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北海道の交通関係
「わがまちご当地入場券」発売開始から1年
2018/07/21
JR北海道が鉄道への利用促進と各地域PRとして開発した商品が「わがまちご当地入場券」です。今までも「観光記念入場券」などの限定きっぷを発売してきているJR北海道ですが、これを自社路線の沿線自治体を「募って」行うことにしたわけです。結果的に断った自治体はなく、全101自治体で発売が開始されました。
あらためて「わがまちご当地入場券」とは
JR北海道の駅が存在する自治体(北海道内100自治体、青森県内1自治体)に1デザインの駅入場券を発売するものです。さて、わがまちご当地入場券について、最初に驚きを持って見たプレスリリースをもう一度確認してみましょう。
JR北海道 平成29年4月12日
「JR北海道わがまちご当地入場券」の展開について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2017/170412-2.pdf
発売箇所は駅で切符販売を行っている場合は駅で発売、それ以外は駅近辺の施設・商店での販売を「自治体様の協力、ご仲介」で対応。
券面表面は自治体内で撮影された鉄道風景等(これはJR北海道が選定)を図柄とし、裏面は自治体がデザインしたもの。
入場券自体の作成経費はJR北海道が負担する。発売数量は制限しない。
このプレスリリースの見本様式に似せて各自治体が作成したことがおわかりいただけるかと思います。ただ、その中でも胆振、日高の各自治体が「Nittan(日胆)」をイメージした共通コンセプトでの発売や沿線外の自治体でのレプリカ入場券配布を行ったり、留萌線沿線自治体が共通ロゴをデザインした例などもあります。この入場券の作成に関して、各自治体のチカラの入り方が全く異なっていることが、券面でも発売箇所面でも表に出たともいえるわけです。
あくまでも自治体の「任意の協力」としたご当地入場券。たいしたやる気の無い自治体はあったにせよ、結局は全101自治体で発行することが決定、また、券片の一部を応募券とし、地元特産品プレゼントや列車カードの特典の開始。また購入駅付近での特典なども一部の自治体で行うことも決定しました。
JR北海道 平成29年7月12日
「JR北海道わがまちご当地入場券」を発売します
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2017/170712-1.pdf
2007年7月20日まず81箇所で発売が開始されました。私もまず札幌駅で1枚目を購入しました。既にこの81駅の段階でJRだけでは収集できない駅から大きく離れた発売箇所(鹿部駅など)もありました。
また、専用コレクションファイルの発売も行われました。このようなファイルとして発売するのは個人的に想定外で、どう集めたものをファイルしようかと考えていたところに朗報になりましたし、ファイルを買ってしまった以上集めたくもなっちゃいますよね。ファイルは即完売し増刷し、最終的にはセイコーマートでも発売。さすがにこれはもう入手は難しそうです。本当に必要な人に回ったのかはわかりませんが、一時的には潤沢に出回っていたので、集め始めた方の手元に入ってるとは思いたいのですが。
そして、券面0001番0002番は額装し各自治体に寄贈するというのも行われました。この券がどこに飾ってあるかで各自治体の意識が伺えるかもしれません。
さて、このときのプレスリリースを読んだ方はちゃんと理解していますが、この「わがまちご当地入場券」は「限定数は儲けず随時増刷」また「当面の間、継続的に発売」としていました。また、発売箇所の年末年始休業、夏季・冬期発売時間なども掲載されていましたので、当初から少なくとも1年以内での終了は想定していなかったと考えられます。そもそも裏面デザインを地元自治体に依頼して、各自治体もそれなりの予算を計上し作成しているものがそんな短期間で終了になるわけがないのです。
ですので「年内で終了」や「30年3月終了」などと書かれている無責任なTwitterなどでの発言はどれもデマです。
しかしながら夕張リゾート公式のような「30年3月終了が延長になった」などという発言はお前の会社とJR北海道との「発売委託契約」の話だろうと。基本半年ごとに契約についての話があるはずなので「再再延長のご判断」はあくまで夕張リゾート社が発売可能な施設かどうかの話での延長という意味で、ご当地入場券自体の発売期間の話とは別問題なわけです。そういう意味で夕張リゾート社の発言はあまりにも軽率すぎて企業としての情報管理体制を疑います。
発売箇所の拡充
さて、わがまちご当地入場券については当初から土日祝日や夜間購入できない駅が存在していました。それでも2ヶ月で12万枚を超える商品となっており、現地を訪問したのに購入できなかったとしてクレームが寄せられていたと推測されます。JR北海道 平成29年9月13日
9月15日(金)より北海道内のセイコーマート23 店舗で、JR北海道わがまちご当地入場券の発売を開始します。
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2017/170913-1.pdf
そこでセイコーマートの地元店舗での発売を行うこととし、これをセコマ社(セイコーマート運営会社)とともにプレスリリースしました。これは単なるJR北海道と各店舗との委託契約ではなく、セイコーマートとの企業間でこの発売を行うという「提携」という意味合いになります。これで北海道の物流大手セコマとの連携が行えれば今後のJR北海道の運営、発売方法の拡大にも繋がる話ですし、セコマにとっても地方店舗の利用拡大に繋がる双方に利のあるものとなりました。その後もセコマとJR北海道ではいくつかの共同事業が出ていますが、その最初ということになります。
