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北海道の交通関係
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「JR北海道問題」から2年
2018/11/09
JR北海道が「当社が単独では維持することが困難な線区について」という文章を発表して約2年が経ちました。来週あたり各メディアがその件で記事を書くでしょうが、その前に、この発表から2年を経って、何が変わったのか、何が行われたのかを見てみます。
「まずは自助努力が必要だ」と言い放ったのは北海道知事。つまりは「赤字だろうがJRの責任で路線を維持し自治体に負担を求めるな」な訳です。
未だにネット上ではJR北海道に対する資金供給への反対意見、JR職員の給与削減などの「努力」を言い続ける声は聞こえます。しかし、現実に職員人件費より赤字額が大きい以上削れる経費など既に出し尽くしたからこその「単独で~」の文章な訳ですね。
単純にJR北海道の路線は札幌圏、はこだてライナー以外の普通・快速列車はほぼ全て2両以下のワンマン列車。これを削ることは単純な列車廃止、路線廃止という意味になります。
最初から北海道・沿線自治体が金銭負担して鉄道を維持するなんて考えは無いわけですから、JR北海道と株主である国が赤字負担して維持せよというのが意見な訳です。だからこそどこの自治体も「国が~」「JRが~」しか言わない。もちろんその気持ちはわからないでもないですが、現実的に沿線人口が半分になり、道路の延伸で誰もがクルマを使い、実際鉄道に乗っていない以上、地元が使わない鉄道に国が資金を出すことは難しいのも現状な訳です。
そもそも最初の「当社が単独では維持することが困難な線区について」は逆を言えば「JR北海道が維持できる路線はここまで」という意味です。国鉄分割民営化時に経営安定基金を積まれ、運用益で赤字を相殺するビジネスモデルなのですから、金利低下で基金運用益が減った時点で路線を廃止することを是とする話だったはずです。しかしJR北海道は頑張ってしまった。廃止せずに職員給与のカット、鉄道施設や車両などの購入先送り、維持費用削減での均衡をしてしまった。結果が設備不良の事故や職員の怠慢による事故なわけです。結果今になって設備投資をせざるを得なくなり、均衡も崩れたのが現状です。
一部の自治体は「もっと早くから相談があればこんなことにはならなかった」と述べたようですが、それなら既にJRの「白旗宣言」から2年経ちましたが、各沿線自治体は何か対策を行ったのですか?ということです。
ちょっとやそっとの「乗車運動」ではどうにもならないほどの赤字が出ているとは言え、地域の住民が利用しなければ鉄道を維持する理由さえ出てこない訳です。しかし、2年経って
日本経済新聞 2018年11月08日
室蘭線沿線5市町が協議会、JR北と利用促進策で連携
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37538880Y8A101C1L41000/
岩見沢市の松野哲市長は会合後、報道陣に対し19~20年度の2年間の行動計画の素案はJR北が年内にも示すとの見通しを示し、「利用促進と経費削減で地域として何ができるのかを協議会で話し合っていく」と話した。
いまだJRが何かするからそれに乗っかって「利用促進」してやる。レベルです。「早く言っていれば」なんて全くのウソですね。これが10年前に言っていようが何もしないまま年月が経っていたってだけです。沿線は何もしません。
これが見えてしまっている以上支援する立場の国も「どうせ乗ってないんだから不要でしょ」ってのを今じゃ隠しもしません。そして最もイニシアチブを取らなければならないはずの北海道知事からもここ数ヶ月ほど知事会見でJR北海道問題への発言が出ていません。例えばJRが提案としていた線路設備を自治体が持つ「上下分離」についても。
北海道庁 2018年09月05日
北海道知事定例記者会見(2018/9/5)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tkk/hodo/pressconference/h30/h300905gpc.htm
いわゆる上下分離というのはいろいろな形があるわけですが、そのうちわれわれ地方が、当初JR北海道が主張しておられた地方が下を持つという上下分離、これは絶対にあり得ないということは再三、国土交通省に対しても、JR北海道に対しても申し上げておりまして、そのスタンスについては、道、市長会、町村会、変わりはございません。
となります。上下分離はしないというのは「JR北海道が今後も北海道全線の営業をするべき」という判断を北海道知事はおもっているとなります。これは逆を言えば、線路設備の自治体負担があれば廃線ができなくなるわけですし、土地などの設備を持つというのは一時的に自治体は負担が大きいものの、運行経費はJR側に負担させるわけですから最もわかりやすい解決策になります。それを拒否した以上「廃線か維持か」という話が未来永劫続くわけです。
