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北海道の交通関係
北海道新幹線札幌開業の前倒しは「技術」より「金」
2018/05/23
札幌市が冬季オリンピックの2030年招致に転向することを巡って北海道新幹線の札幌開業にも前倒しの議論が出ています。
元々2026年のオリンピック誘致を表明していた札幌にとって、アジア圏で3大会連続で行われる冬季五輪自体、実現の可能性が低く、さらにその時点では新幹線が開業していないというのは大きなハンデとなるわけです。
2031年開業に向けて工事が進む北海道新幹線札幌開業を前倒ししオリンピックと同時開業という形にするのは理にかなった方法ではありますが、課題も見えています。
北海道新聞 2018年05月15日
新幹線29年開業要望 札幌市 五輪30年招致で前倒し
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/189482
> 札幌市は14日、冬季五輪・パラリンピックの招致目標を2026年から30年に変更することで日本オリンピック委員会(JOC)と合意できた場合、30年度末予定の新幹線札幌駅開業を29年中へと早めるよう、政府・与党に早急に求める方針を固めた。
hbcnews 2018年05月15日
札幌五輪招致で新幹線29年開業要望へ
http://news.hbc.co.jp/d41565ef6a14ac45b59a9c82054c2f26.html?time=1526432344318
> 札幌市は冬季オリンピック・パラリンピックの招致目標を2026年から2030年に変更した場合、北海道新幹線の札幌駅開業を大会に間に合わせるよう政府に求める方針を固めました。
NHK 2018年05月15日
札幌市 新幹線延伸前倒し要望へ
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20180515/4713981.html
> 札幌市は冬のオリンピック・パラリンピックの招致を2030年に先延ばしできた場合、大会に間に合わせるため北海道新幹線の札幌延伸を1年余り前倒しするよう、政府などに要望する方針を固めました。
北海道新聞 2018年05月16日
新幹線29年開業、工事・財源…前倒しできるか不透明 札幌市方針
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/189790
> 札幌市は冬季五輪・パラリンピックの2030年誘致に向け、北海道新幹線の札幌延伸を29年中に前倒しするよう政府・与党に要請する方針を固めたが、実現への課題は山積している。30年度末の開業はただでさえ旧計画を5年前倒ししたもので、トンネルなどの工期をさらに短縮できるかは未知数だ。前倒しに向けた財源確保なども不可欠で、政府・与党の調整力も問われている。
「今は何も言えない。要請を受けてから考える」。石井啓一国土交通相は15日、北海道新聞の取材にこう繰り返し、北海道新幹線の札幌延伸の前倒しに慎重な姿勢を隠さなかった。延伸開業する新函館北斗―札幌間は総延長211キロで、総事業費は1兆6700億円。30年度末の開業を29年中に早めるなら、少なくとも工事を1年3カ月以上前倒ししなければならない。
成否を占うのがトンネル工事だ。延伸区間に設けられるトンネルは14本、計169キロで、総延長の8割を占める。「事業は計画通り進んでいる」(国交省鉄道局施設課)が、多くのトンネル工事が本格化するのは20年代半ば。現計画は3年前、35年度末開業としていた古い計画を変えたばかりで「さらにどれだけ前倒しできるかは全く分からない」(同課)のが実情だ。
建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構も「建設に時間がかかる長大なトンネルの工事が多く、残土の受け入れ先の問題もあり、工期短縮は困難」との見方を示す。
また、整備新幹線に充てられる国費は年755億円で、地元負担は年377億円。工期圧縮にはこれらの財源を前倒しして確保する必要がある。札幌冬季五輪の30年招致の成功が担保されない状況で、作業工程の見直しで追加費用が生じれば、財務省との調整が一段と難航するのは必至だ。
カギを握るのは道内与党議員だ。ある自民党議員は「新幹線は五輪誘致の武器になる。26年と30年の開催地が同時に決まる可能性もあり、開業前倒しを議論した方がいい」と札幌市の方針を支持する。ただ、「30年の五輪開催が決まってからでないと、道外議員は誰も納得しない」(別の自民党議員)とされるなど、実現には並行して工事が進む北陸新幹線や九州新幹線長崎ルートなどに勝る理由付けが必要との見方も強く、一筋縄ではいかない状況だ。(木村啓太、拝原稔)
