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北海道の交通関係
北海道新幹線開業前夜に想いに耽る
2016/03/25
30年前の私に北海道に新幹線が開業するんだよと教えてあげたら、きっと「ウソでしょ?」と言っていたでしょう。
1986年の新幹線の開業区間は
・東海道新幹線 東京-新大阪
・山陽新幹線 新大阪-博多
・東北新幹線 上野-盛岡
・上越新幹線 大宮-新潟
たったこれだけです。1992年にミニ新幹線方式で開業する山形新幹線を除けば1980年代初めから1990年代半ばまでは新幹線には暗黒の時代とも言えましょう。
東北・北海道も、九州も、北陸も何度も政治的に翻弄されて新幹線はほとんど距離を伸ばすことはできませんでした。
また、北陸新幹線には1989年に着工したもののルート変更し投棄された加越トンネルまで存在する有様です。
我田引水ならぬ我田引鉄を強引に進め、ルートを変更した結果が血税での無駄なトンネルの工事ではいつまで経っても地方に新幹線は伸びては来ないのです。
新幹線が80年代以降に停滞した理由はもう一つ国鉄の労使悪化による技術停滞です。昨今の整備新幹線の最高速度が260km/hである理由が、この技術停滞以前の新幹線の設計最高速度250km/hに由来したものです。
東海道・山陽新幹線が長く最高速度210km/h、東北・上越新幹線が240km/hの時代が長く続きました。
民営化後JRとなった各社は技術開発を進め、新幹線の最高速度は徐々に上がります。1992年には東海道新幹線「のぞみ」が270km/h、1997年には山陽新幹線で300km/h運転がなされるようになりました。
現在の国内最高速度は東北新幹線の320km/hです。東京-博多は開業時7時間程度を要していましたが、現在は5時間程度。東京-青森は在来線乗換で5時間程度かかっていたものが、現在は3時間程度となります。
この速度上昇が新幹線工事に影響を及ぼしました。新幹線を延伸しても、所要時間が航空とほぼ拮抗できる「4時間」程度に抑えられる地域が増えていくということです。
東京-新函館北斗が4時間を切れないと揶揄されていても、この4時間という時間は新幹線でなければなしえなかった所要時間であることをまず、覚えておかなければなりません。
1989年以降整備新幹線は歩みが遅いながらも工事が続けられ、1997年には北陸新幹線の高崎-長野が、2002年には東北新幹線盛岡-八戸が、2004年には既存の新幹線と接続しない
九州新幹線新八代-鹿児島中央が開業。2010年に東北新幹線八戸-新青森が、2011年に九州新幹線博多-新八代が、そして2015年北陸新幹線長野-金沢が開業しています。
2000年以降急激に新幹線が開業するのは整備新幹線のスキームが変わり、地元が建設費を負担し、並行在来線を廃止することに同意したからです。
批判はあれど、地方が自分の意思で新幹線を必要とした。それが現在の新幹線建設です。
飛行機は敵ではない、味方である
私はこんなサイトを開いていながら飛行機好きであります。そして新幹線も好きです。航空と新幹線は敵対するものではないからです。点で結ぶ航空と、線で結ぶ新幹線は適材適所が全く異なるのです。ですから航空に比較して新幹線は遅い、予約率が低いという批判はナンセンスなのです。
羽田空港から函館空港行きの飛行機の搭乗者は、当たり前ですがみな函館に行きます。そして函館空港から観光なり所用なりの目的地に向かいます。
東京駅から新函館北斗行きの新幹線の乗客は、仙台で降り、盛岡で降り、新青森や木古内で降り、新函館北斗まで乗車する数は新幹線定員のおよそ2割ほどになるでしょう。
この違いわかりますか?
