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北海道の交通関係
「不正乗車防止策」の甘さは利用者への冒涜
2018/08/03
不正乗車は二重な意味で鉄道会社を脅かす
鉄道会社にとって、運賃収入は経営の基盤です。運賃を支払い、その証明としてきっぷを受け取り、これを目的地まで所持し、目的地で切符を渡すことによって鉄道会社は「輸送した」ことが証明されるわけです。何らかの方法で運賃の支払いを逃れた場合、その路線の収入とは算定されないわけですから、路線維持問題にも関連してくるわけです。
運賃を支払わず、列車に乗ることができた場合、その方法は今や簡単に拡散されていくわけです。昨今では新幹線で一部のアイドルファンが入場券を使用した不正乗車に手を染めていたことが発覚したのは記憶に新しいでしょう。これが発覚した時に普通に思うことは「なんだ、こういう方法があればタダで列車乗れるのに運賃支払うのはもったいないよな」という観点です。こういう報道は「遵法」という概念を脅かします。
コンビニやスーパー等で「万引きは全件警察届出」などと書いてあるのは、抑止力を狙ったものですね。
つまり、不正乗車は「鉄道会社の運賃収入減少」だけでなく、利用客の「正確に切符を買おう」という観点を削いでしまうという二重の問題を抱えているわけです。
自動改札導入での不正乗車対策
さて、運行開始当時から自動改札が導入されている札幌市営地下鉄ですが、定期券の入場記録を取るようになったのは実はそう昔のことではありません。定期券の使い回しや、最低区間の乗車券を購入しての定期券不正が行われていたことを認識していたものの、システム的にそれを追跡することができなかったわけです。JR北海道は札幌圏の自動改札導入当初よりこの入場記録が行われており、入場されていない定期券での出場はできません。(最低区間の乗車券等で入り、定期券で出ることはできない)しかし、このシステムには大きな落とし穴を持っていました。これが無人駅の存在です。詳しくは書きませんが、無人駅が存在するため出場の確実なチェックができない場所があり、そういう駅を含む以上前回の出場が確認できない定期券も次回使えるよう設定せざるを得ないのです。
これを解決するのがICカード化です。kitacaなどのICカードでの入場は必ず出場を伴わなければ次回の利用はできません。これは定期券であってもそうです。定期券と適当なきっぷを組み合わせての不正乗車はできないようになっているわけです。エリア内の無人駅全駅にICカード改札機を設置したのは当然のことであります。
しかし、JR北海道は現在もkitacaエリア完結の定期券であっても磁気定期券での購入が可能です。また、kitacaエリア外にまたがる定期券は当然に磁気定期券となります。この場合多くは自動改札設置エリア外ですので、入場記録のチェックもされません。このような定期は「チェック無く入出場できてしまう」根本的な不正乗車チェック機能のない定期券となってしまうのです。これの何が問題かと言えば、定期券だけではない比較的長距離な不正乗車をやりやすいということになるわけです。これを防ぐには積極的な車内改札が必要ですが、現実的に車掌乗車列車はともかく、運転士だけのワンマン列車ではこれが難しいのも事実なのです。
係員目視での不正乗車対策
先日とあるワンマン運転区間の路線で定期券を見せて降りようとした高校生らしき利用者に運転士が再度定期券を見せるよう要求。期限が切れている定期券だったというのがありました。そのやりとりを見ていましたが、当然運転士にできることはほとんど無いわけで、かといって、列車をいつまでも止めておけない。結局7分程度で列車は発車しました。不正乗車した利用者に後から連絡が行くのか、どのような形にするのかはわかりませんが、現実的に運転士が目視で定期を確認するのは非常に困難であろうとも思います。また、日高線の代行バスに至っては、運転手に定期券を一切見せること無く下車する学生を何人も見かけました。これも、代行バスの運転手はJRの職員ではありませんから、実際に定期の不正を見つけたところで、対処のしようが無いのも事実です。しかし、こういう状態がもう何年も続いているということは、定期券の不正くらい問題無いという誤ったメッセージとして利用客に浸透していくわけです。
また、現在石北線・釧網線の一部ではスマートフォンの画面に券面を表示する「スマホ定期券」が実用化されていますが、あくまでも券面の確認は運転士、駅員の仕事になります。(基本的にエリア内に自動改札は導入されていない)
JR北海道 2018年01月17日
スマホで購入、スマホで乗車 石北線・釧網線の一部エリアで「スマホ定期券」サービス開始!
