北海道の交通関係

留萌線「函館線接続バス」を見てきました

2018/06/20

6月18日よりJR北海道は石狩沼田-深川に「函館線接続バス」を運行することになりました。まず、その経緯をおさらいしておきましょう。

この、「函館線接続バス」運行に遡ること3ヶ月ほど前、2018年3月ダイヤ改正で函館本線には1本の列車が増発されました。深川7:41発滝川7:59着岩見沢行普通列車です。この列車、ダイヤ改正前は江部乙7:52発滝川7:59着岩見沢行として運行されており江部乙地区からの通学列車として運行されていました。つまり滝川7:59というこの列車の到着時刻は滝川市内の高校に通うには都合の良い列車ということになります。
滝川市には高校が3つあります。
・滝川高等学校
・滝川西高等学校
・滝川工業高等学校
いずれも8:10頃に各学校方面に向かうバスがありますし、駅前には各学校の通学用自転車であることを証明するステッカーが貼られた自転車が多数駐輪されており、各学校への自転車利用も多いことが伺えます。

長らくこの列車が江部乙始発であったのは、深川地区を含む北空知地域の高校生は基本的に深川市内2つの高校に通うという前提があったからです。しかしながら、より進学志向がある高校生、工業系など深川地域に無い科目を選ぶ高校生は6:53に深川を出発する列車に乗り、7:10に滝川に到着する列車で通学していたことになります。深川と滝川を結ぶバスも運行がありますが所要時間が倍以上かかりますのであまり利便性がよくなかったのです。(それでも音江地区など駅から離れた地域ではバスを利用している通学生も多い)

もう一つは沿線の高校が閉鎖統合され続けているという現実があります。
・滝川北高校(江部乙地区)2000年
・秩父別高校2001年
・沼田高校2010年
・妹背牛商業高校2009年
また、深川市内も複数の学校が併合し現在の2校体制になっています。
北空知地区から通学しようと考えた時に深川地区を選ぶか滝川地区を選ぶかという選択もありますし、工業系の高校を選ぶなら滝川しか選択がありません。
深川周辺の北空知地区から滝川への通学を改善してほしいという要望が出るのは自然なことだったと思われるわけです。そしてJR北海道もこれに応える形になりました。深川7:41は単純に江部乙始発の列車を深川に延伸した形になるわけで、滝川への通学利便が非常に上がることになります。

しかしながら留萌線からこの列車に乗り継ぐことはできませんので、留萌線方面からの通学は今まで通り深川6:44着の列車を使わざるを得ません。また、残念なことに次の列車では深川7:49のためせっかくの増発列車に接続できないということになります。わずか9分とはいえ列車を早くすることは既存の利用客にとっては問題ですので避けたいところです。沼田町と秩父別町はせっかく設定されたこの列車に接続する列車を要請しますが、列車としての運行は設備的に不可能で、バスにて運行という措置が執られることになります。
(ですのでよくネットに見られる接続のために列車時刻を変えればいいという意見は、既存の利用客のことを考えないよくない意見だと思います)

北海道新聞 2018年05月11日
留萌線沿線で通学バス試験運行 JRが来月から 乗り換え利便性向上
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/188413
JR北海道が6月から、留萌線の石狩沼田(空知管内沼田町)―深川間(14・4キロ)で、函館線の普通列車と接続する通学用バス1便の試験運行を計画している。朝の通学時間帯に滝川方面へ向かう列車と留萌線との接続が悪く、バスを走らせることで、沼田、秩父別両町から滝川市内の高校へ通う生徒の利便性向上を図る。
JRは両町などからの要望を踏まえ、今年3月のダイヤ改正で函館線江部乙(滝川市)発岩見沢行き普通列車を深川始発に変更。北空知方面から通いやすくしたという。
 ただ深川の発車時刻は午前7時41分で、7時49分に到着する留萌線の2番列車と接続しない。生徒たちは現在、石狩沼田6時27分発、深川6時44分着の始発列車を利用して滝川まで通う。
 JRは、深川市内の高校へ通う生徒への影響を考慮し、2番列車の時刻は変えない代わりに、新たに石狩沼田7時5分発、深川7時35分着のバスを走らせ、今より約40分遅く家を出ても滝川に通えるようにする。対象は通学定期利用者で、途中は秩父別のみ停車し、休校日は運休。12月末まで運行する予定だ。

北海道新聞 2018年06月19日
留萌線バス運行スタート 通学時乗り換え便利 高校生ら11人乗車
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/200670
JR北海道は18日、留萌線の石狩沼田駅前(空知管内沼田町)―深川駅前間で、定期券利用者専用バス1便の運行を始めた。朝の通学時間帯の運行で、函館線深川駅発の普通列車と接続する。初日は途中の秩父別駅前(同管内秩父別町)からの乗車を含め高校生ら11人が利用した。
 留萌線のダイヤは、函館線の深川発午前7時41分の岩見沢行きと接続が悪いため、JRがバスを借りて、12月25日まで(土日、祝日、夏休み期間を除く)運行することにした。留萌線の沼田、秩父別両駅の利用者は、今までより30分ほど時間に余裕が生まれる。来年以降の運行は、地元の要請があれば検討する。
 JR広報部は定期券利用者専用バス1便の運行について「秩父別町から乗り継ぎ手段確保の要請を受けたための措置で、留萌線の存廃問題とは関係ない」としている。


