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北海道の交通関係
JR北海道の「5区間廃止」の次の一手
2018/07/23
「国からの支援」関係の話が出てきたということは、当然「次の一手」をJR北海道側が投げなければ先に進まないわけで、当然最初から「バス等への転換についてご相談」である輸送密度200人未満の5区間の廃線は致し方ないわけです。
大事なことは「路線を維持するために国が支援するわけではないこと」です。これを認識しなければなりません。逆に言えばこの5区間を沿線自治体と沿線企業で「自分達」が維持することを否定はされていないわけですから、本当に「鉄道を」残したいのであればJR北海道が維持しなくても自分達が維持に動けば良いのです。
朝日新聞 2018年07月22日
経営難のJR北、赤字5路線5区間廃止へ 国・道は容認
https://digital.asahi.com/articles/ASL7P5HWBL7PIIPE023.html?rm=375
国と北海道は廃止を容認しており、JR北海道は早ければ年内にも廃止を決めたい考えだが、一部自治体との協議はまとまっておらず、同意を得られるかが焦点だ。
対象は留萌線、石勝(せきしょう)線夕張支線の全線と、札沼(さっしょう)線の北海道医療大学―新十津川駅間、根室線の富良野―新得駅間、日高線の鵡川(むかわ)―様似駅間。1列車あたりの平均乗車人数が10人前後と少なく、島田修社長は「国や地域に負担を求めて鉄道を残すより、バスに転換した方が利便性が高まる」としている。
朝日新聞の記事ではすでに「北海道」が廃線容認であるとしています。札沼線など地域視察に行った知事にしても最初から廃止ありきの発言をしていますし、そもそも池北線三セクのふるさと銀河線を廃止したのも現在の高橋知事であるわけで、最初から知事は地域交通に関しては鉄道である必要はないという認識でいるものと思われます。
廃止して困る人、困らない人
鉄道の廃止は1mmでもまかりならんという方は世の中にそれなりにおいでです。その方々は現実に地域で路線を使っているわけでも、その路線で何が起きているかを知る方でもありません。まして「根室線の一部の廃止は災害時の代替交通に困る」という方は現実の災害はそううまく代替路がある場所で起きないことも気がついているはずです。
最も問題なのは鉄道の維持の前に、地域のバス網がすでに維持不可能になってきていることです。場所によっては並行バス路線すら無い地域もあります。これの意味するところはその区間の移動需要が極端に少ないということです。鉄道よりも停留所を細かく設定できるバスは利用客にとって身近な交通機関。しかも、鉄道よりも安価に運行が可能で、まして地域の自治体運営も可能であるほど運営のハードルも低い。その中で沿線にバス路線が無いのなら「需要が無い」路線な訳です。
何度か書いている留萌線沿線のバス路線は今のままですと維持できなくなります。つまり、わずかに存在する鉄道での需要を合わせて「バスを維持する」方向に動かなければバス維持が間に合わないのです。各自治体と北海道、国が出すバスへの補助金だけではもうバスが運行できない状況にまで追い込まれ、利用客がこれ以上減ればその国からの補助金すら受けられなくなる危機感をどれほどの自治体が共有できているのでしょうか。
根室線(富良野-新得)はもっと深刻です。そもそも振興局境で通学需要も極端に少ないわけです。しかもインバウンド需要、観光需要は「富良野-トマム」ですが、道路は途中未舗装でバスは占冠か幾寅を迂回することになります。逆に根室線と石勝線が接続する上落合信号場から新得を片道20km以上往復することになる鉄道はこの区間の利用が極端に不便であります。このことをいつまで無視してるのでしょうか。
現在、富良野-金山-占冠、幾寅-トマム-占冠の占冠村営バスだけがこのルートを移動できる交通機関です。しかし、現実には本数の少ないこれらのバスは接続が悪く非常に使い勝手が悪いわけです。
実際に富良野-占冠の午後便に乗車してみましたが、大きな荷物の外国人観光客が乗車しており、占冠駅でトマム方面へのアクセスが全く無いことをしきりに占冠駅の駅員氏と相談、最終的には高額なタクシー移動を選択するなど、正直なんて優しくない交通機関なんだと怒りさえ覚えます。
これは根室線が東鹿越でバス乗換で不便なんていう話よりもっと優先的に取り組まなければならない話で、少なくとも富良野-幾寅-トマムへのバスアクセスルートを確保しなければならないでしょう。富良野-幾寅-新得という現行ルートはサホロリゾートへの需要と一緒に考えることも必要で、場合によってはトマム・新得両ルートを幾寅で乗り換えさせるような観点も必要になります。「鉄道のルートをそのまま置き換える」バス構築だけでは不便で、それは鉄道のルートが全く需要と合っていないともいえるわけです。
8月から災害で運休、バス代行が続く日高線沿線では浦河-苫小牧-新千歳空港を運行する「うらかわ号」を「ひだか優駿号」として直通させることを発表しました。
JR北海道と道南バスが沿線利用客が様々な場所に利便高く移動できるルートとして構築したものです。
このバスは浦河-静内-新千歳空港を速達する使命の他に、えりも、平取方面から新千歳空港への利便を高める意味合いもあります。新千歳空港9時台の到着ならたいていの地域への直行便に間に合います。現行の11時頃の空港到着では午後からの便にしか乗り継げなかったわけです。同様に15:40発だった空港からの出発も16時台となります。
これをJRのバス転換の布石というのは簡単です。しかしながら日高に実際に住む人が不便になっているのは鉄道が無いからではなく、中途半端なバス運行がもたらしているものです。現実にバスと鉄道はそれほど所要時間に遜色が無い運行が可能なのに、集落を飛ばし、利用の少ない駅を経由し時間を掛けて運行しているのが代行バスなのです。
地域が本当に行きたいところ、そこへの利便の高い交通機関を考えて行くことが大事なのです。この地域は高速バスすら減便されていることに危機感を持たなければなりません。
石勝線支線、札沼線北海道医療大学以遠はほぼまとまったように見えますので言及しませんが、地域が「自分達の利便の高い交通網」をどう維持していくかが大事なわけです。鉄道が本当に利便が高く、自分達が便利に使っているわけではないから廃止されるだけの利用客しかいないのです。