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北海道の交通関係
JR北海道の新会長白川保友氏はどのような方か
2018/06/21
JR北海道の新会長の白川氏。会見で見逃せないコメントを残しています。
日本経済新聞 2018年06月20日
JR北「安全風土を再構築」、JR東出身の白川新会長
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32022230Q8A620C1L41000/
JR北海道の次期経営陣が20日、札幌市の本社で記者会見した。会長に同日就いた元JR東日本常務の白川保友氏は「安全風土の再構築をさらに進める」と述べた。取締役に就いた前JR東横浜支社長の渡利千春氏とともに、JR東の経験を生かし、安全運行の徹底や路線見直しの議論加速などJR北の抱える課題解決を急ぐ。
白川氏はJR東で車両製造や鉄道の利便性向上に関連する部門を経験。「(老朽化した車両を)ただ取り換えるのではなく、将来的にコストが下がるなら思い切った投資もしなければならない」と、新たな設備投資への意欲も見せた。
またJR東で首都圏での運行計画の作成にも携わったことから、「(JR北の)限られた路線設備のなかで画期的なダイヤ改正ができないかも見たい」と話した。
経営ビジョンの策定を担当する渡利氏は「JR北が自立できるものを示す必要がある」と経営課題に向き合う姿勢を強調した。
一方、同日開かれたJR北の株主総会後の記者会見で、同社の株主である鉄道建設・運輸施設整備支援機構の北村隆志理事長はJR北の再建見通しに対して「絵に描いた餅にならないよう経営再生への仕組みや意識の改革を」と指摘した。
北海道新聞 2018年06月21日
白川会長「安全再構築を」 JR株主総会、新体制決定
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/201367
白川氏は、JR東日本で長く運輸車両部門を歩み、新幹線の車両の揺れを防止する世界有数の技術を実用化。警備業国内大手「セントラル警備保障」のトップも務め、経営手腕も期待されている。
JR北海道の安全対策について白川氏は「一時の危機的な状況は脱しつつある。安全風土の再構築や技術の研さんなどをさらに進める」とし、同じJR東日本出身で保線分野を中心に建て直した前会長の須田征男氏(75)に続き、安全再生に全力で取り組む姿勢を示した。
また、老朽車両の更新について「投資によって将来的にコストが下がるなら思い切った投資をしたい」と強調。「現在のディーゼル車は技術革新が進み、(JR北海道のローカル線で主力の)キハ40系などに比べ、エンジン出力が倍で、重さが半分、燃費も半分の時代。こういう技術を取り込めるか考えたい」と述べた。
・(車両の)将来的にコストが下がるなら思い切った投資もしなければならない
・現在のディーゼル車は技術革新が進み、(JR北海道のローカル線で主力の)キハ40系などに比べ、エンジン出力が倍で、重さが半分、燃費も半分の時代。こういう技術を取り込めるか考えたい
・限られた路線設備のなかで画期的なダイヤ改正ができないかも見たい
このような発言は今までのJR北海道の経営陣からはなかなか聞かれなかったものです。JR北海道のダイヤは大きくは国鉄末期の札幌圏増発-新千歳空港駅開業-北海道新幹線開業などの経緯はあったものの、地方を中心にあまり大きく変えず、やっと地方線区の減便などに踏み切ったところがあります。民営化前後には函館・旭川などで列車愛称を付けた増発が行われるなどもありましたが、その後はあまり代わり映えしないという印象があります。
白川氏は「JR東日本はこうして車両をつくってきた: 多種多様なラインナップ誕生の舞台裏」(交通新聞社)という著書があります。JR東日本では運転車両部門を長く率いてきた方のようです。首都圏という高需要の路線を持つJR東日本では国鉄末期に登場した回生ブレーキを使える車両が特に省エネに貢献しました。回生ブレーキはブレーキを掛ける時にモーターを発電機として使用して、発生した電力を他の走行中の電車が使えるというものです。それまでの電車はこのブレーキ時にモーターで発電した電気をただ熱に変えて捨てていたのですからもったいない話です。もちろん技術革新の賜ですが。
