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北海道の交通関係
日経新聞が書くJR東日本の行灯記事+道新の世論調査
2018/08/08
先日日経新聞にこんな記事がありました。
日本経済新聞 2018年08月04日
次世代新幹線 飛行機の牙城崩せ JR東日本
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33782220T00C18A8XQH000/
「ドル箱路線」をつかめ――。JR東日本が次世代新幹線で、交通機関で飛行機が独占する牙城を切り崩そうとしている。目指すのは東京―札幌間。運賃収入で大幅な伸びが期待できない中、同社は新幹線に稼ぎ頭として期待を寄せる。牙城を切り崩す秘策が新幹線のスピード向上だ。
最高速度360キロ
JR東の次世代新幹線「ALFA―X」(アルファエックス)。最高営業速度は従来よりも40キロ速い360キロが売り物で、北海道新幹線が2030年度にも函館から札幌まで延伸した場合を見据えて開発が進められている。
おお、JR東日本の新幹線高速化試作車ALFA-Xについて書かれた日刊新聞は初めてでしょうかね?週刊誌記事としては
東洋経済 2017年7月10日
JR東日本が「360キロ新幹線」に着手する理由
https://toyokeizai.net/articles/-/179605
とか出ています。これは昨年の7月に
JR東日本 2017年7月5日
次世代新幹線の実現に向けた試験車両の新造について
https://www.jreast.co.jp/press/2017/20170705.pdf
このようなプレスリリースを出していることでのものですが、北海道の各メディアは全くこれを報道しなかったわけですね。北海道新幹線にまるっと重なることなんですけど、どうなってるんでしょう?
とはいえ、ここに来て1年ものスパンを開けて日経新聞がこれを記事にしたのはちょっとした驚きでありました。
記事の続きでは「札幌開業」に関するJR東日本の考え方が見えます。
狙うのは東京―札幌間の乗客だ。現在は航空機利用者の独占状態で、新千歳空港―羽田空港の乗客は901万人(17年)。国内線で最も乗客が多い路線だ。もちろんJR東がシェアの大半を握れるはずはないが、少しのシェアでも握ることができれば新たな収益源になることは間違いない。
1つのモデルケースがある。東海道・山陽新幹線の東京圏―福岡間だ。同区間の距離は1000キロ強と、東京―札幌とほぼ同じになるとされる。この所要時間は決まっていないが、東京圏―福岡は約5時間。JR東海によると、同区間における新幹線と飛行機のシェアは1対9。これに照らし合わせると札幌まで延伸すれば、これまでゼロだった収益が入ってくる。
実際、北海道新幹線が16年に新青森―新函館北斗(北海道)間で開業した際、東京―函館の鉄道の利用者が一気に増加した。開業前には交通機関の全利用者数のうち13%にとどまっていた鉄道利用者数が16年度には35%にまで拡大した。
この東京-函館のシェアは
JR東日本
2018 FACT SHEETS
https://www.jreast.co.jp/investor/factsheet/pdf/factsheet.pdf
に掲載されているものと思いますが、首都圏-札幌圏の航空利用数は羽田・成田を合わせて年間1000万人程度あります(2015年度札幌-羽田9,015,730人、札幌-成田1,682,891人)1日平均ざっと3万人が札幌と首都圏を動くわけです。また、新幹線沿線の東北だけでも青森・花巻・仙台・秋田・福島・茨城があるわけで、それだけでも122万人、ざっと1日3000人以上の利用があるわけです。
では、このうちどの程度新幹線が奪えるのか?という観点からJR東日本は本気で半分程度取りに来ていると考えるのが自然でもあるわけです。単純に「開業さえしてしまえば」仮に現行の車両と設備を使用した東京-札幌の所要時間4時間半~5時間程度の所要時間と現行運賃であっても1割程度の移転は確約されているわけです。
所要時間の短縮で頭をもたげるのが盛岡(岩手県)―新青森間だ。同区間は独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(横浜市)が線路を保有し、最高速度は時速260キロメートルに制限されている。アルファエックスの性能が十分に引き出せる環境にはない。
