北海道の交通関係

列車内の「供食設備」(食堂車・車内販売など)をどうして神格化するのか?

2018/08/02

また、いつもの方が、いつものようにJR北海道を叩けばよいという形でブログをお書きのご様子でありますが、そんなことより「前社長」なんて未だに元の企業名を使ってご自分の意見を書くのは私は正しくないと思います。まぁ、信者もおいででしょうからね。

JR北海道をというより北海道民の移動そのものを批判されるというのはなかなかできないものです。私からすれば本州の方の行動には些か意味不明なものがあると思っていますが、それをわざわざ書きはしません。私が知らないだけで、それが大事かも知れないじゃないですか。ならば逆に北海道民がどうして列車(車も含めて)で長時間の移動を是とするのかは、そりゃおわかりいただけないんでしょう。

とはいえ、昨今JR北海道の各列車からは恐ろしい勢いで車内販売が消え去っていき、列車に乗ると飲まず食わずで目的地まで向かわなければならないじゃないか?と言われますと、その通りでもあります。私も列車を利用する時は飲んでも飲まなくても乗車前にお茶2本と軽く食べられるものを仕入れておきます。
これ自体は車内販売があろうが無かろうが変わりませんし、クルマなどで出かける際も家から1本、市内の早い段階で1本仕入れておくようにしています。これは、今のようにあちこちにコンビニがあるとは限らないですし、地方だと思い込みだけで動けばコンビニが潰れて無くなっていたってのは少なくないからですね。

北海道内の車内供食の歴史

JR北海道はなぜ車内での飲食販売を廃止しているのか?この辺りから考えてみたいと思うんですね。国鉄時代を含めますと、1961年に初めて北海道に特急が走ったわけですが、当時は列車に「食堂車」が連結されていたわけです。現在よりも所要時間がかかり、コンビニなど無い時代ですから、持ち込みで食事を取るのは「駅弁」くらいしか無かったからですね。

1981年に石勝線が開通し新たな特急車両キハ183系が導入されたときに「食堂車」は製造しませんでした。そのかわりグリーン車に車内販売の準備室兼売店カウンターが設置されました。当初は車内で弁当の調製まで行われていたのです。当時の事業者は日本食堂で札幌と函館に基地を持ち、それぞれで作られる弁当は違うものでした。「いくら弁当」を車内で購入した記憶のある方も多いのではないでしょうか。
この183系が徐々に数を増やして、食堂車つきのキハ82が両数を減らしていきますと、徐々にこの車内調整の弁当も少なくなっていきます。これは当時列車食堂で勤務していた従業員を減らしていったことでもあります。そして列車の所要時間が短くなると食堂、弁当の需要が減っていくことでもあるわけです。

そして、80年代後半から90年代にかけて「駅弁ブーム」がおこります。北海道は比較的駅弁業者が残っていましたので、事前に駅弁を購入して列車で乗るという方が増えます。また、それまで日配品を多く扱っていなかった駅キヨスクでもある程度安価におにぎりなどが購入できるようになってきますと、車内で弁当を買うことが少なくなってきます。

JR化後、徐々に減らした車内販売での供食設備。それでもJR北海道では札幌圏の電車特急(これも国鉄時代は車内販売があった時代がある)以外の車内販売は維持してきました。1998年に車内販売を行っていた日本食堂(地域分割でにっしょく北海道となっていた)を会社清算。そしてこれを前に1997年から客室乗務員による直営の車内販売サービスを始めることになります。

客室乗務員による車内販売サービス

JR北海道が直営の客室乗務員によるグリーン車サービス、車内販売サービスを始めたのは1997年3月のスーパーおおぞらデビューまで遡ります。今から20年前のことです。
スーパーおおぞらは先に開発されて実用されていたスーパー北斗の振り子構造をさらに進めて、より厳しい環境の根室線に特化して作りました。そして革張り電動リクライニングシートのグリーン車を備え、あわせて客室乗務員によるサービスが開始されたのです。その後スーパー北斗で、さらに1998年からは道内長距離特急の全て(当時存在した夜行を除き)で客室乗務員のサービスを提供始めます。既にJR九州では客室乗務員サービスを行っており、JR北海道も新特急に合わせて入念に準備を進めていたわけです。(そのJR九州も今は車内販売、グリーン車サービスは新幹線や一部の観光列車のみと縮小しました)

