北海道の交通関係

なぜか「リリースを報じない」新聞の姿勢

2018/11/01
JR北海道は随時記者クラブで記者会見を開き、サービス開始、終了や事故、不具合などの情報を細かく提供します。

各新聞やテレビ局などマスコミはこの情報を使い記事を作成します。人身事故で何本運休したのか等はここで発表されたものが元になるのです。

札幌市営バスがあった頃冬期大雪時のバス運休本数や臨時便運行情報は札幌市の記者クラブから提供されていましたので各社が記事にしていました。札幌市営バスが民営バスに路線移譲された後運休本数が報じられたことは皆無に等しくなっています。もちろん運休本数が0なわけではありません、各バス会社は「記者クラブ」を持ちませんし、北海道バス協会もこれを統計立ててマスコミに提供することを行っていないためです。航空会社の欠航情報も含めて普段公共交通を使わない人には「JR北海道の運休情報だけ」が流れてくるわけです。

大雪で高速バスが乗客を12時間遅れで閉じ込めた例や運休本数等が報じられることはありません。それが良い悪いはともかく「JRは雪でも遅れる」が「バスは動いている」とは限らないわけです。実際には渋滞や高速道路自体の通行止めがあり、利用者が能動的に各社に問い合わせないとその状況は一切わかりません。

マスコミが言うJR北海道は情報が遅いとかいう状況を他社に当てはめればホームページで個別運行状況を表示しているバス会社は皆無。一部社がTwitterで出しているのが関の山で、話にならないのです。ホームページで個別列車の運行情報を出し、札幌圏に至っては普通列車の各列車ですら状況が取れるJR北海道はまだマシな対応とも言えるわけです。

さて、そんな中、JR北海道は一般にもニュースリリースとして報道機関に配布したものと同じ資料を公開しています。
10月29日には以下の4本の記事が掲載されました

 

JR北海道
2018.10.29
佐川急便とJR北海道が貨客混載事業に取り組んでいくことで合意
2018.10.29
快速「エアポート」車内における訪日外国人のお客さまに向けた無料公衆無線LAN サービスの開始について
2018.10.29
サービス付き高齢者向け住宅の建設について
2018.10.29
駅への「宅配便ロッカー」設置について

このうち貨客混載は各社が比較的詳しく報道しました。また、公衆無線LANサービスも層です。宅配ロッカーの記事も見かけました。
しかし、「サービス付き高齢者向け住宅の建設について」について記事にしたのは日経新聞だけです。

 

日本経済新聞 2018年10月30日
JR北、寮跡地にサ高住 一部路線でWi―Fi導入も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37131690Q8A031C1L41000/
JR北海道は経営改善に向けて、新たな取り組みを相次ぎ打ち出す。所有地を生かした多角化策では、札幌市内の社員寮跡地にサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を建設する。訪日外国人ら乗客へのサービス向上では、札幌駅などと新千歳空港を結ぶ快速エアポート車内で無料の公衆無線LAN「Wi―Fi」を使えるようにする。
札幌市中心部の社員寮跡地に同社のサ高住ブランド「ブランJR」シリーズの新棟を建設する。地下鉄北13条東駅近くの「青雲寮」跡には地上10階建てで計51戸の物件、JR桑園駅近くの「啓北寮」跡には地上10階建てで計75戸の物件を建設する。2019年夏に着工し、入居開始は20年夏ごろの予定。鉄道事業の苦戦が続くなか、不動産事業の収益拡大を急ぐ。

つまり、JR北海道の経営改善について「関連事業が足らない」と騒ぐ北海道新聞は関連事業の新規事業について一切報じないわけです。
日経新聞は今月頭にも鉄道用地、社員寮・社宅跡地などの不動産を使った事業について報じています。

 

日本経済新聞 2018年10月03日
JR北、札幌の社宅跡に病院誘致 「非鉄道」てこ入れ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36031120S8A001C1L41000/
JR北海道は経営改善策の一環として、札幌市内で解体中の社宅跡地に病院を誘致する。社会医療法人朋仁会(札幌市)が市内で運営する2つの整形外科病院を統合・移転して2年後に新規開業する際の移転用地として貸す。国土交通省はJR北を財政面で継続支援する前提として、非鉄道事業での増収努力を求めており、所有地の活用など実績づくりを急ぐ。
新病院は札幌市東区北8東4地区にあったJR北の「鉄東社宅」の跡地に立地を予定する。敷地面積は約7500平方メートルと、一般的なサッカーグラウンドより広い。3月に全戸が退去し、既に解体工事が始まっている。朋仁会の関係者によれば「(賃借条件など)JRと話し合っており、2020年をメドに新病院を開業する予定」という。
JRは札幌市内で鉄東社宅を含め4カ所の社宅・社員寮の廃止を進めている。いずれもJRや地下鉄の駅から徒歩圏内にあるため、跡地の利用可能性は高い。これら所有地を生かし、非鉄道部門のなかでも増収余地の大きい不動産事業のテコ入れを急ぐ。

この記事を書いているのは日本経済新聞だけというのはどういう意味があるんでしょう?

