北海道の交通関係

日経新聞の特集記事「150年目の挑戦 第1部 人口消滅」

2018/05/26

北海道命名150年を迎えて、北海道が取り組む課題である人口減少。これをどう乗り切るのか、悪い言い方をすれば、どう「撤退戦」を行うのかについて、日本経済新聞の特集記事がありましたので紹介します。

日本経済新聞 2018年05月23日
150年目の挑戦 第1部 人口消滅(上) 都市部でも限界集落 乏しい働き口、流出進む
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO30821030S8A520C1L41000/
人口が今後30年で8割消滅――。こんな自治体が北海道にある。札幌市中心部から車で1時間半ほど北へ行ったかつての炭鉱街、歌志内市だ。人口わずか3385人と日本一人口が少ない市だが、国立社会保障・人口問題研究所が3月に公表した推計では、2045年に813人まで減少。30年後は存続すら危ぶまれる。


日本経済新聞 2018年05月23日
切り札はコンパクトタウン 1キロ圏に必要施設 150年目の挑戦 第1部 人口消滅(中)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30868200T20C18A5940M00/
JR留萌線の石狩沼田駅(北海道沼田町)から10分ほど歩くと、人家が途絶え美術館のような建物が現れる。沼田町が建設した複合施設「暮らしの安心センター」だ。
沼田町が進めるコンパクトエコタウン構想の中核施設「暮らしの安心センター」
同町が2017年10月、閉校となった中学校跡地4.6ヘクタールを活用して開設。診療所のほか、デイサービスセンターやジム、カフェまでそろう。町に住む女性(71)はジムで汗を流した後、友人とカフェで昼食をとり、食後は徒歩10分ほどのスーパーへ。「全て近場で済ませられるのでとても便利」と笑う。
国立社会保障・人口問題研究所の推計では同町は現在の3100人から45年には1200人に減る。「20年後を見据えた街づくりが必要」と金平嘉則町長を先頭に13年、街を小さくつくり直す「コンパクトエコタウン構想」を打ち出した。東西2キロに広がる医療・福祉拠点や居住地区などを1キロ圏内に集約。センターを中核に据え「歩いて暮らせる街」を目指した。


日本経済新聞 2018年05月25日
わが町へいらっしゃい 自治体、移住に活路 (150年目の挑戦 第1部 人口消滅(下))
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30927900U8A520C1940M00/
「ご飯がおいしく空気もきれいで、子育てには最適。ご近所さんから野菜をいただいたりと地域に溶け込むことができ、移住して良かった」
2017年3月に神奈川県から北海道厚真町に一家4人で移住した佐藤宏美さん(40)はこう言って笑顔を浮かべた。以前はよく給食を残したという息子(5)も、地元の食材をふんだんに使ったメニューに満足そう。夫の稔さん(38)は自営業で食材や雑貨などの輸出入を手がける。
北海道が好きだった佐藤さん一家が本気で移住を考えたのは、のびのびとした環境で子どもを育てたいと思ったからだ。厚真町が始めた起業家に専門家が助言したり、月最大20万円の補助を受けられたりする支援制度に選ばれ、決断した。


この3つの記事。まず、日本一人口の少ない「市」である歌志内。市の生産人口の約半分が市外で働き、しないの働き口も公的機関がほとんど。子供が生まれているえりも町も重労働の昆布漁を敬遠し、地元の資源が維持できない。小樽市の人口減にも言及し、北海道の多くの町が消滅の危機にあることを先ず知らしめています。

2つめが沼田町の「コンパクトシティ」への取り組み。医療・福祉拠点と居住地区を1キロ以内に集約することを目論んでいる。そして夕張は住宅の再編を模索。津別は民間から「統括マネジャー」を採用など、取り組みを紹介。

3つめは厚真や真狩の移住政策。訪日客の定住を進める赤井川、ニセコ、そして留学生受け入れを進める東川のとりくみです。

3記事とも浅いなりにまとめていて、まず、町が消滅する危機感を、そして、それにどう対策するかという形で記事にしています。個人的には移住政策で子育ての費用免除などの支援策は有効ではありますが「取り合い」でもありますし、既存の町民が受けられない支援ならばその軋轢もありましょう。外国人の増加は将来的には「町が外国人に乗っ取られる」ということも視野に入れる必要があります。いつまでも日本人ファーストでいられるのでしょうか。

