北海道の交通関係

12月7日地域公共交通シンポジウムin北海道開催

2018/11/16

国土交通省北海道運輸局のサイトにありましたが「地域公共交通シンポジウムin北海道」が12月7日に開催されます。

北海道運輸局
地域公共交通シンポジウムin北海道
~地域で導き出す最適な地域公共交通体系の形成に向けて~ の開催
http://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/press/presspdf/201811/20181114.pdf
JR北海道は、厳しい経営環境に置かれており、一昨年11月に単独では維持困難な線区を公表し、地域における持続可能な交通体系の構築のために地域と協議を行いたい意向を示しました。以来、道内各地域において、地域にとって最適な地域公共交通体系をどう形成していくか、議論が進みつつあります。一方で、既に全国の様々な地域において、交通事業者、地域住民、行政が連携して地域の公共交通を支え、その維持・活性化を図っている取組事例が見られます。
そこで、各地域での取組事例等に詳しい有識者からの講演等を通じて、北海道の各地域にとって最適な地域公共交通体系の形成に向けて、皆様とともに考える機会となるよう、本シンポジウムを開催します。
日時 平成30年12月7日(金)14:00~17:30
場所 TKP札幌駅カンファレンスセンター
内容
話題提供 「JR北海道の経営改善について」
 国土交通省鉄道局鉄道事業課長 石原 大
○基調講演 「地域を支えうる公共交通網の再整備は待ったなし!
 ~前に進むのか?このまま立ち止まり続けるのか?~」
 名古屋大学大学院環境学研究科 教授 加藤 博和 氏
○事例発表 「地方路線維持の考え方、取組について」
 公益財団法人浜松・浜名湖ツーリズムビューロー 理事事業本部長 前田 忍 氏
 (前 大井川鐵道株式会社代表取締役社長)


北海道運輸局は昨年6月にも「地域公共交通シンポジウム」を札幌・旭川・釧路で行っておりその内容を公開しています。

北海道運輸局
地域公共交通
http://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/bunyabetsu/tiikikoukyoukoutsuu/shin%20index.html


私は昨年6月7日の札幌での公演を聴取してきていますが、名古屋大学加藤博和氏の講演はやはり胸を打たれるものがありました。その前の国土交通省2人の課長氏の話が大幅にオーバーし加藤氏ほか「本当に重要な」かたがたの講演が大幅にカットされたのは残念ではありましたが、趣味者としてもこの問題を考える時に必要なポイントを多く提供いただいたように思います。

元々加藤氏の立場は鉄道だけでなく交通「網」として利便が高く地域が使いやすい交通手段をどう作るのかということを考えるわけで、単純に鉄道さえ残ればそれでいいという多くの地元関係者、鉄道ファンとは相反する講演だったように思いますし、個人的に私が以前から考えていた内容に近く、なおかつ「怒り」すら込めて講演したことを非常によく覚えています。今でも内容は録音を残しており、私の別のブログにはテキスト起こしして残しています。

さて、その講演から一年半。加藤教授がどのような怒りを持つか楽しみでもあります。指摘していた「地域公共交通網形成計画策定」ですら今も21件のみで当時10市町ですから増えてはいるけど179市町村で考えると少なすぎるわけです。鉄道を残せという話なら沿線自治体で集まって鉄道・バスと公営、タクシーも含めた公共交通をどうしていくのかを考えなければならないはずです。「JRが残ればそれでいい」「JRが悪い国が悪い」では何も進まないわけです。「どういう交通網が欲しいのか」すら無いわけですから。

加藤博和・ホームページ
http://orient.genv.nagoya-u.ac.jp/kato/Jkato.htm


氏のページには非常に多くコンテンツが有り、講演資料を見ているだけでも勉強になりますし、逆に彼に異を唱えるのなら、彼以上の知識、勉強量が必要だろうとも思うわけです。仮に「鉄道を残す」ことを目的にするべきだとするのなら論理立てた鉄道で無ければならない理由を言えなければ始まらないのです。えっ自民党が鉄道を廃止しないと言った?では時の政権の他の公約なり全て維持されていいますかね?30年以上前の広告の文言が「よりどころ」なんて寂しすぎるじゃないですか。30年何やってたの?って話です。

もちろん、個人的に全て加藤教授と同じ考えではありませんし、私自身の知識量はそれほど多くはありません。日本全国の事例を知っているわけではありませんし、広い北海道離島以外は全ての市町村に行ったことがありますが、全ての地域交通を利用したわけではありません。しかし、多くの町に公共交通で行けば、駅やバスターミナルから市街地、町内への移動手段が提供されていない、そしてタクシーすら維持できていない町は少なくない。町の人がバス停の位置すら知らない。20年は使ったことが無いと豪語。子供達はスクールバスか徒歩移動、親の車が無ければどこにも行けない。そんな町を多々見てきています。

