北海道の交通関係

旭川近郊に見る「駅」の交通接続点化と機能改善

2018/06/26

先週ですが、バスターミナル機能が拡充している旭川近郊の各駅を巡ってきました。
旭川もよく出かける町ではありますが、昨今では行くたびに駅周辺に変化が発生していて、今後もホテル開業、市役所新築など周辺は大きく変わっていくことになります。


●旭川駅前広場への都市間バス集約
旭川駅周辺再開発は「北彩都あさひかわ」という名称で国、北海道、旭川市とJR北海道が複数の事業を一体的に進めています。具体的には旭川駅の高架化と旭川運転所の移転による駅南側の忠別川を挿み反対側の神楽地区、上川神社付近にかけて複数の橋を建設、複数の公共施設が集まる旭川合同庁舎の建設、駅を南側に移転したことで広がった駅前広場にバス乗降場を集約し、イベント広場なども整備したことになります。
関連して障害者福祉センターや旭川市科学館、イオンモール旭川駅前、JRイン旭川等も完成。北彩都団地などの住宅も整備されました。


そして路線バスの話です。旭川市内には主に市内バスを担当する旭川電気軌道・道北バス2社が走っており、都市間バスとして札幌・北見・帯広・名寄・留萌・富良野などの路線が各社運行され、数多くのバス停がバラバラに配置されていました。特に途中の経由地への利用を考えた時、どのバスがどこを経由し、どの乗り場で待てば良いのかよくわからないという状態になりました。

また、路線バスの案内所、切符売り場なども旭川電気軌道・道北バス・中央バスと大きく3箇所に分散されており、駅を降りた観光客がその先のバスについて問い合わせしようにも、どこへ行って良いのか皆目見当がつかないというのが実態でした。


今回、駅前に建設された11階建てのツルハビル(旭川発祥のドラッグストアであるツルハが入店、上階は物販店、ホテルが入る)の1階に旭川電気軌道・道北バス2社の窓口が並んで設置されることになりました。また、札幌行きの高速バスについては北海道中央バスと共同運行を行う道北バスの窓口にて案内を行い、中央バスの券売機も設置されます。



そして、このツルハビル前の7番乗り場を札幌行き高速バスの発着専用に、その他主な都市間バスはほぼ駅前広場に入ることになります。なお、一部のバス会社で「旭川駅バスタッチ」としていますが、駅前の案内図は「旭川駅前広場バスのりば」としていますので、このあたりをちゃんと統一して欲しいなとも思います。

もちろん案内図なども最終的には整備されることになると思いますが、問題は市内線バスで、当然駅前の停留所設置数では間に合わないわけですが、かといって駅から離れた場所に数多くの停留所が残されている状態もあまり利便のよいものではありません。将来的には特に東西を直行するバスも駅付近にある程度拠点的な「市内線バスターミナル」が設置されるのが理想ですが、今のところそのような動きはありません。


もう一つ指摘したいのは、ブログ執筆時である6月26日現在、道北バスのサイトの「旭川駅周辺乗り場ご案内」が古いままであること。案内所位置なども以前のままで、既に2週間程度移転から経っているのにこの案内はいけません。
また、旭川電気軌道も英語版の乗り場案内図が古いままです。正直2社ともどうなってるんだ?と苦言を言いたい。このバス停、案内所移転プロジェクトは2社にとって喜ばしいものではないのかもしれませんが、旭川を訪問する全ての人たちに、駅からの二次交通、そして市内各所へのアクセスを担うという2社の使命から考えれば、こんな状態で放置することはあり得ない話なのです。


さて、6月20日にこの日で閉鎖となる北海道中央バスの旭川ターミナルを訪問してきました。これまで何度もここから乗車、下車したターミナルで、旭川市民だけでなく、このターミナルに思い入れのある方も多かったでしょう。

