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北海道の交通関係
生産年齢人口と「働ける人」を増やすまやかし
2018/11/23
当ブログではよく「働ける人が少なくなる」から「列車やバスの本数が確保できなくなる」と何度か書いています。
日本の15歳-64歳人口(生産年齢人口)は1997年頃をピークに減少しています。2010年に8000万人いた生産年齢人口は2030年には6700万人程度となるわけです。何度も言いますが、全てを平均できたところで10人で働いている職場は8人になるわけです。そして、老年人口指数は54.4。生産年齢1.8人で高齢者1人を扶養する形になります。2010年が36.1ですから2.8人で高齢者1人の扶養だったわけですから、もう高齢者を面倒見切れるとは考えにくい。今の高齢者優遇の医療制度、年金制度は変えざるをえない。
もうひとつ。あくまで生産年齢人口は「就業可能と思われる年齢の国民人数」をただ数字にしただけです。その中には専業主婦、障害者、失業者も含まれた数字。
政府が「一億総活躍社会」と言うのは様々な批判もあろうが、各個人ひとりひとりが社会を回すための一つのキーにならないと、維持できないことがわかっているからこその話です。そしてその結果はさらなる年少者人口の低下という形で現れる可能性が高く、現在12.5%程度の0-14歳人口は将来10%を割り込みます。「国立社会保障・人口問題研究所 人口統計」では2060年の比率は年少者9.1%、生産年齢50.9%、高齢者39.9%と予測しています。このときの生産年齢人口はわずか4500万人程度、人口総数も8500万人程度となっているとはいえ、高齢者人口は3800万人はいるわけです。どう社会を維持していけばいいのでしょうか?
現在の社会を維持する(鉄道やバス等の交通機関や流通など)ことをとりあえず10年持たせようというのが「一億総活躍社会」です。しかし、その先はどう考えても今の社会を維持できません。誰が電車を運転し、誰がトラックを運転し、誰が道路や線路を整備し、誰が農業を行い、誰が魚を捕り・・・・人口の減少より生産年齢人口が大幅に早く少なくなるわけですから、社会の仕組みそのものを変えていく必要があります。
その最初が今起きている北海道の鉄道・交通問題なわけです。高齢化が全国平均より早く発生している北海道はその動きが顕著に出て、本当に地方で数人の利用者しかいない鉄道を維持して、都市部の交通網を縮小させるのが正しいか?という選択を迫られているのです。生産年齢人口は減っていくのですから、同じ人数で運行できる便数は変わらない以上しわ寄せは都市部に早くやってくるわけです。何度も書いていますが都市部のバスの減便幅は現在でも地方部より激しくなっています。「1便なくなると生活できない」地方のバスは減便できず、「1便減っても次の便が残る」都市部の便から減らされているわけです。
12月からの札幌市内近郊の路線バスの改正内容が発表されました。頻発路線を中心に減便される路線が非常に多くなっています。しかし地方路線の減便はわずかです。実際に利用が多い路線が減便され、元から利用の少ない路線は残る。これが第1弾です。
数年後、こんどは地方路線では「営業所ごと」全て廃止、または会社清算で全路線廃止を打ち出す地域が出てきましょう。都市部の減便がすすめばそれ以上できるところは少なく、地方部の運転手など人的リソースを都市部へ移転させることでしか利用の存在する都市部の路線を残すことができなくなるからです。また、地方部のバス会社など、補助金で維持されている路線でも運転手の確保はもう難しく、運転手の高齢化も進んでいますのであと数人退職すれば運行ができないという会社も既に何社も出ている状況です。