さて、JR北海道問題に関して、JR北海道への批判は根強いものがあります。そういう意味で私もJR北海道を残して欲しいなんて全く思っていません。「JR」という全国の鉄道ネットワークとしての枠組み(外国人旅行客向けパスやシニア向けパスなどの全国周遊商品)が維持できればJR北海道という枠で鉄道を維持する必要は無いと思っています。
むしろ北海道はバスも含めたネットワーク維持を考えれば「北海道地域交通」という大きな枠での企業グループにバス会社、鉄道会社を集約して運営する方向に行く方が理にかなっているとも思うわけです。
既に北海道内の人口規模では鉄道とバスが並行路線を運行し客を取り合う方式は全く正しくない。そしてJR北海道は「北海道」という1自治体だけを営業している会社です(一部に青森県はあれど)また、道内バス会社も道外への路線を持つことができない環境です。ならば北海道という一つの地域内で情報を集約、特に国と自治体による補助金が収入のほとんどとなっているバス会社は、結局「会社」ですらないわけです。ならば、すべての交通事業者を一つの大きな枠の中に入れ、共通した案内方式、共通した乗車券での利用ができる方が結果的な運営コストの減少、そして利用者には利便の確保もできるようになるのでは無いかとも思うわけです。
各自治体が鉄道廃止に反対するのは「路線図から、地図から消える」です。「北海道地域交通」は鉄道も幹線バスも同じ路線として認識させますので同じ路線図の中です。「駅」は鉄道・バスの乗り換え拠点というより「総合ターミナル」町の顔としての役割を担わせるわけで、駅が消えるという意見もなくなるでしょう。鉄道が無くなっても「幹線バス」は鉄道と同様の扱いとして貰うわけです。
それは戯言ですが、現実に本数の少ない鉄道と本数の少ないバスが競合しているのなら、同じ枠内に入れ、乗車券類を共用化し1時間、30分おきという頻発運行する方がどれだけ住民に便利になるかです。そして、結果的に「道営」に近くなりますので、住民への利用喚起はJRだけ、バスだけという形にならないわけです。
JR北海道の経営安定基金と国と各自治体のバス補助金を同じ会計にプール、そこから鉄道とバスへの補助を出しますが、当然参加のバス会社は一定の規模まで統合を進めることになりますから、補助額は全体に圧縮されますし、車両や乗務員の融通ができることになります。
今までの枠ですとこのような統合計画は「カルテル」に当たるとされ複数のバス会社の路線再編すらままならなかったのですが、国もこの状態は非常に問題であると動き始めています。
北海道新聞 2018年11月06日
地銀やバスの経営統合柔軟に 例外ルール整備、独禁法改正も
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/245613
政府は6日の未来投資会議で、地方銀行や地域のバス事業者の経営統合を柔軟に認めることを協議した。独占禁止法に基づく統合審査で2業種に例外的なルールを整備し、一つの県域で市場シェア(占有率)が高くなるかだけにこだわらず、地域活性化に役立つかを加味して判断する方向。今後も人口減少の続く厳しい環境を見据え、合併などの再編による経営安定を後押しする狙い。
公取委の統合審査では、ふくおかフィナンシャルグループ(FG)と十八銀行の統合計画提出から承認まで2年超かかり、取引先が集中する長崎県内の貸出債権の一部を他の金融機関に譲る条件が付いた。統合とは異なるが、広島市で行政とバス業界が1990年代以降、路線再編などの連携を探った際に「不当な取引制限」(カルテル)に当たると公取委が指摘し、頓挫した例もあった。
2業種は地域で一定のシェアを持つことが背景にあるが、低金利が響いて第二地銀などを含む地域の銀行は2017年度に過半の54行で本業収支が赤字となり、路線バスの収支も厳しい。事業者が統合に消極的になって事態が深刻化しないよう、審査の見通しを立てやすいルールを用意し、再編のハードルを下げるべきだと判断した。
少なくとも同一地域の中小バス会社は今後維持が難しくなり一定の規模に合併していく形が進むとも思われます。そのときにこの考えで一定の規模、受給、便数時刻の調整を行いやすい形に変えていく必要はあるのだとも思うわけです。そのとき必要なのは北海道の調整能力です。各企業がバラバラに動くのは得策ではありませんし、今後乗務員不足、利用者減少は進み比較的大きな規模のバス会社でも破綻することが避けられないとも思うのです。
バス会社が「廃業」を申し出る前に、先手を打った形で、JR問題も一緒に地域交通問題を解決するような気概が求められます。
それにしてもJR北海道問題提起から2年。進んだのは一部の路線廃止のみじゃ悲しすぎるじゃないですか。誰も公共交通に関心が無く、また、実際に廃止になっても困っていないというのが現状でもあるのでしょう。路線バスの廃止は鉄道の比ではなく、また、マスコミ報道にもほとんど載らないのです。