今回廃止された旭川ターミナルは1961年開設。その後1990年に改築されました。1961年は札幌-旭川に特急便が開設された年になります。その後70年代に一旦廃止となった札幌-旭川直通便は1984年に札幌-岩見沢の高速道路開設で「高速あさひかわ号」として再度運行開始。当時の所要時間は2時間55分。1990年は旭川鷹栖IC開業で札幌-旭川の全線が高速道路を経由するようになり、ターミナルを改築することになります。今回駅前への都市間便集約で旭川ターミナルは廃止、一般路線の滝川、芦別方面行きも含め駅前に移設されます。案内窓口は道北バス委託となり、営業所機能も忠和の車庫になり、基本的に対乗客対応は委託先の道北バスになります。




●貧弱な旭川近郊のJR利用
・旭川市近郊の旅客輸送
JR北海道は民営化直前から旭川近郊でも区間列車の増発などを行ってきました。また1996年に緑が丘駅を開設した富良野線は比較的多くの列車を走らせ、ある程度の都市間輸送を行っています。しかし、全体的にJR北海道が担う地域輸送は少ない傾向にあります。
富良野線も先の北彩都計画で混雑していた市内への道路事情が大幅に改善され、通勤輸送が減少、1,200人台まで落ち込んだ輸送密度が観光輸送などで持ち直し現在は1,500人台を回復しそうな勢いがあります。
しかし、宗谷線・石北線は減少傾向、函館線特急の減便もあり、旭川地区に占めるJRの輸送地位は相対的に低い状態です。


旭川市統計書によると平成28年度の
自動車登録台数
238,255台(人口342,848人に対し69%の普及。世帯数177,609に対し134%の普及となる)
路線バス輸送人員
11,726,084人(1日3万2100人程度)
鉄道乗客数(市内18駅合計)
2,012,697人(1日5,500人程度)
となります。
旭川市内のほとんどの世帯が車を所有し、車を使わない方も市内を細かく巡るバス利用が多いことがわかります。なお、旭川市内の高校で鉄道で通うことが可能な学校は多くなく、鉄道利用に結びつかない実態があります。


・伊納

駅付近に多少の集落があり、春日青少年の家が近場にあることで、その利用客があるものと思われますが、現在日常的な利用客はいないものと思われます。以前は駅から石狩川を挿んだ対岸の台場地区に北都商業高校があり、その生徒が利用していましたが、2011年廃校、台場地区はバスの便もあり鉄道利用は少ない駅です。


・近文

駅付近は集落が形成されており、イオン旭川西店も近隣にありますが、利用は必ずしも多くはありません。2014年の乗降客数は60人ほどで、これは長年大きく変わっていません。以前は近文始終発の列車を運行していた時期があり、旭川明成高校などへの通学用などもあったのかもしれませんが、利用人数から学生の利用は多くないように見えます。ホームの古い木造待合室が懐かしい駅。


・旭川
2015年の乗降客数は8,874人。一時期減少していた利用客ですが、旭川市統計書による2016年度資料によると乗降客数は10,048人と大幅に増えました。この理由が正直よくわかりません。(年間定期外客1,265,332人、定期客568,499人)


・旭川四条


高架駅です。ちょっと離れてみれば関東郊外の私鉄駅のような雰囲気の駅ですが、無人駅ですし、設備もあまり利便が高いような気がしません。2014年の乗降客数は76人。駅勢人口の割に少ないのは旭川中心部への移動はバスの方が利便が高いというのもありましょう。簡易委託が無くなった以降この駅では乗車券を販売していませんが、乗車券についての案内なども存在するなぞの駅です。


・新旭川
製紙工場に隣接する駅。石北線と宗谷線があるのでそれなりの本数があるが駅勢人口がそれほど多くないためか、2014年の乗降客数は74人。


・永山
旭川大学高校の最寄りでもあり、上川総合振興局の最寄りでもあるため比較的利用客が多い駅。2015年の乗降客は944人だったが、旭川市統計書による2016年度資料によると980人に増えた。(年間定期外客91,607人、定期客87,259人)
新旭川との間に旭川運転所があり、新旭川からの距離を考えると2駅程度設置できるような場所ではあるが、結果的に駅設置はかなわなかった。


