北海道の交通関係

現在のJR北海道経営問題を表した中日新聞の社説を紹介

2016/11/01
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中日新聞社説 2016年10月26日
経営格差の影を見よ JR分割民営30年 

 JR九州が株式上場を果たした。東日本、西日本、東海に続いたが、残る北海道、四国、貨物はめどが立たない。分割民営化から三十年、格差が鮮明だ。
 「本州三社はぬれ手で粟(あわ)で大もうけだが(北海道、四国、九州の)三島会社と貨物は七転八倒だ。国鉄改革法に見直し規定を盛り込むべきだった」。十年以上前に運輸相経験者が発した言葉だ。
 ドル箱路線の東海道新幹線や需要が大きい大都市圏を持つ本州三社は一九九〇年代に上場した。対して三島会社は当初から赤字が見込まれ、国からの持参金(経営安定基金)頼みの経営。当時7%台の高金利で運用益を充てるはずが超低金利で目算は崩れた。

のしかかる地方路線
 それでもJR九州はまだいい。マンション開発や駅ビル事業など多角経営で収益源が育った。九州各地の観光地を周遊する豪華列車「ななつ星」が人気を博すなど鉄道ビジネスも花開き、時間はかかったが上場にこぎつけたからだ。
 だが石炭など基幹産業が衰退し、過疎化が急速に進む北海道は特に厳しい。広大な営業区域に寒冷地という険しい条件が加わる。自然災害が起きれば負担は重い。
 社員は効率化の名の下に発足当初の一万三千人からほぼ半減。四百三十五駅のうち無人駅が四分の三以上を占める。今年初めて発表した路線別収支では全区間が赤字であることが明らかになった。自助努力の限界を超え、鉄道の根幹である安全運行すら揺らいだ。
 「自力では維持困難な路線」を近く発表し、地元自治体と協議に入る。だが自治体側にも鉄道維持を支援するほどの財政的な余裕はないだろう。
 JR四国も事情は同じようなものだ。電化や複線化が遅れる一方、明石海峡大橋など高速道路の割引料金で乗客を奪われた。競争力がなかったといえばそれまでだが、政府の場当たり的な交通政策の被害者といってもいい。

廃線名乗り上げた夕張
 地方路線の窮状は今や北海道や四国に限らない。JR東日本は東日本大震災で被災した気仙沼線など二路線の鉄路を閉じ、バス高速輸送システムに転換。JR西日本は先月、島根県と広島県にまたがる三江線の廃止を決めた。
 国鉄再建法は、乗客減により鉄道からバスへ転換する目安を四千人未満(一日・一キロ当たり)と定めたが、現在は全JR路線のうちの半分がこれに該当する。
 高収益企業に成長したJR東日本、西日本でも過疎化や予期せぬ災害に遭えば廃線を免れない。言い換えれば、沿線自治体や住民は全国どの路線でも廃線は起こり得ると危機感を持つべきなのだ。
 納得がいかないのは「地方創生」を声高に叫びながら地方路線の存廃問題をJRと地元に任せきりの政府の姿勢である。整備新幹線やリニア中央新幹線に数兆円の財政投融資を決め、建設に前のめりなのとはあまりに対照的だ。
 そもそも国鉄が行き詰まった一因に、政治に翻弄(ほんろう)され続けた面があったはずだ。「我田引鉄」といわれながら全国津々浦々にまで鉄道を敷き、国鉄の巨額の設備投資は政治家の関連企業も受注したといわれた。利権には目ざといが、「負の遺産」の後始末は知らんぷりとの批判は免れまい。
 安倍晋三首相は「整備新幹線の建設加速によって地方創生回廊をできるだけ早くつくりあげる」と意気込むが、切実な地方路線問題にもっと目を向けるべきだ。これでは地域格差がますます広がり、過疎地軽視にならないか。
 北海道新幹線も政治主導で進んだ。だが青函トンネルがJR貨物との共用運行のため、システムコストがかさむうえ速度が百四十キロメートルしか出せないのがネック。今のままではJR北海道の救世主となり得ない。青函トンネルを国策のインフラとして捉え、維持費を国費負担とするなどの支援を考えてもいいのではないか。
 地方路線の整理については、北海道夕張市の対応が参考になる。自ら赤字廃止路線に名乗りを上げ、代わりにJR北海道による公共交通づくりへの協力を求めた。
 「鉄道がなくなると町が衰退する」「安易にバスに代替すれば、いずれバスも廃止されるのではないか」といった不安の声があるのは確かだ。だが、本当に鉄道の方が利便性や経済合理性にかなうのか。バスや乗用車の乗り合いサービスのような、より住民の意向を反映できる仕組みも考えられる。

時代にそぐわぬもの
 それでもなお、レールの重みが勝るケースがあるかもしれない。地域の交通の将来像をいかに描くかは住民や自治体の丁寧な議論が欠かせない。同時に時代にそぐわなくなったJR関連の法制度を見直していくことは、政府や政治家が向き合う重い役割のはずだ。
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北海道から遠く離れた中日新聞ですら「自助努力の限界を超え、鉄道の根幹である安全運行すら揺らいだ。」って書いてるのに、北海道新聞はどうだ、未だに「採算性だけで廃止か」だぜ。もう、幹線路線ですら残せるかどうかってレベルになってるって危機感が全く伝わってないのはどうなってるんだ?

もちろん中日新聞だから政府批判をするという大前提があるのは理解する。しかし「競争力がなかったといえばそれまでだが、政府の場当たり的な交通政策の被害者といってもいい。」というのは決して間違っていないわけですよ。たとえば高速道路無償化は地方路線の維持に影響があるって誰もがわかってた話

しかも「地方路線の窮状は今や北海道や四国に限らない。」と三江線等の事例も紹介「沿線自治体や住民は全国どの路線でも廃線は起こり得ると危機感を持つべきなのだ。」というのはなかなか新聞が言えない台詞だと思う。実際手放しでローカル線を維持できるというのはJR東海ですら無理ではないか。

北海道新幹線についても「今のままではJR北海道の救世主となり得ない」と言ってるが、これは新幹線画そのものの反対ではなく、中途半端な規格で北海道新幹線を運用していることについての批判と私は受け取っている。(もちろん新幹線より地域の足とも取れるが、わざわざ青函事例を出さないと思う)

なにより「本当に鉄道の方が利便性や経済合理性にかなうのか。バスや乗用車の乗り合いサービスのような、より住民の意向を反映できる仕組みも考えられる。」というこれまた絶対に道新の書かない台詞。 「利便性」というのがローカル線に欠けてることがが使われない理由の一つなのだ。

そして最後に「時代にそぐわなくなったJR関連の法制度を見直していくことは、政府や政治家が向き合う重い役割のはずだ。」というのは、「JR北海道を国鉄に戻せ」とか「JR東日本に合併すべき」なり、(それは実現しないだろうが)それもふくめて全ては「法律」なわけだ。

JR北海道 の問題は北海道庁も沿線自治体も今は全くこの本質を理解せずに言いたいことだけ言っている状態。しかし、最終的には政治(国政)に決断してもらわなければならないことで、傷みはどこかで受け入れなければならない。それを言い切る新聞というのは(少なくとも北海道には)ないのだ。

ついでに JR九州 についても「それでもJR九州はまだいい。マンション開発や駅ビル事業など多角経営で収益源が育った。九州各地の観光地を周遊する豪華列車「ななつ星」が人気を博すなど鉄道ビジネスも花開き、時間はかかったが上場にこぎつけたからだ。」この一言で九州の上場理由がわかる。

カテゴリ: 北海道の交通関係 JR北海道 北海道新幹線

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