北海道の交通関係

日高線沿線自治体が行わなければならなかったこと

2018/07/02
先週、こんなニュースが流れてきて驚きました。

 

苫小牧民報 2018年06月27日
鉄道以外の交通手段に転換 沿線の首長ら反発-JR日高線鵡川―様似間
http://www.hokkaido-nl.jp/article/6633
JR北海道が単独維持困難の日高線(鵡川―様似間)を含む5線区について、路線維持に関する国の支援を求めず、鉄道以外の交通手段に転換するとした「経営再生見直し案」に対し、日高線沿線の自治体首長らが憤りの声を上げている。7町でつくる日高町村会は、高波被害で不通が続く線区の復旧や一部区間の運行再開をJR側に求めてきた中、事実上の廃止方針に「地域の声を把握していない」などとして反発。同町村会は今後、会合を開いて対応策を協議する構えだ。
路線見直しに絡むJR北の「経営再生見直し案」は今月17日、道や北海道市長会、北海道町村会など6者協議の中で示された。JR単独維持困難13線区のうち、輸送密度(1キロ当たりの1日の輸送人数)200人未満の日高線鵡川―様似、根室線富良野―新得、留萌線深川―留萌など5線区について、バスなど鉄道以外の交通手段に転換。国の財政支援の対象線区から外し、事実上の廃止を打ち出した。さらに5線区の地域との協議の上、年内に方向付けする考えも示した。
この方針に対し、日高線沿線7町は一様に反発。同線鵡川―様似間は高波被害で2015年1月から不通が続く中、線区の災害復旧と一部区間の運行再開、線路と道路の両方を走行できるDMVの導入などをJR北に求め、地域交通に鉄路を生かしたいとの考えを抱いていたからだ。
日高町村会長を務める様似町の坂下一幸町長は「JR北の経営再生見直し案や社長の発言に驚くばかりだ」と憤りを隠せない。平取町の川上満町長は「日高線は地域住民の足として利用されてきた大切な交通機関。JRは地域の声をしっかりと把握していない」と指摘。「これから7町が力を合わせて日高線を復活させたい」と力を込めた。
日高町の大鷹千秋町長は「JR側と運行の復活を前提に協議してきたはずなのに。線区復旧の協議はもうテーブルに載せないといきなり言われたようなものだ」と憤り、浦河町の池田拓町長も「JR北の対応は極めて残念で憤慨している」と言う。今月11日に町村会の会議で路線復旧の方針を改めて確認し合った矢先、JR北から打ち出された見直し案に困惑しながらも池田町長は「日高線は日高と胆振と結ぶ大事な線路だ。道もリーダーシップを取って対応してほしい」と話した。
新ひだか町の大野克之町長は、災害復旧も遅れている状況を踏まえ「われわれの地域はおざなりにされている」と指摘。新冠町の鳴海修司町長も「こちらから提案してきたことにJRは何も応えてくれない」と批判する。えりも町の大西正紀町長も「今までの議論は何だったのか。日高の公共交通を後退させないよう、7町で足並みをそろえたい」と語った。
JR北の「経営再生見直し案」をめぐり、高橋はるみ知事は20日、JR北の島田修社長との意見交換で、鉄道以外の交通手段へ転換するとした5線区について「年内に方向付けしたいとの趣旨の発言をされたが、現在、道も地域に入り、それぞれの線区で地元の方々と最適な交通体系の検討・協議を行っている真っ最中。その議論を地元で尽くしていくことが何より重要」と求めた。
日高線沿線7町は7月下旬にも町村会の会合を開き、対応策を協議するという。

この記事がまさか2018年6月という「今」流れてくることに、日高線が不幸な運休になったことを差し引いても、時の流れに対して何も話が進展しないこと。そして、本当に困っているのは実際に代行バスを利用している人たちであることを考えると非常に悲しいことでもあります。

