北海道の交通関係

増毛町がJR留萌線にやったこと

2016/04/12
留萌線の廃止について報道がありました。
どの社もだいたい感情的にJRは地元の足を奪うのかという論調でありますが、地元がJRに乗らないように誘導しているのもまた事実なので、このくらい調べてから記事にしてほしいですね。

増毛町はJRには一銭も出しておりませんが、沿線の沿岸バスには以下の補助金を出しております。
●地方バス路線維持費補助金750万円
これは26年度予算書からのものです。

ちなみに平成20年に沿岸バスは約7千万円の補助金を得て運行しています。もちろんこれは地域の足を守るためには必要な経費であります。増毛町は国と合わせて留萌-増毛-別苅の路線への補助金と町単独補助の別苅-雄冬の補助金を出しています。

これだけではありません。
増毛町は留萌市の高校への通学生への定期代補助を行っています。これはバスのみが対象です。
●高校通学費等補助金326万円
これは26年度予算書からのものです。
バス会社ではなく、定期購入者(保護者)への給付ですが、現実的に定期券購入時に「割引」している形となります。
留萌高校-増毛駅間の通学定期運賃は1ヶ月21,000円ですが、この半額が給付されるので、10,500円となります。JRの定期運賃は7,890円ですが、留萌駅-高校の平日定期券が5,030円ですので、結果的にバス単独定期の方が安いという事実になります。

現実的に高校のない増毛町内の高校生は留萌市に通学し、JR利用の生徒はいません。ちなみに朝通学時間帯は留萌への路線バスが2台続行運行となります。通学生は100人程度のはずです。


留萌市にしても留萌市立病院が瀬越駅徒歩圏から2001年に移転し、現在は鉄道での通院はほぼ不可能です。このためバスが病院前まで乗り入れましたので、通院にJRを使う客もほぼいないという状況です。
病院は高校敷地に隣接した場所に設置したこともあり。バスの拠点が病院・学校と連携することになりました。過去には経由していなかった旧羽幌線転換バスも増毛方面へのバスも全ての便が病院・高校前を経由します。

つまり、増毛町にも留萌市にとってもJRの廃止は全く問題が無いということです。地元自治体がJRへの利用をさせぬよう誘導している現状があるのです。

しかし、町はJRに対し補償として以下の要件を飲ませています。
●増毛駅舎・ホームなどの鉄道設備と駅周辺の鉄道用地約8,000平方メートルを無償譲渡
●増毛駅周辺の整備費用1億3000万円
●早朝、夜間の代替交通の10年分の運転経費5,000万円
●通勤定期利用者に1年間、通学定期利用者には在学中、バス定期運賃との差額を補償

そう。増毛町単独で行っていた通学バスの補助をさらにJRの通学定期並みまで補助するという暴挙ともいえる条件を呑ませているのです。
これは、収入要件により全員が受けていなかった通学定期補助を全員に拡大するわけですから、単純に計算し年1,000万円程度のJRの補助が入るという形になります。

鉄道の沿線が利用もしないのに鉄道を切り離したくない気持ちはわかりますよ。文句も言わずに乗りもしない列車を運行して、いざ廃止となったらこれほどの優遇をしてもらえる。増毛町にとっては笑いが止まらないでしょうね。

新聞報道では『増毛町議会の佐藤善一議長は「JR北海道は今、北海道新幹線に力を注いでいるのだろうが、留萌―増毛間は最初に廃止ありきだった。JRには不信感だけが残った」』
だそうです。これだけ「手切れ金」を積んでも感謝されもせずJR北海道は増毛町に裏切り続けられ、さぞ不信感を募らせたでしょうね。
増毛町のやっていることは信頼できません。こんな町ばかりだから鉄道は維持できないんだなと強く感じた案件です。

JRのやっていることが必ずしも正しいとは思いませんが、まかりなりにも民間企業であるJRに対し、これほどの仕打ちをしてさらに難癖する体質のこの街の将来はないでしょうね。同じように町の気に召さないことがあれば同様に叩かれるのでしたらこの町に進出しようなんて企業があるはずがないのです。

今は報道が町に対して「可哀想」のスタンスですが、どこで潮目が変わるかなどわからないのです。また、億単位の金を出してもらうことに不思議を感じないマスコミも異常です。

そして、今まで億単位の赤字を出して公共交通を維持していたJRに対しての感謝もねぎらいもないのが本当に残念なのです。

(コメント追記)
もちろん、留萌市が行っている学校と病院、老人保健施設が近接した立地であり、バスがここを拠点に周回するという観点は間違ってはいません。
そこに鉄道を利用するというのが一切頭には無いということです。それは利用客数から仕方の無いことではありますが、病院、学校とも線路が隣接していることから、市にその気持ちがあるなら駅設置誓願もできたかもしれませんね。
既に留萌線は存在価値を失っており、深川留萌道の留萌ICはこの病院近接地にできますので、逆に線路があることでアクセスが不便になるとも言えますので、留萌市としては正直な話し留萌線を撤去した方が街作りの観点としては都合がいいはずです。

留萌-増毛の廃止で国道231号線の踏切1カ所が撤去でき、留萌漁港・卸売市場への高さ制限のあるガードおよび踏切が撤去できますので、留萌市としては利点の方が多いと見ています。特に国道は線路撤去が前提の作りになっているともいえます(本来ならアンダーパス等の整備の必要のある箇所で、移設という形で踏切を新設している本来では無い工事が行われています)線路撤去後に交差点の改良が行えそうな用地取得が行われています。


市長の出張にJRをよくお使いになっていた留萌市はともかく、人口減少もわかっており、増毛高校の廃校後に、全く使われていないことがわかっていながら、JRに不信感だの「手切れ金」の積み増しを求める増毛町の姿にはゾッとしますけどね。留萌市に関してはこのような話が出てきてはいませんが、いずれ留萌線の全線廃止時には同様に「地方切り捨て」を叫ぶのかと思うとやりきれなさすら感じますけどね。そもそも留萌2校の生徒が誰一人留萌線を使っていないという事実がやはり重いでしょうねぇ。

羽幌線に関しては間接的に関わるとは思いますが、廃線後20年以上経過し、市立病院の立地そのものに羽幌線は何の関係もないものと思われます。もちろん市立病院の位置は留萌支庁管内どこからでもアクセスできる場所であり全くあの場所で問題ありません。

いずれにせよ無料高速道路が延び、オロロンライン側も通年通行可能になった以上留萌線が留萌、増毛両自治体の何の役にも立たなくなっているのは間違いなく、JRの廃止提案が遅すぎたと思う次第です。


カテゴリ: 北海道の交通関係 北海道新幹線 留萌線 路線バス

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