行在来線のJR函館線長万部―小樽間(通称・山線)について、文字一志町長らから意見や課題を聞き取った


<政治メモ>立憲が国政・道政懇話会
2023年08月26日 北海道新聞 小樽・後志面(WEB非掲載)
>北海道新幹線札幌延伸に伴う並行在来線の函館線長万部―小樽間のバス転換や人口減少対策について、管内20市町村の首長らと意見を交わした
>大築氏はバス転換の課題を踏まえつつ、「新幹線開通で人の流れが変わる。地域交通のモデルケースをつくれるよう、広域で話し合いたい」などと応じた。


後志地区が選挙区となる北海道4区は前回選挙では自民党中村裕之氏が当選したものの、票差はわずかに696票差であり惜敗率99.36%で立憲民主党の大築紅葉氏が比例区で復活当選したという選挙区になります。この選挙区から2人衆議院議員が国会に送り込まれているということです。

さて、その中村議員は昨年2月この区間についてJRが運行を行い残すべきであるという発言を行っています。

<政治メモ>中村氏「余市―小樽間はJRが運行を」
2022/02/22 北海道新聞 小樽・後志面(WEB非掲載)
>自民党の中村裕之衆院議員(道4区)は21日、北海道新聞小樽支社を訪れ、北海道新幹線札幌延伸に伴いJR北海道から経営分離される並行在来線の函館線余市―小樽間について「輸送密度が2千人以上あり、今後もJRが運行して残すべきだ」と述べた
> 長万部―余市間の鉄路廃止・バス転換の時期を新幹線開業より前倒しする場合については「JR北海道は前倒しで逃れることができる赤字の一定割合を地域還元すべきだ」と強調した。


この発言に沿った活動をされているのかどうか?というのは少なくとも私が調べた限りの中村議員の活動報告、報道などでは得られていません。・・・・と書くところだったのですが、ここに来て急激な動きが出てきました。
ひとつは中村議員が農林水産副大臣在任中大臣規範に反して地元石油販売会社の代表取締役会長を辞めていなかったという問題(報酬は受け取っていなかったとしています)
もう一つは、突然のように降って沸いた新会社を設立して小樽-余市を存続する動きです。ここに中村裕之議員が意見交換会に出席したという記事になります。
読売新聞の地方面ですが、当サイト管理者は新聞を購読しており読めていますが、WEBに一切掲載されませんでした。

JR函館線 小樽—余市 存続探る 地元議員、住民ら 新会社設立構想=北海道
2023年09月26日 読売新聞 (WEB非掲載)
> 北海道新幹線の札幌延伸に伴い、JR函館線の小樽—長万部間をバス転換する方針が示されている中、同区間のうち小樽—余市間の鉄道を存続させるため新会社の設立を模索する動きが出ている。25日には、余市町内で関係者による意見交換会が行われた。
 「余市駅を存続する会」(会長=笹浪淳史・余市観光協会会長)が、新会社設立に意欲的な鉄道コンサルタント会社「ライトレール」(東京)社長の阿部等氏らを招いて開いた。
 阿部氏の構想では、JR北海道から経営分離を前倒しして、回避できる赤字分の年間25億円を財源に小樽—余市間は鉄道を残し、余市以南はバス運用とする。
 現状で道や小樽市、余市町はバス転換により住民の足を維持する方針だが、阿部氏は「バス転換は運転手不足などで困難。輸送密度が比較的高い小樽—余市間は鉄道の方が理にかなっている」と語った。
 新会社「後志鉄道」(仮称)の準備会社を設立するための資金は、コンサルタント企業社長の田中謙伍氏らから約1億円を調達する見通しがついているという。
 この日は、地元選出の中村裕之衆院議員のほか市議や町議、町民ら約20人が参加。田中氏は「北海道大や小樽商科大の有識者と経済効果も含めて共同研究したい」と語り、中村衆院議員は「鉄道を残せるものなら残したい。今後、道の考えを確認する」と述べた。


また、北海道新聞の地方面ではそれほど大きくなく取り上げています。ここでは中村氏については伏せられています。

JR余市―小樽存続「広域の視点必要」 余市で有志の会がフォーラム
2023年09月27日 北海道新聞 小樽・後志面
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/915142/
> 余市や小樽の議会議員や地元住民など約20人が参加した。
>講師のコンサルタント会社「GROOVE」(東京)の田中謙伍社長
>「バスか鉄道かコスト面だけの比較ではなく、後志全体のまちづくりの中で再考すべき問題」
>交通計画コンサルタント会社「ライトレール」(同)の阿部等社長
>小樽―余市間の存続を図るため新会社設立の構想を明かし、「道は全線バス転換は難しいと実感しているのではないか。沿線住民の世論が盛り上がれば方針転換するはずだ」と強調した。


とのことで、道新としては自民系議員が関与していることは出したくないが、概ねパネラー氏が言ってることには賛成できるという意味がありそうに思います。

次の記事では阿部等氏が提唱し田中謙伍氏が資金を投ずるとした「後志鉄道」(仮称)について取り上げたいと思います。降って沸いた鉄道存続の動き、それに対する地元自治体の反応が今のところないのも不可思議ではありますが、あくまで設立準備の段階ということで、まだそれが地元で認知されていないのか、話を事前に通していないのか。そのあたりが気になりますね。

 余市駅の朝の様子
余市駅の朝の様子

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