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2018/180117-4.pdf
現実的に目視での不正乗車対策には限界があり、また、不正が発覚した時の現実的な回収も困難なわけで、誰も良い思いをしないという意味では、機械化は避けられないのです。
特急券を払わない客
この時期になりますと普通列車のみ利用可能な企画乗車券が出てきます。普通列車の少ない区間では特急列車に乗ると快適に移動できますが、ここでも、そのような乗車券を持ちながら乗車券、特急券も買わず特急列車に乗る方も見られます。車掌も全ての座席を管理するわけでもなく、途中での乗降も多い、ゆえに車内改札が難しいことから彼らが見逃されている現状があります。反面、長距離特急では自由席であっても目的地を記載しながら車内改札を徹底される車掌さんもお出でになります。
不正乗車をするのは反則金が安いから?
東洋経済
鉄道キセル対策、日本と欧州はこんなに違う
https://toyokeizai.net/articles/-/178167
「乗った区間の運賃+法令による上限である2倍(つまり本来の運賃の3倍以内)となっている。ところが、欧州各都市の罰金額を調べてみると、軒並み通常運賃の20?30倍で、常習犯にはさらに大きな罰金を科すようだ。有効なチケットやICカードなどを持たずに乗車した場合、たとえばパリの市内交通では50ユーロ(約6200円)、ロンドンでは80ポンド(約1万1300円)の罰金となる。
JR各社や多くの鉄道会社では定期券の不正は乗車区間の運賃×2×日数×2というのが増運賃となりましょうか。これは区間によりますが決して安くない金額です。特に割引率の大きい学生用定期での不正が発覚した場合は、その定期運賃の2倍では済みませんので、簡単に数十万単位になることはもっと周知してもいいように思います。
特に不正の多いと思われる高校に関しては定期割引の制度対象外にすることも検討が必要でしょう。
不正乗車は「見つからない」とわかっているからやっているわけです。対処は車内改札の徹底です。一時期JR北海道でも頑張っていたように思いますが、そういう不正を行う輩に限って大声で制度不備や事故等の全く関係ないことについて職員に絡み続けるなど悪質なものを見ています。本来は警察官などと同時に回るくらいじゃなければならないのでしょう。
かなり昔の記事ですが
読売新聞 2010年4月14日
JR西日本は県警とタッグを組み、不正を発見次第、100円単位の被害額でも刑事告訴する取り組みを始めた。
無人駅などを重点的に警戒した結果、年間0~2件だった告訴件数は1月からの3か月で10件以上にのぼった。被害は氷山の一角とみられ、JR西は「今後も告訴を続けて不正乗車を減らしていきたい」としている。
このように不正は発見次第「前科」がつく形で無いととも思います。高校生などは場合によっては卒業時に証拠揃えて告訴なんかもできそうに思いますけどね。
とはいえ不正乗車撲滅にはコストがかかる
先に書いた札幌圏無人駅の不正乗車対策。先日名古屋の名鉄の無人駅に降りましたが、精算機、ICカードチャージ機、自動改札、券売機があり、普通に乗車する方なら何の問題もなく、何らかのトラブル時には遠隔操作で改札機を操作し対応するシステムが入っています。ちょうど私の降りた時にICカードで引っかかっている方がおり、精算機に投入し何らかの処理を遠隔で行っているのを見ています。これにより車掌が精算業務を行うことは基本的に無いとのことなんですね。このような無人駅監視システムは効果が大きいのですが、機器にコストがかかり、また、集中管理の拠点を整備する必要もあります。ただ、札幌圏に関しては新たに無人化した上幌向や時限無人駅もありますので、整備を検討して欲しいとも思います。
また、岩見沢、苫小牧、小樽など、無人駅区間から入ってくる列車に関して、中間改札を行う等の考え方もあります。これにより遠方からの高額な不正乗車をかなり減らすことはできましょう。
しかしながら、これらには導入コスト、人的コストがかかり、不正乗車の額から全く割が合わないという可能性もあるわけです。
先日日高線の沿線新ひだか町ではこのような施策を行いました。
日高報知新聞 2018年05月12日
高校通学費全額助成
http://www.hokkaido-nl.jp/article/5978
定期券は町教委・高校を通じて給付することから、定期券購入に係る時間的負担も軽減できている。予算額は680万円で、今年度前期は静内高46人、静内農高12人の計58人が支援事業を活用している。
これは定期券を町が購入し支給することから、区間や期間の途切れもなく、学生は毎日利用することが可能、JR側も不正乗車に頭を悩ませる必要がないという施策です。ここまでいわなくても地域で定期の区間、期間を指定し「買われない」場合に調査するなどの代理運用ができればかなり防げる事態だとも言えます。場合によっては定期券を直接学校で発券する仕掛けも考えてもいいとも思います。先のスマホ定期券も含め、こういう仕掛けも活用したいところです。
いずれにしても不正乗車されない世の中になってほしいと思うのです。それは、真面目に運賃を支払っている人へ鉄道会社がおこなわなければならないことでもあるわけです。