日高線が災害から3年以上を経過しましたので、既に背景がぼんやりしてきたかもしれませんので時系列で追ってみましょう。

●2015年1月13日公開 日高線 厚賀~大狩部間67k506m 付近における盛土流出について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150113-3.pdf
2015年1月8日厚賀-大狩部にて盛土流失が確認されました。前日12時より低気圧の発達により災害が懸念されたため列車の運行は停止しており、人的な被害はありませんでした。
なお、当該区間は2006年度の防災補助金工事で護岸根固めを行った箇所でありましたが今回の災害を止めることはできませんでした。
鵡川-様似はこの時点でバス代行輸送を開始。
・鵡川-静内4往復(うち1便は日高門別-鵡川)
・静内-様似3往復
(休日は鵡川-様似を2往復)

●2015年1月20日公開 日高線 静内~様似間折り返し運転の実施について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150120-1-2.pdf
災害区間を「車両の移送」として車両基地である苫小牧運転所から静内へ移動させ、静内-様似で列車を運行することにしました。災害区間は旅客運行としての運行はできないが、機械扱いとして低速で走行することで車両を移動させることが可能と判断したものです。
・鵡川-静内4往復(バス)
・静内-様似4往復(列車)

●2015年2月27日公開 日高線 静内~様似間におけるバス代行の実施について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150227-1.pdf
2月21日から鵡川-静内のバス代行本数を1本増やし4.5往復としたものの、2月28日午前中の便を最後に静内-様似の列車運行を休止し、バス代行に戻すことを決定します。災害箇所における土砂流出が進んでおり、車両移送ができなくなったことを受けたものです。3月1日からは鵡川以南全線がバス代行となりました。
・鵡川-静内4.5往復(バス)
・静内-様似4往復(バス)

●2015年3月27日公開 日高線運休に伴う列車代行バスの追加運行について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150327-2.pdf
新年度となり、静内-鵡川にバス1便を増便。
・鵡川-静内下り4便/上り6便
・静内-様似4往復
また、4月29日より一部駅で道路上バス停での取り扱いとしました。

●2015年5月14日公開 日高線列車代行バスの増便及び時刻の見直しについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150514-3.pdf
6月1日からのバス増便を発表。地元バス会社への運行委託、また一部駅の道路上バス停の拡充を行いました。
・鵡川-静内7.5往復(うち1便は富川-静内)
・静内-様似6往復(うち1便は浦河-様似)
8月17日から下校時間配慮のため1便の時刻見直し。
9月に発生した台風の影響で更に豊郷-清畠が被災。

●2015年12月11日公開 日高線列車代行バスの増便及び時刻見直しについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/151211-2.pdf
1月13日から富川高校下校時刻への対応。増便。東町駅バス停を浦河高校近くに変更しました。
・鵡川-静内7.5往復(うち1便は富川-静内)
・静内-様似6.5往復(うち1便は浦河-様似、うち1便は静内-浦河)

●2016年1月14日公開 平成27年9月に発生した日高線における災害箇所の復旧対策費について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160114-2.pdf

●2016年3月1日公開 日高線列車代行バスの増便及び時刻見直しについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160301-1.pdf
3月26日から増便。西様似等の国道バス停停車化。
・鵡川-静内8往復(うち1便は富川-静内)
・静内-様似下り8便(うち1便は静内-浦河)、上り6便

●2016年12月21日公開 日高線(鵡川・様似間)の復旧断念、並びにバス等への転換に向けた沿線自治体との協議開始のお願いについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/161221-4.pdf

●2018年3月13日公開 日高線 鵡川駅~様似駅間 バス代行輸送 運行時刻等の変更について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2018/180313-2.pdf
一部駅の通過と通学時間帯の様似発静内行き便に続行便を運行し交互停車による速達化を図りました。
・鵡川-静内8往復(うち1便は富川-静内)
・静内-様似下り8便(うち1便は静内-浦河)、上り7便
(2018年7月現在現行ダイヤ)

JR北海道のニュースリリースをまず追ってみました。JR北海道が本当に鉄道を投棄したかったのか?という観点を考えると、以下のことは言えると思います。
・できる限りの列車運行を図ったこと
・できる限り地元要請を受けバスダイヤの細かな変更、増便を行ったこと
リリースにはありませんが、一部高校へのバス乗り入れや日高町内の停留所増便も行われました。これは本来鉄道代行バスでは行わないものです。