JR北海道 平成29年10月24日
「JR北海道わがまちご当地入場券」101駅目の発売を開始します
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2017/171024-1.pdf
さて、当初81駅からはじまったご当地入場券が全101駅発売となったのが10月27日です。(これから考えても年内終了なんてあり得ないだろうと)この時点で18万枚の売上があったということでJR北海道にしても3000万円以上の売上なのですからバカに出来ない数字です。2018年3月には30万枚を突破し、同様の現地購入型入場券である「キハ183系初期型車両記念入場券」を発売します。
とはいえ「ご当地入場券」は儲かるわけではない
ご当地入場券のコンセプトは「現地に行かないと購入できない」です。JRの路線を使うが使うまいが現地に到達しないと購入できないという商品は「交流人口」という面でプラスになるわけです。例え車で回ったにせよです。しかしながら、こんな170円という金額の切符1枚で儲かった儲からなかったというものではないでしょう。JR北海道の本当の目的は利用促進と地域地元自治体との対話のネタだったわけですから、そこはある一定の鉄道利用でJR北海道の利用あって集めるのも必要ではないかとも思うわけです。十勝毎日新聞 2017年11月9日
JR北海道の「わがまちご当地入場券」全101駅分ゲット! 音更町の穂積さん
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171109-00010000-kachimai-hok
穂積さんは「私が集めたのは50駅ほど」と笑顔で話す。
収集のため運転した車の距離は約1万キロ。綿密にスケジュールを立て、1日最大20駅ほどを回ったが、摩周駅では到着が営業時間を20分すぎて購入できず、翌週、再び買いに向かうなど苦労もあった。
北海道新聞 2018年04月04日
ご当地入場券、道内全101駅収集 拓殖道短大講師・網谷さん JRとバスで全道巡る
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/177468
「地域の公共交通を利用しよう」と、交通手段はJRと路線バス、コミュニティーバスに限った。商店などで販売する入場券は駅発売とデザインは同じだが、特有の記号が印刷されているため別に購入した。
2つの記事。別にJRを使わず何万キロでも車で集めたっていい。それが自己満足の世界だからね。しかしね、駅を降りて街を見るのと、車で街を見るのと随分印象が異なる。それ以前に先の記事の音更の方は自分の「博物館」でご当地入場券の転売も行っていて、まぁ、そこで購入する人もいるんで需要と供給なんでしょうけどね。彼らは鉄道が好きであってもJRが路線維持するには「売上が必要」という概念は無いわけです。そもそもJRが好きで集めてるわけでもないのでしょうし。でなければ、このような行為をすることすら思い浮かばないわけです。
ただ、現地に行かないと見えてこないものも沢山あるわけです。JRの路線維持問題だけでなく街を見ると街の課題なんかも見えます。公共交通機関だけで無く役所と病院と学校の位置関係や老人施設、子供関係施設の有無なんかもふくめ、街を歩いて見えてくるものが多いのです。
私も偉そうにJRとバスを使って集めているとは言っても、街の滞在時間を取れないことも多々あります。停車時間数分で買うこともありますしね。でも、1時間も街にいて、駅から歩いたり温泉入ったり、レンタサイクルで街を巡ると、本当にいろんな風景を見ることができます。逆にやめられない感覚なんですよね。
第二第三の「ご当地入場券」を
JRのきっぷというのは基本的に使ってしまえば手元に残らないものです。旅行が終わって自動改札機に入れれば多くの場合切符は回収されます。しかし、入場券のような「使う」という観点ではないきっぷは手元に残ります。こういう使わないことが前提のきっぷはJRにとって珍しいきっぷだったりするわけです。そもそも無人駅の「入場券」なんて本来発売する必要のあるものではありません。無人駅は駅ホーム立入に制限がないわけですね。そんななか「入場券」を発売するのは「道の駅記念きっぷ」以上にその目的や通用の不明なものです。(現に道の駅記念切符は一時期問題になったことがある)
とはいえ、単純な来駅記念、来地記念としての「入場券」というのは、その地を訪れた記憶とともに長く残るわけですし、私も手元に残るきっぷで旅を振り返ることができます。
ファンが鉄道会社にお金を落とすのは難しいものです。実際に乗るのが難しい路線などもありますし、そのなかで、簡単に支援できるのは切符を買うことです。鉄道会社も営利企業ですから売上の無い場所の維持は難しい、とはいえ、ファンも「買うものがなければ」買うことができないわけです。

JR北海道がご当地入場券同様の着地型入場券としてキハ183系入場券を出しましたが、同様に第二弾第三弾を出して欲しいところでもあります。その都度ファンは鉄道を使って現地に行きたいわけです。(実際そうではないのかもしれませんがね)
JR北海道には一部の駅では懐かしい「硬券」と言われる入場券も扱っています。(旭川支社ではホームページで公開、他に釧路支社などでも扱っている)また、いくつかの無人駅でも簡易委託や券売機による切符販売を行ってます。そういう地域も含めて「入場券」もっと大々的に扱ってもいいように思ったりします。
(ただし、入場券は乗車券ではないので線区利用実績などには編入されない)