北海道の交通関係

北海道新幹線札幌延伸前倒し報道と「高速化」

2018/06/07
2030年度末の開業を目標に工事が進められている北海道新幹線の札幌開業ですが、2030年冬期オリンピック招致を念頭に前倒しするという記事。その実現可能性について報道されています。

 

STV 2018年06月06日
北海道新幹線 札幌延伸“前倒し”要望へ
https://www.stv.jp/news/stvnews/u3f86t000003xcun.html
札幌市の秋元市長は、2030年開催の冬季五輪招致をにらみ、北海道新幹線の札幌延伸を前倒しするよう求めると表明。期成会は、新函館北斗-札幌間の早期完成を国に要望していくことで決議しました。

 

HTBニュース 2018年06月06日
北海道新幹線の札幌延伸で 「期成会」総会
https://www.htb.co.jp/news/archives_1540.html
6日開かれた総会には、札幌市の秋元市長やJR北海道の西野副社長のほか建設業者や観光業者などおよそ150人が集まりました。早期の札幌延伸を目指して国への要望や子供向けのキャンペーンを行うとした今年度の事業計画案などが承認されました。また秋元市長は「オリンピックパラリンピックの招致時期の結論はまだ」としながらも札幌延伸の前倒しへの期待をにじませました。

 

UHB 2018年06月06日
2030年オリンピック招致で新幹線札幌延線の前倒し… 課題はトンネル工事の残土処理
https://uhb.jp/news/?id=4825
鉄道・運輸機構 依田淳一北海道新幹線建設局長:「工期短縮というのは、一概には、すぐに、やれることではない」
 鉄道・運輸機構は、トンネル工事で発生する土の受け入れ地が半分しか確保されてないなどとして慎重な姿勢を見せました。

 

日本経済新聞 2018年06月06日
新幹線延伸で札幌市長、「五輪招致に開業前倒し重要」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31447900W8A600C1L41000/
期成会副会長を務める札幌市の秋元克広市長は冒頭のあいさつで市が招致を目指す冬季五輪について、当初想定していた2026年から30年への変更を検討していることに触れ、「今後30年の開催を目指すことになれば北海道新幹線の札幌延伸・開業の前倒しが冬季オリンピック・パラリンピック招致のかなり重要なファクターになる」との考えを示した。
定時総会後にはJR北海道の西野史尚副社長が北海道新幹線の利用状況や札幌駅のホーム位置、青函トンネル内の走行速度の引き上げなどについて説明。鉄道建設・運輸施設整備支援機構は札幌延伸に向けたトンネル工事の進捗を報告した。

 

北海道新聞 2018年06月07日
北海道新幹線、札幌延伸前倒し 道が前向き姿勢
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/197012
道は6日の道議会北海道地方路線問題調査特別委員会で、札幌市が冬季五輪・パラリンピックの2030年誘致に向け、北海道新幹線札幌延伸を29年中に前倒しするよう政府・与党に要請する方針を固めたことについて、「一日も早い札幌開業に向け、積極的に取り組む」とし、前向きに対応する考えを示した。

 

朝日新聞 2018年06月07日
新幹線札幌延伸、前倒し要請方針
https://digital.asahi.com/articles/CMTW1806070100002.html?rm=180
来賓として出席した鉄道・運輸機構の依田淳一・北海道新幹線建設局長は、開業時期が当初の35年度から5年前倒しになった経緯に触れ、「30年度完成でも非常にタイトなスケジュール。(さらなる)前倒しには新たな財源も必要になる」と否定的な見解を示した。
 工区の8割を占めるトンネルの掘削で出た残土の受け入れ先は、今月1日時点で5割しか決まっていない。依田局長はこの点に触れ、「工期短縮は一概にすぐにやれるものではない」と釘を刺し、残土の処分を「一番大きい課題」と位置づけた。

 

北海道新聞 2018年06月08日
掘削土処分地選び焦点 札幌延伸トンネル工事 受け入れ先確保5割 鉄道・運輸機構「工期短縮へ一番の課題」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/197402
延伸区間の新函館北斗―札幌間のトンネルで95%が本年度中に工事発注見込みなのに対し、掘削土約2100万立方メートルの50%の処分地が決まっていないためだ。確保見込みを除いてもなお30%は未定で、工事が順調に進んでも処分地がなければ、工事自体の中断に追い込まれる懸念もある。


要するに工期短縮の課題は「残土処理」と「建設財源」ということになります。

現在工事は時間のかかるトンネル部を中心に行われていますが、発注は概ね終了し、こんどは「明かり部」高架橋や橋などの工事発注となります。

 

北海道建設新聞 2018年06月07日
明かり部整備19年度本格化 道新幹線新函館北斗―札幌間
https://e-kensin.net/news/106275.html
北海道新幹線新函館北斗―札幌間211㌔のうち、8割を占めるトンネルの契約済み延長が2018年度末に約160㌔とトンネル全体の95%に達する見通しだ。19年度からは高架橋工事や駅など明かり部整備も本格化する。ただ、トンネル掘削土の受け入れ地確保が契約に比べ遅れていて、30年度の札幌延伸には地域の理解や協力が不可欠な状況だ。
 工事が先行するトンネル部は契約延長が1日現在で29工区、約128㌔と、路線全体の61%、トンネル総延長の76%に達した。
駅高架橋は地元調整を経て、早ければ19年度に設計に入り、その後着工に至る。札幌駅は2面2線で上下分離の高架駅、新八雲は相対式2面2線の地平駅、長万部は島式2面4線の高架駅、倶知安と新小樽は相対式2面2線の高架駅で計画。
 6日、札幌市内で工事の進捗(しんちょく)と課題を報告した同機構の依田淳一北海道新幹線建設局長は、トンネルの契約が進む一方「掘削は18㌔にとどまり非常に厳しいスケジュール」と説明。


