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JR道内路線「維持ありき」は通らぬ

2018/06/22

6月21日の北海道新聞社説は、予想通りJR北海道批判ネタを潜り込ませてきました。

北海道新聞 2018年06月21日
JR道内路線 「廃止ありき」は通らぬ
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/201344
 沿線自治体との十分な議論もなく、鉄路の廃止がなし崩しに進んでしまわないか、心配だ。
 国、道、JR北海道などによる6者協議で、JR単独では維持困難とする10路線13区間のうち、JRが廃線とバス転換を求めていた5区間は、国の財政支援の対象外となることが固まった。
 JRの島田修社長は記者会見で地元負担を求めて維持を図る8区間についても、収支が改善しない場合の廃線の可能性に言及した。
 結局、島田社長は高橋はるみ知事に陳謝したが、当事者が鉄道を含む交通体系のあり方を検討しているさなか、廃線を持ち出すのは信頼関係を損なう行為だ。
 JRと道には、十分な説明と丁寧な議論を重ねるよう求めたい。
 6者協議でJRが示した経営再生の見通し案で、5区間は国に支援を求める対象としなかった。
 5区間のうち石勝線夕張支線は夕張市とバス転換で合意済みだ。
 札沼線北海道医療大学―新十津川間でも、空知管内月形町の上坂隆一町長はバス転換容認を表明、現状より高い利便性が見込めるとしている。地元が納得する形の廃線であれば、やむを得まい。
 残る日高線鵡川―様似間、根室線富良野―新得間、留萌線深川―留萌間のうち、日高線と根室線の一部は台風などの自然災害で不通が続いている。そのまま廃線にするとしたら、無責任ではないか。
 利用拡大や支援によって存続の可能性を探る沿線自治体が反発するのは当然だ。関係者で議論を尽くしてもらいたい。
 島田社長が廃線の可能性にふれた8区間は、道の交通政策総合指針で維持に努めるとされている。
 知事との会談で島田社長は「真意が伝わらなかった」と述べたが、JRは沿線自治体の立場を尊重しなければならない。
 道議会5会派は島田社長の参考人招致で合意した。地域の実情を踏まえた議論を深め、交通体系の将来像に反映させてもらいたい。
 政府は、この夏にもJR北海道の支援策の大枠を示す。
 忘れてならないのは、国の責任の重さである。
 JRの経営危機は、国鉄分割民営化当時の枠組みが通用しなくなった点が大きい。
 低金利政策の下で経営安定基金の運用益は低迷し、JR貨物がJR北海道に払う線路使用料も安く抑えられている。
 廃線を誘導するようなことは避け、政府は、JR発足以来の根本的な問題に向き合うべきだ。



そこで、これを添削して
JR道内路線「維持ありき」は通らぬ
というタイトルで現状をもう少し紐解いて、この社説を検証してみましょう。
まず、8線区廃線の話に関しては「財務省」の意向があることは先日このブログでも記載しています。つまり財務省的には路線の維持などたいした意味が無く、バスになったところで大して困らないでしょ?今もろくに北海道民は鉄道を使ってないでしょ?という観点でJR北海道の黒字化のためには北海道新幹線の赤字解消と地方路線の廃止が前提であるという認識を実際に示しているわけです。

そこから考えると路線廃止云々のところを強くにじませているのはJR北海道では無く国の態度であることが見えてくるわけです。この社説の前提条件自体が大幅に変わっちゃうわけですね。

そもそも北海道も沿線自治体もこの危機的な状況を全く認識せずに国が金を出せと言い続けた面がある。それに対しての財務省の回答が8線区も含めて鉄道の維持が必要かを問うてるわけですから、JR北海道に対して「無責任だ」という主筆の考え自体が既に誤っているとも言えるわけです。そもそも北海道庁も沿線自治体も費用負担について「国の支援の結果」でと言っているわけですから、財務省がこのような資料を出した瞬間に国に対して抗議するなりという行動を起こさなければなりませんでした。まして報道機関はこれをもっと大きな記事として報道しなければならなかったはずです。