白川氏が関わった車両ですが、209系というそれまでの電車に比較して「重量半分、コスト半分、寿命半分」というコンセプトの車両を開発することになります。JR東日本が走らせる車両数は1万3000両。コストが半分になるだけでも大きな利益になります。その代わり寿命が半分では意味が無いという話もありますが、自動車などと比較して寿命が長い鉄道車両はどうしても陳腐化の速度も速く、定期メンテナンス時に重要部を更新すれば長くも使えますし、廃車したとしてもコストを安く作っているのであれば合うわけです。「寿命半分」のコンセプトはあくまで法定耐用年数で廃車しても足が出ないという意味で、電車の法定耐用年数13年で廃車できる。それ以上使えば、メンテナンス費用がかかるわけですね。
どのようなモノを作る時も
・高いコストを掛けて作成し、長く浸かってもメンテナンスコストを抑える
・低いコストをで作成し、長く使うならメンテナンスコストをかける
という比較になります。どちらもノーメンテでは済みませんが、どちらを掛けることができるかという観点があります。
JR東日本の場合、車輌製造コストは抑えたいが、国鉄時代からの社員を多く抱えているのである程度メンテナンスはできるという観点があったといえます。
国鉄時代の陳腐化した車両を短期間に置き換えるには今までのコストで車両を作れば置き換えペースが遅くなり長期間燃費の悪い高コストな車両を運行しなければなりません。新しい車両でこれらの古い車両を追い出すことが最も「全体のコストに寄与する」と考えられたわけですね。JR化直後は冷房車すら不足するほどで、旧型車両に簡易型の冷房を導入するなど苦心していたことを考えると、多少「安物」と批判されても多数の新型車を作らざるを得なかったという面があります。
ただ、この「コスト半分」にはからくりがありまして、JR東日本の場合先ほどの通り車両数が多いので、年間に製造できる両数も数百両単位というオーダーになります。自社で車輌製造工場まで有して、1日1両ペースで車両を作っているわけです。首都圏で使用する車両は約8000両ですから30年使うと考えても年間250両以上製造しなければ間に合わないのです。同じ仕様の車両を多数作ればそれだけコストが下がるということも言えるのです。
そこから考えますとJR北海道は車両数1000両程度となります。これでも30年使用するとすれば年間30両程度製造しなければ間に合わないのですが、北海道特有の耐雪構造など高コストになる要素が多数あります。そのため本州の車両と同じ構造のままでは使うことができません。今の50代以上の方でしたら「特急いしかり」に本州とほぼ同仕様の車両を導入したことで冬期に運休が多発したのを覚えている方もいらっしゃるでしょう。早晩新しい北海道独自設計の車両に置き換えられ、その後は安定稼働しました。北海道で使用できないと烙印を押された車両はその後本州で普通に寿命まで使われました。ごく最近まで本州で走っていたのです。
白川氏の発言とは別に、現在北海道では新型気動車H100型が試験を実施しています。結果がよければこの車両が導入されることになりましょう。この車両はJR東日本のGV-E400型とほぼ同じ車両で、JR北海道が現在の旧型車両キハ40とその後に製造された車両も含めある程度の両数を発注するなら100両から150両程度(これは現在の路線維持数などにも関連するので幅があると思われる)JR東日本も当初60両程度、最終的には150両程度製造すると思われますので、JR東日本と同様の時期に発注すればコストが削減できるという思想があるのでしょう。
JR北海道では電車に関しては快速エアポートなどに使用している733系車両を導入していますが、JR東日本は秋田地区に1990年代に導入した電車がそろそろ置き換え時期ではあります。しかし、車両性能が大幅に異なることを考えると共通化は難しいかもしれません。JR北海道の電車両数はJR東日本ほどとは言わないまでも300両以上ありますし、今後も置き換えを進めることから年10両程度の発注が必要です。
さて、車両面で注目された白川氏ですが、Suicaの担当として私鉄やバス会社との折衝を行ったり、また、JR東日本グループであるセントラル警備保障の社長職をされていたという経営者の面もあり、手腕が期待されるところです。急に何かが変わることは無いにせよ、北海道新幹線札幌開業までのスパンでは大きく変わっていくかもしれません。特にダイヤ面では、過去のしがらみがあり変更しにくい時刻や車両運用等に残る非効率面なども改善されることを期待するところでもあります。
氏は現在71歳。これが最後の仕事という思いはあるのではないかとも思うのです。