北海道の交通関係

ファイターズ新球場は応援したい。だが、交通政策はダメダメだ。

2018/11/06

北海道日本ハムファイターズは北広島市に新球場建設を正式に発表しました。

北海道日本ハムファイターズ 2018/11/05
北海道北広島市における新球場建設を正式発表
http://sp.fighters.co.jp/news/detail/00001446.html
>2023年3月開業に向けて正式に新球場を建設することを決定いたしましたので、下記の通りお知らせいたします。
1.名称
北海道ボールパーク(仮称)

2.建設予定地
北海道北広島市共栄(きたひろしま総合運動公園)

3.新球場の概要
【建設費用】約600億円
※球場周辺外構部及び球場内設備・機器等を含む
【仕 様】開閉式屋根 天然芝フィールド
【建築面積】約50,000㎡
【延べ面積】約100,000㎡
【収容人数】約35,000人
【構 造】RC造 S造
【階 数】地下1階、地上4階

5.建設スケジュール(予定)
【2018年11月】基本設計及び実施設計期間
【2020年 春頃】建設着工
【2023年 1月】竣工
【2023年 3月】開業


私個人はこの動きに関しては交通関係の問題が非常に大きいと思っています。ただ、球場自体を球団が自前で持つボールパークとしての構想自体はワクワクしますし素晴らしいことだと思います。通年型リゾートを目指すという姿勢も共感します。

だからこそ、そのボールパークを心から楽しめるためには家や職場からボールパークに行くことができ、スムーズに帰宅できる交通機関の充実が必要だと考えていますし、それについての考察が球団にも北広島市にも欠けているのではないですか?と疑問に思っているわけです。

Number 2017/08/16
日本ハムの新スタジアム構想が凄い!「入場料無し」「弁当無し」の衝撃。
https://number.bunshun.jp/articles/-/828671


北海道日本ハムファイターズ事業統括本部前沢氏を取材したコラムです。
新球場の理念は素晴らしいと思うし、札幌ドームというのが「球場」の域を出なかったとは思う。しかし、
>私設の有料駐車場とマンションが増えていただけだった。スタジアムは「文化」と呼べるものではなかった。
とこき下ろされるのも心外です。実際に札幌の夜にファイターズが一定根付いて「今日会社上がったら野球見に行こうか?」という文化が根付いたわけです。15年経ってガラガラだった札幌ドームが一定の集客を見込めるようになったのはもちろん球団の努力、スター選手の活躍はありますが、心からファイターズを応援しようという札幌だけでなく北海道の草の根活動があってこそです。

札幌市街地から地下鉄で15分、福住から徒歩でドームが見えてくるまでの道。殺風景なマンションと郊外型店舗しかないと言われるかもしれないけれど、この道をワクワクしながら歩いたファンがたくさんいるわけです。これもまた文化の一つだったことは、球団にも考えていてほしい。

札幌ドームという立地は札幌市でも余り交通の便利のよくなかった清田区、豊平区や南区からも比較的アクセスしやすく、地下鉄を経由すれば市内のどこからでも行くことができる立地です。道路も国道36号線と羊ヶ丘通りに挟まれ、福住桑園通りで南区方面、白石藻岩通で白石方面、高速道路からは若干距離はあるものの札幌南インター側から出入りすることで札幌郊外や市外からのアクセスも比較的良好な場所です。

北海道は広く、ファンクラブに入っていても年に一回も観戦できない地域が数多くあります。休日デーゲームであっても早朝から出発してなんとかたどり着けるような地域も少なくありません。だからこそ、交通政策は重要なわけです。

球団が考えるボールパークがメジャーリーグのスタジアムのようなものを想定していると仮定して、例えばエンゼルスのアナハイムスタジアムを例に挙げますが、車社会のアメリカということもあって、スタジアムの外はスタジアムを取り囲むような1万台以上が収容される平面駐車場が設置されていて、駐車場代は10ドル(約1100円)程度。スタジアム近くまで10車線にもなるサンタアナフリーウェイでロサンゼルス市街地と結ばれています。
ちなみに公共交通では長距離輸送のアムトラックと地域輸送のメトロリンクが同じ線路を走り、乗車券に互換がないですが、球場近くのアナハイム駅まで鉄道でアクセスできるわけです。歴史と伝統があるというのもありますが、クルマでの観戦がメインながら、バスや鉄道でのアクセスも一定の利用があるというものです。いずれもロサンゼルス中心部から1時間以上かかります。それでも多数の観客が入っていることが伺えます。ロサンゼルスには中心部に近いところにドジャースのドジャースタジアムもあり、ここも1万台以上の駐車場というのは同じです。

さて、北広島に話を戻しますと、JR北海道が駅を設置できたとしても、劇的に本数を増やすのは難しいですし、札幌市民でJRだけでアクセスできる地域は非常に限られます。札幌駅でのJRと地下鉄の乗り継ぎもそれほど便利ではありません。
なにより今まで札幌ドームに行きやすかった豊平区、清田区。約30万人の人口がありますが、彼らが交通機関で球場に向かうのは大きく札幌市内中心部を迂回する形になりますので交通機関でのアクセスは非常に時間がかかるわけです。