バスが運行できなければ市町村営バスやデマンド交通を運行しようとしても、既にそれらに従事する人的リソース自体が不足していますので、限られた本数しか運行できません。地方に住むなと言うのか!と怒ったところで、現実に人がいなければ運行できません。えっ?だから鉄道を残すべきだって?何言ってるんですか。バスすら運行できない人的リソース不足にバスの何倍もの人員が必要な鉄道が維持できるわけがないじゃないですか。少しは考えてくださいよ。鉄道が残ったって動かせる人がいなければ運行できないんですよ。
都市部であっても細かく空白地帯を作らないように運行していたバスも幹線筋に重点的にリソースを分散するしかありませんので、枝線の路線は廃止になる可能性はありましょう。都心部に直通するような長時間運行のバスは先に廃止になってもおかしくありません。そして集約され増える幹線路線には一人の運転手が今の倍運べる連接車などの方法は早めに検討しておいたほうがいい。
流通業はさらに深刻でしょう。スーパーマーケットが成立する商圏人口は5000人から1万人と言われます。町の人口が2000人以下ですとコンビニエンスストアですら維持が難しくなります。それを居抜き物件と市町村のバックアップで維持している例がいくつかありますが、これとてこれ以上の人口減少では維持が難しくなりましょう。そして、スーパーの無くなった町の住民はクルマで近隣の残ったスーパーに行くしかありません。すでにこの「買い物難民問題」は各所で発生していますが、根本的な解決策も無く、高齢住民の車が事故を起こすという問題が出てきているわけです。そして、車すら運転できない住民は住むことができませんから町を出ることになります。町を出る資金が無ければ・・・
これは何も過疎に悩む町だけの話ではありません。都市部の住宅地でも起きている話です。これもバスの話と同じです。先に減少するのは地方の店舗ではありません。代替できるスーパーがある、コンビニがある、ちょっと郊外に大型商業施設がある都市部から撤退が進むのです。そのあと地方です。もちろん地方でも店舗撤退は相次いでいますが、現在「買い物弱者」(定義は日常の食料品などの買い物が困難な65歳以上)が多い都道府県1位は「神奈川県」60万6000人だということに注目して欲しいのです。2位は「東京都」60万1000人、3位が「大阪府」54万4000人、そして北海道45万2000人です。少ない県は「鳥取県」4万3000人、「山梨県」5万人、「福井県」5万1000人つまり「都市部の人口の多い地域」ほど買い物難民は増えるのです。
店にしてみれば利用が多くても店員の確保がままならないわけです。スーパーの倒産件数は増加(負債総額1億円未満というあくまで経営不振での倒産では無い)しています。
で、移動販売車とか御用聞きとか通販とかって解決策が出されているわけですけど、その従事者自体も不足しているわけです。そして、その従事者も高齢者。この先10年はなんとかなりますよ。しかしその先はどうでしょう?
この先20年を見据えると、交通網も流通網も「集約」せざるを得ない。パイロットの人数がある程度潤沢だったからなんとかなっているLCCにせよこの先は就業者の確保が難しくなりますし、国内線よりも国際線に重点が置かれていくことに疑いの余地はありません。国内長距離は一定の鉄道による高速、大量輸送に頼らなければなりません。そういう意味で北海道新幹線札幌開業の2030年頃の予定は遅すぎます。その前に今の航空での北海道-本州の便数、座席数が維持できるとはとうてい思えない。同様に高速バスなども減便が続くでしょう。1便30人程度の定員に2人の乗務員で5時間6時間の運行などという状態もいつまでも維持できないでしょう。本当に一定の需要が維持できるいくつかの鉄道路線は維持せざるを得ません。だからこそ、今、この数年の間にちゃんと結論を出して、赤字黒字という単純な話しだけでなく北海道のミライの交通網という面で議論して欲しいと私は思うのです。
そのときにIT化は避けられません。いつまでも駅に駅員がいなければ等と言ってる場合ではない。店員がいなければダメなどと言ってる場合ではありません。そしてそのIT従事者も今や争奪戦なのです。そしてその技術者に適正な給与すら支払われない。これが現状です。ITだけでは人口問題は解決できませんが、ITが一定の解決になるのも事実です。