●代行バスと列車時代を比較
現在のバス時刻に対して、鉄道時代の時刻を比較してみましょう。まずは本数。左が鉄道時代、右が代行バスです。
・苫小牧-鵡川 下り10本上り10本 -> 下り8本上り9本
・鵡川-静内 下り8本上り7本 -> 下り8本上り8本
・静内-様似 下り7本上り7本 -> 下り8本上り6本
必要な区間には列車以上の代行バス本数を出していることがわかります。
次に所要時間を見てみましょう。
・鵡川-静内 鉄道1時間2分 -> バス1時間48分
・静内-浦河 鉄道60分 -> バス1時間13分
・浦河-様似 鉄道23分 -> バス29分
となります。
ただし、鵡川-静内は路線バス1時間29分、高速バス(鵡川以南全線一般道経由)1時間5分程度で運行しています。これは代行バスの場合大きく迂回する駅が存在するためです。

高校の存在する富川、静内、東町への到着時刻を見てみましょう。
・富川(上り)鉄道6:56 8:23 ->バス6:34 7:54(今まで8:23の列車では間に合わなかったのでは?)
・静内(上り)鉄道7:29 ->バス7:40
・静内(下り)鉄道7:33 ->バス7:45(静内農業高校行きのバスは7:50発)
・東町(上り)鉄道6:21 8:32 ->バス6:32(様似側からの通学は路線バス利用がメイン7:41 8:21が存在)
・東町(下り)鉄道7:25 ->バス7:40

帰宅では
・富川(下り)鉄道16:44 17:39 19:02 ->バス15:44 16:46 18:05 20:16
・静内(下り)鉄道16:30 18:35 20:07 ->バス17:14 18:20 20:07
・静内(上り)鉄道16:10 18:29 19:58 ->バス16:05 18:07 19:58
・東町(下り)鉄道17:40 19:39 21:15 ->バス16:29 18:45 21:38(こちらもバスメイン17:06 17:45 19:00 19:13 20:26が存在)
・東町(上り)鉄道16:51 18:47 20:26 ->バス16:10 17:46 20:07
となります。


●報道から見る日高線に関するJR北海道と沿線自治体の対応

 

苫小牧民報 2015年01月14日
復旧のめど立たずバス代行 不通のJR日高線鵡川―様似間
https://www.tomamin.co.jp/news/main/4575/
護岸の被災状況から本格的な復旧工事が必要と判断したためで今後、専門機関による調査、工法の検討だけで1カ月を要するとみており、その結果を待たなければ運転再開も見通せない状況だ。
 西野史尚副社長、伊勢勝巳鉄道事業本部副本部長が記者会見して明らかにした。

 

苫小牧民報 2015年01月28日
静内―様似が20日ぶり再開 不通続くJR日高線
https://www.tomamin.co.jp/news/main/4712/
JR北海道は27日、低気圧による高波の影響で線路脇の土砂が流出した日高線の厚賀(日高町)―大狩部(新冠町)=5.5キロ区間=の被害箇所と、静内―様似間で使用する車両の移送を報道陣に公開した。同社は静内―様似間の運転を同日、20日ぶりに再開したが、鵡川―静内間は復旧作業が難航しているため、依然運行を見合わせている状況。全面開通の見通しはいまだ立っていないという。
 一方で同社は27日から、線路に異常がないと判断して運休になっていた静内―様似間における列車の運転を再開。1日4往復で、これに合わせて苫小牧運転所から毎日、不通区間を通して気動車を回送する見込みだ。鵡川―静内間は引き続き代行バスで対応する方針。
 被害現場は現在、関係社員が毎日、コンクリート護岸や補修で追加した土のう、線路のレール幅の数値の変動を詳細に確認。全面開通にはまだ時間がかかる見通しという。同社の担当者は「車両の移送はできても安全に運行できる営業レベルではない。一時的に修繕できることがあればいいが、今は(2月中旬の)工法検討を待つしかない」と話している。

