北海道の交通関係

JR北海道運賃値上げ報道

2018/06/14

ここ数年のJR北海道諸問題について、当然運賃値上げの話はいつか出てくるわけですが、このタイミングで出てきたのは来年の消費税上げのタイミングでの運賃値上げを示唆しているものと思われます。消費税率の2%に運賃額がどの程度になるのかは興味深いところではあります。

さて、JR北海道が発足した1987年より以前。国鉄が毎年のように値上げを行っていたのを覚えている方は多いでしょう。ただ、当時の実際消費者物価指数を見る限り、1990年代以前は物価の上がり幅も大きく、国鉄の赤字如何に関わらずとも値上げせずに済ませることは出来なかったと考えられます。とはいえ国鉄は80年代以降でも1981年に9.7%、1982年に6.1%、1984年に8.2%、1985年に4.4%、そして1986年に4.8%の値上げを行ってきたわけです。
JR化後は1989年の消費税導入で2.9%値上げ、そして1996年にJR3島会社であるJR北海道が7.0%・JR四国が6.7%・JR九州が7.8%それぞれ値上げしましたが、本州3社は追随せず現在に続く運賃の不均衡が続くことになります。1997年の消費税改訂で1.9%、2014年の消費税改訂で2.9%程度値上げされ現在に続きます。

JR化後JR本州3社は消費税導入に関わらない値上げは行っておらず、JR北海道など3島会社にしてもわずか1回、それも既に22年も前の話です。

では札幌市内近郊を例にして運賃の推移を見てみましょう。

1997年から2018年までの21年、ほとんど運賃に変化が無いのがわかりますね。消費税と市電運賃改定がらみでの変化と、バスが少々上がっているのがわかります。
消費者物価指数から見ても1990年代半ばから前年比マイナスになる年もあり、2000年代に入ってもその傾向は変わらず運賃値上げの難しい時代が続いていたことが伺えます。
しかし、特に地方のバス路線の厳しさは続き、運賃値上げだけでなく路線廃止や減便も続いていくのです。特に地方のバスの運賃値上げが大きいのはわかりますでしょうか?他の交通機関と競合しない岩内-神恵内の運賃に比較してJRとの競合路線の値上げは抑えられていることがわかります。

さて、もう一つ表をご覧ください。今度は現行のJR北海道、札幌市交通局、北海道中央バスの「対キロ」運賃表です。バスに関しては距離だけで運賃が決まらないのでいくつかの路線を掲載しています。

この表につきましてはPDFファイルを作成しましたのでこちらからダウンロードください。(画像で掲載されていない100kmまでのJR運賃表と東武鉄道・名古屋鉄道・近畿日本鉄道・札幌市交通局・北海道中央バスとの運賃比較表いくつかの区間のJR北海道とバス・地下鉄運賃比較を記載しています)
2018/06/12更新
相対的にJR北海道の運賃は非常に安く抑えられていることがわかると思います。特に札幌-小樽など40km圏内でいいますと、JRが740円~840円程度でありますが、バスは賃率からいえば本来1100円程度になるはずです。しかし、区間を切ってJRと同等、安価に設定していることがおわかりいただけるかと思います。

前段が長くなりましたが、これを踏まえて

日本経済新聞 2018年06月13日
JR北海道、運賃値上げを検討 経営再建の一環
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31713360T10C18A6TJ2000/
JR北海道の島田修社長は13日の記者会見で、鉄道運賃の引き上げを検討していることを明らかにした。実際に引き上げられれば、1996年以来で約20年ぶりとなる。自社だけでは維持できない赤字路線を複数抱えており、経営再建に向けた打開策の一手として理解を求める。
 引き上げの時期や実施方法などは未定。今後、値上げ幅などを検討し、2018年度内に公表する長期経営見通しに盛り込む方針だ。島田社長は会見で「自社が行うべき経営努力を行った上で、運賃改定を視野に入れざるを得ない」と説明した。