北海道新聞 2018年05月17日
新幹線延伸前倒し「全面協力」 JR北海道
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/190166
>JR北海道の島田修社長は16日の記者会見で、札幌市が冬季五輪・パラリンピックの2030年誘致に向け、北海道新幹線札幌延伸を29年中に前倒しするよう政府・与党に要請する方針を固めたことに関し、「五輪が決まれば、間に合うように全面的に協力していく」と述べ、前向きに対応する考えを表明した。
北海道新幹線札幌開業を早めることに関しては技術的な課題よりも金銭的な課題の方がずっと大きいわけです。そもそも「いつまで工事してるんだ」というほど工事が遅いこと自体が年度予算の投入を平均化するためで、現在「貫通に時間のかかるトンネル」だけが工事されており、他の設備、高架橋などの工事は一切行われていないのが現状です。
工事費が増額できれば当然早く工事が進み、早く開業します。開業後JRが支払う「リース料」の償還も早く進むわけですから本来工事はさっさと進める方が正しいわけです。これを「巨額の新幹線建設料」と批判するのが特に左派を意識するマスコミで、どちらが将来の日本経済、観光振興を含めメリットが高いかなど火を見るより明らかなことすら「批判のための批判」をしているのが現状です。
さて、もう一つ興味深いのは北海道知事の会見発言です。
北海道新聞 2018年05月19日
「新幹線 札幌の先も議論を」 定例会見で高橋知事
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/190946
> 高橋はるみ知事は18日に行われた定例記者会見で、北海道新幹線の延伸について「(札幌延伸以降の)その先をどうするか、ということも、そろそろ議論を始めてもいいのかな、と最近考えている」と述べた。
知事は延伸に関し「できれば稚内までと思うが、それだと道東の人はどう思うか。(JR北海道の)利潤を上げるという意味では、新千歳空港までつなげた方がいい、など道民にはいろんな意見がある」とした。
旭川までの延伸は、1973年に国が策定した新幹線基本計画に盛り込まれているが、新幹線整備計画には含まれていない。上川、留萌、宗谷各管内や中・北空知地区の商工会議所からなる道北商工会議所連合会が昨年6月、旭川延伸について、整備計画への格上げと早期着工を道に要望している。
さて、こちらは知事会見そのものを公開していますので端折られている報道よりもこちらを確認してみましょう。
北海道知事会見 2018年05月18日
知事定例記者会見
>そうすると話が早いかもしれませんが、その先をどうするかということも大いに関心がありますよね。できれば稚内までと思いますけれども、それだと道東の方々はどう思われるのかと。さらには収益を上げるという意味では、新千歳空港までつないだほうが良いというご意見とか、いろいろなご意見が道民の方々にもあります。一方で道外を見ますと、例えば四国の方々であるとか、山陰の方々であるとか、今、新幹線の具体的な工事などが全く進んでいないけれども、新幹線を走行させたいという思いを持っておられる地域の方々と、いろいろな所でお話をしますと結構盛り上がっておられるところもありますので、私どもも札幌延伸の早期実現ということの運動をしっかり盛り上げると同時に、その先をどうするかということも、そろそろ議論を始めていいのかなと。気が早いと言われるかもしれませんが、そのようなことも最近考えているところであります。また、いろいろご意見をいただければと思います。
北海道の鉄道は明治から昭和初期に建設されたものがほとんどです。当時の技術力と資金から多くの線路はトンネルを避け山を迂回し、川や海に沿う「危険な」地域を走る路線も少なくありません。宗谷線や石北線をはじめ災害が起これば止まる路線をなんとかやりくりしているのが現状です。そこにトンネルなどで設備改良することは必要なことで、更に高速性を持たせるかどうか、国がその建設費を負担するかどうかが新幹線の必要性とリンクするわけです。ですので、稚内は極端にしても、旭川あたりまで伸ばしておく方が後々全道的な利便に通じる話でもあるわけです。
ただし、知事の発言はそこまで考えたものでは無く、北海道新幹線の札幌までの「実績」は作ったから次どうするレベルでしかありません。北海道知事が今考えることは札幌開業後に全道的な交通網をどうするのかという点です。現在好調のHACにしてみても北海道庁の債権放棄でやっと債務超過を解消したのはつい5年前の話ですよ。忘れて貰っちゃ困ります。
北海道内の鉄道網・航空網・道路網(バス・トラック輸送)も含めこれがバラバラな状態をどう一体化させて効率化して存続していくのかという手腕の問題です。その方針の中で新幹線の札幌以遠の延伸の話が出てこなければならないのです。