私自身田舎の出身で、自転車でどこでも行く子ではありましたが、行動範囲は狭い。隣町の公民館と言われると足は乗合バスしかない。しかし、同級生のほとんどはバスに乗ったことが無いから不安という。「いつも親に連れてって貰った」なわけです。これでは隣町で幾ら魅力的なお祭りがありました、新しい施設ができました、でも行けないわけです。子供が小銭持って安心して乗れる交通機関が必要なはずなのです。

毎年受験時期になると「公共交通の乗り方がわからない」「乗る便を間違えた」「駅から学校への行き方がわからない」などと受験ですら親の車でなければ行けない子供まで出る始末。列車の乗り方がわからず列車に乗れず試験に遅刻した子の対応が協議なんて話は出る。高校受験の中学生の話?いえいえ、大学受験ですらです。「子供」の頃に連れてって貰うだけで自発的に移動することすらできない子供がどうやって大人になるのでしょう。大人になってもクルマの運転でしか移動できず、そして老年になってもクルマは手放せない。

儲かっていないから鉄道はいらない、バスもいらないと極端言う方もいます。その方も、運転できなくなったら鉄道に乗るバスに乗るという。無責任すぎます。今乗れない公共交通に足腰悪くなってから時刻と路線調べて公共交通に乗るなんてファンタジーでしかありません。また、要らないと言い続ける人は、子供も老人もクルマで送り迎えしてくれる親切な方でしょうか?自分が運転できなくなった時にそれをしてくれる人は誰でしょうか?

やっぱり、今、わかりやすく利便の高い、継続性の高い公共交通を考えておいた方がいいのではないでしょうか。札幌など大きな町とを結ぶ「幹線」と集落を廻る枝葉となる路線。そして、公共施設や学校、病院、駅、役所などを巡る交通機関。そして、鉄道、地元バス会社とタクシー業界、自治体が話し合ってより使いやすく費用の少ないものを構築する。そして地域の人が利用する。これが大事なんだと思うわけです。
これを間違うと、デマンド交通が便利すぎてタクシーが廃業する、バスと鉄道が同じような時間に並行して走りどちらも数人の客しか乗ってない等弊害の方が大きくなります。協議できれば一定の間隔で利便のある本数の「幹線」と、タクシー、地域バスにより町のどこへでも行きやすい交通機関ができてきます。

子供が学校に通う、お年寄りが通院とショッピングを楽しむ。そして地域の商店街がそれでまた生きてくるのなら素晴らしい話です。しかし、何もしなければ自家用車で大きな町に行くだけ。学校に通いにくいから高校進学の段階で他の地域に引っ越す、そして残された高齢者も病院すら行けない、都市部の大きな病院に行くには駅まで長く歩かなければならない。結局大きな病気をしたタイミングで町を離れる。

夢物語?そうかもしれないけど、今のままじゃ鉄道が残ろうがバスが残ろうがこの状態。そしてまた存廃問題が出て、「廃止になったら過疎化が進んだ」と騒ぐ。廃止にならなくても誰も使っていない時点で同じ事です。現に留萌市を挟んで鉄道が30年以上前に廃止された小平町と30年鉄道が維持された増毛町にほとんど人口減少の差異はありません。どちらも等しく過疎化している。まだ小平町の方が幹となる幹線高速バスがありますが、町内を移動する足がありません。買い物も徒歩、役場へも徒歩です。結果町内スーパーも撤退です。これでは町で生きていけません。鉄道が無くなったから過疎ではないでしょう。増毛町はJRの廃線時の拠出金で「駅」をリニューアル。そこを道の駅的な施設にしました。ここをバスの拠点にしたのはよかったことです本数は少ないながら札幌直通のバスもここから出ます。町単独補助の路線バスを持っています。そういう意味では「補助に意味」鉄道撤退後の方が利便が高くなったわけです。ただ民間スーパーは残りましたが農協Aコープは撤退済。スーパーの維持は生活の維持そのものですので、今後予断を許しません。留萌線沿線では沼田町がアークス系スーパーの新規出店を勝ち取りました。実際2000人規模の町でスーパーを出店するのは難しいわけで、Aコープ居抜きとはいえ、この規模で運営できる店を作らなければ北海道のスーパーは維持できない。交通網も同じ考え方をしなければならないのです。鉄道が無くなるかどうかは正直どうでもいい。2000人規模の町であっても地域内、そして都市圏へ、都市圏から移動できる手段をどう提供し維持するかが大事なのです。

長々書きましたが、今回の「地域公共交通シンポジウム」同じ方の一年半後の講演は本当に楽しみです。

北海道の交通関係 留萌線 路線バス

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