彼女たちは契約社員ではありましたが、彼女たち自らがサービスを考え、商品を吟味し、そして、列車の華として活躍されました。札幌駅等でグリーン車の前でお辞儀をする彼女たちを見て、ステキだなと私は思っていたわけです。
グリーン車デッキ部には飾り付けが、バレンタインデーにチョコのプレゼントがあったりね。これ2011年までやってたんですよ。

車内で弁当などを作ることは当時ですら既にありませんが、始発駅出発時と途中駅で弁当の積み込みがありました。例えば函館を出発してすぐに頼んでおけば長万部駅では「かにめし」を積んで座席まで運んでくれたわけです。車内に居ながらに名物駅弁を食べられる。本来ならこれは大きく宣伝し取り上げられてもよかったはずです。

グリーン車を利用すればウエルカムドリンクとしてコーヒーなどを無料で頂くことができ、大判のおしぼりも提供。JR北海道のグリーン車シートサービスはかなり上質なものでした。

これが維持できなくなった要因はいくつかありましょう。JR九州でもそうですが、コストダウン要請が無視できなくなったことがあります。それでもJR北海道は2014年までは頑張って車内販売を続けてきたわけです。

JR北海道 2014年10月28日
特急「スーパーとかち」車内サービスの変更について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2014/141028-2.pdf


JR北海道 2015年02月12日
客室乗務員による車内サービスの見直しについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150212-1.pdf


特に利用の少なかった特急スーパーとかち、オホーツク、スーパー宗谷などで完全廃止。

JR北海道 2016年02月19日
平成28年3月26日ダイヤ改正以降の客室乗務員による車内サービスについて
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160219-1.pdf


この年もかなり削減されました。ただ、どっこい2016年の時は新商品も提供。なんとか維持したいという想いがあったことを見ます。特製の北海道新幹線弁当を発売してたんですけどね。

JR北海道 2016年02月24日
JR車内販売6社共同企画商品の販売について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160224-3.pdf


こんなの誰か覚えていますか?北海道では全く新聞報道一つされていないのではないでしょうか。これは一つ「車内販売」の挑戦だったと思うんですよね。車内販売オリジナル商品があれば手が出るだろうか?そういう意図があったと思うんですね。結果は残念なものだったんじゃないでしょうか。全く話題にもなりませんし、検索してもプレスリリースくらいしか出てきません。

JR北海道 2017年02月02日
平成29年3月4日ダイヤ改正以降の客室乗務員による車内販売について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2017/170202-1.pdf


JR北海道 2018年03月22日
客室乗務員による車内販売の見直しに伴う代替サービスの実施について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2018/180322-1.pdf


ついにはわずか3往復。札幌ベースの乗務員だけが残ったことになります。

旅の楽しみとしての車内販売、グリーン車サービスそれ自体が利用客の拡大に繋がらなかったこともあります。車内販売自体は赤字であって、その売上、利益に乗務員のコストは合わないこともわかりますし、彼女たちの教育も必要、そしてなにより、各所からJR北海道の各種サービスにおけるコスト管理が厳しくなったであろうことも伺えることです。
もう一つは、車両面で車内販売を行う車両はコーヒーを煎れて提供するだけでも保健所から営業許可を受け、食品衛生責任者を立てる必要があります。これを車販準備室のある車両1両1両で必要とされるわけです。これは「パッキングされているものを販売」なら不要ですから、自治体が行っている車内販売では車内でのコーヒーすら提供できないわけです。