財政制度等審議会の意見ということはJR東海元社長の葛西氏なども名前を連ねているわけです。東京視点の企業からも今のJR北海道問題にただ金をつぎ込むことに対しては否定的な意見があるわけで、当然その金は降って湧いてくるわけではなく国民が企業が納める税金な訳です。

JR北海道の企業努力という面から見ても、行きすぎた企業努力による線路メンテナンスなどの問題が事故を起こしていることが明らかになった以上路線維持にただ金をつぎ込むのでは無く、一定期間の取り組み内容によって見直しを掛けるのが当然のことであって、ただのんべんだらりと補助金をつぎ込む形を避けたのが国鉄改革そのものな訳です。安全を確保できないほどつぎ込めない路線は廃止するべきなのです。

ですので、JR北海道社長発言は「思い切ったな」とは私も感じましたが大枠でおかしなことは言っていないともいえるわけです。助けて貰う立場としての企業努力をしなければならないし、当然その結果を求められるのですから結果が伴わなければ維持されるわけもないのです。それはJR北海道よりも先に世間の評価という形で出てくることになりましょう。税金で助けてやったのに地元が全く使わない列車を何故残す必要があるんだ?普通の感覚はそうです。

なので、JR北海道が「沿線自治体の立場を尊重しなければならない」なんて社説はさすがに無理があるわけで、スポンサー側を見なければならないJR北海道の社長がどういうスタンスで今後の路線維持をするのかは明かなのです。いいですか?「北海道民、利用者、道庁、自治体」ではなくて金を出してるのは「国、国交省、財務省」になるのですよ。どちらの意見を尊重するのですか?って話になるわけ。

JR北海道問題で「国が国が」「JRの自助努力」だけを言い続けた北海道知事をはじめとする無責任な方々に、国側も「そろそろダメかもね」という印象を持っていることは疑いの余地も無いわけです。廃止前提4線区も残せなんて議論はもう恥ずかしいからやめてくれレベルです。

そもそも何のために維持しなければならないのか?という単純な質問にどれだけの自治体が明確に回答できるか。学生が通院がと言いながらろくに使われていない路線すら多々あるわけです。既に路線バスにすら撤退され(つまり地元がバスを不要とし補助金拠出をしなかった)たような沿線に何故鉄道を維持しなければならないかの明確な回答をできない以上、国にすら足下を見た対応をされているのが北海道庁をはじめとした北海道側の人たちです。報道機関ですらこの全く物事の本質を理解していない報道です。

このような他人事である内容を報じるのは、北海道民の鉄道維持への意識も下げ、自分達は何もしなくても良いという誤った方向に誘導しています。結果はいつもの「国が悪い」です。

今やるべきは「北海道オリジナルの維持策」です。今の路線をただ維持したって、数年内にさらに客の減った路線を維持できなくなるのはわかっているはずです。高規格道路と同様の高規格化、高速化を行い、災害に強い新しい線路の構築をしない限りただ維持したところで運休の多い、災害ですぐ止まると批判される鉄道をただ維持することになります。北海道は「北海道高速鉄道開発」で全国に先駆けて在来線高速化の先陣を切った地域です。同じ事を石北線にも宗谷線にも「維持」するならやらなければなりません。老朽化したトンネルを掘り直し、川に沿う危険な線路を移設する。そして道民が自ら路線の維持には自分達が使う必要があると気がつくことが大前提です。

ただ「国が金出すから維持されるんでしょ。オレたちクルマ使うけど、誰かが使うんでしょ」という人ばかり、人口の8割が鉄道を滅多に使わないような地域の線路に誰が金を出すのか?北海道庁が主体的に維持メニューと先の見通しを自ら作り上げなければだめです。道民意識も含めてあまりにも他人の懐をアテにしすぎなのです。

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