 

苫小牧民報 2015年04月29日
復旧に30カ月、26億円 高波被災のJR日高線
https://www.tomamin.co.jp/news/main/5513/
JR北海道の西野史尚副社長は28日、高波による被害で一部不通が続くJR日高線の災害対策工事に、少なくても約26億円が必要で順調に進展しても運転再開は2019年8月以降になるとの見通しを明らかにした。JRの工費負担能力は当面、1億円程度が限界との認識も示し、今後の進め方は国土交通省と相談した上、費用負担の在り方を検討していく考えを強調した。
西野副社長は、被災箇所だけを元通りに戻す災害復旧の適用について「元に戻すだけなら安全な運行を確保できない」との認識を示した。災害復旧の場合、JRの負担が総工費の4分の1となるため「負担は厳しく、既存のスキームにない新たなものを(国交省に)相談させていただきたい」と述べ、今回に限り特別なスキームの適用の可能性を求める考えを示した。

 

苫小牧民報 2015年06月10日
緊急要望、日高線早期復旧を 地元町村会総合開発期成会署名提出
https://www.tomamin.co.jp/news/main/5873/
日高管内の7町でつくる日高町村会(会長・小竹国昭新冠町長)と日高総合開発期成会(会長・酒井芳秀新ひだか町長)、道、道議会の新幹線・総合交通体系対策特別委員会は9日、札幌市内のJR北海道本社を訪れ、高波被害によって1月8日から一部不通となっている日高線の早期復旧を求める緊急要望を行った。高校生以上を対象に集めた3万1865人分の署名簿も同時に提出した。

 

苫小牧民報 2015年07月14日
高橋知事 JR日高線被災現場を初視察
https://www.tomamin.co.jp/news/area2/6152/
今年1月の高波による線路被害で運行区間の約8割で運休が続くJR日高線の早期復旧に向け、高橋はるみ知事が14日午前、被災後初めて現地視察を行い、新冠町内の被災現場を確認した。視察後、同町役場で沿線自治体の各町長との意見交換にも臨み、「地元、JR双方のできることを調整し、改めてJR側へ早期復旧を働き掛けたい」とし、沿線自治体や関係機関に理解を求めた。

 

苫小牧民報 2015年09月15日
JR日高線 台風17号で被害拡大、えぐられ線路宙づり
https://www.tomamin.co.jp/news/main/6647/
JR北海道は14日、今年1月の高波による土砂流出で運転を見合わせている日高線鵡川―様似(116キロ)間で、11、12日の台風17号による高波被害が新たに2カ所で発生したと発表した。JRは現在、被害状況の調査を進めている。日高線の復旧をめぐってJRと道、国の3者が費用負担や工法などを協議している中での再度の被災。復旧の行方に大きな影響をもたらす可能性がある。

まずは2015年1月の最初の災害発生から2015年9月の台風での更に広範囲の被害拡大までの報道です。
JR北海道が復旧費用の全負担はできないという判断を行っており、6月に沿線自治体から運行再開の要請を受けたものの、工事は難しいという判断を行っています。また、7月の知事視察でも「区間を分けた2段階の復旧工事を含めた早期運行再開を引き続きJRに求めたい」とJRが復旧費用を拠出すべきという判断を行っています。

事態が大きく動いたのは11月でした。

 

北海道新聞 2015年11月16日
JR日高線の復旧費 国が10億円負担提案
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0202650.html
高波被害のため今年1月から不通が続くJR日高線(鵡川―様似間)の本格復旧に向け、国土交通省北海道運輸局は16日、本格復旧にかかる約30億円のうち、国が事業費の3分の1を補助する方針を固めた。運輸局は18日、JR北海道、道と開くJR日高線検討会議の4回目の会合で提案する。
 国は、鉄道構造物の長寿命化に向けた改良に充てられる「鉄道施設安全対策事業費補助金」を適用する。JRは10月、線路下の地盤が流出した厚賀―大狩部間の復旧費用が約30億円、工期が3年4カ月となるとの見通しを発表。運輸局は、検討会議で国が10億円程度を負担する考えを説明する。