●「函館線接続バス」を見る
管理者は6月20日水曜日、運行3日目の「函館線接続バス」を確認してきました。
6時45分頃石狩沼田駅に大型観光バス1台が到着。悠観光バスの農協ツアー塗装の車両です。悠観光バスは秩父別町の観光バス会社でバス協会には非加盟、保有台数は9両のはずです。
留萌線「函館線接続バス」を見てきました

石狩沼田駅は簡易委託駅で乗車券販売がありますが、この時間はまだ無人で、駅にはこのバスの運行開始を知らせるポスターが掲示されています。JRの職員はバスに関して関わることがないように見えますので、定期券所持者だけが乗車可能というのは車内で精算をさせないという意味があると思われます。
留萌線「函館線接続バス」を見てきました

親の運転するクルマや自転車などで高校生と思われる利用者が集まってきました。まだ3日目ですが、さも当然のように乗車していますので、周知もされているようですし、そもそも利用者が固定されていることでもあります。一般の方は見られませんでした。

石狩沼田発車時点では7名が乗車しました。

なお、自家用車で来られた方が、バス運転手と何か話していましたが、私服のためJR職員氏なのか、自治体等の関係者なのかはわかりません。このクルマを秩父別、深川でも見かけましたので、何らかの調査か確認のようなことかもしれません。

秩父別では4名が乗車。合計11名となりました。乗車可能駅はこの2箇所ですのでこれで乗車人員は確定です。
留萌線「函館線接続バス」を見てきました

深川では予定より10分ほど早く7:25頃到着。全員が駅の方に向かっていきました。時刻表上では接続しないことになっていますが7:30発の旭川行きにも間に合うと思われます。冬期の道路事情などを考慮したものと思われます。

●朝時間帯の深川駅利用を見る
深川駅から7:30発旭川行き普通列車に乗車した数がざっと30名ほど、下車もほぼ同数あり、滝川側から深川市内の高校への通学も少なくないことが伺えます。また、旭川への通勤、通学もあることがわかります。

深川駅から7:41発岩見沢行き普通列車に乗車した数がざっと40名ほどありました。これは予想よりずっと多く、留萌線バスからの乗車も考えると、深川近郊からの通学需要が無視できないほどあることが伺えます。

留萌始発の深川7:49着留萌線列車からの下車は61名。一般客も10人ほどおりました。

深名線多度志方面からは2台のバスが到着しますがいずれも7時50分前後の到着となり、今回設定された滝川方面には間に合わず、公共交通では滝川・旭川方面への通学は難しいものとおもわれます。

なお、深川市が2014年にまとめた公共交通需要調査では深川市内から滝川に通学する生徒は95人、旭川に通学する生徒は119人おり、深川市内の高校に通学する生徒は沼田町から77人、秩父別から61人、妹背牛から58人、滝川から57人おります。
留萌線「函館線接続バス」を見てきました
・深川西高校
留萌線「函館線接続バス」を見てきました
・深川東高校


●並行バス路線
留萌線沿線には今回設定された通学バスのほか、留萌市・沼田町・秩父別町からはバスが出ております。今回設定されたバスの5分後に沼田駅前発の北空知バス便があり、沼田駅前で4人ほどが待っている状態を見かけています(発車まで時間があるのでそれ以上に人が増えた可能性があります)
各バスとJRで定期券の共通利用ができず(沿岸バスと道北バスは相互利用可能)また、路線バスはJR深川駅には入らず、道道上の深川十字街での取り扱いとなる点も注意が必要です。
留萌線「函館線接続バス」を見てきました
・空知中央バスの運行拠点深川市立病院

留萌線「函館線接続バス」を見てきました
・留萌線-旭川・滝川への朝時間帯乗り継ぎ時刻表

通学生の利便を考えると、特に冬期に各高校前に乗り入れ可能で、停留所間隔の短いバスの利点もありますが、できる限り各バスとJRが調整した上で運行間隔などを統合し、各社が共通で運行できることがよいはずです。今回の函館線接続バスも、空知中央バスに経路の一部変更を依頼し路線バスに乗車できる形の方がよかった可能性もあるでしょう。あくまで地域とJR・バス会社の連携の話ではありますけれど。

いずれにせよ今回のバス便がJR側が単純な留萌線のバス転換を狙っての設置とすることは利用客数や需要面から見ると考えにくいですが、かといって留萌線を維持できないのも利用客数的には明かです。バスにしても減便が続いていますので、先々のことを考えると並行バス路線も含めた一体運営のようなことも検討しなければならないとも思うのです。これは地域が本当に利便の高い使いやすい交通機関を自分達で考えるということでもあります。これを契機にそういう方向になれば良いなと思うところです。



2020年9月8日追記
この「函館線接続バス」を再度調査し記事を書きましたので、こちらも参照願います。

North-tt
留萌線通学バス確認と現役区間全踏切を訪問してきた
https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=984



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