また、2000年代以降コンビニ、中食業者の拡大で、駅弁業者の淘汰が進みました。名寄の角舘商会が2009年、JR側の車内販売廃止による余波とも言えますが遠軽の岡村べんとう屋が2015年、その他廃業した駅弁業者は数知れず。駅弁自体を始発駅で積むことすらできないという現実もあるわけです。(そういう意味で札幌-函館は残る余地がある)

自治体での車内販売の取り組み

車内販売の廃止について、当初は全く興味を示さなかった根室線、石北線や宗谷線の沿線が、「当社単独では維持できない~」を発表後に「車内販売が無いから客が減ったんだ」という謎な理論を振り回し、では自治体が販売した結果はどうだったんでしょうか?乗客に喜ばれたのでしょうか?

JR北海道 2017年06月14日
沿線地域の皆さまによる特急列車車内での特産品販売について
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2017/170614-2.pdf


JR北海道が車内販売の手数料も一切取らず、売上はそのまま自治体販売者に行くように設定しても、この最初の根室線についてはその後一切車内販売の話は出ていません。

JR北海道 2017年12月05日
石北線沿線地域の皆さまによる特急列車車内での特産品販売
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2017/171205-1.pdf


JR北海道 2018年02月07日
石北線沿線地域の皆さまによる特急列車車内での特産品販売
http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2018/180207-1.pdf


JR北海道 2018年06月20日
石北線沿線地域の皆さまによる特急列車車内での特産品販売
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20180620_KO_Sekihoku-tokusanhin.pdf


JR北海道 2018年02月07日
宗谷線沿線地域の皆さまによる特急列車車内での特産品販売
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2018/180207-2.pdf


JR北海道 2018年03月20日
宗谷線沿線地域の皆さまによる特急列車車内での特産品販売
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2018/180320-3.pdf


JR北海道 2018年06月20日
宗谷線沿線地域の皆さまによる特急列車車内での特産品販売
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20180620_KO_Soya-tokusanhin.pdf


それでも石北線・宗谷線は継続してやろうという気持ちがあるだけマシです。
ネット上にはJRは車内販売を廃止するなら事業者を公募すべきだ!とかいう発言を聞きますが、事業者が車内販売を行うには、それなりのノウハウが要りましょう。まだ「売店」扱いで行う方が良いかもしれないなとも思います。それにしても、全区間となると人件費、交代要員なんかを考えてもかなりのコスト負担になります。

先日利用したフラノラベンダーエクスプレスでも客室乗務員が笑顔で車内販売を行っていました。車内でコーヒーが飲めるのは素晴らしいことです。是非それが続いて欲しいとは思います。しかし、コストを無視した運営はできませんし、車内の客だけを相手にする車内販売は難しいこともまた事実です。そして、衛生面などを考慮するとあまり雑な扱いはできない上、常時電源を確保できるわけでは無い(車庫に入れば電源が落ちる)車内での物品販売は難しいわけです。

ならば停車時間の確保は?

現在JRが取り得る方法としては、東室蘭、帯広、遠軽(北見)、名寄、旭川などで、数分の停車時間を取り、ホームの飲料水自販機などで購入して貰うこと位しかできないかなとも思います。しかし、乗り遅れなどの問題を考えるとおいそれとJR側も実施したくないとも認識してるように見えます。特にインバウンド客に「5分停車」を守らせるのは至難の業でしょう。
そういう意味では始発駅にコンビニ・キヨスクを確保し、出発前に購入して貰う現行の方法しかし難いだろうなとも思います。北海道キヨスクが函館・釧路・帯広・旭川などでセブンイレブンを経営、北見にキヨスクなどが設置されているのは朗報ではありますが、駅構内に飲み物はともかく食事を購入できない駅も少なくないのは課題かとも思います。

いずれにせよ「車内販売が無いから使わない」なんて客は一握りもいないわけです。個人的には残念ですし、車内販売があればできるだけ使うようにはしていますが、車内販売廃止の流れは続いていくだろうなとも思います。

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