それほど大きい記事にはなりませんでしたし、既にこの記事は閲覧できませんが、30億円と見られる復旧費のうち1/3である10億円を国が負担するという判断をしました。

 

北海道新聞 2015年11月17日
JRも10億円負担方針 日高線復旧、沿線自治体協力が条件
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0202896-s.html?df=1
高波被害のため今年1月から不通になっているJR日高線鵡川―様似間の運転再開に向け、JR北海道は16日、沿線自治体が継続的な利用促進策を示し、一定の財政支出も行うことなどを条件に、線路の地盤が流出した厚賀―大狩部間の本格復旧に必要な30億円のうち10億円を負担する方針を固めた。JRはこれまで、約1億円の準備工事費以外の負担は困難との姿勢を見せていたが、方針転換により運転再開への協議が前進する可能性がある。

これを受けてJR北海道も1億円の負担しかできないという判断を撤回し、同じく1/3である10億円の負担を行うことを表明しました。この記事も大きいものではありませんでしたが、誰もがこの方法で事態が動いていくだろうと思ったはずです。ただ、当然復旧については沿線自治体の利用促進策を条件としています。これはJRとしても譲れない一線だったわけです。ただ復旧しても赤字が積み上がることには変わりが無いのですから、実効的な利用促進はあってもよかったのですね。

 

北海道新聞 2015年11月17日
日高線の議論加速を期待 JRに沿線首長、全面復旧求め要望書
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/politics/politics/1-0202869-s.html
高波被害のため1月から不通が続くJR日高線(鵡川―様似間)の早期全面復旧を求め、沿線自治体の首長らが16日、札幌市中央区のJR北海道本社を訪れ、西野史尚副社長に要望書を手渡した。JRと道、国土交通省北海道運輸局が18日に開く「JR日高線検討会議」では、復旧費用を3者が3分の1ずつ負担し合う補助制度活用の検討に入る見通しで、沿線住民も議論の進展に期待している。

同じ日の新聞に再度沿線自治体が要望書を手渡したことが報道されています。残り1/3の沿線自治体・北海道庁負担と利用促進策。これで日高線がまず復旧できるのですから、本当に日高線が必要であると沿線が考えるのなら、この費用は拠出するだろうと私は思っていました。

 

NHK 2015年12月14日
JR日高線利用促進で協議会
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20151214/4231091.html
運休が続いているJR日高線について、地元の自治体とJRなどが鉄道を維持していく仕組みを考える協議会の初会合が14日、日高の新冠町で開かれ、JR側は自治体から提出された鉄道の利用促進策だけでは復旧を進められないとする考えを示しました。
この協議会は先月開かれた国と道、そしてJR北海道の三者の会合の中で、地元自治体も交えて利用促進策を話し合いたいとJRが提案したことから開かれたものです。
新冠町役場で開かれた初会合には国、道、JRの担当者と、日高線沿線の7つの町の町長が参加しました。
この中でJR側は、日高線を維持できる仕組みはJRが合意できるものでないと復旧費用の補助金の申請や復旧工事そのものを進めることができないという考えを示したということです。
また、沿線の自治体などが示している日高線の利用促進策については、これまでに示されている案だけでは、復旧工事を進めることができないと述べたということです。
会合のあと、新冠町の小竹國昭町長は「協議会が開催されたことを第一歩として前向きにとらえ、具体的なことは今後、詰めていきたい」と話していました。

 

苫小牧民報 2015年12月15日
赤字負担に沿線自治体困惑 JR日高線全面開通へ協議会
https://www.tomamin.co.jp/news/main/7361/
低気圧の高波による線路の被災でJR日高線の一部区間が1月から不通となっている問題で、全面開通に向けた方策を考える「JR日高線沿線自治体協議会」の初会合が14日、新冠町役場で開かれた。JR側は「持続的に運行を維持できる仕組みを構築できなければ、復旧工事には着工しない」との考えを示し、運行赤字や車両更新に掛かる費用の一部負担を沿線自治体に求めた。
非公開となった会合で地元町長らは、11月に提出した日高線の利用促進策について説明。日高線を軸とした観光客の誘致や新たな観光資源の発掘などの取り組みを示した。それに対し、JR側は「利用促進だけでは持続可能とはならない。赤字や車両更新の費用の負担も必要」と沿線自治体の一部負担を求めた。