しかも、JR東は同機構に線路使用料を支払って新幹線を運行している。八戸(青森県)―新青森間は年70億円にのぼる。この金額は新幹線の整備効果などを加味して算出されているが、JR東にとって乗客数が伸び悩めば利益を確保できない。18年3月期は運賃収入全体の3割を占める新幹線だが、さらに所要時間を短縮し、乗客を呼び込むことが不可欠だ。
八戸―新青森間で最高速度を引き上げるためにはやはり騒音対策などが必要になりそうだ。国土交通省によると、JR東がこれに取り組む意志があれば、工事は可能だという。JR東は「財産の帰属問題に加え、軌道や電気設備、環境対策などに多額の工事費が必要になる。投資効果の観点から慎重な検討が必要」との認識を示す。ただ、ある同社幹部は「条件さえ合えば前向きに検討する」と話す。
昨日のブログ記事でも書きましたが、この新幹線の高速化で、JR東日本の受け取れる運賃額が変わるわけです。もちろんJR北海道の受け取る額も変わります。北海道側の高速化が難しい間は本州側の高速化で何とか競争力を確保したいJR東日本の思惑があるわけです。ちなみにJR北海道ですら収入の7%は新幹線由来です。これを伸ばさない限りJR北海道の未来はありませんし、JR東日本にしても人口減少で収入の64%を占める首都圏の収入に対し、首都圏外の収入はわずか4%、それを補うのが32%を占める新幹線収入で、これを伸ばさない限り成長は無いわけです。
ここに来てJR東日本の現状と札幌開業に向けた課題を日経新聞の記事として出してきた(一定の企業広告に近い記事として)ことはJR東日本としても世間にこの方向で進んでいくという決意を表したものでしょう。
これに対して北海道新幹線にわざわざネガティブなタイトルでこのような記事を作る北海道新聞の意図も気になるところです。
北海道新聞 2018年08月07日
道新幹線札幌延伸「利用限られる」30% 道民世論調査 「期待できる」は28%
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/216196
北海道新聞社が6~7月に行った全道郵送世論調査で、北海道新幹線が2030年度までに札幌延伸されることについて尋ねたところ、「航空ネットワークが充実しており、延伸されても利用は限られる」が30%で、「利用が大きく増え、延伸効果が期待できる」は28%だった。
実際は
・延伸されても利用は限られる 30%
・延伸効果が期待できる 28%
は僅差であり、どちらの意見も特段問題では無いわけです。航空の利便が損なわれる結果になることは誰も求めてはいませんし、新幹線の利用が増えれば増えただけ「交流人口」が増えるわけです。新幹線はあたりまえですが東京と札幌だけを結ぶ交通機関ではありません。
回答者を札幌市に限定すると、「利用は限られる」が最も多く38%、次いで「期待できる」の32%で、延伸先の札幌で期待が広がらない皮肉な結果となった。
道東と道北で最も多い回答は「あまり関心がない」で、それぞれ33%と29%。新函館北斗開業で並行在来線の江差線分離を経験した渡島管内は「切り捨てにつながりかねない」が33%で最も多かった。
これにしても、札幌で日常的に本州と行きする人、しない人ってのもありますので、皮肉とか言われてもねぇ。ひたすら新幹線のネガティブをこれだけ新聞が書いていてもこの結果って、逆にあまり北海道新聞にとっては好ましくない結果ではありませんか?設問と回答がわかりませんが「利用は限られる」と「期待できる」は同じ内容の真偽を問うた質問では無いわけです。「利用は限られるが期待できる」というのが私の意見で、移動手段が新幹線だけになることは全く望みませんし、航空機とのメリットを比較して使うわけですから新幹線の利用は限られます。だからこそ輸送チャネルの幅が広がる新幹線開通は期待しているわけです。
JR北海道が「単独では維持困難」な赤字路線を発表し、バス転換や地元負担で沿線自治体との話し合いを進めている姿勢について、「理解できる」が75%、「理解できない」は21%で大差がついた。
「理解できる」理由は「過疎化の進行もあり、今後さらに利用者が減る可能性が高い」が31%、「乗客が少ない路線の合理化は必要」が29%だった。「理解できない」で挙がった理由は、「自治体ではなく国が財政負担すべきだ」の26%、「過疎地の切り捨てにつながる」の25%がほぼ並んだ。
この結果も北海道新聞の今までの散々JR北海道の「単独では維持困難」でのJR批判が浸透していない結果です。もちろん道民のJR利用の少なさの表れ(自分は使わないからどうでも良い)という意見の話でもありますが、それにしてもJR側の姿勢を「理解できる」が7割以上は明らかな差です。
北海道新聞が一定のネガティブを向けているのに、あまり道民が乗ってこない。これはこれで報道の危機的な状況を見るような気もいたします。