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北海道の交通関係
JR北海道札幌圏のラッシュ輸送
2018/11/03
11月に入り少し寒い朝を迎えますと、少々憂鬱になります。防寒着で着ぶくれますので列車が混雑するんですね。
JR北海道を毎日のように利用していますと、本州から聞こえてくる「識者」の北海道の朝ラッシュは長閑な1両の列車が数人の客を乗せて闊歩していると思い込んだ議論を腹立たしく聞くわけです。札幌含めて鉄道なんて引っぺがせという暴論を笑って聞いてられるほどこちらは忍耐強くはありません。
現実的に札幌圏の鉄道輸送量は札幌で97000人。札幌市内でいえば手稲15000人、新札幌14000人、琴似12000人、桑園10000人などとなっており、その多くは通勤通学輸送での利用となります。札幌市外からの輸送も含めると「らくらく座って通勤」なんて幻想でしかありません。
道央圏パーソントリップ調査では通勤・通学交通手段分担率ではJR3.5%、地下鉄10.2%、自動車が55.6%、バス・路面電車3.4%となっています。札幌市内に限れば鉄道は3割程度の分担率になります。
https://www.city.sapporo.jp/sogokotsu/shisaku/pt/documents/pamphlet140128.pdf
あくまでも鉄道を使えるのは駅から徒歩圏内、駅までの交通機関が存在していることが大事ですし、多くの場合バス等から駅で鉄道に乗り換えることは時間、運賃コストの面でもあまり得策では無く、自動車が利用可能なら直接都心に向かうのが早いという面はあります。しかし、札幌都心部の駐車場事情はよくないこと、冬期の渋滞が酷いこともあって一定の鉄道分担率は確保されています。
とはいえ、増発されたとはいえ限られた本数の「通勤にちょうどいい列車」に客は集まり、非常に混雑する列車が出てくるわけです。これを避けるには列車の増結、増発が求められますが、札幌駅の使えるホームが限られること、一部の線路を他線と共用することなどもあって、現実的に現状以上の増発は難しいのも現状です。また、各駅の制約上6両編成以上の増結も難しいのです。
札幌市もJR北海道も札幌近郊の人口増加は落ち着くものと想定していました。しかし、現状は市外行きからの流入が続いており、都心部への通勤を希望するなら鉄道駅沿線に住みたいという欲求もあるわけです。現に今も地下鉄やJR駅近くのマンション建設は続いており、都心回帰の動きはあるとはいえ、現実にサラリーマン家庭が買えるマンションは郊外の駅近くとなりましょう。
ススキノで酒を飲んで帰宅するのに鉄道沿線かバス沿線かで大きな差が出るというのもありましょう。多くのバスが終車を迎える22時台のうちからススキノからタクシーはバカになりません。
さて、別な面から考えてみます。札幌市民は札幌市外に行くのか?です。職場や学校がが郊外である小樽や江別、千歳などにあるということはあります。朝の千歳、江別方面など思わぬ利用客数でびっくりすることがあります。鉄道は双方向で利用客がいるのが効率的です。しかし、それ以遠となると思ったほどではありません。結局札幌の通勤圏は東は岩見沢、西は小樽、南は千歳あたりまでとなりましょう。国鉄時代は1日8往復程度のローカル線だった札沼線は今や50往復以上。朝ラッシュ時は10分おきを有し、当別やあいの里教育大に大学施設があることから双方向路線として飛躍的に利用客が伸びました札幌市内の利用客だけで見ても国鉄時代の約3倍の増加になります。これは人口比より大きい。これがJR北海道が札幌圏での努力です。しかし、沿線人口的にこの後は微増はあっても極端な増加は見込めません。
ラッシュ時の混雑化以前に、このあとJRができることはデッキのあるクロスシートタイプの車両を一掃することでしょう。一部のマニアにウケの悪い「詰め込み主義」と揶揄される車両もラッシュ時を見れば最適です。外気温、室温保全的に多扉は片側3枚が限度でもあり、本州仕様の電車を札幌で使うのは無理があります。しかし、思想としてはこのような通勤タイプの車両を導入せざるを得ません。ある程度混雑しないことを前提に導入したクロスシート車両は今や札幌圏では最も使いにくい車両です。ランダムにやってきますのでこれが当たった日はこのようなデッキまで人が溢れるザマです。掴まるところもない不安定な状態での通勤を余儀なくされます。
なお、輸送密度で札幌圏とほぼ同じくらいになるJR西日本の広島近郊では、通勤タイプから前向きで座れるクロスシートタイプの車両に変更し、一部で減車した結果車内の混雑が激しくなったという批判もあります。各社の思想の結果ではありますが、関西圏に比較して冷遇されている広島やJR東日本の首都圏地域に比較して設備投資に差がある仙台や新潟を見るに付け、札幌圏は列車本数も快速運転サービスもマシです。
よくきくJR北海道はJR東日本に併合されるべきという戯言を聞くにつけ、JR東日本が地方都市でどのような運行を行っているか考えれば地方路線維持と引き替えに札幌圏の大幅な改悪をしなければならなくなるわけですね。現実に札幌圏の利用者数は首都圏なら単線の成田線レベルでしかありません。普通列車が時間3本程度走ればそれでいいという判断をされても仕方が無いわけです。
JR北海道にとって札幌圏輸送で一定の現金収入を得ることは至上命題。そりゃ多少の不満がありましょうが一定のサービスレベルを維持しているわけです。