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北海道の交通関係
札沼線廃止報道に関して、あるべき沿線の姿とは
2018/06/27
札沼線北海道医療大学-新十津川に関しては、ほぼ各自治体が廃線を受け入れるという報道がされています。鉄道が無くなるということを受け入れる決断というのは大きなもので、簡単ではないこともわかりますし、地元には様々な思いがあるであろうこともわかります。
そのなかで、何度も「鉄道でならなければならない理由」を見たかったと私は言っている気がする。地元がそれを打ち出すことができれば応援する人はもっと多かっただろうとも思うのです。「鉄道を無くすな、廃線は認めん。でも自分達は誰も乗らないけどな」この意識が色濃く出ている以上、どうしても路線廃止を免れない部分があります。もちろん浦臼以北のような1往復区間、国鉄末期から3往復という全く使い物にならないダイヤであることを差し置いても、では自分達はこのダイヤじゃ使えないからこうしてくれという提案はできるわけです。
何度か書いていますが、JRとて「利用者が使う」なら時刻を変え、列車を増やすことは全くしないわけではありません。時刻表に公に掲載されない土曜や試験期間の通学列車などは各地で運行されており、最近では深川始発の通学列車や留萌線の通学バスもそういう要望の一つの解決なわけです。
札沼線の減便も、減便自体は地元への通達ですが、簡単に受け入れたのもまた地元の自治体な訳です。
さて、札沼線の廃止が現実的になった今、各町はどのような交通手段を今後考えなければならないか、改めて現時点での交通機関を見てみましょう。
●新十津川町
・新十津川-滝川-札幌・高速バス「高速しんとつかわ号」
早朝新十津川発、夕方札幌発で1往復運行されています。札幌までは1時間50分ほどで結びます。
・新十津川-滝川・路線バス
1時間に1-3本という、地方としては頻発運転される路線です。滝川までは15分ほど、滝川からはJR特急や高速バスへの乗り継ぎが可能です。
・滝川-新十津川-浦臼・路線バス
新十津川-浦臼はJR並行路線です。鉄道廃止後はこのバスが代替となる予定です。
・新十津川-砂川・乗合ワゴン
路線バスの代替です。砂川市立病院、砂川高校への通院、通学用途です。
・新十津川-滝川・乗合タクシー
徳富・総進地区から滝川への便です。
・スクールバス・福祉バス
一般混乗は行っていない。
●浦臼町
・浦臼-新十津川-滝川・路線バス
・浦臼-奈井江・町営バス
平日5往復。奈井江高校通学、奈井江駅からのJR乗り継ぎが可能です。
・浦臼-石狩新宮
平日1往復。JR並行路線です。石狩新宮は月形町との境で、路線バス撤退時に町内だけが町営バスとして代替されました。鉄道廃止後はこの区間を含めバスが新設されるという想定です。
・スクールバス
一般混乗を認めている町内スクールバスが存在する。
●月形町
・月形-岩見沢・路線バス
月形は比較的JR函館本線と離れていることもあって札幌への利用に函館本線を経由する需要は低い。月形と岩見沢を結ぶ路線は過去に峰延駅を経由するものもあったが廃止され代替はない。
・月形-新篠津・新篠津村営バス
新篠津から月形高校への通学需要がメイン。
・月形-札比内地区・スクールバス北地区
・月形-知来乙・月ヶ岡地区・スクールバス南地区A
・月形-知来乙・月ヶ岡地区・スクールバス南地区B
一般混乗可能なスクールバス。
●当別町(札沼線並行区間のみ)
・あいの里-太美-当別-医療大学・当別ふれあいバス
当別町は「ふれあいバス」としてこの区間を運行。鉄道沿線でも細かく停車する。
・当別-金沢・中小屋地区・スクールバス
スクールバスの一般混乗を行っているが、予約制。
札幌への鉄道比重の高い当別町は今回の廃線提案区間にバスを走らせておらず、スクールバスのみ。月形町は鉄道併走区間はスクールバスでカバーしています。浦臼町・新十津川町は函館本線へのフィーダー輸送が基本であることがわかります。
さて、2003年札沼線に平行していたジェイアール北海道バスが撤退し、一部の路線を北海道中央バスが引き継ぐことになりました。これが浦臼-滝川の路線として残っていますが、浦臼以南は一部区間を浦臼町営バスが引き継いだ以外、月形町はバス路線の廃止を選択しました。
また、それに遡るが国鉄時代に石狩当別-石狩月形には国鉄バス路線があった時代もあり、バス路線がこの地域に無い=需要が極端に少ないということも言えるわけです。