なんか風向きがおかしいぞ?という観点があります。実はこのとき沿線自治体がいったいどのような「利用促進策」を出していたのかが全く報道されませんで、JR北海道が無理難題ふっかけているのではないか?という印象を個人的には持ちました。ただ、運行赤字、車両更新という言葉がここで出てくるのが不自然ではあるので、「利用促進策」の結果このような話になったと考えたわけです。

 

知事定例記者会見記録 2015年12月17日
北海道知事定例記者会見記録(2015/12/17)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tkk/hodo/pressconference/h27/h271217gpc.htm
地元自治体のほうで、自主的にさまざまな利用促進策をお考えいただいておりますが、考えていただいたことのご努力は多とするけれども、今の内容ではちょっと不十分であるという発言がJR北海道の取締役のほうからあり、これは事実のようであります。
 しかしながら、後段に言われた赤字の穴埋め、あるいは車両更新に係る費用の一部負担、そのことについて直接地元の沿線自治体に求めるという、そういう発言はなかったと。そういうことも課題になりますねというような、言葉の問題ですから、その場で聞いておられた方々がそれぞれにいろいろな理解をされたのだと思うのですが、私が報告を受けているところによれば、JR北海道の取締役から、運行に係る自治体負担を求めるという直接的な表現はなかったというふうに報告を受けているところであります。

北海道知事も会見で(ちょっとまだるっこしいが)「直接地元の沿線自治体に求めるという、そういう発言はなかった」としています。非公開の会議の席ですので、先の発言は会議後のぶら下がり取材でどこかの町長が発言した内容ということになります。
そして、この会見では知事からも重要な発言がなされています。

(日本経済新聞)
 今の質問に関連してなんですけれども、日高線の復旧工事費に関しては、道としても応分の負担をするという話を知事がされてますけれども、今回出てきた運行そのものに対しての赤字の補填(ほてん)であるとか、運行費補助とかいった、そういった運行面でも道庁に対して費用負担を今後JRが求めてきた場合には、どのように対応されるおつもりでしょうか。
(知事)
 地元自治体ではなく、道に対してそういう要請があったらどうするかということですか。全くその気はございません。

これ、そのまま記載されています。つまり、北海道知事が日高線運行費補助を一切拠出しないということが確定された瞬間であるわけです。復旧工事費についても明確な拠出への話は無く、最初から1/3負担ルールを存じていないのではないか?という印象を持ちます。

さて、協議会は2016年になって3回目が5月26日に開かれました。この報道でやっと沿線自治体がJR北海道にどのような「利用促進策」を持ったのかが明らかになるわけです。こういう事業をやれば利用促進になるよね?と沿線が考えたものです。

 

日高報知新聞 2016年5月27日
経費が収入を上回る
町側の要望事項をJR北の現状を踏まえて収支想定したもので、
①新駅の設置(浦河町内に設置と想定)
②札幌への直通列車(札幌~静内間を毎日運転と仮定。高速走行できる車両と予備を含めて2編成で計8両を新製)
③サイクルトレイン(苫小牧~様似間を夏期週末48日運転と仮定。新型車1両を新製)
④イベント列車(札幌~様似間を、夏期を除く週末を中心に年48日運転と仮定。千歳線直通となるため4両を新製)
⑤行き違い設備の新設(ホーム増設と用地の費用除く)―で年間経費は3億3800万円掛かるのに対して収入は5200万円と想定している。
会合は非公開で行われ、各町長からは収支検討結果について「かなり厳しい内容」、「災害復旧の観点で考えてほしい」との声が上がったという。意見交換の結果、①鉄道事業者のノウハウを生かして収支のバランスを保てるような方策②日高線を持続的に維持するための取り組みの提案―の2点をJR北が再度検討した上で次回の協議会で説明してもらうこととした。
記者会見で日高町村会長の小竹国昭新冠町長は「利用促進策について回答をいただいたが、車両を新しくするとは想定しておらず、既存の列車も使いながら対応してもらえると考えていたが、できないとの説明だった。なるべく経費をかけない中で持続的に運行できるような案をJR北に考えてほしいとお願いした」と話していた。