道路はさらに深刻です。札幌市内側から球場までの道路は国道274号線と道道1080号線大曲通の2ルートしかありません。高速道路を使い北広島インターチェンジ利用でも大曲通しか使えず、北広島インターからだと信号で一旦国道36号線に入り、さらに2車線の大曲通を使うことになり、都心側から国道36号線で来る観客と合流するわけですから。ここだけで渋滞必須です。さらに球場近くの北進通との美沢交差点は北広島駅側からの進入と合流ですから、これまた渋滞ポイントになりますね。
国道274号線からは北広島市がアクセス道路を新設するとの計画ですが、もう一本市道大曲椴山線への接続道路も検討。この大曲椴山線がくせ者でセンターラインのない市道で14t制限の橋などもあり、しかも大曲側は道道1080号線大曲通に接続ですからルートの増加にすらなりません。
せめて道央道併走の札幌新道終点(現在厚別東通)を延長し大曲通りへ直接繋げる(交差点を最小限に信号を少なくすることでかなり渋滞は抑えられる)ことは検討したいものです。また、新札幌駅へのシャトルバス用に大曲椴山線の西の里側を一般車両の通行規制を敷いて立命館高校-もみじ台経由で走らせることでのシャトルバスを一般車両渋滞に巻き込ませない工夫も必要になりましょう。

現状の道路で今回確保する予定の駐車場は3000台~4000台。札幌ドーム内ですら約1000台、周辺駐車場を含めて2000台以上確保されていたことを考えると郊外ボールパークとしては駐車場台数が少なすぎるように感じます。札幌以外の地方からの観戦客をうまく誘導するためには高速道路北広島インターチェンジからのボールパークへの導線をどう確保するかが重要で、それが非常に気がかりです。

理想だけ言えば、球場付近-輪厚PA付近への都市高速道路(暫定的に2車線であっても、野球開催時に2車線ともに球場方面、輪厚方面と片側通行に切り換える仕掛け)と、北広島IC-手稲IC付近を清田-西岡-南区方面を廻って繋ぐ南回りの高速道路の必要性を感じます。もちろんこれはボールパークだけの問題ではありませんが。

鉄道に関しては何度か書いたとおりで、あまりにも浅い考えで駅さえ作ればいいというレベルで考えているとようですが、球場内で食事や酒を楽しませるという前提があるなら、もっと緻密な鉄道輸送計画を立てなければなりません。折角ボールパークで楽しんだ客をぎゅうぎゅう詰めの満員電車で帰宅させるのか?って話です。それこそパーク内に引き込み線を入れてでも、一定の着席輸送ができる施策、停車駅さえ限定すれば10両程度の両数も可能な設備を活かしてのJRとの共同での地方からの観戦列車等やれることは沢山あるはずです。しかし、あくまで報道記事では快速エアポートに詰め込めばいいというレベルの話しか聞こえてきません。これでは沿線の通勤通学客にも一般の空港利用客にも嫌われる「迷惑施設」になってしまう。JRでの球場輸送は特別列車で、詰め込み形と着席形を分け、なおかつ空港輸送とは別な形で行う必要があります。これは新設できるからこそ今なら球団、JR北海道、北広島市などで協議して実現可能なことです。必要となる車両も今発注できなければ間に合いません。単純にJRが勝手にやればいいというレベルで考えてるなら沿線利用者にそっぽを向かれるでしょう。

プロ野球を行わない時期でも集客できるという施設を目指し、そこにどうしても飲食を検討するなら「クルマ」だけではうまくいかないわけです。公共交通での輸送充実は必要です。


さて、残された札幌ドームはどうなりますか?札幌ドームからファイターズの60試合程度がなくなることで、夏のイベントに札幌ドームを使いやすくなります。シーズン外しか開催できなかったコンサートもそうですし、YOSAKOIソーラン祭りなどのイベント、CITY JAZZやPMF、ライジングサンのような音楽イベントのサブステージ的な利用もできます。会場が広いだけに複数のイベントを行えたり、月寒グリーンドームでのイベントも、施設廃止後代替施設がなく、これを札幌ドームで行えるわけですから、意外と使用頻度は落ちず、一定の利用率は確保すると思われます。そういう意味では私はファイターズ無き後の札幌ドームをそう悲観していません。むしろ、交通に力を入れない状態で開場するボールパークの方が心配です。

何度も言いますが、ボールパーク自体は私自身ワクワクする、素晴らしいものだと思っています。完成の暁には是非行きたい。しかし、JRや高速道路での集客を期待して開業したマイカル小樽(ウイングベイ小樽)がどうなったかを思うと、北海道民を札幌外の施設に誘導するのは「そこにしかないもの」を作っても難しいところがあるわけです。それを少しでも改善するのは「行きやすいこと」が必要です。行くたび渋滞かぁ、乗り換え何回もしなきゃ、電車混んでるしなぁ・・・ってのはやはり足を遠のかせる要因になるわけです。ボールパークをよりよいものにするには交通機関と道路アクセスの改善は必ず必要なのです。それは、今始めないと全く間に合いません。

北広島球場輸送 北海道の交通関係 JR北海道 千歳線

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