・北永山
旭川農業高校の最寄り。停車列車は極端に少ない。2014年の乗降客数は136人。この駅が旭川四条や新旭川より多いことが通学需要を物語る。


・南永山
旭川凌雲高校の最寄り。2014年の乗降客数は226人。東旭川まで朝通学時間帯に列車が増発運行されている。この駅前の踏切は国交省による「危険な踏切」指定されたはずで、今後立体交差になるはず。


・東旭川
集落は形成されているが2014年の乗降客数は44人。駅が集落側からわかりにくく、駅を知らない住民もいるのでは?という場所。


・北日ノ出
旭山動物園最寄り駅だが当然ここから動物園に行く人は限られる。近くに倉庫や工場があるが、利用は多くない。2014年の乗降客数は2人。


・桜岡
周囲は田園風景。当麻町との境に近いが、集落人口は少ない。2014年の乗降客数は10人。


・神楽岡

富良野線の駅は昭和30年代に開業した、簡素な駅舎の「停留所」的なものを見かけます。住宅街に存在し、通勤、通学も多かった駅のはずですが、先の北彩都計画で建設された新神楽橋、氷点橋、クリスタル橋などができた2011年頃を境に当駅の利用客が大幅に減ったことが伺えます。2014年の乗降客数は72人。2011年以前は1日100人以上の利用がありました。


・緑が丘

1996年新設の駅。旭川工業高校の最寄りになります。また旭川医大病院も徒歩圏です。2014年の乗降客数は138人。ここも以前は180人程度の利用のあった駅です。


・西御料



昭和33年開業の駅で、旭川市域の拡大で宅地化が進んで利用客の増えた駅です。旭川南高校の最寄り駅でもあります。このあたりまでが旭川市の住宅街です。2014年の乗降客数は372人。当駅は待合室の床腐食で閉鎖されており、利用の比較的多い駅ですが、少々問題がありそう。


・西瑞穂

急に畑の真ん中のような正直何もない場所に駅が存在します。林産試験場の最寄りですが列車利用は無いでしょう。2014年の乗降客数は14人。


・西神楽

さて、この旭川市内の富良野線沿線の駅は1968年まで神楽町という独立町でした。この西神楽付近も当時の町の一つで、明治時代から存在する駅です。駅の裏側にも若干の住宅がありますが自由通路も踏切も無いので使いにくいのではないでしょうか。2014年の乗降客数は154人。


・西聖和


若干の住宅がありますが、畑の中にある駅。駅舎老朽化でホーム上の待合室は撤去され、あらたに自転車置き場と待合室が建設されました。旭川空港もよりですが歩ける距離では無く、タクシーなども常駐していません。2014年の乗降客数は30人。


・千代ヶ岡

国道沿いに戻って、若干の集落がある地域です。残念ながらこの駅も利用は多くなく、2014年の乗降客数は40人。


以上旭川市内のJR駅を見てきました。旭川駅ですらJR北海道の利用客ランキングでは10位以内に入らず16位。市内で利用が多いのは900人台の永山を除けば多くはありません。かといって駅新設などの話は無く、住民の鉄道利用が根付いていない印象を受けます。特に富良野線はテコ入れできる印象のある路線でもありますし、もう少し都市近郊路線的な脱皮を目指したいところです。それにはJRだけでなく地域の協力も必要なことです。
ただ、富良野線は駅管理を地元が行っている駅が多く、駅待合室にその旨の表示がある駅もあります。このような協力体制を維持発展していくことが大事なことです。


また、各路線列車の運行間隔が不定であり、列車利用がしにくい現状もあります。特に富良野線は比較的頻発しているのにわかりにくい。こういう点は改善できるとも思うわけで、路線維持議論の中でもう少し自治体の声として上げることですね。

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