UHB 2018年06月13日
「莫大な路線維持のため」JR北海道 運賃値上げ検討 "大都市"札幌市にも影響か 市民に"動揺"広がる
https://uhb.jp/news/?id=4889
三宅真人記者:「これまで地方中心だったJR赤字問題ですが、大都市・札幌にも影響が出るかもしれないことに動揺が広がっています」
 利用者:「困るね」「しょうがないと思うけど、それで運賃上がるとなると交通機関を変えようとなる」「国がなんとか手立てをしてもらうとか」


北海道新聞 2018年06月14日
JR北海道、運賃上げ検討 時期未定 社長「鉄道維持にコスト」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/199194
JR北海道の島田修社長は13日の記者会見で、運賃の値上げを検討していることを明らかにした。具体的な時期や値上げ幅などは明らかにしなかったものの、「鉄道の維持には莫大(ばくだい)なコストがかかる。運賃も見直さなければならない」との考えを示し、経営再建策として理解を求めた。
 島田社長は値上げの理由について、安全性の向上やサービス改善などに加え、「維持困難線区を含めたローカル線の維持費用を利用者に負担いただくことも目的の一つに入ってくると思う」と言及。時期や値上げ幅など詳細については「全く未定」と述べるにとどめた。実施すれば平均7%の値上げとなった1996年以来となる。


朝日新聞 2018年06月14日
運賃値上げに言及
https://digital.asahi.com/articles/CMTW1806140100004.html?rm=178
ただ、運賃引き上げは、都市間バスや飛行機との競争には不利に働く。乗客のJR離れがさらに加速すれば、運賃収入の増加に結びつかない恐れもあり、JR北は難しい選択を迫られそうだ。


北海道新聞 2018年06月13日
JR北海道、値上げも視野 再建策 会合で理解求める
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/198997
12日に開かれた自民党会合で、経営再建に向けた方策の一つとして運賃の値上げに理解を求めていたことが分かった。実現すれば1996年以来となる。ただ、単独維持困難路線の見直しに加え、道民に新たな負担を強いることになれば、厳しい声が上がるのは必至だ。
 同社の島田修社長が、東京都内で非公開で開かれた自民党JR北海道対策プロジェクトチーム(PT)の会合で説明した。提出した資料には値上げの理由を「安全性や乗客へのサービス維持・向上のため」と記載。値上げの具体的な手法や時期などの詳細には触れていない。PTに出席した道内国会議員から、特に意見は出なかったという。


総じて値上げは当然ネガティブな報道になるのは致し方ありませんが、現実には航空運賃もバス運賃も値上げや価格変更は比較的頻繁に行われており、「厳しい声」とか言ってるのは単純な報道としてのスタンスに過ぎないようにも思うわけです。運賃が安い方が良いのはわかっていても、現実にはどこも現在の価格では競争も維持もできないことは分かりきった話です。バス会社がこれだけ値上げしていても全く興味が無く報道もしない上、競合区間だけダンピングしている価格を元に「JR離れ」というのはお門違いも甚だしいとも思うわけです。

そもそもJR北海道の多くの路線は現在の運賃ですら乗っていないわけですから、運賃を上げたところで必要な人が乗ることには変わらず、値下げしたところで乗るわけではありませんから、最初からそんな声は無視できる程度とも言えます。

ただ、運賃値上げに関しては、それ以前に電算化されていない時代に設計された運賃制度の見直しも必要かとは思います。運賃区分が非常に大雑把であることなども含め、定期運賃が基本的に1キロ単位での運賃であることを考えるともっと細かく設定できるものと思います。
また「幹線」と「地方交通線」という2つの表、そしてこれをまたがる場合は換算キロを使用するなど運賃計算が複雑な面も改善したいところです。「JR北海道の運賃表」を一つにし、JR東日本との通算運賃は一旦新青森で打ち切り、相互を足した額に対し割引を入れるような形の方がわかりやすいものと思います。さらに競合区間の運賃を弾力的に設定できる仕掛けなども取り入れたいところだと思います。

単に運賃を上げるなではなく、あまりに制度に足枷がついている旧国鉄時代の運賃制度を変えていくことも必要なのではないかと個人的には思うところです。

(2019年10月4日 運賃改定後の記事
JR北海道の運賃改定で他路線・地域との比較
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=908
を公開しました)

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