つまり、利用促進にはJR北海道の車両や設備に関する「設備投資が必要である」という認識だったわけです。そのときに車両や設備への金額の一部は自治体が持ってもいいという観点もあったものと思われ、要は利便を上げないから乗らないのだという観点で話をしたと思われるのです。
結果「車両を新しくするとは想定しておらず」「なるべく経費をかけない中で持続的に運行」というあからさまに矛盾した内容が沿線自治体からJRにもたらされるわけです。

結果的に第4回(2016年8月8日開催)協議会では決裂することになるわけです。

 

苫小牧民報 2016年8月9日
http://www.tomamin.co.jp/20160841432
JR北海道、各町に負担求める JR日高線沿線自治体協議会
JR北海道は、同線を持続的に維持するためには、単年度赤字額と防災・老朽対策費を合わせて年間16・4億円の費用が掛かるとし、JRと沿線自治体の費用負担が必要との考えを示した。会合に出席した自治体からは「金額の積算根拠が不透明」「自治体で負担でき得る金額ではない」と困惑の声が広がった。
会合に出席した日高管内7町の首長らにJR側が示した、日高線維持に向けた年間費用の内訳は、単年度の赤字額で11・1億円、防災・老朽対策費で5・3億円の計16・4億円。「JRも負担するが、自治体にも負担していただきたい」と求め、負担割合については言及せず、「誰がどのように負担していくか、引き続き相談させていただきたい」と述べた。
また、沿線自治体が提示していた新駅設置や静内―札幌間の直通列車運行など利用促進策について、JRは「効果は極めて限定的」と指摘し「沿線住民の日常的な利用の大幅な増加が不可欠」との見解を強調した。
路線維持費の負担を求められた自治体側は「年間16・4億円という積算根拠が不透明だ」とし、経費圧縮を含めて精査した上で、次回会合で費用の詳しい内訳を明らかにするようJRに要望した。
会合の終了後、取材に応じた小竹国昭・新冠町長(日高町村会会長)は「地元だけで負担できる額ではない。JRが負担額をどう考えているのかが見えない」と困惑した表情を浮かべた。
会合に出席した他の首長からも、JRに対する不満の声が上がった。池田拓・浦河町長は「あまりにも膨大な金額で根拠も不明確。復旧を断念せざるを得ないよう金額を膨らませているのでは、と疑いたくなる」と語気を強めた。坂下一幸・様似町長は「JRは、路線維持は困難という現状説明に終始するばかり。協議会は復旧策を話し合う場のはずだ」と述べ、路線再開への具体的な協議が一向に進まない状況にいら立ちを見せた。
日高町・三輪茂町長は「交通弱者の足の確保は国の責務でもある」と指摘し、「自治体が膨大な費用を負担するのは難しい。道や国も路線維持に取り組んでもらいたい」と話した。
日高線は昨年1月の低気圧の影響で線路下の土砂が流出し、鵡川―様似間(116キロ)で不通が続いている。JRは、列車運行を再開するには今回示した年間16・4億円の費用とは別に、線路復旧費として約38億円掛かるとしている。

 

日高報知新聞 2016年8月10日
地元に一部負担求める
このほか、JR北から日高線利用促進策について、これまでも札幌直通臨時快速列車「優駿浪漫号」(平成10~25年)やヘルシーウォーキングにあわせた臨時列車の運行、「1日散歩きっぷ」の発売など取り組みを行ってきたが、「利用促進策の営業収支改善に向けた効果は極めて限定的。輸送密度を向上させるためには、沿線自治体の日常的な利用を増やすことが不可欠」との説明があった。


 