なお、ジェイアールバスもこの区間の維持を模索し札幌への高速バスを浦臼・新十津川・石狩沼田に走らせるなどの積極策を打っていましたが、結局根付くことなく、現状となっています。
先週から札沼線沿線自治体では新たな動きがありました。
日本経済新聞 2018年06月18日
JR札沼線廃線へ、北海道月形町長が容認
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31909190Y8A610C1L41000/
沿線自治体の北海道月形町の上坂隆一町長は18日記者会見し、「廃線を容認し、代替バスの運行を推進する」と述べ、廃線を受け入れる考えを示した。他の沿線3町も廃線を容認する方向で検討しており、同線区は廃線になる見通し。
上坂町長は廃線容認の理由として、輸送密度(1キロメートル当たりの1日平均輸送人員)の少なさを挙げた。同線区の輸送密度は66人で道内最少。鉄道は雪などによる運休も多く、バスの方が安定的に運行できることも判断材料になった。バスの代替運行の具体策は今後検討する。JR北はバス運行費用について、廃線後の18年間分を支援するとしている。
北海道新聞 2018年06月19日
札沼線の一部廃止・バス転換 月形町長が容認表明
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/200613
月形町の上坂隆一町長は18日、町役場で記者会見し、廃止・バス転換を容認する考えを正式表明した。
上坂町長は容認の理由として《1》採算性が非常に低く鉄道として存続できない《2》現状より利便性の高い代替交通の運行が見込める《3》JRの支援で、新たなまちづくりを推進できる環境が整う―の3点を挙げた。
国、道、JRなどによる17日の6者協議で、札沼線を含む5区間が国の財政支援の対象外となることが固まったことについても「状況が厳しいと判断せざるを得なかった」と話した。
来月以降、同町と同管内新十津川、浦臼、石狩管内当別の4町でつくる「札沼線沿線まちづくり検討会議」での合意を経てJRとの交渉に入る。
朝日新聞 2018年06月19日
北海道)札沼線、廃止決定へ 医療大以北、月形町が容認
https://digital.asahi.com/articles/ASL6L5WRYL6LIIPE014.html?rm=383
上坂町長はこの日町役場で開いた会見で「廃線を容認し、代替バス運行を推進する。なくなるのは悲しくつらいが、札沼線が置かれた厳しい現状のなか、新たなまちづくりのため勇気をもって決断しなければならない」と述べた。
廃止を受け入れた理由について、①この先鉄道を維持しても収支改善が見込めない②代替バスを運行したほうが町民の利便性向上にかなう③JR北がバス運行やまちづくりで財政的支援を約束している④冬期間はバスの方が運休が少なく安全に運行が可能――の4点を挙げた。
JR北は、石狩月形―石狩当別間に走らせる代替バスの運行本数を、鉄道の一日往復15本より多い往復18便運行することや、バス運行費用を18年間にわたり支援することを沿線4町に示している。まちづくりに関連した施設整備や観光振興にも支援を表明した。
上坂町長は「代替バスの運行(の主体)をどうするかは白紙。JR北にお願いするか、町営にするかなど課題は多い。経費をなるべく抑え、持続可能な交通体系を確立したい」と述べた。一方でJR北に対し「(支援が不十分な場合)廃止容認の白紙撤回も辞さない。公共交通を担う会社として責任を持って新しい交通体系を実現してほしい」と注文をつけた。
まず、月形町の上坂町長が廃線容認の姿勢を発表しました。月形町は先の通り沿線にスクールバスしか持っておらず、必ず代替交通を運行する必要があります。結果的に
・代替バスを運行したほうが町民の利便性向上にかなう
・JR北がバス運行やまちづくりで財政的支援を約束している
・冬期間はバスの方が運休が少なく安全に運行が可能
という項目で説明したようです。朝日新聞が項目が一つ多いのはさておき、沿線の道路事情が非常によく、現在も4車線化などの改良工事が行われていることと、反面JR路線が冬期に幾度かの運休を余儀なくされる事情があります。