北海道新幹線の予約実績が少ない!25%!なんて言って批判する方。もし新函館北斗に東京から全員が移動してしまっては、途中駅の利用客が困ることはわかるでしょう。
新幹線は1列車がトータルで運行経費が出ればいいのです。途中駅から乗る人降りる人がいるから、わざと本来北海道新幹線では不要な10両編成の車両を用意しています。
25%ということは北海道新幹線車両の定員731人の列車に約183人、これが運行本数32本ですから約5,800人です。これは国土交通省の想定利用者数より多い数字です。
元々新幹線は定員に余裕を持たせています。現在においては末端の輸送である北海道新幹線区間ではこの結果は想定されたものですし、何の不思議もないのです。
羽田-函館の1日あたりの搭乗者数は約3,000人、搭乗率は70%程度になります。便によって搭乗者数が変わるわけで、実は満席便が多く客を逃していたのです。
これは現在の航空事情で飛行機の定員が少なく、過去にはジャンボ機ですら就航していた函館便は現在B737かB767の180~250席程度の便が多くなっています。
航空会社としては搭乗率が上がり効率的ですが、満席になることが多くなれば、移動したい人が乗れないということにもなります。
新幹線開業後は函館への客は確実に航空か新幹線のいずれかに乗れます。新幹線が満席になるのは連休や盆正月のピークだけだからです。
そして、今は直通の航空便の存在しない東北との交流も盛んになることが期待されます。
これは道南の観光にとっては非常に大きなことです。
北海道新幹線の目的地は札幌です。札幌開業後に現在の航空利用者1日2万5千人の10%2,500人が新幹線を使うとしても、現在の札幌-函館の利用客数、札幌-東北の利用客数を合わせると1日1万人以上の利用客が想定されます。
その分新千歳空港は国際線や現在就航していない地域への便を出すことができ、それは羽田空港も一緒です。
現在のLCCなど定員180席クラスの航空機が多数国内を飛ぶのは航空行政上非常に非効率です。しかし、航空会社にとっては小さな飛行機が満席で飛ぶのが最も効率がいい。
函館同様東京-札幌でもピーク時間帯の満席便は多く、その航空機座席数以上は乗せられないという問題を解決するのはバッファの大きい新幹線ということになるのです。
これによりピーク時の大量輸送を新幹線に任せることで空港をむやみに拡張せずとも現在以上の利便を果たすことができるのです。
札幌開業時の東京-札幌の所要時間は4時間半を切る程度になると考えられます。これは現在盛岡-新青森の整備新幹線区間でJR東日本が高速試験を行っており、これは札幌開業を見据えてのものです。
JR東日本としては東北新幹線のみを見据えるなら現行の東京-新青森3時間以上のスピードアップは不要で、この試験の結果により北海道新幹線の所要時間に大きな変化が期待できるのです。
北海道新幹線の乗客の運賃支払先は東京-新青森を運行するJR東日本が約80%となります。これではJR北海道は非常に低い収益しかもたらされないからこその比較的高い特急料金になります。
JR東日本が北海道新幹線のCMを実施し、開業を祝う理由もわかると思います。北海道新幹線の利用者数はJR東日本のさじ加減一つで決まるのです。
新幹線と駅廃止や減便は無関係
新幹線や札幌圏に注力して地方の路線を廃止したり減便するのか!とJRを糾弾する某新聞社や自治体の方。現実にあなたたち列車使っていますか?
旅客数からまともに鉄道を使っていないのは明らかです。ここ20年以上列車の本数は増えこそすれほとんど減ってはいません。
しかし乗客が減っているのは結局住民の減少とクルマや他の交通機関への逸脱が主でしょう。
廃止が検討されているJR留萌線の留萌-増毛を利用する通学生はいないはずです。JRは通学できるようなダイヤでもないですし、
学校自体も駅から離れていて列車通学が不便だからです。
しかし、それを改善提案もすることなく、並行バスに補助金を拠出し利用させているのは地元の自治体です。
「JRが地元を捨てたのではなく、地元がJRを捨てたのです」
その状態ですらJRは地方を捨てるのかと批判する資格が地元自治体にあるのでしょうか?
今になってなお廃止時期を協議するとか言っている増毛町の対応には正直首をかしげざるを得ません。
そもそも新幹線ができようができまいが道北、道東の路線には何の影響もなく、その赤字を経営安定基金で埋められない以上廃止や減便はやむを得ないと言えます。
また、新幹線の想定赤字は48億円と大きいですが、それでもJR北海道がなぜ「鉄道事業全体でみれば、赤字幅は小さくなる」とコメントしているのか。
それは今までの江差線・津軽海峡線の赤字分がそのまま新幹線に付け変わるだけだからです。
少なくとも在来線の赤字と新幹線の赤字にそう変化が無い上、函館-札幌等の在来線の利用者が増える算段までできたことが「鉄道事業全体でみれば、赤字幅は小さくなる」の根拠であると思われます。
今までの赤字額を見ずに「北海道新幹線は赤字」と言う方は現実をはっきり見てから言うべきです。
少なくともJR北海道は赤字額と経営安定基金の運用収益が釣り合いさえすれば健全な経営なのです。
赤字が出るのは当たり前、それを手当てする算段があってもなお足りないなら、廃止減便は致し方ないのです。
そして、こんな短い区間の新幹線ですら108億円の収入を見込んでいます。これは現在のJR北海道の鉄道運輸収入673億円から見るととんでもない数字です。
新幹線は収益を得られる路線です。だから推進するのです。
数字に詳しい、頭の良い方が多いはずのマスコミがこんなことすら知らないわけがないのです。公開されている情報だけでこの程度のことは調べられます。
しかし、マスコミは報じません。JR北海道は擁護できる点が多くはありませんが、叩きたいから叩く的なマスコミの姿勢を私は良いとは思いません。
私は新幹線が好き
北海道新幹線は必ずや北海道の、そして日本全体の利益になると思っています。明日、私はテレビで開業特番を見ることになるでしょう。
事故がなく、安全に走ってほしい。そう思います。
そして、北海道新幹線が長く愛されることを願っています。