炭鉱閉山後リゾート開発で町への「就職先」を確保しようとした夕張市の破綻を批判的に報じた舌の根も乾かぬうちに仕事が無いことが人口減少の要因というのは議論としては最悪ではあるが、特に産炭地は人口減少が大きい結果、町の設備維持負担が大きくなっているという面があります。多数が住んでいた集合住宅に今や1棟に1世帯しか住まないならそれを統合して他の棟を潰すという政策しかありません。しかし、これを行うと必ず批判する方が現れます。限界集落に1世帯住む人のために道路を維持し除雪するのは自治体の仕事。強制移住ができるのが申し訳ないが理想であるわけです。

そういう意味で沼田町のコンパクトシティ政策がうまく行くかどうかは住民を中心部に移住させられるかどうかにかかっているわけです。
沼田町農村型コンパクトエコタウン構想
https://www.town.numata.hokkaido.jp/section/seisaku/ujj7s30000000efd.html
国の採択でのものですので、ある程度潤沢に予算が付いたことで中心部の「暮らしの安心センター」が作れたことは大きい。しかし、今後を考えると中心部移転だけでは無い次の一歩が必要です。住民の高齢化率が上がるということは、医療・福祉への予算を増やしていく必要がある。しかし、それができないから、医療・福祉サービスを削らなければなりません。沼田町は沼田厚生病院を町立沼田厚生クリニックとして入院機能を排した診療のみの病院としました。そしてそこに「暮らしの安心センター」を作ったわけです。「医療」「福祉・子育て」「介護」を一手に引き受ける場所です。ここは沼田中学校の跡地です(中学校は閉校した高校跡地に移転)。
入院が必要な病人は町では面倒を見ないという宣言でもありますし、現実にそれなりの専門医療が受けたければどちらにしても町の医療機関では無理で、社会的入院患者(医療が必要ではないが、単身で冬期に家に一人で置いておけないなどの理由)を町が受け入れられなくなったという意味でもあります。
さて、「暮らしの安心センター」だけでは町に人は戻りません。今度は町の郊外に点在する農家などの方を移住させなければならないわけですが、それが進むかが問われるわけです。これがうまく行けば沼田町は大幅な財政支出が削減されることでしょう。しかしながら、町中心部以外に「住み続ける」ことを希望した方には大変な現実もありましょう。
本来はそれも考えて留萌線の存続問題とともに議論しなければなりません。本来沼田町内にある畑の真ん中の真布駅、小集落がある恵比島などは「集落を残したくない」はずなのです。しかし「駅を利用する人がいる」と廃止反対などとやっているのはこの「コンパクトシティ」と明らかに矛盾します。
沼田町が「コンパクトシティ」を進めるなら、駅ではなく「暮らしの安心センター」を集積地とするバス路線の拡充が大事なわけです。自分の町で面倒を見ない宣言している住民の通院のために深川市立病院への通院、また、旭川や札幌への通院利便を高くするための「足の確保」のほうがよほど喫緊の課題です。そこにJR留萌線など何の役にも立たない事など分かりきった話です。「駅を核」としない以上駅は必要ありません。

どの町にも言えることは、働く場所の確保という問題です。住環境を考えると都市圏ほどには高額である必要はないにせよ、今のこれら地域の給与水準では家族を養うのは難しい。仮に年収300万円なら手取り250万円を切ります。月20万円の収入で家族を養うなら「住宅・クルマは支給」くらいじゃなければ生きていくこともできないでしょう。逆にそれらが将来にわたり支給され続けるなら「定住」という観点もあります。これとて政権や町長が替わると掌を返すように打ち切りとなる可能性があると考えれば、やすやすと移住することはできません。
いま移住政策として手厚くもてなしている町も、定住人口が増えれば何の支援も受けられない現有住民との軋轢が発生し、結局支援打ち切り、そしてその町を去って行くという例は少なくないように思います。
先の例で言えば、少ない賃金であっても住居と移動手段さえ担保されていれば移住したいという人はいるはずなのです。それを20年程度の長期で保障できるか。それができないなら難しいと思います。札幌や旭川に近い町では移住がうまく行っている町もありますが、それ以外の町はどうすればいいのか。考えさせられます。

北海道の交通関係 留萌線 人口減少

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