苫小牧民報 2016年9月9日
http://www.tomamin.co.jp/20160942404
首長ら「到底無理な金額」 日高線維持へJR提案
新冠町役場で8日に開かれたJR日高線沿線自治体協議会の第5回会合で、JR北海道が提示した日高線維持の方策に対し沿線各町から反対や困惑の声が広がっている。高波被災で昨年1月から不通となっている路線の復旧後、維持に必要な年間費13・4億円を地元自治体で負担するか、車両や鉄道施設などの保有や管理を地元で受け持つ「上下分離方式」の二者択一の内容だが、いずれも地元自治体にとって重く、厳しい内容。JRが運行維持費とは別に試算した復旧費38億円は、8月の台風被災でさらに膨らむ見通しで、運行再開への道のりに不透明感が増している。
「自治体での負担は非常に困難な金額だ」。協議会の会合終了後、取材に応じた日高町村会長の小竹国昭・新冠町長は困惑の表情で語った。
JRは会合で、災害復旧後の単年度赤字額11・1億円、防災・老朽対策費5・3億円の計16・4億円のうち、JRは3億円、地元負担は13・4億円とする内容を提示。別の案として、列車の運行はJR、鉄道施設や車両などの保有と維持管理は地元自治体が行う上下分離方式を示した。
いずれの方策も、JR側の年間負担額は列車運行費の約3億円のみ。会合に出席した道総合政策部の黒田敏之交通政策局長は、会合後の取材に対し「道は財政支援を考えていない」と述べた。

「道は財政支援を考えていない」が完全な北海道庁の言い分ですね。もうどうしようもない。

これでこのJR北海道のプレスリリースが出てくるわけです。

●2016年12月21日公開 日高線(鵡川・様似間)の復旧断念、並びにバス等への転換に向けた沿線自治体との協議開始のお願いについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/161221-4.pdf


ここまで見て、JR北海道が沿線自治体に無理難題をふっかけたとも取れますし、現実には各路線維持にはある一定の負担が必要であると言い続けていたJR北海道としても、ここは譲れない一線であったことも間違いないところです。
沿線自治体が「利用促進策」としたのは、全く自分達が乗るというものではなく、対札幌等からの観光客が乗るために直通列車やサイクルトレインを作り、交換設備を復活し本数増やせという形に推移したというのがあります。
JR北海道が思っていた「利用促進」せめて「自分達が使うんだ」という姿勢は見たかったのではないかと思うわけです。

現実的に日高線沿線から札幌方面への利用は延伸し続ける日高道を使いクルマで行く方がよっぽど早く行けるわけで、高速バスも含め最初から「お客」ではなかったわけです。仮に今の高速バスの便数、定員分が全てJRを使ったとしても赤字の解消にはほど遠いわけで、利用促進策が大変なものであることは理解しつつも、現実にはやはり「不要」と思っている節があるわけです。

ですので、最終的に困るのは時間がかかる代行バスを利用する通学生と、病院等の必要な場所から遠く離れた場所で降ろされる通院等の「日常利用客」そのものだったりするわけです。

新ひだかの前町長酒井氏はテレビ北海道「けいざいナビ」(2017年4月22日)で「地域で地方公共交通を一生預命考えようとしても得られるものは少ししかない」「バス転換はいつでもできる」と豪語しましたが、その地域で交通網を考えずに中途半端な代行バスという実質的なバス転換をしてしまっているのが現在の日高線の状況です。
https://www.youtube.com/watch?v=DaD9Rh8hdmY

そして唯一(内容はともかく)自分の言葉でブログで語っていた酒井元町長は失脚。現在の町長大野氏も含め、自分の言葉で日高線をどうしていきたいのか、沿線の交通機関をどうしていきたいのかを語ることはありません。

最も「日高線沿線自治体が行わなければならなかったこと」は語ること。これから自分達の町をどうしていくのか、日高線をどうしていきたいのか、発信することです。各町のWEBページに日高線の記事は全くと言っていいほど見ることはできません。それが残念なことなのです。

カテゴリ: 北海道の交通関係 日高線 留萌線 路線バス

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