新幹線工事を早めるためにはまず工事費用の前倒しが必要です。新幹線の工期が現在10年を基本にしているのはこの工事費用の面が大きく、財政投融資を利用した北陸新幹線(長野新幹線)は8年、また、国鉄時代に開通した山陽新幹線も新大阪-岡山160.9kmを5年、新関門トンネルを要した岡山-博多392.8kmも5年で開通しています。
当然山陽新幹線もトンネル区間が大半を占め、残土用地問題が発生しましたが札幌より用地課題の多い中解決したのは当時の政治力の問題でもあります。

北海道新幹線の未開業区間は211.5kmです。2012年から工事を開始して、すでに5年以上経過しているにもかかわらず、さらに2030年までまだ10年以上を要し、期間の短縮はできないとすること自体がどうかしているわけで、もちろん山陽新幹線工事当時に比較し環境問題等もあろうが、大きな問題は建設財源なわけです。

 

北海道新聞 2018年06月07日
北海道新幹線、今秋160キロ走行試験 貨物共用の青函トンネル内
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/197055
西野副社長は「今秋から高速走行試験を行い、大丈夫であれば年度末から160キロに速度を上げて(東京―新函館北斗間の所要時間を)3分短縮する。小さな一歩だが実現したい」と述べた。所要時間の3分短縮によって東京―新函館北斗間は現行の最短4時間2分から3時間台になる。

他の新聞が記事にしていませんが、JR北海道から既存開業区間のスピードアップについての実施が発表されています。JR北海道の西野副社長がここで(まだ試験を開始していない時期にもかかわらず)時期を切って今年度末(来年3月の改正と考えられる)からスピードアップを行うと発表するのは異例です。

既存開業区間では青函トンネルとその前後82kmで140km/hでの運転を余儀なくされ、これは在来線時代の速度と変わりません。また、それ以外の区間でも最高速度が260km/hに制限されていますが、実際はそれよりかなり落とした速度で運行されています。でなければわずか148km程度の新青森-新函館北斗の区間に1時間もかかるわけが無いのです。
極端をいえば共用区間のスピードアップがうまく行かなくても、前後の区間で許可されている速度で走るだけでも数分のスピードアップが可能で、共用区間のスピードアップと含めれば53分程度での運行が可能です。東京-新函館北斗でいえば、3時間50分台とするのは現行の設備のままでも可能なのです。

もう一つ気になる記事があります。

 

河北新報 2018年06月06日
<秋田新幹線>新ルートでの安定運行は「JRの宿願」 東北・北海道にも好影響
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201806/20180606_42010.html
秋田新幹線の岩手、秋田県境区間で検討している新ルート整備構想で、JR東日本は雨や風といった自然条件に弱い同新幹線の走行時間短縮を目指す。安定運行は東北・北海道新幹線のダイヤにも影響することから、「JRの宿願」との見方がある。
31年春には、北海道新幹線の札幌延長を控える。盛岡、福島両駅で連結・切り離しをする秋田、山形両新幹線の輸送障害は東日本を縦断する「本線」のダイヤにも影響する。
 JR東秋田支社は「秋田新幹線は新幹線ネットワークを構築する当社にとって極めて重要だ。(トンネル整備の)事業化に向けた検討を深める」と話す。

東北新幹線から盛岡で分岐する秋田新幹線。この路線はミニ新幹線といわれる在来線規格のまま線路の幅だけを新幹線にあわせたものです。ですので最高速度は130km/hですし、踏切等も存在します。
同様の規格の山形新幹線とともに災害に弱く事故などが起きれば東北新幹線のダイヤにも影響を及ぼします。北海道新幹線としてもこれらミニ新幹線の災害対策、スピードアップは不可欠なわけです。
特に現在北海道新幹線は多くの列車が盛岡で秋田新幹線の車両を連結し、そのために停車時間を長く取られ、全体の所要時間にも影響します。ミニ新幹線の特に災害の多い一部区間を「新幹線規格」にすることで全体の安定とスピードアップを図ることは必要なことで、これも北海道新幹線の延伸と絡んだ動きの一つです。

北海道新幹線はこと北海道民が不要であるとの認識の方も多い。しかし、本州の動きはそうではありません。東北新幹線の輸送力増強やスピードアップに動き出しており、それは北海道新幹線への期待の表れです。特に盛岡-青森に至っては現在の輸送量が倍増することを予想しています。そのため現在使用していない冗長した設備なども存在するのです。

 

北海道建設新聞 2018年06月05日
有人自動車道の第2青函トンネル 7200億円試算
https://e-kensin.net/news/106235.html
第二青函多用途トンネル構想研究会(座長・石井吉春北大大学院公共政策学連携研究部教授)は、有人自動車道を想定した第2青函トンネル整備に関する提言を取りまとめた。延長30㌔、内径14・5mのシールドトンネル整備に7229億円の事業費を試算し、PFIなど民間主導だと48・2年で投資額を回収できると推計。道内への経済波及効果は730億円に達するとみている。

最後に第二青函トンネルの話題。トラックや一般車を走らせるという試算ですが、50km以上のトンネルを「運転」するのは正直現実感が無く、ある一定の自動運転技術なども必要なのかもしれません。

カテゴリ: 北海道の交通関係 北海道新幹線

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