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北海道の交通関係
もういちど「人手不足」をおさらい
2018/11/05
NHKがこのようなサイトを公開しました
NHK
特設サイト-路線バス問題-
https://www3.nhk.or.jp/news/special/bus/
NHKは「特集」レベルの報道を始めると深く詳しく報じます。これはなかなか民放には真似ができないのかなとも思いますね。
この特集では「データから見るバス業界の現状」としてバス運転手の平均年収が448万円、平均労働時間が月210時間と他の業界より劣悪な環境であることを訴え、また、4年離職率が約半数とも伝えます。路線バスの赤字事業者は64%を数え、運転手不足と回答した社も8割を越える。そして10年間の路線の廃止距離は14000kmとしています。
改めてこの内容だけでも驚愕です。
平均年収は厚生労働省調査賃金構造基本統計調査では440万円、なお、民間貸切バスでは400万円という結果になっています。平均年収ということは、比較的高齢ドライバーが多いこともありますので、若年ドライバーは300万円台ということになるわけです。
バスの運転手になるには免許取得後3年以上の経験後大型1種取得、そして旅客営業車を運転できる大型2種への流れです。大型2種免許はプロフェッショナルを養成するわけで非常に取得の関門が高いわけです。
そして、実際に取得してからも、各社でのバス運行の取り扱いを覚え、路線を覚え、そして実際に客を乗せて走るわけです。そこには足腰の悪いお年寄りから子供、障害者、いろんな人が乗ります。天候に左右され、客が多ければブレーキの効きも悪い。毎日乗る車両が違うから感覚もまちまち。それがプロといえばそうでしょうが、現実は重労働環境で日々バスを動かしているわけです。
さらに2016年12月に起きた川崎鶴見臨港バスのストで注目が集まった勤務体系「中休」です。朝5時からバスを4時間運行し、その後午後3時から午後9時まで4時間バスを運行する。その間は「中休」です。運行は8時間ですが、現実には16時間拘束される。この勤務が平日5日続いて土日公休となっても、原則的には労働管理上問題ありません。週40時間しか勤務時間が無いからです。国土交通省は「1週間当たりの拘束時間は原則として65時間が限度」としていますから、これよりキツい勤務を行ってる社もあるでしょう。
「休息時間は最低8時間空ければ良い」という基準にも合致しています。また、法律上は13連勤も可能ですので、多くの事業者がそのような乗務員行程を組んでいるのではないでしょうか。
これは警備会社の警備員が深夜時間帯の待機時間を拘束時間に含めないというのも同様の話ですが、現実にはその場にいて電話などで呼び出しを受けられ、制服着用を命じられていれば拘束時間です。最も大きいのは「敷地外に出ることが認められていなかった」ですね。バスの運転手さんの勤務はどうでしょうか。
バス運転手の「中休」を拘束時間にするならば、同じ便数運行するなら当然それだけバスの運転手が必要になります。一時的には大変ではありましょう。しかし、現在の勤務時間では「普通」の生活はおくれません。結果退職者を増やしてしまうわけです。決して運転手が「根性無し」ではないのです。これは国が労働基準を見直して、徐々に改善していかなければならないことです。鉄道会社でも、深夜ろくに休憩(寝て)していない乗務員がラッシュ時の運行を支えています。
さて、バス運転手に限らず度の業界も人手が不足しています。ざくっと20歳の人口で見てみますと、1980年代に160万人~190万人、1990年代に170万人~200万人いた20歳の人口は今や120万人ほど。今40台の人の約半分です。今まで10人新入社員が入っていた会社は条件がよくても5人~6人しか採れないわけです。ならば、人材に辞められないようまず福利厚生給与面でサポートするしかないわけです。今やブラック企業の常套句「辞めてもどこも行き場はないぞ」はウソです。
統計局 新成人人口
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi852.html
つまり、今まで5人でやっていた仕事なら3人、10人でやっていた仕事なら5人というふうにどんどん人数が少ない中でやっていかなければならないわけです。また、全国のJR鉄道会社は民営化直後、また、国鉄時代に採用を絞っており、現在40代の社員がほぼ皆無。ということはあと10年もすれば大量退職を迎えます。嘱託などで補ったとしても1/3程度の人員で運行しなければならない時代がもう目の前まで来ているわけです。同じ区間、同じ人員を輸送するとして、輸送量がバスに乗れる程度でよいならバスに転換しなければ保線、信号など、運行だけでなく鉄道設備全てを自社で賄わなければならない鉄道会社の職員では維持できないわけです。バスなら道路、信号はパブリックなものとして国、自治体による維持ですので、分業でき、基本的に運転手だけで運行できるバスはそれだけ人員が少なくて済みます。
バスや鉄道の運行便数問題は都市部の方が顕著かもしれません。輸送量がなまじっか多いだけに鉄道もバスも廃止できない。しかし従事する人は減っていく。どこかで破綻するわけです。特にバスは都市部の方が維持出来ない可能性があります。地方の路線を無くすなと全く乗っていないバスを動かす一方、大勢が利用するバス路線が減便を余儀なくされます。乗る人大勢いるのにバスが1台で乗り切れない。このままではいつまでも朝のラッシュをバスが乗り切ってくれるかはわかりません。
解決する方法は今やほぼありません。自動的にこの状況を甘んじて受け入れるほかない。しかし、いくつかバスを集約する、運行区間を短くして乗り継がせるなど便の遅れを少なく、効率を上げる方法があります。これに取り組んだのが新潟のBRTです。残念ながらほとんど専用レーンを儲けず、乗り継ぎ拠点も不便で今回の市長選では「廃止」も含む争点になりました。しかし、現実に昔ながらの長距離バスがガンガン走れるような状況ではありません。都市部の利用が多い区間を1台の収容力を上げた連接車で走り、地方部は乗り継ぎさせることで効率を上げる方法は致し方ないところです。(新潟BRTが全ていいとは思っていないが、感情的な廃止論などで市民が翻弄させられてるのを見る限り新市長もうまくいかないかもしれん)
北海道の広い国土に人口密度が低い中、人員輸送、物資輸送だけでなく、住民が生きていくための全ての「仕事」する人が減り、買い物先、交通だけでなく、街自体を維持できない世の中はもう目の前です。「鉄道を、駅を残せ」なんて全くどうでもいいような状況が目の前に来てるんですよ。今議論するのはそんなことではないのです。