北海道新聞は社説でこう書きます。

 

北海道新聞 2018年07月28日
社説)国のJR支援 抜本改革には不十分だ
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/213105
> JRが支援にこたえて経営努力をすべきなのは当然だ。

朝日新聞に至ってはアピールという言葉を使う。

 

朝日新聞 2018年07月30日
岐路の鉄路:経営努力アピール、期限は2年 JR北海道は自立できるか?(上)
https://www.asahi.com/articles/CMTW1807300100011.html

そしてその経営改善のために行っている様々な施策については一切報道しない。報道をしない自由ここに極まり。

多くの新聞しか読まない高齢者をはじめとする方々が、JR北海道の努力が足りないと口を揃えて言う理由は報道機関に送付するリリースすら掲載しない報道機関の「忖度」によりJR北海道は努力していないという意識付けをしたいと考える勢力がいるように思う。

いったいJR北海道が経営改善することを報道しない理由は何か?ニュースにならないとする理由は何か?道新や朝日しか読まない層にはその方が受けがいいかもしれないが、日経を読み、ネットで情報を拾う層とは全くかけ離れていく。

もちろん「よいことだけ書くべきだ」とは思わない。しかし、北海道知事をはじめ町村会の首長からも「経営努力が不十分」とされているのなら、本当に経営努力をしていないのか取材するのが報道機関の努めではないか。「そうだそうだ」とリリースに掲載するレベルの記事すら報道しないのはその意見を「正しい」と認識させたいわけだ。一体誰がそれで喜ぶのか?

北海道新聞は「地方切り捨て」とするJR北海道批判記事がお得意だが。北海道新聞は
・中頓別
・沼田
・歌志内
・三笠
・砂川
・寿都
・青森
等の支局を廃止している。
販売所も昭和57年には700箇所程度あったものが現在580と言っているが更に減っている。
購読料は
昭和48年1100円
49年1700円
53年2000円
55年2600円
61年2800円
平成1年3100円
平成4年3650円
平成5年3850円
平成9年3925円
平成26年4037円
となっている。で、自社の値上げに対して「北海道新聞 値上げ」と検索すればJR北海道と北海道電力の値上げを批判する記事しかヒットしない。

自社の「経営努力」を棚に上げて他社を批判してはならないわけです。都合の悪い記事を隠し、自社の地方切り捨てを隠してはならないのですよ。

地方で新聞を作ること、配達することは大変なことで労力もカネもかかる。実際に赤字事業である支局、販売所もあるわけです。それは過疎地を抱えるインフラ業として仕方の無いことです。しかし、他社の事情を鑑みず闇雲に批判し、自社のやっていることを隠していくことは正しくない。

今こそ北海道新聞は北海道の将来を見据えて、インフラとはかくあるべきか、そして誰がそのコストを負担するのかという考えをもっと持って責任ある記事を書いていく方がいい。記者クラブの情報を忖度して垂れ流すことしかやらない新聞なら要らないのです。正直鉄道の運休が何本なんて情報は要らない。やるなら各輸送機関の現状をちゃんと報道するべきだし、台風や大雪、暴風雪は「またJRは止まっている」ではなく「交通機関は運行を止めろ」「出かけるな」と啓発する方がよほど必要なことなんです。

北海道はこれから恐ろしく人口が減り、高齢比率も高まる。新聞の発行部数は少なくなり続けるわけです。座って読める新聞より、出歩き足腰を使う鉄道利用客の方が先に少なくなっていくわけです。今北海道新聞がJR北海道を批判するそのまま北海道新聞に購読部数減少という形で降りかかってきます。そして支局の廃止、印刷所・配送網の集約、販売店網の再編も好き嫌い関係なく行わなければならなくなります。夕刊廃止は時間の問題の地区も多いでしょう。当然社員のリストラも必要になりましょう。しかし、最低限運営し新聞を作る社員は残さなければならない。そして新入社員を採らなければならないわけです。JR北海道の新入社員入社にすらケチを付けたその言葉がそのまま自社に降りかかるのです。

今は笑っていられるかもしれない北海道新聞ですが、現在の売上高480億円から見ますと本来の発行部数は80万部を割っていると考えるのが自然です。500億円の以上の売上を誇っていた道新が、ついに500億円割れ、そして、経常利益は先期7億7000万円ほどで利益率も1.8%程度となります。これでは設備投資もできません。起こっていることはJR北海道と同じです。一定の利益が確保できなければ投資ができない、ジリ貧に陥るのです。設備投資ができなければ当然新聞製作機器類も投資できず、故障などで新聞製作ができなくなる。人身を扱っていないだけであって、背景は変わらないのです。

私は一読者として腹立たしながらも地方紙面の必要性を鑑みて北海道新聞が無くなることは望みませんが、今新聞が見捨てられないようにするには独自記事を書いて、新聞でしか得られない情報をどれだけ提供できるかです。各社のソースだけ垂れ流して記事を作れる時代は終わったんですよ。そのソースをどう煮詰めて記事を書いていくかが記者の腕でしょう。そのソースを選り好みして扱わないなどとしているのなら、煮詰める具材もないという中身すっからからんの新聞に成り下がるのです。

カテゴリ: 北海道の交通関係 JR北海道 航空

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