ただ、先に廃線を決めた夕張と大きく異なるのは地元に路線バスを運行する事業者がなく、バス運行事業者選定に苦労するだろうということです。町外の事業者では必ず回送が発生し非効率でありますが、かといって近隣に適当な事業者も見当たらないのが現実です。本数から「町営」にするのも少々規模が大きすぎるのでは?という印象があります。(とはいえ台数、人員規模はそれほどではないが)
hbcnews 2018年06月19日
JR札沼線 沿線の浦臼町長も「廃線やむなし」 月形町に続き鉄道の廃止容認
http://news.hbc.co.jp/afc078e0abfc6a28ed1d6546b7de40cd.html?time=1529538901161
バス転換が提案されている4つの沿線自治体のうち、18日、月形町が廃止受け入れを正式に表明しました。そして19日、隣の浦臼町の斉藤純雄町長がHBCの取材に対し、「廃線の方向に行くのはやむなし」と鉄道の廃止を容認する考えを明らかにしました。
JR北海道は札沼線の北海道医療大学から新十津川までの区間を「単独では維持困難」として廃止を提案しています。その代わり、バス転換を念頭にまちづくりへの支援を表明しています。19日の浦臼町議会で斉藤町長は、JRの支援策に理解を求めました。
「代替バス交通への支援は当然。JR北海道がまちづくりに対する支援をしていきたいと発言。複合施設などの構想は持っている」(斉藤町長)
「現実として1日に1人2人しか鉄道に乗っていない。地域の足ではない。廃線の方向に行くのは、やむなしという思い」(斉藤町長)
また、斉藤町長は今後、札沼線沿線の4つのマチが鉄道廃止の方向にスムーズに行くだろうと話しました。
他のメディアの記事が無いのですが、浦臼町も容認姿勢で、ここは町営バスの拡充という案で基本的な問題はなさそうに思う部分です。
北海道新聞 2018年06月25日
新十津川町長がJR札沼線廃止受け入れ 「苦渋の決断」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/202830
熊田町長は廃線受け入れの理由について、町民の利用が極めて少ないことに加え、札沼線が水田地帯を分断している現状を指摘。JRから線路跡地の無償譲渡を受けて水田に戻し、基幹産業の稲作の振興に向け、ほ場の大規模化を進める必要性を強調した。
また、市街地を新十津川駅、鉄路、防風林が隔てていることから、廃線後は中心市街地整備など、新たにまちづくりを進める考えも強調した。JRとの個別協議で、線路跡地の無償譲渡、まちづくりへの支援、札沼線と並行して走る路線バスへの運行経費支援について、いずれも一定の理解を得たと述べた。
日本経済新聞 2018年06月25日
新十津川町長も廃線容認を表明、JR札沼線
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32215120V20C18A6L41000/
新十津川町の熊田義信町長は25日の住民説明会で「廃線を受け入れることを表明する。理解をお願いしたい」と述べ、廃線容認を表明した。廃線を受け入れる理由としては「ほとんど利用がない」などと指摘。廃線後の代替バスなども運行しない考えだ。
新十津川町は「代替バスを運行しない」ということが示されました。現在の浦臼-新十津川-滝川の北海道中央バスのままで特段困ることが無いということです。JRの拠出金で中心市街地整備を進められるという意味では先例である増毛町と同様となりましょう。路線バスの運行経費支援についてはもとより幹線補助路線であり、町負担分の軽減ということになりましょうか。あと、欲しいのは土地(農地整備)という意味。
最後に現状のJR北海道の運行ですが、この石狩当別以北のために、見た目は他の路線とは変わりませんが、札沼線専用の車両を運行していました。JR北海道に2両だけ存在するキハ40の強馬力仕様車です。列車頻度が低く、積雪量の多い札沼線区間で、雪をかき分けながら走行するためには従来車では厳しい環境でした。このため国鉄時代は不必要な2両編成での運行や、改造車による2エンジン車など、この路線限定の運用を行ってきたわけです。
また、早朝札幌の苗穂運転所を出発し、石狩月形へ回送(減便前は浦臼へ回送)し、夜間も何本もの回送を運行しています。
「JR北海道は札沼線をやめたがっている」のは間違いないでしょうが、現実にこの区間を運行し、ある程度地元要望に応えるためにこれだけの運行をしているのもまた、理解しておきたいものです。